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11周目★(現代風:作家)
第225話 中学校で注目の的
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楽本社の件や、リイン・フォーティブ社と交渉やミーティングをしている間に時は流れて、俺は小学校から中学校へ進学していた。
エスカレーター式の学校だったので、受験なども無く中学へと進んだ。進学をした生徒たちの顔ぶれは、あまり変わりない。外部から入学してきた新しい生徒が数名、居るぐらいだろうか。
それから、進学をして男子生徒は別になった。中学校と高校は女子校だったから。男子の校舎は、すぐ横に建っているから会いに行こうと思えば、すぐに会えるけど。それほど親しくしているような男友達は居ない。だから向こうの校舎に行く機会は、なさそう。
中学に進んでから勉強の難易度も格段にアップした。だけど、中学に進んでからも俺は特に学校の授業で大変だと思うようなことは無かった。
過去に学んだことを思い出すための復習をしたり、違う世界から転生してきたため少し差異があるような歴史など、間違い探しのように記憶と照らし合わせる、という作業は必要だったけど。
同じ現代でも、よく確認してみると歴史や人物が違っている。知っていると思っていても、勘違いしている場合があった。そんな勘違いを修正しておく必要があるのでなかなか大変だ。
とはいえ、他の生徒と比べたら勉強する時間は少なく済んでいるだろう。
そんなこともあり、まだまだ学校生活に習い事をしても時間が余っていた。最近は出版社とやり取りをする時間が必要で、忙しくなっていきそうな気配がある。とても順調なので、良いことだと思う。将来のためにも必要な忙しさだ。
そんな状況の中で、沙良ちゃんとの交流は欠かさなかった。毎週、1回以上は必ず学校で顔を合わせていた。多い時は、毎日のように会っている。
「レイラちゃん、行きましょう」
”はい。沙良ちゃん”
小学校の頃から変わらない習慣で、沙良ちゃんが教室まで俺を呼びに来てくれる。中学に進んでも同じように、学内にあるカフェテリアに移動して、2人だけで楽しく会話する時間があった。かなり親しい関係だと思う。
少し変化したのは、周りの反応。多くの女子生徒たちが、廊下を歩いているだけの私たちを遠巻きに見てくる。
「ねぇ、沙良様よ! あぁ、カッコいい……」
「麗羅様も一緒に歩いてる。本当に、御二人は仲が良いわね。羨ましいッ!」
「あっ! こっちを見た!」
「今日は、とても良い日だわ!」
視線を向けるだけでも、黄色い声を上げる女子生徒たち。沙良ちゃんは学年1位の成績を取り続けていて、生徒会長も務めている。注目を集めるのも理解できる存在。そんな人物と仲良くしている俺も、同じく注目を集めていた。
彼女と同じように俺も、学年1位の成績を取っていた。俺の場合は、前世の記憶があるからという、ちょっとしたズルのような気もするけど。この学校だったら、少しぐらいは実力を発揮してもイジメられたりすることはないだろうし。横大路家の一員としても情けない姿を晒さないように、意識して上位の成績を取りに行っている。
周りからは、沙良ちゃんの右腕的な存在だと言われていた。それ以外には、仲良し姉妹とか。
そもそも、姉妹ではなく親戚関係だけど。もっと言うと、彼女と俺は血が繋がっていない。俺が、赤ん坊の頃に拾われた養子だったから。他の生徒たちは知る由もないことだけども。
沙良ちゃんは、横大路家の子どもたち全員が自分の妹、弟のような大切な存在だと言っていた。困ったことがあれば私を頼るようにと、常々口にしている。
そんな彼女の言葉を、どこかで誰かが聞いたのが噂になったのかな。俺たち2人の名字も同じなので、数多くの生徒たちが本当の姉妹だと勘違いしているようだった。沙良ちゃんが実の姉で、俺が本当の妹だと。
沙良ちゃんも俺も、いちいち否定したり説明するのが面倒だったから放置したら、真実だと思われたようだ。ちゃんと、彼女たちに説明したほうがいいのか。横大路家は有名だから、ちょっと調べたら事実も明らかになりそうだけど。
カフェテリアに到着した俺たちは、飲み物を買ってから空いている席を確保する。その席は、ほんとど私たちの指定席になっていた。いつも座っていたら、周りの子が気を利かせてくれて、誰も座らなくなっていた。
自分勝手に席を独占してしまって少し申し訳ないと思いつつ、ありがたく使わせてもらっている。
「今回のテストは、どうでしたか? ちゃんとやれましたか?」
”バッチリです。沙良ちゃんは?”
「もちろん私もバッチリ、ですよ」
2人で向かい合うようにして座り、いつものように世間話をする。今回の話題は、先週行われた試験について。今度の結果にも自信がある。彼女も大丈夫そうたった。
「横大路家の者として、優秀であるべきですから」
”そうですね”
沙良ちゃんは、横大路家の人間として誇りを持っている。いつも家のことを大事にしていて、一番に考えていた。
その後、学校生活について。俺たちの他にも、中学に通っている横大路家の子どもたちの様子について。来年、小学校に入学する子たちについて等など。
2人で、色々と話した。
横大路家の近況報告が一段落つくと、話題が変わって読書について。最近は、本を読む時間が確保できていない俺は、沙良ちゃんにオススメの本を聞く。
”最近のオススメの本は?”
「この前、面白い本を見つけましたよ。麗羅ちゃんにも、これは読んでもらいたいと思ったんです」
おすすめを聞くと、どんどん本を紹介してくれる。いつも冷静沈着で、落ち着いている沙良ちゃん。でも本について話すときはテンションが高くなり、少しだけ口角が上がって饒舌になる。楽しそうなのがよくわかる、そんな反応をしてくれた。
そんな彼女の話を聞くのが、俺も大好きだった。
彼女の紹介してくれた本については、今度読んでみようかとデバイスにタイトルを記憶しておいた。すぐに、取り寄せよう。
エスカレーター式の学校だったので、受験なども無く中学へと進んだ。進学をした生徒たちの顔ぶれは、あまり変わりない。外部から入学してきた新しい生徒が数名、居るぐらいだろうか。
それから、進学をして男子生徒は別になった。中学校と高校は女子校だったから。男子の校舎は、すぐ横に建っているから会いに行こうと思えば、すぐに会えるけど。それほど親しくしているような男友達は居ない。だから向こうの校舎に行く機会は、なさそう。
中学に進んでから勉強の難易度も格段にアップした。だけど、中学に進んでからも俺は特に学校の授業で大変だと思うようなことは無かった。
過去に学んだことを思い出すための復習をしたり、違う世界から転生してきたため少し差異があるような歴史など、間違い探しのように記憶と照らし合わせる、という作業は必要だったけど。
同じ現代でも、よく確認してみると歴史や人物が違っている。知っていると思っていても、勘違いしている場合があった。そんな勘違いを修正しておく必要があるのでなかなか大変だ。
とはいえ、他の生徒と比べたら勉強する時間は少なく済んでいるだろう。
そんなこともあり、まだまだ学校生活に習い事をしても時間が余っていた。最近は出版社とやり取りをする時間が必要で、忙しくなっていきそうな気配がある。とても順調なので、良いことだと思う。将来のためにも必要な忙しさだ。
そんな状況の中で、沙良ちゃんとの交流は欠かさなかった。毎週、1回以上は必ず学校で顔を合わせていた。多い時は、毎日のように会っている。
「レイラちゃん、行きましょう」
”はい。沙良ちゃん”
小学校の頃から変わらない習慣で、沙良ちゃんが教室まで俺を呼びに来てくれる。中学に進んでも同じように、学内にあるカフェテリアに移動して、2人だけで楽しく会話する時間があった。かなり親しい関係だと思う。
少し変化したのは、周りの反応。多くの女子生徒たちが、廊下を歩いているだけの私たちを遠巻きに見てくる。
「ねぇ、沙良様よ! あぁ、カッコいい……」
「麗羅様も一緒に歩いてる。本当に、御二人は仲が良いわね。羨ましいッ!」
「あっ! こっちを見た!」
「今日は、とても良い日だわ!」
視線を向けるだけでも、黄色い声を上げる女子生徒たち。沙良ちゃんは学年1位の成績を取り続けていて、生徒会長も務めている。注目を集めるのも理解できる存在。そんな人物と仲良くしている俺も、同じく注目を集めていた。
彼女と同じように俺も、学年1位の成績を取っていた。俺の場合は、前世の記憶があるからという、ちょっとしたズルのような気もするけど。この学校だったら、少しぐらいは実力を発揮してもイジメられたりすることはないだろうし。横大路家の一員としても情けない姿を晒さないように、意識して上位の成績を取りに行っている。
周りからは、沙良ちゃんの右腕的な存在だと言われていた。それ以外には、仲良し姉妹とか。
そもそも、姉妹ではなく親戚関係だけど。もっと言うと、彼女と俺は血が繋がっていない。俺が、赤ん坊の頃に拾われた養子だったから。他の生徒たちは知る由もないことだけども。
沙良ちゃんは、横大路家の子どもたち全員が自分の妹、弟のような大切な存在だと言っていた。困ったことがあれば私を頼るようにと、常々口にしている。
そんな彼女の言葉を、どこかで誰かが聞いたのが噂になったのかな。俺たち2人の名字も同じなので、数多くの生徒たちが本当の姉妹だと勘違いしているようだった。沙良ちゃんが実の姉で、俺が本当の妹だと。
沙良ちゃんも俺も、いちいち否定したり説明するのが面倒だったから放置したら、真実だと思われたようだ。ちゃんと、彼女たちに説明したほうがいいのか。横大路家は有名だから、ちょっと調べたら事実も明らかになりそうだけど。
カフェテリアに到着した俺たちは、飲み物を買ってから空いている席を確保する。その席は、ほんとど私たちの指定席になっていた。いつも座っていたら、周りの子が気を利かせてくれて、誰も座らなくなっていた。
自分勝手に席を独占してしまって少し申し訳ないと思いつつ、ありがたく使わせてもらっている。
「今回のテストは、どうでしたか? ちゃんとやれましたか?」
”バッチリです。沙良ちゃんは?”
「もちろん私もバッチリ、ですよ」
2人で向かい合うようにして座り、いつものように世間話をする。今回の話題は、先週行われた試験について。今度の結果にも自信がある。彼女も大丈夫そうたった。
「横大路家の者として、優秀であるべきですから」
”そうですね”
沙良ちゃんは、横大路家の人間として誇りを持っている。いつも家のことを大事にしていて、一番に考えていた。
その後、学校生活について。俺たちの他にも、中学に通っている横大路家の子どもたちの様子について。来年、小学校に入学する子たちについて等など。
2人で、色々と話した。
横大路家の近況報告が一段落つくと、話題が変わって読書について。最近は、本を読む時間が確保できていない俺は、沙良ちゃんにオススメの本を聞く。
”最近のオススメの本は?”
「この前、面白い本を見つけましたよ。麗羅ちゃんにも、これは読んでもらいたいと思ったんです」
おすすめを聞くと、どんどん本を紹介してくれる。いつも冷静沈着で、落ち着いている沙良ちゃん。でも本について話すときはテンションが高くなり、少しだけ口角が上がって饒舌になる。楽しそうなのがよくわかる、そんな反応をしてくれた。
そんな彼女の話を聞くのが、俺も大好きだった。
彼女の紹介してくれた本については、今度読んでみようかとデバイスにタイトルを記憶しておいた。すぐに、取り寄せよう。
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