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第29話 逃亡準備
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いきなり、予想外過ぎる話に私の頭は混乱していた。
皇子って本当なのかしら。ファルスノ帝国の事情を全く知らないので、本当か嘘か判別できない。そもそも、私を騙す理由がないわ。それなら、やっぱり本当なのか。
街の人を連れて逃げるなんて大丈夫なのかしら。王国の民を帝国に連れていけば、それが戦争の理由になってしまいそう。だけど、街の人を見捨てて自分たちだけ逃げ出すなんて、嫌ね。それじゃあ、街の人達を連れていくしかない。
ラインヴァルト達が旅立った後の街に留まり続ければ、いずれ盗賊団に襲われて、窮地に立たされるから。
ラインヴァルトは、これを予想していてラクログダム王国を訪れていたのかしら。王国の民を自分たちの国に連れていくため。予言の話もあったから、何か知っていたのかもしれないわ。
だけど、皇子自ら訪れるなんて危なすぎると思う。ということは彼らは偶然、街や王国の問題に巻き込まれたということ?
色々と考えてみたけれど、私はラインヴァルトに従うだけ、という結論に至った。考えても、何もわからないから。彼と一緒に行くと、約束したことだけ大切にすれば良いと思った。
「何か、私に手伝えることはありますか?」
「旅に出る準備をしておいてほしい。旅の荷物をまとめて、馬車に食料を出来る限り積み込んでおいて」
「わかりました。タデウス達と協力して、すぐ出られるように準備しておきます」
タデウスに目を向けると、彼は頷いて了承してくれた。
「それじゃあ皆、数日後の出発に向けて準備を始めようか!」
「「「はい!」」」
ラインヴァルトが指示を出し、皆で旅立つ準備に取り掛かる。街の人達と一緒に、ファルスノ帝国へ向かうために。
数日後、街の外に大量の馬車が並んでいた。人も多い。老若男女、ものすごい数。何人か街に留まる人も居ると聞いていたが、集まっている人の数は非常に多かった。本当に、皆で逃げ出すのね。これだけ多くの人が一緒に移動して大丈夫なのかしら。不安だった。
もしも、前と同じように盗賊団に襲われてしまったら。前は運良く助けてもらい、誰も怪我しなかったから良かったけれど。これだけの人達が居ると、見つかりやすいだろうし、逃げにくいだろう。
「カトリーヌ。そちらの準備は、どうだい?」
色々悩んでいると、ラインヴァルトが私が乗る馬車の近くにやって来た。これから出発して大丈夫か、最終確認される。
「準備万端です。いつでも出発できます」
彼の質問に、私は頷いて答えた。
タデウスが万全の態勢で待機してくれている。ゲオルグ達も一緒に集まっている。旅の荷物も積み込んだ。私が指示を出せば、すぐ出発することが出来るだろう。
「わかった。それじゃあ、気をつけていこうか」
「はい。ラインヴァルト様も、気をつけて」
ラインヴァルトが街の人達が集まっている方へ走っていく。彼は、街の人達が頼りにするリーダーとして、旅の指揮を任されていた。
とても頼もしい人だから、街の人達が頼りたくなる気持ちがよく分かる。
「それじゃあ皆、出発!」
集まっていた馬車が動き出す。ラインヴァルトが全体に指示を出し、全員で移動を開始した。私達の逃亡の旅が始まる。
皇子って本当なのかしら。ファルスノ帝国の事情を全く知らないので、本当か嘘か判別できない。そもそも、私を騙す理由がないわ。それなら、やっぱり本当なのか。
街の人を連れて逃げるなんて大丈夫なのかしら。王国の民を帝国に連れていけば、それが戦争の理由になってしまいそう。だけど、街の人を見捨てて自分たちだけ逃げ出すなんて、嫌ね。それじゃあ、街の人達を連れていくしかない。
ラインヴァルト達が旅立った後の街に留まり続ければ、いずれ盗賊団に襲われて、窮地に立たされるから。
ラインヴァルトは、これを予想していてラクログダム王国を訪れていたのかしら。王国の民を自分たちの国に連れていくため。予言の話もあったから、何か知っていたのかもしれないわ。
だけど、皇子自ら訪れるなんて危なすぎると思う。ということは彼らは偶然、街や王国の問題に巻き込まれたということ?
色々と考えてみたけれど、私はラインヴァルトに従うだけ、という結論に至った。考えても、何もわからないから。彼と一緒に行くと、約束したことだけ大切にすれば良いと思った。
「何か、私に手伝えることはありますか?」
「旅に出る準備をしておいてほしい。旅の荷物をまとめて、馬車に食料を出来る限り積み込んでおいて」
「わかりました。タデウス達と協力して、すぐ出られるように準備しておきます」
タデウスに目を向けると、彼は頷いて了承してくれた。
「それじゃあ皆、数日後の出発に向けて準備を始めようか!」
「「「はい!」」」
ラインヴァルトが指示を出し、皆で旅立つ準備に取り掛かる。街の人達と一緒に、ファルスノ帝国へ向かうために。
数日後、街の外に大量の馬車が並んでいた。人も多い。老若男女、ものすごい数。何人か街に留まる人も居ると聞いていたが、集まっている人の数は非常に多かった。本当に、皆で逃げ出すのね。これだけ多くの人が一緒に移動して大丈夫なのかしら。不安だった。
もしも、前と同じように盗賊団に襲われてしまったら。前は運良く助けてもらい、誰も怪我しなかったから良かったけれど。これだけの人達が居ると、見つかりやすいだろうし、逃げにくいだろう。
「カトリーヌ。そちらの準備は、どうだい?」
色々悩んでいると、ラインヴァルトが私が乗る馬車の近くにやって来た。これから出発して大丈夫か、最終確認される。
「準備万端です。いつでも出発できます」
彼の質問に、私は頷いて答えた。
タデウスが万全の態勢で待機してくれている。ゲオルグ達も一緒に集まっている。旅の荷物も積み込んだ。私が指示を出せば、すぐ出発することが出来るだろう。
「わかった。それじゃあ、気をつけていこうか」
「はい。ラインヴァルト様も、気をつけて」
ラインヴァルトが街の人達が集まっている方へ走っていく。彼は、街の人達が頼りにするリーダーとして、旅の指揮を任されていた。
とても頼もしい人だから、街の人達が頼りたくなる気持ちがよく分かる。
「それじゃあ皆、出発!」
集まっていた馬車が動き出す。ラインヴァルトが全体に指示を出し、全員で移動を開始した。私達の逃亡の旅が始まる。
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