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12周目(異世界ファンタジー:錬金術師)
第251-1話 マデリーネのお願い
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あー、なるほど。もともと彼女の問題を解決出来ないかと考えて、おばあちゃんを学園の先生として迎えようとしていたんだろうな。
学園で先生をしてもらうことがメインなのか、それとも娘のマルガリータの教育をお願いすることがメインなのか、どちらが本命だったのか分からないけど。
でも何故、わざわざユノヘルの村という辺境の地から先生として呼ぼうとしたのだろうか。王都にある学園なんだから、優秀な錬金術師が居そうなものだけど。それだけ、おばあちゃんの過去が偉大だったということなのか。
マデリーネさんは、どうやらおばあちゃんの弟子だったみたいだし。師匠として、期待していたとか。
そこまで考えたとき、もう1つ分からないことがある。
おばあちゃんの代わりに生徒として呼ばれた俺に教えて欲しいと、お願いしてきたこと。俺なんて、まだまだ若い。偉大な過去や実績があるわけでもない。そもそも、マルガリータとは同年代っぽい。ずっと村に引きこもって、おばあちゃんと2人きりで錬金術を独自に学んできただけ。
そんな無名の俺に、娘を教えて欲しいと言う理由が何かあるのだろうか。ちょっと思いつかない。あの時に少し錬金して見せただけで、そこまで俺の実力を信用したというのか。
「あ、あの! 貴方の知識を全て教えてくれ、とは言いません。ちょっと見てもらうだけでも良いんです! この娘が、錬金術を使えるようになるキッカケを何とか!」
マデリーネさんが何度も頭を下げて、必死の形相でお願いしてくる。いや、これは断りづらいなぁ。
事前に家を用意してくれたり、入学の手続きをしてくれたりして逃げにくいように準備していた。さらに、気持ちを込めてお願いしてくる。俺の感情も計算に入れて、頼んできていることも分かる。それぐらい、必死ということか。
マデリーネさんのお願いについては理解した。だけど、マルガリータはどう思っているのか。当の本人である彼女は、どう考えているのか。俺がどうするのかについては、彼女の気持ちが重要だと思った。
「引き受けるかどうか決める前に、貴女はどうしたいのか聞いてもいいかな?」
「……私は」
マルガリータに目を合わせて、尋ねる。彼女に学ぶ意志があるのかどうか。それを見極める。
「俺から、錬金術について学びたいのかどうか。こんなに若くて、どこの誰なのかも知らないような男から錬金術を教えて欲しい?」
「……今まで、色々な先生に見てもらった。錬金術について色々と教えてもらった。だけど、いつも錬金釜を爆発させてしまう。今まで一度も、錬金を成功させることが出来なかった」
今までの出来事を振り返るようにして語る彼女。なるほど、マルガリータは錬金を成功させることが出来ないらしい。それで悩んでいるということが判明した。
魔力の扱い方が下手だと、錬金の途中で素材と錬金液が反応して爆発してしまう、ということがまれにある。でも、魔力の扱い方を練習すれば錬金することは出来るようになるはず。時間を掛けて、経験を積み重ねれば失敗しなくなるもの。
経験不足。それぐらいの問題なら、すでに解決しているはず。それでダメだというのなら、他に何か原因がある、ということか。
錬金術師にとって必要不可欠なものは、素材を扱えること、錬金釜の使い方を覚えること。魔力のコントロールは、そこまで重要じゃない。いや、思ったように扱えたほうが良いけれども。魔力のコントロールがダメなら絶対に失敗する、ということはない。だから、一度も錬金術を成功させたことがないのは、どういうことだろう。
学園で先生をしてもらうことがメインなのか、それとも娘のマルガリータの教育をお願いすることがメインなのか、どちらが本命だったのか分からないけど。
でも何故、わざわざユノヘルの村という辺境の地から先生として呼ぼうとしたのだろうか。王都にある学園なんだから、優秀な錬金術師が居そうなものだけど。それだけ、おばあちゃんの過去が偉大だったということなのか。
マデリーネさんは、どうやらおばあちゃんの弟子だったみたいだし。師匠として、期待していたとか。
そこまで考えたとき、もう1つ分からないことがある。
おばあちゃんの代わりに生徒として呼ばれた俺に教えて欲しいと、お願いしてきたこと。俺なんて、まだまだ若い。偉大な過去や実績があるわけでもない。そもそも、マルガリータとは同年代っぽい。ずっと村に引きこもって、おばあちゃんと2人きりで錬金術を独自に学んできただけ。
そんな無名の俺に、娘を教えて欲しいと言う理由が何かあるのだろうか。ちょっと思いつかない。あの時に少し錬金して見せただけで、そこまで俺の実力を信用したというのか。
「あ、あの! 貴方の知識を全て教えてくれ、とは言いません。ちょっと見てもらうだけでも良いんです! この娘が、錬金術を使えるようになるキッカケを何とか!」
マデリーネさんが何度も頭を下げて、必死の形相でお願いしてくる。いや、これは断りづらいなぁ。
事前に家を用意してくれたり、入学の手続きをしてくれたりして逃げにくいように準備していた。さらに、気持ちを込めてお願いしてくる。俺の感情も計算に入れて、頼んできていることも分かる。それぐらい、必死ということか。
マデリーネさんのお願いについては理解した。だけど、マルガリータはどう思っているのか。当の本人である彼女は、どう考えているのか。俺がどうするのかについては、彼女の気持ちが重要だと思った。
「引き受けるかどうか決める前に、貴女はどうしたいのか聞いてもいいかな?」
「……私は」
マルガリータに目を合わせて、尋ねる。彼女に学ぶ意志があるのかどうか。それを見極める。
「俺から、錬金術について学びたいのかどうか。こんなに若くて、どこの誰なのかも知らないような男から錬金術を教えて欲しい?」
「……今まで、色々な先生に見てもらった。錬金術について色々と教えてもらった。だけど、いつも錬金釜を爆発させてしまう。今まで一度も、錬金を成功させることが出来なかった」
今までの出来事を振り返るようにして語る彼女。なるほど、マルガリータは錬金を成功させることが出来ないらしい。それで悩んでいるということが判明した。
魔力の扱い方が下手だと、錬金の途中で素材と錬金液が反応して爆発してしまう、ということがまれにある。でも、魔力の扱い方を練習すれば錬金することは出来るようになるはず。時間を掛けて、経験を積み重ねれば失敗しなくなるもの。
経験不足。それぐらいの問題なら、すでに解決しているはず。それでダメだというのなら、他に何か原因がある、ということか。
錬金術師にとって必要不可欠なものは、素材を扱えること、錬金釜の使い方を覚えること。魔力のコントロールは、そこまで重要じゃない。いや、思ったように扱えたほうが良いけれども。魔力のコントロールがダメなら絶対に失敗する、ということはない。だから、一度も錬金術を成功させたことがないのは、どういうことだろう。
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