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5周目(異世界ファンタジー:魔法教師)
第68話 王都で調べてみた結果
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無事、王都に到着した。コルネリウスとは一旦ここで分かれて、魔法学校に帰って俺の受け入れ準備をするという。
「俺は、どうすれば?」
「リヒトさんが泊まる場所は夜までに用意しておくので、それまでは王都の観光でもして時間を潰しておいてくれると助かります」
俺の都合で、しばらくの間は王都に来るのを拒んでいて、急に行くと言ったから。魔法学校の人たちにも事情などを説明する時間が必要なのだろう。少しは待たされるのも仕方がないか。俺は納得して、コルネリウスに言われて1人で待つことにする。
「わかった」
しかし、時間を潰すのにはどうしようか。その間に、行きたい場所といえば。
「この王都で、調べ物が出来るような場所はないかな。魔法学校で授業をする前に、こちらも事前に準備をしておきたい」
「それならライブラリがあるので、そちらに行ってもらえれば」
コルネリウスに授業の準備をするためと言って、調べ物が出来るような所はないか聞いてみた。すると彼から、魔法を研究した結果が書き残されている本や資料が保管されている、ライブラリという場所について教えてもらった。
それじゃあ、そこに行って調べてみようかな。
彼と別れて、早速そこに行ってみることにする。どうやら、ライブラリは一般人の立ち入りが禁止されているらしい。貴重な情報が保管されているため、立ち入るのに許可が必要らしい。だが、コルネリウスの紹介で来たと言えば、中に入れてもらえるそうだ。証明書として、簡易的な紹介状を用意してもらった。紙にサインを書いた、簡単な奴だ。これを見せれば、大丈夫らしい。
「君、ここは立入禁止だぞ」
図書館に到着すると、警備兵に呼び止められた。不審者を見るような目を向けられている。旅をするための格好をしているから、呼び止められたのもしょうがないか。ここを利用するのは、学校の教師や魔法の研究者らしいから。
大事な本や資料は汚さないように、なるべく旅の汚れを落としてから来たけれど。もっと、それらしい格好に着替えてから来るべきだったかな。まぁ、でも大丈夫。
「王都ロウノトア魔法学校のコルネリウスから紹介されて、来ました。これを」
「っ!? 失礼しました。どうぞ、中へ」
コルネリウスの紹介で来たと伝えてみたところ、急激に警備兵の態度が変わった。彼の名前を伝えただけで、こんなに変わるものなのか。その後、コルネリウスに用意してもらった証明書を見せると、本当に中に入れてもらえた。
警備兵は、俺がコルネリウスの関係者だと知って恐縮していた。失礼のないように緊張しながら、対応してくれる。
実は、コルネリウスの地位って俺が知らないだけで、とても凄かったのだろうか。名前を出しただけで、こうも態度が変わるというのか。王都での彼の地位について、その片鱗を知った。
そんな出来事がありながら、ちゃんと許可を貰ってライブラリの中に入っていく。
その建物内には、すごい数の本棚が並んでいた。
木製の本棚がざっと数百台はある。そこに、ぎっしりと収められている数々の本と資料。これだけ多くの本を見たのは、初めてだと思う。
前世や、前前世を含めても初めてかな。それぐらい、大量の本があった。
本棚の間を歩いて、本のタイトルをチェックしていく。まず調べたいのは、過去の歴史。伝説の魔女マリアについてだった。
授業するための事前の準備とは言ったものの、コチラも気になっている。コチラの方が気になっている、というのが正しいかな。これを調べておかないと、気になって集中できない。先に処理しておきたい。
いくつか見つけてきた、めぼしい数冊を取り出して読書できる場所まで移動した。そして、椅子に座って落ち着きながら読み込んでいく。
伝説の魔女マリアの一生について、簡単にまとめられた歴史書を読み込んでいく。かなり古い本だ。そこには、彼女の人生について記されていた。
ロールシトルト家の長女として生まれた、マリア。彼女には、兄が1人だけ居た。しかし、若いうちに病気で亡くなった、と書かれている。
両親も病死している。自分以外の家族全員が亡くなっていて、ロールシトルト家は彼女1人となった。それから、たった1人で魔法の研究に打ち込み、魔女と呼ばれるまでの実力を手に入れた。
そして、彼女の研究した成果は、ロウノトアの急速な発展に大いに貢献したことが認められている。その大きな功績により、ロールシトルト家はその地位を、伯爵から公爵に位を上げたという。
「うーん?」
魔女マリアは、家族を亡くしてから1人で努力して魔法の研究を進めて、周りから認められていったようだ。
これは、俺の知っている妹のマリアなのか。家族構成について記されている部分を確認するけれども、肝心の兄の名前が書かれていない。両親の名前も分からないか。兄が居た、ということだけ記されている。両親も病死した、という記録だけが残っていた。遠い昔のことだから、記録も失われているということか。
俺の知っている過去と、少し違う部分がある。兄が1人だけ、というのはどういうことだろうか。
兄が1人だけということは、俺か、兄のダグマルのどちらかが居ないのか。
他の本も確認してみるが、兄が1人だけ居たと記されているだけだった。マリアの兄の名前についての記載は見当たらないし、2人居たとも書かれていない。
一体、どういうことだ。
やはり、ここは俺の知っている世界とは違うのかな。俺が知っているあの世界は、俺が転生者だから存在した、イレギュラーなのか。
本来の歴史ならば、ロールシトルト家には兄と妹の2人兄妹だけだった。そこに、転生者である俺の存在がねじ込まれた。じゃあ俺が今いる、この世界は本来の世界。それとも、全てが逆。この世界こそが、イレギュラーなのかもしれない。
ワケが分からない。
もっと詳しく調べようとするけれども、500年も前の過去だからか、残念ながら俺の知りたい事が書かれている本は残っていないようだ。もしくは、見落としているかもしれない。ライブラリには本が多いので、全てを見ることは出来ない。
魔女マリアが俺の知っている妹のマリアなのかどうか、分からなかった。それでも諦めずに、魔女マリアに関して書かれた歴史書を読み込んでいく。
マリアは幼い頃に兄から魔法について教えてもらったという、彼女の手記が残っていた。ということは、ここに書かれている兄というのが俺なのか。俺も、彼女に魔力の使い方を教えたのは覚えている。
しかし、そうすると俺の知っている兄ダグマルの存在はどうなるのか。彼がそこに居なければ、俺は若い時に毒殺されて死ぬこともなかった。ということは結局、俺は兄ダグマルが居なかった世界でも病死で早死する運命が待っていたのかな。
それとも、ここはやっぱり俺の全く知らない世界なのか。俺の考えは、見当違いということなのかな。
調べ物を終えて、ライブラリから出てくる。結論は出ないまま。王都の道を1人で当てもなくぶらぶらと歩いていた。
魔女マリアという人物について調べてみたけれども、結局、よく分からなかった。そこに書かれた人物が、俺の知っている妹のマリアかどうか。確信は持てなかった。
しかし、どうすることも出来ないよな。調べてみた結果、より一層、心にモヤモヤが残ってしまった。
まだ、夜になっていないか。コルネリウスと合流する予定の時間までは、まだ少し余裕がありそうだ。色々と準備してくれているらしい彼を待たせないためにも、先に行って待っておこうか。
ふと、とある建物に掲げられていた看板が俺の視線に入ってきた。薬屋らしい店の看板だ。なぜか、その店の看板が気になった。何かが、見えたから。
立ち止まって、よく見てみる。
「……え?」
俺は驚いて、無意識に声が漏れていた。その看板の隅の方に、日本人の方は大歓迎という文字が書かれていた。
何度も確認したが、間違いない。漢字と平仮名で書かれた文字が、そこにあった。これは、どういうことだ。
「俺は、どうすれば?」
「リヒトさんが泊まる場所は夜までに用意しておくので、それまでは王都の観光でもして時間を潰しておいてくれると助かります」
俺の都合で、しばらくの間は王都に来るのを拒んでいて、急に行くと言ったから。魔法学校の人たちにも事情などを説明する時間が必要なのだろう。少しは待たされるのも仕方がないか。俺は納得して、コルネリウスに言われて1人で待つことにする。
「わかった」
しかし、時間を潰すのにはどうしようか。その間に、行きたい場所といえば。
「この王都で、調べ物が出来るような場所はないかな。魔法学校で授業をする前に、こちらも事前に準備をしておきたい」
「それならライブラリがあるので、そちらに行ってもらえれば」
コルネリウスに授業の準備をするためと言って、調べ物が出来るような所はないか聞いてみた。すると彼から、魔法を研究した結果が書き残されている本や資料が保管されている、ライブラリという場所について教えてもらった。
それじゃあ、そこに行って調べてみようかな。
彼と別れて、早速そこに行ってみることにする。どうやら、ライブラリは一般人の立ち入りが禁止されているらしい。貴重な情報が保管されているため、立ち入るのに許可が必要らしい。だが、コルネリウスの紹介で来たと言えば、中に入れてもらえるそうだ。証明書として、簡易的な紹介状を用意してもらった。紙にサインを書いた、簡単な奴だ。これを見せれば、大丈夫らしい。
「君、ここは立入禁止だぞ」
図書館に到着すると、警備兵に呼び止められた。不審者を見るような目を向けられている。旅をするための格好をしているから、呼び止められたのもしょうがないか。ここを利用するのは、学校の教師や魔法の研究者らしいから。
大事な本や資料は汚さないように、なるべく旅の汚れを落としてから来たけれど。もっと、それらしい格好に着替えてから来るべきだったかな。まぁ、でも大丈夫。
「王都ロウノトア魔法学校のコルネリウスから紹介されて、来ました。これを」
「っ!? 失礼しました。どうぞ、中へ」
コルネリウスの紹介で来たと伝えてみたところ、急激に警備兵の態度が変わった。彼の名前を伝えただけで、こんなに変わるものなのか。その後、コルネリウスに用意してもらった証明書を見せると、本当に中に入れてもらえた。
警備兵は、俺がコルネリウスの関係者だと知って恐縮していた。失礼のないように緊張しながら、対応してくれる。
実は、コルネリウスの地位って俺が知らないだけで、とても凄かったのだろうか。名前を出しただけで、こうも態度が変わるというのか。王都での彼の地位について、その片鱗を知った。
そんな出来事がありながら、ちゃんと許可を貰ってライブラリの中に入っていく。
その建物内には、すごい数の本棚が並んでいた。
木製の本棚がざっと数百台はある。そこに、ぎっしりと収められている数々の本と資料。これだけ多くの本を見たのは、初めてだと思う。
前世や、前前世を含めても初めてかな。それぐらい、大量の本があった。
本棚の間を歩いて、本のタイトルをチェックしていく。まず調べたいのは、過去の歴史。伝説の魔女マリアについてだった。
授業するための事前の準備とは言ったものの、コチラも気になっている。コチラの方が気になっている、というのが正しいかな。これを調べておかないと、気になって集中できない。先に処理しておきたい。
いくつか見つけてきた、めぼしい数冊を取り出して読書できる場所まで移動した。そして、椅子に座って落ち着きながら読み込んでいく。
伝説の魔女マリアの一生について、簡単にまとめられた歴史書を読み込んでいく。かなり古い本だ。そこには、彼女の人生について記されていた。
ロールシトルト家の長女として生まれた、マリア。彼女には、兄が1人だけ居た。しかし、若いうちに病気で亡くなった、と書かれている。
両親も病死している。自分以外の家族全員が亡くなっていて、ロールシトルト家は彼女1人となった。それから、たった1人で魔法の研究に打ち込み、魔女と呼ばれるまでの実力を手に入れた。
そして、彼女の研究した成果は、ロウノトアの急速な発展に大いに貢献したことが認められている。その大きな功績により、ロールシトルト家はその地位を、伯爵から公爵に位を上げたという。
「うーん?」
魔女マリアは、家族を亡くしてから1人で努力して魔法の研究を進めて、周りから認められていったようだ。
これは、俺の知っている妹のマリアなのか。家族構成について記されている部分を確認するけれども、肝心の兄の名前が書かれていない。両親の名前も分からないか。兄が居た、ということだけ記されている。両親も病死した、という記録だけが残っていた。遠い昔のことだから、記録も失われているということか。
俺の知っている過去と、少し違う部分がある。兄が1人だけ、というのはどういうことだろうか。
兄が1人だけということは、俺か、兄のダグマルのどちらかが居ないのか。
他の本も確認してみるが、兄が1人だけ居たと記されているだけだった。マリアの兄の名前についての記載は見当たらないし、2人居たとも書かれていない。
一体、どういうことだ。
やはり、ここは俺の知っている世界とは違うのかな。俺が知っているあの世界は、俺が転生者だから存在した、イレギュラーなのか。
本来の歴史ならば、ロールシトルト家には兄と妹の2人兄妹だけだった。そこに、転生者である俺の存在がねじ込まれた。じゃあ俺が今いる、この世界は本来の世界。それとも、全てが逆。この世界こそが、イレギュラーなのかもしれない。
ワケが分からない。
もっと詳しく調べようとするけれども、500年も前の過去だからか、残念ながら俺の知りたい事が書かれている本は残っていないようだ。もしくは、見落としているかもしれない。ライブラリには本が多いので、全てを見ることは出来ない。
魔女マリアが俺の知っている妹のマリアなのかどうか、分からなかった。それでも諦めずに、魔女マリアに関して書かれた歴史書を読み込んでいく。
マリアは幼い頃に兄から魔法について教えてもらったという、彼女の手記が残っていた。ということは、ここに書かれている兄というのが俺なのか。俺も、彼女に魔力の使い方を教えたのは覚えている。
しかし、そうすると俺の知っている兄ダグマルの存在はどうなるのか。彼がそこに居なければ、俺は若い時に毒殺されて死ぬこともなかった。ということは結局、俺は兄ダグマルが居なかった世界でも病死で早死する運命が待っていたのかな。
それとも、ここはやっぱり俺の全く知らない世界なのか。俺の考えは、見当違いということなのかな。
調べ物を終えて、ライブラリから出てくる。結論は出ないまま。王都の道を1人で当てもなくぶらぶらと歩いていた。
魔女マリアという人物について調べてみたけれども、結局、よく分からなかった。そこに書かれた人物が、俺の知っている妹のマリアかどうか。確信は持てなかった。
しかし、どうすることも出来ないよな。調べてみた結果、より一層、心にモヤモヤが残ってしまった。
まだ、夜になっていないか。コルネリウスと合流する予定の時間までは、まだ少し余裕がありそうだ。色々と準備してくれているらしい彼を待たせないためにも、先に行って待っておこうか。
ふと、とある建物に掲げられていた看板が俺の視線に入ってきた。薬屋らしい店の看板だ。なぜか、その店の看板が気になった。何かが、見えたから。
立ち止まって、よく見てみる。
「……え?」
俺は驚いて、無意識に声が漏れていた。その看板の隅の方に、日本人の方は大歓迎という文字が書かれていた。
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