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第25話 終わらない騒動 ※レナルド王子
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「今朝、カールハインツ将軍が病死されたという報告が届きました」
「なんだと!?」
突然の報告にレナルド王子は驚き、スーッと血の気が引いた。将軍が死んでしまうなんて、予想していなかった。反乱軍との戦いは、どうなってしまうのか。
「将軍が病死するなんて、ありえない。本当なのか?」
「本当です。将軍は病死されました」
「その報告に、間違いは、ないのか……?」
「はい。間違いありません」
報告に間違いないのか、レナルド王子は何度も何度も確かめる。だけど、本当だと無慈悲に将軍の病死を伝える部下。
冷静に報告を続ける部下に対して王子は苛立ったけれども、なんとか怒りの感情を抑え込んだ。そして、質問を続ける。
「それほどまでに、カールハインツ将軍の健康状態は悪かったのか?」
「戦場に出て戦うように命令されて、無理をして反乱軍と戦っていましたから」
「……」
まるで、自分が悪いと言われているように感じるレナルド王子。だけど、命令したのは俺じゃない。部下の話を聞きながら、王子は思った。
「反乱軍との戦闘中は、指揮する兵士たちの前で気丈に振る舞い、なんでもない風を装っていたようです。その無理がたたって、一気に体調を崩してしまった。そして、そのまま……」
「クソッ!」
カールハインツ将軍の問題については、全て部下に任せたはず。戦場へ出るように命令したのは、部下だ。つまり、こんな事態になってしまったのも全て部下の責任。報告を聞きながら、そう結論付けるレナルド王子。だから、何も気にしなかった。
問題は、反乱軍の鎮圧をどうするのか。カールハインツ将軍の代わりを誰に任せるのか、頭を悩ませて考えるレナルド王子。
もう一度、部下に任せるか。いいや、それで失敗して将軍が亡くなってしまった。役に立たない部下を頼ったら、もっと酷い状況になりそうだ。
大失敗した部下に与える罰も考えないといけない。だが、ラクログダム王国が混乱している今は、処刑することは出来ない。全ての問題が一段落して落ち着いてから、部下に刑罰を与える。それまでは少しでも多く働かせて、役に立ってもらう。部下の問題は、後回しにする。
王子は、カールハインツ将軍に対しても文句があった。死んでしまうまで無理するなんて。死人に対して言うのは酷だと理解しているが、一体誰が後始末をすることになるのか分かっているのだろうかと、文句を言ってやりたいと思ったレナルド王子。
ラクログダム王国には現在、カールハインツ将軍の他に兵士たちを指揮することが出来る実力者は居なかった。王国の人材事情は、非常に厳しい。
それでも、誰かを将軍に任命しないといけない。
「それから」
「……まだ、何かあるというのか?」
部下の報告は、まだ続くらしい。考え込んでいたレナルド王子は、うんざりとした表情を隠しもせずに、次の報告を聞いた。
「なんだと!?」
突然の報告にレナルド王子は驚き、スーッと血の気が引いた。将軍が死んでしまうなんて、予想していなかった。反乱軍との戦いは、どうなってしまうのか。
「将軍が病死するなんて、ありえない。本当なのか?」
「本当です。将軍は病死されました」
「その報告に、間違いは、ないのか……?」
「はい。間違いありません」
報告に間違いないのか、レナルド王子は何度も何度も確かめる。だけど、本当だと無慈悲に将軍の病死を伝える部下。
冷静に報告を続ける部下に対して王子は苛立ったけれども、なんとか怒りの感情を抑え込んだ。そして、質問を続ける。
「それほどまでに、カールハインツ将軍の健康状態は悪かったのか?」
「戦場に出て戦うように命令されて、無理をして反乱軍と戦っていましたから」
「……」
まるで、自分が悪いと言われているように感じるレナルド王子。だけど、命令したのは俺じゃない。部下の話を聞きながら、王子は思った。
「反乱軍との戦闘中は、指揮する兵士たちの前で気丈に振る舞い、なんでもない風を装っていたようです。その無理がたたって、一気に体調を崩してしまった。そして、そのまま……」
「クソッ!」
カールハインツ将軍の問題については、全て部下に任せたはず。戦場へ出るように命令したのは、部下だ。つまり、こんな事態になってしまったのも全て部下の責任。報告を聞きながら、そう結論付けるレナルド王子。だから、何も気にしなかった。
問題は、反乱軍の鎮圧をどうするのか。カールハインツ将軍の代わりを誰に任せるのか、頭を悩ませて考えるレナルド王子。
もう一度、部下に任せるか。いいや、それで失敗して将軍が亡くなってしまった。役に立たない部下を頼ったら、もっと酷い状況になりそうだ。
大失敗した部下に与える罰も考えないといけない。だが、ラクログダム王国が混乱している今は、処刑することは出来ない。全ての問題が一段落して落ち着いてから、部下に刑罰を与える。それまでは少しでも多く働かせて、役に立ってもらう。部下の問題は、後回しにする。
王子は、カールハインツ将軍に対しても文句があった。死んでしまうまで無理するなんて。死人に対して言うのは酷だと理解しているが、一体誰が後始末をすることになるのか分かっているのだろうかと、文句を言ってやりたいと思ったレナルド王子。
ラクログダム王国には現在、カールハインツ将軍の他に兵士たちを指揮することが出来る実力者は居なかった。王国の人材事情は、非常に厳しい。
それでも、誰かを将軍に任命しないといけない。
「それから」
「……まだ、何かあるというのか?」
部下の報告は、まだ続くらしい。考え込んでいたレナルド王子は、うんざりとした表情を隠しもせずに、次の報告を聞いた。
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