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13周目(現代風あべこべ:野球監督)
第265-2話 伝説の始まり
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「今日は、コレがいい」
そう言って楓が持ち上げたのはボールを捕球するため、手にはめて使う道具。
「野球のグラブだね」
「テレビで見たことあるよ」
真琴が見たことあるという。俺もテレビで、プロ野球の試合を見たことがあった。やっぱり選手は全員が女性で、ものすごい動きでプレーしていた。
しかし、3人だけだと試合はできないな。ピッチャーとバッターの勝負で、1人がキャッチャーをする。それを順番に交代していくのが、いいかもしれない。
「バットもあるよ」
金属のバット。子供用に少し短いのかな。軽くて、振りやすそう。これを振って、ボールに当てるのか。
「これは、何?」
「あぁ、それはキャッチャーの防具かな」
ちゃんと防具一式が揃っている。キャッチャーマスクに胴体のプロテクター、足を守るレガースまである。これは、知らないな。パンツみたいな形のサポーターか? もしかして、急所を守るための防具、ファールカップなのかな。女性用で、膨らんだ形にはなっていない、とか。
「すぐ出来る?」
「うん。ボールもあるし、後は広い場所」
カチカチのボール。硬式ボールというやつだろう。それが12球も入っている箱があった。それらの道具を持って、3人で島の広場に走って移動する。
「ピッチャーとバッターの間、どれくらい?」
「20歩ぐらい、かな」
子どもの歩幅だと、短いかもしれない。だけど、俺も詳しくは知らないんだよな。試合を見たことはあるけれど、自分でプレーするのは今回が初めて。基本的なルールを知っているぐらい。
9人対9人のゲームで、攻撃と守備を交互に行う。アウトを3つ取れば交代する。それを9回まで続ける。
「とりあえず、やってみたい」
「わかった。じゃあ、楓が投げて、俺がボールをキャッチする?」
「理人と勝負したい」
役割分担をどうするか、相談する。既にグラブを手にはめている楓がピッチャーを希望して、対戦相手には俺を指名してきた。バッターは俺か。それで、残った真琴がキャッチャーマスクを被ることに。
「それで、いい?」
「いいよ。キャッチャーは、僕に任せて」
「勝負だ、理人」
ということで、それぞれの立ち位置に移動して対戦の準備をする。俺は、バットを持って。何回か軽く振ってみる。
ビュンと、風を切る音が鳴った。こんな感じで、いいのかな。これで、あのボールに当てるのは難しそうだけど。
楓と真琴がキャッチボールをしている。楓が投げる球は、なかなか速いな。俺に、あの球を打てるかな?
「じゃあ、いくよ」
「うん」
打者の位置に立つ。ピッチャーとキャッチャーの間に。楓が振りかぶって、ボールが来た。
「おっと」
「よし」
振ってみると、ボールとバットの間に距離があった。次の瞬間、背中からミットの鳴る音が聞こえた。なるほど、こういう感じか。イメージは出来た。それを、試してみよう。
「次、いくね」
「来い」
再び、楓が振りかぶった。投げる動作に入ったので、目を凝らして見る。そして、ボールが予想した位置に入ってきた。イメージした感じで、バットを振る。こう。
「あ」
「え」
ボールとバットが、カキンと当たった。そして、ものすごい勢いでボールが飛んでいく。あんなに遠くへ。
そう言って楓が持ち上げたのはボールを捕球するため、手にはめて使う道具。
「野球のグラブだね」
「テレビで見たことあるよ」
真琴が見たことあるという。俺もテレビで、プロ野球の試合を見たことがあった。やっぱり選手は全員が女性で、ものすごい動きでプレーしていた。
しかし、3人だけだと試合はできないな。ピッチャーとバッターの勝負で、1人がキャッチャーをする。それを順番に交代していくのが、いいかもしれない。
「バットもあるよ」
金属のバット。子供用に少し短いのかな。軽くて、振りやすそう。これを振って、ボールに当てるのか。
「これは、何?」
「あぁ、それはキャッチャーの防具かな」
ちゃんと防具一式が揃っている。キャッチャーマスクに胴体のプロテクター、足を守るレガースまである。これは、知らないな。パンツみたいな形のサポーターか? もしかして、急所を守るための防具、ファールカップなのかな。女性用で、膨らんだ形にはなっていない、とか。
「すぐ出来る?」
「うん。ボールもあるし、後は広い場所」
カチカチのボール。硬式ボールというやつだろう。それが12球も入っている箱があった。それらの道具を持って、3人で島の広場に走って移動する。
「ピッチャーとバッターの間、どれくらい?」
「20歩ぐらい、かな」
子どもの歩幅だと、短いかもしれない。だけど、俺も詳しくは知らないんだよな。試合を見たことはあるけれど、自分でプレーするのは今回が初めて。基本的なルールを知っているぐらい。
9人対9人のゲームで、攻撃と守備を交互に行う。アウトを3つ取れば交代する。それを9回まで続ける。
「とりあえず、やってみたい」
「わかった。じゃあ、楓が投げて、俺がボールをキャッチする?」
「理人と勝負したい」
役割分担をどうするか、相談する。既にグラブを手にはめている楓がピッチャーを希望して、対戦相手には俺を指名してきた。バッターは俺か。それで、残った真琴がキャッチャーマスクを被ることに。
「それで、いい?」
「いいよ。キャッチャーは、僕に任せて」
「勝負だ、理人」
ということで、それぞれの立ち位置に移動して対戦の準備をする。俺は、バットを持って。何回か軽く振ってみる。
ビュンと、風を切る音が鳴った。こんな感じで、いいのかな。これで、あのボールに当てるのは難しそうだけど。
楓と真琴がキャッチボールをしている。楓が投げる球は、なかなか速いな。俺に、あの球を打てるかな?
「じゃあ、いくよ」
「うん」
打者の位置に立つ。ピッチャーとキャッチャーの間に。楓が振りかぶって、ボールが来た。
「おっと」
「よし」
振ってみると、ボールとバットの間に距離があった。次の瞬間、背中からミットの鳴る音が聞こえた。なるほど、こういう感じか。イメージは出来た。それを、試してみよう。
「次、いくね」
「来い」
再び、楓が振りかぶった。投げる動作に入ったので、目を凝らして見る。そして、ボールが予想した位置に入ってきた。イメージした感じで、バットを振る。こう。
「あ」
「え」
ボールとバットが、カキンと当たった。そして、ものすごい勢いでボールが飛んでいく。あんなに遠くへ。
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