42 / 46
第42話 プロポーズ
しおりを挟む
「君の答えを聞かせてくれないか?」
「あ、えっと……」
どう答えるべきなのか。混乱していて、口から言葉が出てこなかった。そんな私の反応に、悲しそうな表情になるラインヴァルト。
「受け入れては、くれないか?」
違う、受け入れないなんて、そんな事は無い! プロポーズをしてくれたことは、とても嬉しかった。私は慌てて、口を開いた。素直な気持ちを彼に伝える。
「いえ! 私ッ、とっても嬉しいんです! でも、私なんかで本当によろしいのですか……? 貴方は、ファルスノ帝国の大事な皇子なのに……」
「もちろん、良いに決まっている! 先ほど伝えた通り、カトリーヌと一緒に居ると俺も楽しいんだよ。君以外の女性を、俺は求めていない。君と結婚したいんだ」
「私は、別の国の王子に婚約破棄されて、ラクログダム王国から追い出されるような女なんですよ。それでも?」
「何の問題もない。むしろ君を、ひどい目に遭わせた連中に怒りを覚えるよ。俺は、君を守る。悲しませたりしないように、努力する」
「あっ」
とても真剣な、彼の表情に魅入られる。
話している間に、ギュッと手を握られた。私が答えを出すまで、この場から絶対に逃さない、というような意思表示。手に、ラインヴァルトの体温を感じる。
「もう一度、聞くよ。カトリーヌの本当の気持ちを聞かせてくれ」
「……私も、ラインヴァルト様と結婚したいです。ずっと一緒に居たい」
許されるなら、彼と一緒になりたい。そう答えた瞬間、彼の顔が接近してきた。
「よかった! これで本当に、受け入れてくれたんだね」
「あ、あの、いま……ッ!?」
私は、感触のあった唇に手を当てる。彼にキスされた。ラインヴァルトは、とても嬉しそうに喜んでいる。
「あぁ、よかった!」
「ふふっ」
「ありがとう、カトリーヌ。これからも、よろしく」
「あっ……」
彼の喜ぶ姿を見ていると、恥ずかしさを忘れて嬉しくなった。そのまま、ギュッと身体を抱きしめられる。彼の体温を、今度は身体全体で感じていた。
ラインヴァルトのプロポーズを受け入れて、私は彼と結婚することになった。
この時に私は、幸運の女神の加護を得た者なのかもしれないと実感した。だって、こんなにも幸せな気持ちになれたんだから。この幸せを、彼らにも分けてあげたい。
幸運の女神の加護が予言の通り本当ならば、ラインヴァルトと、ファルスノ帝国の皆が幸せになってほしいと本気で願った。
「あ、えっと……」
どう答えるべきなのか。混乱していて、口から言葉が出てこなかった。そんな私の反応に、悲しそうな表情になるラインヴァルト。
「受け入れては、くれないか?」
違う、受け入れないなんて、そんな事は無い! プロポーズをしてくれたことは、とても嬉しかった。私は慌てて、口を開いた。素直な気持ちを彼に伝える。
「いえ! 私ッ、とっても嬉しいんです! でも、私なんかで本当によろしいのですか……? 貴方は、ファルスノ帝国の大事な皇子なのに……」
「もちろん、良いに決まっている! 先ほど伝えた通り、カトリーヌと一緒に居ると俺も楽しいんだよ。君以外の女性を、俺は求めていない。君と結婚したいんだ」
「私は、別の国の王子に婚約破棄されて、ラクログダム王国から追い出されるような女なんですよ。それでも?」
「何の問題もない。むしろ君を、ひどい目に遭わせた連中に怒りを覚えるよ。俺は、君を守る。悲しませたりしないように、努力する」
「あっ」
とても真剣な、彼の表情に魅入られる。
話している間に、ギュッと手を握られた。私が答えを出すまで、この場から絶対に逃さない、というような意思表示。手に、ラインヴァルトの体温を感じる。
「もう一度、聞くよ。カトリーヌの本当の気持ちを聞かせてくれ」
「……私も、ラインヴァルト様と結婚したいです。ずっと一緒に居たい」
許されるなら、彼と一緒になりたい。そう答えた瞬間、彼の顔が接近してきた。
「よかった! これで本当に、受け入れてくれたんだね」
「あ、あの、いま……ッ!?」
私は、感触のあった唇に手を当てる。彼にキスされた。ラインヴァルトは、とても嬉しそうに喜んでいる。
「あぁ、よかった!」
「ふふっ」
「ありがとう、カトリーヌ。これからも、よろしく」
「あっ……」
彼の喜ぶ姿を見ていると、恥ずかしさを忘れて嬉しくなった。そのまま、ギュッと身体を抱きしめられる。彼の体温を、今度は身体全体で感じていた。
ラインヴァルトのプロポーズを受け入れて、私は彼と結婚することになった。
この時に私は、幸運の女神の加護を得た者なのかもしれないと実感した。だって、こんなにも幸せな気持ちになれたんだから。この幸せを、彼らにも分けてあげたい。
幸運の女神の加護が予言の通り本当ならば、ラインヴァルトと、ファルスノ帝国の皆が幸せになってほしいと本気で願った。
26
お気に入りに追加
1,708
あなたにおすすめの小説
大切なあのひとを失ったこと絶対許しません
にいるず
恋愛
公爵令嬢キャスリン・ダイモックは、王太子の思い人の命を脅かした罪状で、毒杯を飲んで死んだ。
はずだった。
目を開けると、いつものベッド。ここは天国?違う?
あれっ、私生きかえったの?しかも若返ってる?
でもどうしてこの世界にあの人はいないの?どうしてみんなあの人の事を覚えていないの?
私だけは、自分を犠牲にして助けてくれたあの人の事を忘れない。絶対に許すものか。こんな原因を作った人たちを。
見た目を変えろと命令したのに婚約破棄ですか。それなら元に戻るだけです
天宮有
恋愛
私テリナは、婚約者のアシェルから見た目を変えろと命令されて魔法薬を飲まされる。
魔法学園に入学する前の出来事で、他の男が私と関わることを阻止したかったようだ。
薬の効力によって、私は魔法の実力はあるけど醜い令嬢と呼ばれるようになってしまう。
それでも構わないと考えていたのに、アシェルは醜いから婚約破棄すると言い出した。
【完結】これからはあなたに何も望みません
春風由実
恋愛
理由も分からず母親から厭われてきたリーチェ。
でももうそれはリーチェにとって過去のことだった。
結婚して三年が過ぎ。
このまま母親のことを忘れ生きていくのだと思っていた矢先に、生家から手紙が届く。
リーチェは過去と向き合い、お別れをすることにした。
※完結まで作成済み。11/22完結。
※完結後におまけが数話あります。
※沢山のご感想ありがとうございます。完結しましたのでゆっくりですがお返事しますね。
婚約破棄を要求されましたが、俺に婚約者はいませんよ?
紅葉ももな(くれはももな)
恋愛
長い外国留学から帰ってきたラオウは、突然婚約破棄を要求されました。
はい?俺に婚約者はいませんけど?
そんな彼が幸せになるまでのお話。
第一夫人が何もしないので、第二夫人候補の私は逃げ出したい
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のリドリー・アップルは、ソドム・ゴーリキー公爵と婚約することになった。彼との結婚が成立すれば、第二夫人という立場になる。
しかし、第一夫人であるミリアーヌは子作りもしなければ、夫人としての仕事はメイド達に押し付けていた。あまりにも何もせず、我が儘だけは通し、リドリーにも被害が及んでしまう。
ソドムもミリアーヌを叱責することはしなかった為に、リドリーは婚約破棄をしてほしいと申し出る。だが、そんなことは許されるはずもなく……リドリーの婚約破棄に向けた活動は続いていく。
そんな時、リドリーの前には救世主とも呼べる相手が現れることになり……。
【 完 】転移魔法を強要させられた上に婚約破棄されました。だけど私の元に宮廷魔術師が現れたんです
菊池 快晴
恋愛
公爵令嬢レムリは、魔法が使えないことを理由に婚約破棄を言い渡される。
自分を虐げてきた義妹、エリアスの思惑によりレムリは、国民からは残虐な令嬢だと誤解され軽蔑されていた。
生きている価値を見失ったレムリは、人生を終わらせようと展望台から身を投げようとする。
しかし、そんなレムリの命を救ったのは他国の宮廷魔術師アズライトだった。
そんな彼から街の案内を頼まれ、病に困っている国民を助けるアズライトの姿を見ていくうちに真実の愛を知る――。
この話は、行き場を失った公爵令嬢が強欲な宮廷魔術師と出会い、ざまあして幸せになるお話です。
もう我慢する気はないので出て行きます〜陰から私が国を支えていた事実を彼らは知らない〜
おしゃれスナイプ
恋愛
公爵令嬢として生を受けたセフィリア・アインベルクは己の前世の記憶を持った稀有な存在であった。
それは『精霊姫』と呼ばれた前世の記憶。
精霊と意思疎通の出来る唯一の存在であったが故に、かつての私は精霊の力を借りて国を加護する役目を負っていた。
だからこそ、人知れず私は精霊の力を借りて今生も『精霊姫』としての役目を果たしていたのだが————
婚約破棄された令嬢は変人公爵に嫁がされる ~新婚生活を嘲笑いにきた? 夫がかわゆすぎて今それどころじゃないんですが!!
杓子ねこ
恋愛
侯爵令嬢テオドシーネは、王太子の婚約者として花嫁修業に励んできた。
しかしその努力が裏目に出てしまい、王太子ピエトロに浮気され、浮気相手への嫌がらせを理由に婚約破棄された挙句、変人と名高いクイア公爵のもとへ嫁がされることに。
対面した当主シエルフィリードは馬のかぶりものをして、噂どおりの奇人……と思ったら、馬の下から出てきたのは超絶美少年?
でもあなたかなり年上のはずですよね? 年下にしか見えませんが? どうして涙ぐんでるんですか?
え、王太子殿下が新婚生活を嘲笑いにきた? 公爵様がかわゆすぎていまそれどころじゃないんですが!!
恋を知らなかった生真面目令嬢がきゅんきゅんしながら引きこもり公爵を育成するお話です。
本編11話+番外編。
※「小説家になろう」でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる