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12周目(異世界ファンタジー:錬金術師)

第254-1話 学園の教育

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 マデリーネさんに手配してもらって、錬金の学園に入学することになった。驚いたことに、男子生徒は俺だけだった。他の生徒たちは全員女子である。

 男性の錬金術師は珍しいとは聞いていたが、居ないわけじゃない。このノルニシスにも何人か居るとマルガリータから教えてもらった。彼女の情報によると、昔は男子生徒も居たらしい。数年前に卒業して、何人かは辞めていった。

 それで現在は、俺以外に男子生徒は1人も居ない状況だ。まさかこんなにも男性が居ないとは思っていなかったな。何人かぐらいは、居るものだと思い込んでいた。

 これは、気まずい。

「ねぇねぇ、あの人。男の人だよね」
「うん。どう見ても男性よ」
「噂によると、新入生だって」
「こんな時期に、途中編入なの?」
「すごい腕前らしいよ」
「えー、ホントに? 男性なのに? 信じられない」
「数年前に居た男の錬金術師は、試験に不合格で辞めたんだよね」
「あー、そういえば居たね」
「私たちも試験に落ちないように勉強しないと!」

 大学の講義室のような段々となっている席に座っていると後ろから、ひそひそ話が聞こえてくる。視線を感じる。周りは女子生徒ばかりで、落ち着かない。俺は黙って前を向いていた。

 先生が教室に入ってくる。もちろん、女性の錬金術師だった。

「はーい、皆さん。早速授業を始めましょう」

 チラッと俺の方を見たが、特に触れることもなく授業が始まった。先生が黒板に文字を書きながら説明をする。それを紙にメモする生徒たち。

 うーん。錬金術を学び始めたばかりの人に向けた内容、という感じ。俺が5歳の頃に、おばあちゃんから習ったようなレベルの簡単なもの。

 王都ノルニシスにあるから最新鋭を学べる場所なのだろうと期待していたが、これは期待しすぎていたか。いやいや、今は復習の時間かもしれない。この後に、素晴らしい授業が待っている可能性もある。まだ判断するのは早いかも。

 まだ錬金術を学び始めたばかりの生徒向けに、授業内容を優しくしている。そんなクラスに俺は放り込まれたのかもしれない。

「では、次に実習を始めましょう」

 座学が終わり、実習に移る。そこで出された課題を見て驚く。これをレシピ通りに完成させないとダメらしい。出来なくはないが、一気に難易度が跳ね上がった。

 学園の教育レベルは低いのかと思った。なのに、錬金の実技が始まった途端に凄く高いレベルを要求された。何なんだ、この授業は。

「さあ、成功するまで繰り返し頑張るのよ!」

 生徒たちは錬金に挑戦するが、失敗を繰り返す。マルガリータのように魔力の量が桁違いに多かったり、コントロールで苦戦している子は居ない。錬金釜を爆発させることはない。

 だが、誰も成功させることが出来ない。タイミングと見極めなどが出来ていない。ちゃんと錬金術の基礎を学んでいないのに、こんなに高度なことをいきなりやれ、と言われたから。

 これは大変というか、無茶だ。

 それでも何人か、錬金を成功させていく。失敗を繰り返していくうちに、感覚で掴んで無理やり成功させている。ある意味、もの凄い優秀な子たちだな。

「あら、貴方も錬金を成功させたのね。凄いじゃない」
「ええ、まぁ」
「それじゃあ、他の子が錬金を成功させるまで待ってなさい」

 おばあちゃんから習った知識と経験があったから、課題の錬金は成功させることが出来ていた。

 俺が錬金したアイテムを見て、驚く先生。それで終わり。アドバイスや解説などはなく、そのまま待機するように言われた。うーん。これでいいのか?

 とりあえず、言われた通り待つ。

 待機している間、教室に置いてある錬金設備を観察する。授業内容は良くないが、学園の設備はもの凄く良いものばかり。俺も初めて見る、便利な錬金道具が揃えてあった。

 魔力を電気のように利用して、照明や温度管理、空調管理が出来る錬金アイテムを稼働させている。魔力で、そういうことも出来るのかと新しい発見があった。

 ユノヘルの村には、こんな道具は流石に無かったな。

 現代世界にあるような、電化製品と遜色ない機能を持った錬金アイテムも存在していた。過去の偉大な錬金術師が作り上げた装置らしい。過去の人たちの残してくれていたものについては見るだけで、なかなか勉強になった。

 錬金術で、こういう事が出来るのかと見て学んだ。
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