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3周目(異世界ファンタジー:騎士)

第16話 別の異世界

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 二度目となった赤ん坊生活は、手慣れたものだった。正確に言うと、俺が赤ん坊になるのは今回で三度目なのだろうか。

 まぁ、1度目については自我がなかったから。もちろん、赤ん坊だった頃の記憶も残っていないのでノーカウントなのかな。

 つまり転生して、自我がある状態で赤ん坊生活を送るのが二度目ということだ。

 前回の経験を活かして赤ん坊らしく生きる。何も考えないようにして、体の感覚に意識を委ねる。そうすると、体が勝手に反応して動いてくれるのだ。

 体が快適さを感じたら喜んで、不快なら泣いて意思表示をする。体が勝手に。食事する時も、排泄するときも、寝るときも。全部、体が自動的にやってくれる。そんな感じで、自動的に反応する方法を習得した。

 時々、意識を取り戻して周りの人達の会話を盗み聞きする。情報を収集するため。赤ん坊の俺は、まだ自力では歩けないので会話を聞いて情報収集するのがメインだ。両親や使用人達の会話を聞いて、その内容から状況を知ることしか方法はない。

 それでも、色々と分かったことがある。

 ここが、アルタルニア帝国という名称の国だということ。俺が今いる場所は帝都。つまり、帝国の首都だった。

 そして俺は再び、貴族の家の息子として生まれたらしい。アインラッシュ家という貴族の家に。

 テオ様と呼ばれていた野獣のような顔、テオドシウスが当主であり、俺の父親だ。

 前世のロールシトルト家のように、領地経営がメインではないらしい。戦争に駆り出されて、指揮官を任されるような武闘派の貴族だそうだ。

 いわゆる、軍事貴族と呼ばれているという領地を持たず戦いが専門の貴族、という立場で帝国に貢献しているらしい。今まで積み重ねてきた実績と信頼があり、帝国で大きな発言力を持っている。

 帝都にある屋敷の中庭には練武場もあって、そこで日々訓練を積んでいるようだ。練武場で訓練が始まると、屋敷の中にまで斬撃を交わす甲高い金属音が聞こえてくるほど激しくやっている。戦争になれば、いつでも戦いに出られるように備えて彼らは日々鍛えているのだろう。そして、いつかは俺も参加して鍛えることになるのかな。

 しかし、アルタルニア帝国か。今まで聞いたこともない国名だった。

 もしかしたら、俺が知らないだけで存在はしていたのかもしれないが。

 よくよく考えてみると、前世で俺は、ロールシトルト領から一度も外に出たことがなかった。王都にも行ったことがないぐらいだ。次男坊だし、まだ若かった、という理由もあるけれど。とにかく、外の世界について無知だった。

 本で調べるのは魔法に関することばかりで、国内や国外の情報については疎かったから。国際情勢について一切興味を持たずに、他国の名称や出来事については詳しく知らないまま死んでしまった。もう少し、勉強しておけばよかったかな。

 少なくとも帝国は、ロウナティア王国の近隣には無かったと思うけど。

 もしくは、別大陸という可能性もあるのだろうか。でも、ロウナティア王国がある位置が分からない。近いのか遠いのかも。本や資料を調べてみたら判明するかも。

 この頃の俺は、まだアルタルニア帝国とロウナティア王国の2つの国が同じ世界にあるんだと、信じて疑わなかった。別の異世界という可能性は、頭の中には存在していなかった。
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