転生人生ごっちゃまぜ~数多の世界に転生を繰り返す、とある旅人のお話~

キョウキョウ

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12周目(異世界ファンタジー:錬金術師)

第256-1話 卒業認定から

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 学園に入学してから半年ほど経ち、卒業することになった。あっという間だった。というか、本当に? まだ、ここに来て半年しか経過していないけれど。

 授業に出て、そこで教師から出題された課題を難なくクリアしていくと、いつの間にか卒業ということになっていた。

 学園の授業では特に学びはなく、学園に入学した時点で全ての課題をクリアできる程度の実力は身につけていた。ユノヘルの村でおばあちゃんから錬金術を学び、腕を磨いてきた結果だ。

 わざわざ王都ノルニシスまで来る必要は無かったかもしれない。そう後悔しそうになったが、学園の施設や設備、資料室などは錬金術の新しい発見をする参考になったから、まあ良いかと思うことにした。

 卒業することが決まって、学長のマデリーネさんに呼び出された。



「失礼します」
「待っていたわ、リヒトくん」

 学園長室に入ると、マデリーネさんは椅子から立ち上がって迎えてくれた。手に何か持って、俺の正面に立つ。

「卒業おめでとう。はい、これ」
「えっと、これは」
「学園を卒業した証よ」

 マデリーネさんから紙を渡された。どうやら、これは卒業証書らしい。卒業式とかは行わず、こういう感じらしい。色々とイメージが違うな。

「ありがとうございます」

 受け取った証書を見つめる。本当に卒業したんだな。学園に通った思い出は、あんまりない。自分の研究室か、学園の資料室に居た思い出の方が色濃いから。半年だけだもんな。

「これで君は、王国に認められた一人前の錬金術師よ」

 マデリーネさんは微笑みながら言う。王国から認められた一人前の錬金術師、ね。あまり、ありがたみを感じないなぁ。

「本当は、もう少し学生でいさせてあげたいところなんだけれど。貴方の錬金術の実力は、学園に収まるものじゃなかったから。卒業させるしかなかったのよ。ごめんなさいね」
「いいえ、問題ないです」

 あの内容の授業を受け続ける時間は無駄だと感じていたので、さっさと卒業させてもらって良かったと思う。

「娘が本当にお世話になったわ。リヒトくんにマルガリータを任せて、間違いなかったと思っている」
「いえいえ、そんな」

 マルガリータが魔力のコントロールを覚えて、錬金術が成功するようになってから、今まで何度もお礼を言われてきた。そして今でも、会うたびに感謝される。しつこいくらい。今日も、改めてお礼を言われた。

「あの娘が、あんなに錬金術を使いこなせるようになる日がくるなんて信じられない。貴方から錬金術を教えてもらったおかげ」
「俺が教えたというよりも、マルガリータの才能ですよ」

 出会った頃から比べて、ぐんぐん実力を伸ばしているマルガリータ。彼女も実力を認められて、もう少しで卒業することになると聞いていた。

 俺がやったことは、最初のキッカケを与えたこと。彼女の才能を伸ばすため、少し助言しただけ。後は、彼女の努力の結果だろう。

「だとしても、リヒトくんが正しく導いてくれた。私は、そう確信しているわ。だから、何度でも感謝するの。本当にありがとう」

 そう言ってマデリーネさんは、深々と頭を下げた。

「頭を上げてください。そこまで感謝されると、逆に申し訳ない気持ちになります」

 対価も貰っている。学園に入学するキッカケを作ってくれて、王都に研究室になる拠点を用意してもらった。それで十分だろう。



 そんな会話を交わした後、話題が変わる。マデリーネさんに、こう聞かれた。

「学園を卒業した後、リヒトくんはどうする予定なのか聞いてもいいかしら?」
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