274 / 310
12周目(異世界ファンタジー:錬金術師)
第253-2話 教えてみた結果は
しおりを挟む
とりあえず今は、マルガリータに次のステップについて指導する。
「じゃあ、いよいよ錬金術に挑戦してみようか」
「はい!」
この1時間は、マルガリータには魔力のコントロール方法を教えることだけに集中していた。錬金術に関しては、まだ何一つ教えていない。それでも、出来るだろうと思って再挑戦させてみる。おそらく、大丈夫だろうから。
先程のように杖を取り出し錬金釜の前に立って、マルガリータは錬金を始められるように準備した。それを俺は、後ろから眺めている。
「いきます」
少し緊張したような声で、マルガリータが告げる。錬金釜の中に錬金素材を放り込んでから、杖を突っ込む。ゆっくりと回し始めた。
錬金液の中で、素材と魔力を混ぜ合わせることに成功。いまのところ錬金釜の中の反応は、とても安定している。先程とは大違いだ。
ちゃんと魔力をコントロール出来ているな。まだ少しだけ不安定になる瞬間もあるけれど、大丈夫。あれを安定させるようになれば、錬金したアイテムの品質もアップする。
魔力の操作を誤って、爆発して錬金が失敗するような気配はない。止める必要はなし。あとは、このまま最後まで完成させる。さて、どうなるかな。
錬金液が光って反応した。これは悪い反応ではない。錬金が無事に成功したという反応だった。
「で、できた……?」
「まだ、気を抜いちゃダメだよ。錬金した液体をすくって、素早く容器に移す」
「は、はいっ!」
後ろから指示すると、マルガリータは動き出した。錬金道具を使って、錬金釜から容器の方へ錬金した液体を注ぎ入れる。それで、作用薬は完成した。
しばらく時間が経つと錬金液が反応して、元の液体に戻っていく。マルガリータの手には、完成したアイテムが残った。
「よくやった。錬金成功だな」
「こ、これ!」
信じられないというような目で、自分の完成させた作用薬を握りしめる。それを、ジーッと見つめ続けるマルガリータ。それから、俺の方へと自分の作用薬を掲げた。しっかりと見えるように、どうだ! という感じで。
「で、出来ました!」
「うん。ちゃんと出来たな」
「し、信じられません。私、ちゃんと錬金術が出来ましたよ!」
やはり、錬金術に関する知識はシッカリあるようだった。だから、魔力の扱い方を覚えただけであっさりと錬金を成功させた。
「ありがとうございます、先生!」
「うおっ、と。危ない」
マルガリータに感謝されながら、勢いよく抱きつかれた。スキンシップが激しい。はしゃいでいる。それだけ嬉しかった、ということかな。
最初、彼女を見た時はクールな印象だった。実は感情豊かな女の子だった。最初、出会った時は警戒されていたからだろうな。そして今は、錬金が成功したことを心の底から喜んでいる。素の感情を、さらけ出していた。
「錬金が出来るようになったから、次はもっと高度な錬金に挑戦していこうか」
「はい! よろしくお願いします、先生!」
その後、マルガリータは錬金を失敗しなくなった。錬金釜を爆発させるようなことも無かった。魔力をしっかりコントロールして、無事に錬金が出来るようになった。その後も、色々と彼女に錬金術について指導した。
毎日のように俺の研究室を訪ねてくる彼女に、錬金術の技術やレシピなどを幾つか教え込む。俺も、彼女と一緒に錬金の腕を磨いていった。
環境が変わって、次々と新たなアイデアが思い浮かんでくる。忘れないように、それをメモに書き残す。後で試してみたい実験やレシピが、どんどん増えていく。
そんな事をしていると、あっという間に時間は過ぎていた。そして1ヶ月が経ち、錬金学園に入学する予定の日がやって来る。
「じゃあ、いよいよ錬金術に挑戦してみようか」
「はい!」
この1時間は、マルガリータには魔力のコントロール方法を教えることだけに集中していた。錬金術に関しては、まだ何一つ教えていない。それでも、出来るだろうと思って再挑戦させてみる。おそらく、大丈夫だろうから。
先程のように杖を取り出し錬金釜の前に立って、マルガリータは錬金を始められるように準備した。それを俺は、後ろから眺めている。
「いきます」
少し緊張したような声で、マルガリータが告げる。錬金釜の中に錬金素材を放り込んでから、杖を突っ込む。ゆっくりと回し始めた。
錬金液の中で、素材と魔力を混ぜ合わせることに成功。いまのところ錬金釜の中の反応は、とても安定している。先程とは大違いだ。
ちゃんと魔力をコントロール出来ているな。まだ少しだけ不安定になる瞬間もあるけれど、大丈夫。あれを安定させるようになれば、錬金したアイテムの品質もアップする。
魔力の操作を誤って、爆発して錬金が失敗するような気配はない。止める必要はなし。あとは、このまま最後まで完成させる。さて、どうなるかな。
錬金液が光って反応した。これは悪い反応ではない。錬金が無事に成功したという反応だった。
「で、できた……?」
「まだ、気を抜いちゃダメだよ。錬金した液体をすくって、素早く容器に移す」
「は、はいっ!」
後ろから指示すると、マルガリータは動き出した。錬金道具を使って、錬金釜から容器の方へ錬金した液体を注ぎ入れる。それで、作用薬は完成した。
しばらく時間が経つと錬金液が反応して、元の液体に戻っていく。マルガリータの手には、完成したアイテムが残った。
「よくやった。錬金成功だな」
「こ、これ!」
信じられないというような目で、自分の完成させた作用薬を握りしめる。それを、ジーッと見つめ続けるマルガリータ。それから、俺の方へと自分の作用薬を掲げた。しっかりと見えるように、どうだ! という感じで。
「で、出来ました!」
「うん。ちゃんと出来たな」
「し、信じられません。私、ちゃんと錬金術が出来ましたよ!」
やはり、錬金術に関する知識はシッカリあるようだった。だから、魔力の扱い方を覚えただけであっさりと錬金を成功させた。
「ありがとうございます、先生!」
「うおっ、と。危ない」
マルガリータに感謝されながら、勢いよく抱きつかれた。スキンシップが激しい。はしゃいでいる。それだけ嬉しかった、ということかな。
最初、彼女を見た時はクールな印象だった。実は感情豊かな女の子だった。最初、出会った時は警戒されていたからだろうな。そして今は、錬金が成功したことを心の底から喜んでいる。素の感情を、さらけ出していた。
「錬金が出来るようになったから、次はもっと高度な錬金に挑戦していこうか」
「はい! よろしくお願いします、先生!」
その後、マルガリータは錬金を失敗しなくなった。錬金釜を爆発させるようなことも無かった。魔力をしっかりコントロールして、無事に錬金が出来るようになった。その後も、色々と彼女に錬金術について指導した。
毎日のように俺の研究室を訪ねてくる彼女に、錬金術の技術やレシピなどを幾つか教え込む。俺も、彼女と一緒に錬金の腕を磨いていった。
環境が変わって、次々と新たなアイデアが思い浮かんでくる。忘れないように、それをメモに書き残す。後で試してみたい実験やレシピが、どんどん増えていく。
そんな事をしていると、あっという間に時間は過ぎていた。そして1ヶ月が経ち、錬金学園に入学する予定の日がやって来る。
0
お気に入りに追加
225
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる