6 / 310
2周目(異世界ファンタジー:魔法使い)
第6話 不信感
しおりを挟む
その後も、教師フリオによる魔法の授業は続いた。イメージしていたような実技と全然違う、意味の無さそうな内容のものが。
理論に基づいて実践したり、仕組みについてを教えてもらえると思っていたのに。実際は、呪文を唱える練習を繰り返すだけ。
「魔法を使うのに、そんなに呪文の発音が大事なんですか?」
「もちろんです!」
俺の質問に簡潔に答えるだけの教師フリオ。それ以上は、教えてくれないらしい。もっと詳しく知りたかった。本当に、呪文が重要なのかと。
もう少し、突っ込んで尋ねてみる。
「なぜですか?」
「貴族として綺麗な魔法を使うためには、発音を完璧にすることが必須なのですよ。さぁ、無駄な考えは魔法を発動させるのに邪魔になります。呪文を唱えることだけに集中しなさい」
俺の質問に対して、鬱陶しそうな表情を浮かべながらも、ようやく答えてくれた。そして返ってきた答えは、貴族だから必要らしい、ということだけ。本当に、そうなのかな。彼の答えを聞いて、疑問に思う。
綺麗な魔法、ってなんだろう。発音によって、魔法の効果が変わるのだろうか。でも、そんな風に見えたことはない。呪文をスラスラと言えたら、カッコよく見えるのかもしれないけど。そんな事が、大事なのかな。
まだ俺が小さな子供だから、難しい理論など避けたのだろうか。そう思ったけど、それ以降の授業でも毎回、呪文の発音を繰り返す練習のみだった。
こんな事を続けて、魔法使いとしての能力が磨かれるとは思えなかった。もっと、必要なことがあるはず。そんな思いを抱えながら、授業を受けていた。
時々、質問もしてみた。しかし、俺の求める答えは返ってこない。
「質問したいことがあります」
「ダメです。集中しなさい。疑問など持たず、言う通りにすれば大丈夫ですから!」
魔法の授業の最中に、質問することも許されなかった。そんな疑問を持つことは、魔法を発動させるのに邪魔だからと。今は余計な知識なんて必要はない、と言われてしまった。最初に勉強した、魔法の初歩だけ覚えておけば問題ないらしい。
魔法の実技は、呪文の練習だけで十分と。問答無用で、呪文を唱えるだけの練習に没頭させられる。
これが、魔法の授業として当たり前な光景なのだろうか。それとも、フリオという人物が教師を務めているからなのか。それは分からない。
能力を高めるためには、無駄な授業だと俺は感じていた。
もっと詳しく、魔法の仕組みを知りたい。理論について学びたい。魔法使いとしての能力を鍛えていきたい。
だから俺は、授業で教師のフリオから言われた通り素直に従い、授業を受けているフリをしながら、独学でも魔法について勉強してみることにした。教師フリオの授業う受ける前から、始めていたこと。
プライドの高そうな教師のフリオには内緒にしてバレないように。授業以外の時間に集中して、勝手に魔法の勉強をしようと思う。
理論に基づいて実践したり、仕組みについてを教えてもらえると思っていたのに。実際は、呪文を唱える練習を繰り返すだけ。
「魔法を使うのに、そんなに呪文の発音が大事なんですか?」
「もちろんです!」
俺の質問に簡潔に答えるだけの教師フリオ。それ以上は、教えてくれないらしい。もっと詳しく知りたかった。本当に、呪文が重要なのかと。
もう少し、突っ込んで尋ねてみる。
「なぜですか?」
「貴族として綺麗な魔法を使うためには、発音を完璧にすることが必須なのですよ。さぁ、無駄な考えは魔法を発動させるのに邪魔になります。呪文を唱えることだけに集中しなさい」
俺の質問に対して、鬱陶しそうな表情を浮かべながらも、ようやく答えてくれた。そして返ってきた答えは、貴族だから必要らしい、ということだけ。本当に、そうなのかな。彼の答えを聞いて、疑問に思う。
綺麗な魔法、ってなんだろう。発音によって、魔法の効果が変わるのだろうか。でも、そんな風に見えたことはない。呪文をスラスラと言えたら、カッコよく見えるのかもしれないけど。そんな事が、大事なのかな。
まだ俺が小さな子供だから、難しい理論など避けたのだろうか。そう思ったけど、それ以降の授業でも毎回、呪文の発音を繰り返す練習のみだった。
こんな事を続けて、魔法使いとしての能力が磨かれるとは思えなかった。もっと、必要なことがあるはず。そんな思いを抱えながら、授業を受けていた。
時々、質問もしてみた。しかし、俺の求める答えは返ってこない。
「質問したいことがあります」
「ダメです。集中しなさい。疑問など持たず、言う通りにすれば大丈夫ですから!」
魔法の授業の最中に、質問することも許されなかった。そんな疑問を持つことは、魔法を発動させるのに邪魔だからと。今は余計な知識なんて必要はない、と言われてしまった。最初に勉強した、魔法の初歩だけ覚えておけば問題ないらしい。
魔法の実技は、呪文の練習だけで十分と。問答無用で、呪文を唱えるだけの練習に没頭させられる。
これが、魔法の授業として当たり前な光景なのだろうか。それとも、フリオという人物が教師を務めているからなのか。それは分からない。
能力を高めるためには、無駄な授業だと俺は感じていた。
もっと詳しく、魔法の仕組みを知りたい。理論について学びたい。魔法使いとしての能力を鍛えていきたい。
だから俺は、授業で教師のフリオから言われた通り素直に従い、授業を受けているフリをしながら、独学でも魔法について勉強してみることにした。教師フリオの授業う受ける前から、始めていたこと。
プライドの高そうな教師のフリオには内緒にしてバレないように。授業以外の時間に集中して、勝手に魔法の勉強をしようと思う。
1
お気に入りに追加
225
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる