転生人生ごっちゃまぜ~数多の世界に転生を繰り返す、とある旅人のお話~

キョウキョウ

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12周目(異世界ファンタジー:錬金術師)

第253-2話 教えてみた結果は

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 とりあえず今は、マルガリータに次のステップについて指導する。

「じゃあ、いよいよ錬金術に挑戦してみようか」
「はい!」

 この1時間は、マルガリータには魔力のコントロール方法を教えることだけに集中していた。錬金術に関しては、まだ何一つ教えていない。それでも、出来るだろうと思って再挑戦させてみる。おそらく、大丈夫だろうから。

 先程のように杖を取り出し錬金釜の前に立って、マルガリータは錬金を始められるように準備した。それを俺は、後ろから眺めている。

「いきます」

 少し緊張したような声で、マルガリータが告げる。錬金釜の中に錬金素材を放り込んでから、杖を突っ込む。ゆっくりと回し始めた。

 錬金液の中で、素材と魔力を混ぜ合わせることに成功。いまのところ錬金釜の中の反応は、とても安定している。先程とは大違いだ。

 ちゃんと魔力をコントロール出来ているな。まだ少しだけ不安定になる瞬間もあるけれど、大丈夫。あれを安定させるようになれば、錬金したアイテムの品質もアップする。

 魔力の操作を誤って、爆発して錬金が失敗するような気配はない。止める必要はなし。あとは、このまま最後まで完成させる。さて、どうなるかな。

 錬金液が光って反応した。これは悪い反応ではない。錬金が無事に成功したという反応だった。

「で、できた……?」
「まだ、気を抜いちゃダメだよ。錬金した液体をすくって、素早く容器に移す」
「は、はいっ!」

 後ろから指示すると、マルガリータは動き出した。錬金道具を使って、錬金釜から容器の方へ錬金した液体を注ぎ入れる。それで、作用薬は完成した。

 しばらく時間が経つと錬金液が反応して、元の液体に戻っていく。マルガリータの手には、完成したアイテムが残った。

「よくやった。錬金成功だな」
「こ、これ!」

 信じられないというような目で、自分の完成させた作用薬を握りしめる。それを、ジーッと見つめ続けるマルガリータ。それから、俺の方へと自分の作用薬を掲げた。しっかりと見えるように、どうだ! という感じで。

「で、出来ました!」
「うん。ちゃんと出来たな」
「し、信じられません。私、ちゃんと錬金術が出来ましたよ!」

 やはり、錬金術に関する知識はシッカリあるようだった。だから、魔力の扱い方を覚えただけであっさりと錬金を成功させた。

「ありがとうございます、先生!」
「うおっ、と。危ない」

 マルガリータに感謝されながら、勢いよく抱きつかれた。スキンシップが激しい。はしゃいでいる。それだけ嬉しかった、ということかな。

 最初、彼女を見た時はクールな印象だった。実は感情豊かな女の子だった。最初、出会った時は警戒されていたからだろうな。そして今は、錬金が成功したことを心の底から喜んでいる。素の感情を、さらけ出していた。

「錬金が出来るようになったから、次はもっと高度な錬金に挑戦していこうか」
「はい! よろしくお願いします、先生!」



 その後、マルガリータは錬金を失敗しなくなった。錬金釜を爆発させるようなことも無かった。魔力をしっかりコントロールして、無事に錬金が出来るようになった。その後も、色々と彼女に錬金術について指導した。

 毎日のように俺の研究室を訪ねてくる彼女に、錬金術の技術やレシピなどを幾つか教え込む。俺も、彼女と一緒に錬金の腕を磨いていった。

 環境が変わって、次々と新たなアイデアが思い浮かんでくる。忘れないように、それをメモに書き残す。後で試してみたい実験やレシピが、どんどん増えていく。

 そんな事をしていると、あっという間に時間は過ぎていた。そして1ヶ月が経ち、錬金学園に入学する予定の日がやって来る。
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