8 / 10
第8話
しおりを挟む
「くそっ! くそっ! なんで、こんな事に……」
ライラに拘束されながら、喚き散らすイアン。まるで自分が被害者だというよう。そんな態度の彼に睨みつけられたシエラは、鬱陶しいという感情を隠さずに答えた。
「何を勝手に被害者面をして。全て自分で蒔いた種が原因でしょ。それを私の責任にしないで下さい」
それからシエラは、ライラの同僚とメイド達を呼び出して後片付けを始めた。
女子寮の警備兵を呼び出し、やって来た彼らに事情を説明する。そして、イアンの身柄を引き渡した。事前に防ぐことは出来なかったのかと、少し皮肉も言いながら。
「ここまで侵入を許すなんて、警備兵はとても忙しいようですね」
「いやぁ、申し訳ありません。交代の時間を狙われてしまったようで」
「……そうですか」
「ええ。ですが、流石ですね! パークス家のご令嬢は、とても優秀だというお話を聞いていましたが、事前に襲撃にも備えているなんて。無事で良かったですよ」
「えぇ、まぁ」
やって来た警備兵達は、自分たちの失態を申し訳なく思っているようだった。だが仕方ないことだったと、他人事のように振る舞っている。
けれどシエラは、彼らの態度を指摘することなくスルーした。おそらく警備兵達は何らかの処分が下されるだろう。その時に、今回の問題の重大さを理解するだろうと分かっていたので。
シエラの部屋に警備兵が来たことで、近くの部屋で生活している令嬢が不安そうな表情を浮かべて、何があったのか聞いてきた。当然の興味だろう。
シエラは包み隠さずに、事件の詳細を彼女たちに説明した。その話を聞いて、寮の警備に不安を抱いた多くの令嬢達が実家に連絡して、帰省することになる。その日のうちに女子寮で生活していた令嬢達が全員、その寮を出ていった。
つい先日、イアンの浮気騒動もあった学園に貴族の娘を通わせることを止める理由もある。こうして貴族学園には男子生徒だけが残り、女子生徒は居なくなった。
シエラも、実家に帰ることにした。事件が起きた部屋で、一晩も過ごしたくないと思ったので。
その後の話は、シエラがパークス家の領地に戻ってから聞いた話である。
ライラに拘束されながら、喚き散らすイアン。まるで自分が被害者だというよう。そんな態度の彼に睨みつけられたシエラは、鬱陶しいという感情を隠さずに答えた。
「何を勝手に被害者面をして。全て自分で蒔いた種が原因でしょ。それを私の責任にしないで下さい」
それからシエラは、ライラの同僚とメイド達を呼び出して後片付けを始めた。
女子寮の警備兵を呼び出し、やって来た彼らに事情を説明する。そして、イアンの身柄を引き渡した。事前に防ぐことは出来なかったのかと、少し皮肉も言いながら。
「ここまで侵入を許すなんて、警備兵はとても忙しいようですね」
「いやぁ、申し訳ありません。交代の時間を狙われてしまったようで」
「……そうですか」
「ええ。ですが、流石ですね! パークス家のご令嬢は、とても優秀だというお話を聞いていましたが、事前に襲撃にも備えているなんて。無事で良かったですよ」
「えぇ、まぁ」
やって来た警備兵達は、自分たちの失態を申し訳なく思っているようだった。だが仕方ないことだったと、他人事のように振る舞っている。
けれどシエラは、彼らの態度を指摘することなくスルーした。おそらく警備兵達は何らかの処分が下されるだろう。その時に、今回の問題の重大さを理解するだろうと分かっていたので。
シエラの部屋に警備兵が来たことで、近くの部屋で生活している令嬢が不安そうな表情を浮かべて、何があったのか聞いてきた。当然の興味だろう。
シエラは包み隠さずに、事件の詳細を彼女たちに説明した。その話を聞いて、寮の警備に不安を抱いた多くの令嬢達が実家に連絡して、帰省することになる。その日のうちに女子寮で生活していた令嬢達が全員、その寮を出ていった。
つい先日、イアンの浮気騒動もあった学園に貴族の娘を通わせることを止める理由もある。こうして貴族学園には男子生徒だけが残り、女子生徒は居なくなった。
シエラも、実家に帰ることにした。事件が起きた部屋で、一晩も過ごしたくないと思ったので。
その後の話は、シエラがパークス家の領地に戻ってから聞いた話である。
105
お気に入りに追加
1,326
あなたにおすすめの小説

「婚約破棄してやった!」と元婚約者が友人に自慢していましたが、最愛の人と結婚するので、今さら婚約破棄を解消してほしいなんてもう遅い
時雨
恋愛
とある伯爵家の長女、シーア・ルフェーブルは、元婚約者のリュカが「シーア嬢を婚約破棄にしてやった!」と友人に自慢げに話しているのを聞いてしまう。しかし、実際のところ、我儘だし気に入らないことがあればすぐに手が出る婚約者にシーアが愛想を尽かして、婚約破棄をするよう仕向けたのだった。
その後リュカは自分の我儘さと傲慢さに首を締められ、婚約破棄を解消して欲しいと迫ってきたが、シーアは本当に自分を愛してくれる人を見つけ、結婚していた。
だから今更もう一度婚約して欲しいなんて、もう遅いのですっ!

家族に【用済み】だと言われ追放された私は、姉の婚約予定の王子様に求婚されました
海原とまと
恋愛
家族に追放され貴族という身分を失った私は、ある事をきっかけに姉の婚約予定だった王子様に求婚されました。私のことを追放した家族に復讐して幸せになる物語。

不貞の罪でっち上げで次期王妃の座を奪われましたが、自らの手を下さずとも奪い返してみせますわ。そしてあっさり捨てて差し上げましょう
松ノ木るな
恋愛
カンテミール侯爵家の娘ノエルは理知的で高潔な令嬢と広く認められた次期王妃。その隠れたもうひとつの顔は、ご令嬢方のあいだで大人気の、恋愛小説の作者であった。
ある時彼女を陥れようと画策した令嬢に、物語の原稿を盗まれた上、不貞の日記だとでっち上げの告発をされ、王太子に婚約破棄されてしまう。
そこに彼女の無実を信じると言い切った、麗しき黒衣裳の騎士が現れる。そして彼は言う。
「私があなたをこの窮地から救いあげる。これであなたへの愛の証としよう」
令嬢ノエルが最後に選んだものは…… 地位? それとも愛?

婚約者と妹に毒を盛られて殺されましたが、お忘れですか?精霊の申し子である私の身に何か起これば無事に生き残れるわけないので、ざまぁないですね。
無名 -ムメイ-
恋愛
リハビリがてら書きます。
1話で完結します。
注意:低クオリティです。
公爵令嬢エイプリルは嘘がお嫌い〜断罪を告げてきた王太子様の嘘を暴いて差し上げましょう〜
星里有乃
恋愛
「公爵令嬢エイプリル・カコクセナイト、今日をもって婚約は破棄、魔女裁判の刑に処す!」
「ふっ……わたくし、嘘は嫌いですの。虚言症の馬鹿な異母妹と、婚約者のクズに振り回される毎日で気が狂いそうだったのは事実ですが。それも今日でおしまい、エイプリル・フールの嘘は午前中まで……」
公爵令嬢エイプリル・カコセクナイトは、新年度の初日に行われたパーティーで婚約者のフェナス王太子から断罪を言い渡される。迫り来る魔女裁判に恐怖で震えているのかと思われていたエイプリルだったが、フェナス王太子こそが嘘をついているとパーティー会場で告発し始めた。
* エイプリルフールを題材にした作品です。更新期間は2023年04月01日・02日の二日間を予定しております。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。


学園にいる間に一人も彼氏ができなかったことを散々バカにされましたが、今ではこの国の王子と溺愛結婚しました。
朱之ユク
恋愛
ネイビー王立学園に入学して三年間の青春を勉強に捧げたスカーレットは学園にいる間に一人も彼氏ができなかった。
そして、そのことを異様にバカにしている相手と同窓会で再開してしまったスカーレットはまたもやさんざん彼氏ができなかったことをいじられてしまう。
だけど、他の生徒は知らないのだ。
スカーレットが次期国王のネイビー皇太子からの寵愛を受けており、とんでもなく溺愛されているという事実に。
真実に気づいて今更謝ってきてももう遅い。スカーレットは美しい王子様と一緒に幸せな人生を送ります。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる