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5周目(異世界ファンタジー:魔法教師)
第72話 王都で最初の魔法授業
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王都ロウノトア魔法学校の教師陣からも許可が出たので、俺は1か月間その学校で特別に魔法の授業を受け持つことになった。
説明会で質問された内容から、最先端だと思っていたロウノトア魔法学校の教師が思っていたよりもレベルが低いことが判明した。やはりこの世界は、俺の知っている世界に比べると、魔法技術が未熟のようだった。
未熟というより、退化したのか。過去の資料を調べてみると、かつて魔法の技術が発展していたことが伺える。それが、どこかで技術の伝承が途切れてしまったみたいだ。
戦争があったとか、革命が起こったとか、疫病で多くの魔法使いが亡くなったとか理由を探してみたが、関係ありそうな歴史はなかった。徐々に、魔法の技術は衰えていったみたい。
魔法使いの偉人が生まれなかった事も関係しているかもしれない。偉人というのは歴史に残るような偉業を成し遂げた人物の事。そういった人物が、ここ数百年ぐらい居なかったようだ。
だから、500年も前から伝説の魔法使いとして言い伝えられてきた魔女マリアの存在が今も尚、伝説として語り継がれているんだろう。その後、彼女の存在を超えるような偉大な魔法使いが現れていない、ということかな。
俺にとっては、魔女マリアの事を知ることが出来たのは大きかったけれども。この世界の魔法使いにとっては、深刻な問題かもしれない。
とにかく、今の俺に出来ることは生徒に魔法の使い方を理解するように教えることだろう。生徒たちに向けた授業の内容を調整しておく。
突然、村にやってきたコルネリウスに何度もお願いをされて、仕方なく王都に来たとはいえ、これから授業を受ける生徒たちには、ちゃんとした知識を学んでもらえるように準備してきた。
1ヶ月という期間を与えられたので、せっかくならこの間に、生徒たちには授業を受けてよかったと思えるような、上質な魔法の知識を授けてあげたい。
俺の授業は自由参加だという。つまり授業に参加するのは、授業を受けたいと興味を持って、学びたいという意欲の高い者だけ。俺の授業を受けに来てくれるか、少し心配だった。もしかして、参加者ゼロ人という可能性も……。
まぁ、教室が半分埋まる程度の生徒が居てくれたら十分かな。そう思って、教室に来てみたら部屋の中は満員だった。教室の中には、数十人もの若い男女の生徒たちが授業を受けようと待っていた。
そんな教室の光景を見て、俺は驚いていた。驚きの最中に、生徒の一人が俺に声をかけてきた。
「先生、お久しぶりです」
「ん? あぁ、アルノルトか。久しぶりだな。無事に王都に到着したようだけれど、まさか魔法学校に入学していたとは思わなかったぞ」
そう言えば、王都ロウノトア魔法学校には彼が居たのか。俺が辺境の村で、魔法を教えていた生徒の一人である、アルノルト。彼も、その教室の中に居た。
アルノルトがコルネリウスに俺の事を教えたから、俺も王都に来ることになった。
「まさか、こんなにも王都の学校のレベルが低いとは思いませんでした。これなら、村で先生に教えてもらっていたほうが、魔法使いとして成長していたはずです」
「流石にお前、それはないだろう」
再会していきなり、辛辣にロウノトア魔法学校を批判したアルノルト。実際に授業を受けてきて、感じたことなんだろうけど。
「しかし、アルノルト。お前が、俺のことを先生の1人に話したから。俺が、王都に来ることになったんだぞ」
「本当ですか、良かったです!」
王都に来ることになった経緯について説明するけれど、彼に反省の色はなかった。来てくれて、嬉しいという表情を浮かべている。そういえば、彼が村から旅立つ時に俺も一緒に行かないかと、誘われたことを思い出した。
その時には断ったというのに、結果的に今は俺たち2人が王都に居る。
「本当は、ここに来るつもりなんて無かったんだがなぁ」
「そうなんですか!? でも、先生がロウノトアの学校に来てくれて本当に良かったですよ。ここに居る皆も、先生の授業を大いに期待していると思います」
教室に居る生徒の数を見る。期待されているのか。田舎から出てきた、まだ実績も何もない普通の男がする授業だというのに。どこに期待する要素があるのか。授業を受けるように、教師たちが言ったのかな。
「なんで、こんなに授業を受けに来る生徒が多いんだ」
「僕が集めてきました。この魔法の知識を得たのは先生のおかげだと言って」
さらっと、アルノルトが告白する。授業に参加する生徒がこんなに多いのは、彼が呼びかけたから、だったのか。
コルネリウスが、アルノルトの事を成績が非常に優秀だと評価していたのを覚えている。そんな彼が呼びかけたから、生徒たちが興味を持ったということか。
「また、お前か。まぁ、せっかく授業をするのなら生徒が少ないよりも、多いほうがやりがいは、あるだろうがなぁ……」
「よろしくお願いします」
アルノルトとのおしゃべりもそこそこに、授業をスタートする。
他の生徒はジッと注目して、1つも聞き逃さないというような姿勢で、俺の授業を集中して受けてくれるようだ。学ぼうとする意欲が高いのは、良いことだ。
とりあえず今は、説明会で教師陣に話した内容、魔法の基礎についてを生徒たちに説明していく。
その場にいる皆が、真剣な表情を浮かべて話を聞いてくれていた。授業の途中から実技も交えて、魔法の技術を彼らに授ける。
生徒の数が多いので、アシスタントとしてアルノルトにも実技授業を手伝わせた。ここに人を集めた責任を彼にも、とってもらおうか。
そして、時間をギリギリまで使って授業を進めていく。それでも、説明しきれない内容が沢山あった。
これは少し時間配分を失敗したかな。まだ説明が足りない部分が残っているので、次回に持ち越しか。授業内容の反省は後にして、今日の授業を締める。
「それでは、本日の授業はここで終了とする。次回も引き続き、魔法の基礎について説明する。今日教えたことは、各自で復習して自分の知識として身につけるように」
「「「ありがとうございました」」」
最初の授業は、ほぼ成功したと思う。ちょっとした反省はあるものの、短い時間で皆の魔法に対する知識が磨かれていった。実技のときには、生徒が魔法を発動させる動作も短時間でスムーズになった。ちゃんと復習すれば、良い魔法使いになれる素質がある。
村で授業をしてきた経験が、ちゃんと活きていた。王都の魔法学校でも、しっかり授業をして、生徒たちに魔法を教えることが出来たと思う。
この調子で、次の授業も進めていこう。生徒たちの反応を見ると、次もまた授業を受けたいと思ってくれているようだったから。
説明会で質問された内容から、最先端だと思っていたロウノトア魔法学校の教師が思っていたよりもレベルが低いことが判明した。やはりこの世界は、俺の知っている世界に比べると、魔法技術が未熟のようだった。
未熟というより、退化したのか。過去の資料を調べてみると、かつて魔法の技術が発展していたことが伺える。それが、どこかで技術の伝承が途切れてしまったみたいだ。
戦争があったとか、革命が起こったとか、疫病で多くの魔法使いが亡くなったとか理由を探してみたが、関係ありそうな歴史はなかった。徐々に、魔法の技術は衰えていったみたい。
魔法使いの偉人が生まれなかった事も関係しているかもしれない。偉人というのは歴史に残るような偉業を成し遂げた人物の事。そういった人物が、ここ数百年ぐらい居なかったようだ。
だから、500年も前から伝説の魔法使いとして言い伝えられてきた魔女マリアの存在が今も尚、伝説として語り継がれているんだろう。その後、彼女の存在を超えるような偉大な魔法使いが現れていない、ということかな。
俺にとっては、魔女マリアの事を知ることが出来たのは大きかったけれども。この世界の魔法使いにとっては、深刻な問題かもしれない。
とにかく、今の俺に出来ることは生徒に魔法の使い方を理解するように教えることだろう。生徒たちに向けた授業の内容を調整しておく。
突然、村にやってきたコルネリウスに何度もお願いをされて、仕方なく王都に来たとはいえ、これから授業を受ける生徒たちには、ちゃんとした知識を学んでもらえるように準備してきた。
1ヶ月という期間を与えられたので、せっかくならこの間に、生徒たちには授業を受けてよかったと思えるような、上質な魔法の知識を授けてあげたい。
俺の授業は自由参加だという。つまり授業に参加するのは、授業を受けたいと興味を持って、学びたいという意欲の高い者だけ。俺の授業を受けに来てくれるか、少し心配だった。もしかして、参加者ゼロ人という可能性も……。
まぁ、教室が半分埋まる程度の生徒が居てくれたら十分かな。そう思って、教室に来てみたら部屋の中は満員だった。教室の中には、数十人もの若い男女の生徒たちが授業を受けようと待っていた。
そんな教室の光景を見て、俺は驚いていた。驚きの最中に、生徒の一人が俺に声をかけてきた。
「先生、お久しぶりです」
「ん? あぁ、アルノルトか。久しぶりだな。無事に王都に到着したようだけれど、まさか魔法学校に入学していたとは思わなかったぞ」
そう言えば、王都ロウノトア魔法学校には彼が居たのか。俺が辺境の村で、魔法を教えていた生徒の一人である、アルノルト。彼も、その教室の中に居た。
アルノルトがコルネリウスに俺の事を教えたから、俺も王都に来ることになった。
「まさか、こんなにも王都の学校のレベルが低いとは思いませんでした。これなら、村で先生に教えてもらっていたほうが、魔法使いとして成長していたはずです」
「流石にお前、それはないだろう」
再会していきなり、辛辣にロウノトア魔法学校を批判したアルノルト。実際に授業を受けてきて、感じたことなんだろうけど。
「しかし、アルノルト。お前が、俺のことを先生の1人に話したから。俺が、王都に来ることになったんだぞ」
「本当ですか、良かったです!」
王都に来ることになった経緯について説明するけれど、彼に反省の色はなかった。来てくれて、嬉しいという表情を浮かべている。そういえば、彼が村から旅立つ時に俺も一緒に行かないかと、誘われたことを思い出した。
その時には断ったというのに、結果的に今は俺たち2人が王都に居る。
「本当は、ここに来るつもりなんて無かったんだがなぁ」
「そうなんですか!? でも、先生がロウノトアの学校に来てくれて本当に良かったですよ。ここに居る皆も、先生の授業を大いに期待していると思います」
教室に居る生徒の数を見る。期待されているのか。田舎から出てきた、まだ実績も何もない普通の男がする授業だというのに。どこに期待する要素があるのか。授業を受けるように、教師たちが言ったのかな。
「なんで、こんなに授業を受けに来る生徒が多いんだ」
「僕が集めてきました。この魔法の知識を得たのは先生のおかげだと言って」
さらっと、アルノルトが告白する。授業に参加する生徒がこんなに多いのは、彼が呼びかけたから、だったのか。
コルネリウスが、アルノルトの事を成績が非常に優秀だと評価していたのを覚えている。そんな彼が呼びかけたから、生徒たちが興味を持ったということか。
「また、お前か。まぁ、せっかく授業をするのなら生徒が少ないよりも、多いほうがやりがいは、あるだろうがなぁ……」
「よろしくお願いします」
アルノルトとのおしゃべりもそこそこに、授業をスタートする。
他の生徒はジッと注目して、1つも聞き逃さないというような姿勢で、俺の授業を集中して受けてくれるようだ。学ぼうとする意欲が高いのは、良いことだ。
とりあえず今は、説明会で教師陣に話した内容、魔法の基礎についてを生徒たちに説明していく。
その場にいる皆が、真剣な表情を浮かべて話を聞いてくれていた。授業の途中から実技も交えて、魔法の技術を彼らに授ける。
生徒の数が多いので、アシスタントとしてアルノルトにも実技授業を手伝わせた。ここに人を集めた責任を彼にも、とってもらおうか。
そして、時間をギリギリまで使って授業を進めていく。それでも、説明しきれない内容が沢山あった。
これは少し時間配分を失敗したかな。まだ説明が足りない部分が残っているので、次回に持ち越しか。授業内容の反省は後にして、今日の授業を締める。
「それでは、本日の授業はここで終了とする。次回も引き続き、魔法の基礎について説明する。今日教えたことは、各自で復習して自分の知識として身につけるように」
「「「ありがとうございました」」」
最初の授業は、ほぼ成功したと思う。ちょっとした反省はあるものの、短い時間で皆の魔法に対する知識が磨かれていった。実技のときには、生徒が魔法を発動させる動作も短時間でスムーズになった。ちゃんと復習すれば、良い魔法使いになれる素質がある。
村で授業をしてきた経験が、ちゃんと活きていた。王都の魔法学校でも、しっかり授業をして、生徒たちに魔法を教えることが出来たと思う。
この調子で、次の授業も進めていこう。生徒たちの反応を見ると、次もまた授業を受けたいと思ってくれているようだったから。
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