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第34話 覚悟を決める ※レナルド王子視点

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 部下が出ていった後、レナルド王子は毒を吐いて落ち着いた。そして、状況を整理する。

 ファルスノ帝国が攻めてくるのは予想していなかった。まだ様子見をすると思って安心していたのだが。

 なぜ奴らが戦争を仕掛けてくるのか。その理由は分かる。今、ラクログダム王国が荒れているから。このタイミングで仕掛てきたら、簡単に領土を奪い取れると思ったから。

 レナルド王子は、ファルスノ帝国の動きを考察する。

 部下が置いていった報告書を、改めて確認する。連中は、国境付近で待機しているようだった。領土には足を踏み入れていない、という情報が記されている。

 この情報も、本当かどうか怪しかった。今のラクログダム王国で働いている兵士の質は、非常に悪い。反乱軍や盗賊が暴れまわっているので、どこも人材不足だった。だから、そんな兵士でも使わざるを得ない。その兵士が送ってきた情報だったから、信頼度は低い。

 なぜ、帝国兵は国境付近で待機しているのか。兵士を出してきたのに、国境付近で待機しているだけなんて考えられない。何か目的があるはずだ。

 自分だったら、今のタイミングを見逃さずに攻めさせるだろう。戦いは、すばやく行動して勝利を得ることが大切だと知っているから。戦いが得意だと有名な帝国も、その原則を知っているはずだ。

 そうだとすれば、既に帝国の兵士は領土内に侵入しているのではないだろうか。

 情報を送ってきた王国の頼りにならない兵士たちが、帝国兵の侵入を見落としたに違いない。もしくは、帝国兵の侵入を許してしまった罰を恐れて虚偽報告をしている可能性もあった。ちゃんと監視していなくて、適当な情報を送ってきたとか。

 とにかく、レナルド王子はこの報告を信じることは出来なかった。

「やはり、無能な部下達に任せていては駄目ということか……!」

 レナルド王子が小声で呟く。

 今まで、部下たちに指示を出してなんとか問題を対処しようとしていた。だけど、それが駄目なんだと彼は気が付いた。

 前線に立って、戦いの指揮をする。今の絶望的な状況では、それぐらいやる必要があるとレナルド王子は考えた。

 彼は勢いよく、椅子から立ち上がった。前線に出ていこうと、覚悟を決めた。

 この悲惨な状況を一変させるために、自らが動く。それで、ちゃんと全て解決するはずだと信じて、レナルド王子は動き出した。
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