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第18話 先行き不安 ※レナルド王子視点

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 ラクログダム王国で起きている様々な問題に対処するため、レナルド王子は現状に関する情報を集めて、状況を整理することから始めた。

 部下たちに情報収集するように命令して、集まった各地の状況についての報告書にざっと目を通して確認していく。それは、膨大な量だった。レナルド王子は、何日も費やして報告書を読み込んだが終わらない。

 全ての報告書の内容を確認することは、出来ていない。だが、ラクログダム王国が悲惨な状況だということが分かってしまった。

「クソ! 各地の治安は、これほどまでに悪くなっているのか」

 報告書を片手に、机を叩いて怒るレナルド王子。

「そのようです。領主の税の取り立てが厳しくて、税を支払えない住民たちが悪事を働いています」
「領地を任せた貴族連中は、一体何をやっているんだ……ッ! 勝手なことをして、税の引き上げなど私は指示していないぞ!」

 部下の報告を聞いて、レナルド王子は更に腹を立てる。報告している部下の男は、ヒヤヒヤしていた。いつ、その怒りが自分に向けられるか、不安に思っていた。早く報告を終わりたい。すぐに、レナルド王子の近くから離れたい。そう、思っていた。

「私の指導も、資金援助も無駄だったというわけか」
「はい。あまり、効果はなかったようです……」

 地方にある領地の管理を任せている貴族たちに対して、レナルド王子はこれまでに貴族たちを指導するために手紙を送ったり、資金援助を行ったりしていた。

 それなのに、一向に改善しない現状。部下の男は、申し訳無さそうにしているが、王子の働きは効果がなかったと断言する。それぐらい、状況は何も変化しなかった。

「もう一度、各地の領地に立ち入り調査を行うことにする。前回、見落とした箇所があるかもしれない。我々が手助けしてやらないと、貴族共は何も出来ないらしい」
「了解しました。スケジュールを調整します」

 実際に現地まで行って、王子である自分が領地の運営に口を出さないと、貴族達は変わらない。レナルド王子は、そう考えた。

「反乱の方は? どうなっている?」
「あまり状況は、よろしくないようです」

 各地の被害、王国軍の消耗、軍事費の浪費など。戦いに関する報告書を確認すると、悲惨な結果が記されていた。被害は拡大していき、王国の資金がどんどん減っている。

 このまま戦いが続けば、ラクログダム王国は更に悲惨な状況になるのは明らかだ。どうにかして、反乱を鎮圧しなければならない。

 レナルド王子は、頼れる人物に王国軍の指揮をお願いしていた。それなのに、時が過ぎても戦いは終わっていない。どうしてなのか。

「王国軍を任せたカールハインツ将軍は? こんなに敗戦を繰り返して、彼は戦場で何をやっているんだ!?」
「カールハインツ様は、倒れられたようです」
「は? 将軍が、た、倒れただと!?」

 部下の言葉を耳にして、レナルド王子は驚く。将軍が倒れたことを、知らなかったから。
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