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第26話 残された不運の影響 ※レナルド王子
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「どうやら、反乱軍に資金を援助している貴族が居るようです」
「はぁ? 援助だと!?」
レナルド王子は、その報告を聞いて激怒した。怒りに任せて力いっぱい机を叩くが、怒りが収まらない。報告をした部下は、体を震わせる。
キッと睨んで、問い詰める。
「どいつだ! 反乱軍を支援するなんて……!」
「まだ正確な情報を掴めていません。裏で支援しているかもしれない、という疑惑があるというだけで」
「すぐに調査しろ! そして、その裏切り者を呼び出せ! 今すぐにッ!」
「は、はい」
これ以上、面倒な話は聞きたくない。そう思ったレナルド王子は、部下を部屋から追い出す。裏切り者の貴族を探して連れてくるように、と命じて。
部下は急いで部屋から出ていく。そして、静かになった部屋の中で1人きりになるレナルド王子。
「クソッ! 勝手に民から税を徴収するだけでなく、その資金を反乱軍に流すなんて愚かなことをッ!」
前回の報告で、貴族が勝手に税を引き上げているという話を聞いた。そのせいで、各地の治安も悪いという。その引き上げた税が、反乱軍に流れているだなんて。
問題が山積みである。以前と比べて、王国の状況は更に悪化しているようだった。時間が経っても、良い方向へ改善するような兆しもない。
全ての不運の原因だったカトリーヌという厄介者を追放すれば、王国の状況は良くなるはずと安易に考えていたレナルド王子。その予想は大きく外れることになった。希望が潰えそうになる。
もしかして、今まで運が悪かったのは俺のせいなのか。いいや、違う。そんなはずない。王族である、この俺が。今までの不運の原因は、間違いなくカトリーヌだ。
言い聞かせるように何度も否定して、自分の心を落ち着かせる。
今のラクログダム王国の状況は、あの不運のカトリーヌが残していった影響によるもの。もう少し時間が経てば、カトリーヌが残していった不運の影響も消え去って、王国も良い方向へ進んでくれるはず。
そうなってくれるように、レナルド王子は必死に祈った。そして、山積みの問題を一つずつ処理していく。睡眠不足で、目の下に大きなクマを作るほど必死になって。
「はぁ? 援助だと!?」
レナルド王子は、その報告を聞いて激怒した。怒りに任せて力いっぱい机を叩くが、怒りが収まらない。報告をした部下は、体を震わせる。
キッと睨んで、問い詰める。
「どいつだ! 反乱軍を支援するなんて……!」
「まだ正確な情報を掴めていません。裏で支援しているかもしれない、という疑惑があるというだけで」
「すぐに調査しろ! そして、その裏切り者を呼び出せ! 今すぐにッ!」
「は、はい」
これ以上、面倒な話は聞きたくない。そう思ったレナルド王子は、部下を部屋から追い出す。裏切り者の貴族を探して連れてくるように、と命じて。
部下は急いで部屋から出ていく。そして、静かになった部屋の中で1人きりになるレナルド王子。
「クソッ! 勝手に民から税を徴収するだけでなく、その資金を反乱軍に流すなんて愚かなことをッ!」
前回の報告で、貴族が勝手に税を引き上げているという話を聞いた。そのせいで、各地の治安も悪いという。その引き上げた税が、反乱軍に流れているだなんて。
問題が山積みである。以前と比べて、王国の状況は更に悪化しているようだった。時間が経っても、良い方向へ改善するような兆しもない。
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もしかして、今まで運が悪かったのは俺のせいなのか。いいや、違う。そんなはずない。王族である、この俺が。今までの不運の原因は、間違いなくカトリーヌだ。
言い聞かせるように何度も否定して、自分の心を落ち着かせる。
今のラクログダム王国の状況は、あの不運のカトリーヌが残していった影響によるもの。もう少し時間が経てば、カトリーヌが残していった不運の影響も消え去って、王国も良い方向へ進んでくれるはず。
そうなってくれるように、レナルド王子は必死に祈った。そして、山積みの問題を一つずつ処理していく。睡眠不足で、目の下に大きなクマを作るほど必死になって。
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