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第5話 再び、舞踏会で
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騎士を気取ったウォーレンが、私の顔を睨んでくる。
「ミレイユ嬢。貴女は学園でディアヌをイジメていた。そうだろう?」
ウォーレンの話を補足するように、大司教様のご子息であるクライドが発言する。
「貴女の犯行の数々は、我々全員が既に把握しています。ディアヌがどれほど傷つき悩んだか。どれほどの覚悟を持って、我々に相談してきたのか。貴女は理解できますか?」
人を見下すような目で、クライドが私の顔を見てくる。彼の言葉を聞いても、私はなんとも思わない。
「理解できませんね。そもそも、私は彼女をイジメてませんから」
「な、なにっ!?」
即座に否定する。私はディアヌをイジメていない。その言葉を聞いて、クライドは驚いていた。それから、怒り出す。
「血も涙もないッ! イジメを否定して、謝罪する気もないということですか!?」
「謝罪を求めるのなら、私がディアヌをイジメたという確かな証拠を出して下さい。彼女の証言だけを信じて告発するだなんて、滅茶苦茶ですよ」
その言葉を聞いて、再び怒り出したのは騎士を気取ったウォーレン。
「何が滅茶苦茶だ! ディアヌは泣いているんだぞ! 彼女は、加害者であるお前を責めるでもなく、静かに隠れて泣いていたんだ。そんな彼女の優しさを、お前は無下にするのかッ!」
「お話になりませんわ。彼女が泣いているから、イジメがあったなどと信じるなんて馬鹿馬鹿しい。それに今、私は責められていますよ。彼女は、こうなることを望んだんでしょ。隠れて泣いていたのも同情を誘うため。優しさなんて、ありはしない」
「な、なんだと……ッ!」
彼らと話していても、埒が明かない。そこで私は、周囲に集まって見ていた貴族の令息令嬢達に問いかけた。
「私が、そこに居るディアヌという令嬢をイジメていた、その現場を実際に目撃したという方は、この場にいらっしゃいますか?」
沈黙。私の問いかけに、答える者は誰も居なかった。
貴族の子息令嬢達が通う王立学園の舞踏会。参加している者達に学園内のイジメについて尋ねるが、誰一人として目撃したと語る者は出てこない。
「……ッ! 違う! こんなのは茶番だ! 公爵令嬢である貴女を告発したら、家が敵対関係になるでしょう! だから言い出せないんだろう、皆?」
ウォーレンが喚き散らす。
彼は、目撃者が名乗り出てこない理由は公爵家と敵対したくないからだと考えた。私が、権力を濫用して黙らせていると思ったらしい。そんな馬鹿な。
嘘偽り無く証言すれば、何の問題もない。公爵家と敵対なんてことにはならない。向こうには、王族のアンセルム王子が居る。伯爵家の現当主であるアンディも居る。公爵家の人間だけど、ただの令嬢でしかない私では、権力で敵わない。
彼の理屈は明らかに矛盾していた。ウォーレンは、そのことに気が付いていないのかしら。
「そ、そうだ! 第一、お前の悪事はそれだけじゃない。他にも判明していることがあるぞ!」
そう言って話題を切り替えて、別の悪事について語り始めた。
「ディアヌは周りの令嬢たちから無視されて、孤立していたんだぞ! いくら片親が平民の子爵令嬢とはいえ、あの冷遇っぷりは異常だ。殿下の寵愛を受けるディアヌに嫌がらせをするために、お前が公爵家の権力を行使して令嬢たちを裏で操っていたに違いない!」
「私が、無視するように仕向けた黒幕だと言い張るのですか?」
「ディアヌが無視されていたのは何故だ? 違うと言うのなら、犯人は誰なんだ? 言ってみろ!」
私を問い詰めてくるウォーレン。真実を知りたがる彼に、私は答えてやった。
「周りの令嬢たちから無視されていた原因は、そこに居るディアヌですよ」
「ミレイユ嬢。貴女は学園でディアヌをイジメていた。そうだろう?」
ウォーレンの話を補足するように、大司教様のご子息であるクライドが発言する。
「貴女の犯行の数々は、我々全員が既に把握しています。ディアヌがどれほど傷つき悩んだか。どれほどの覚悟を持って、我々に相談してきたのか。貴女は理解できますか?」
人を見下すような目で、クライドが私の顔を見てくる。彼の言葉を聞いても、私はなんとも思わない。
「理解できませんね。そもそも、私は彼女をイジメてませんから」
「な、なにっ!?」
即座に否定する。私はディアヌをイジメていない。その言葉を聞いて、クライドは驚いていた。それから、怒り出す。
「血も涙もないッ! イジメを否定して、謝罪する気もないということですか!?」
「謝罪を求めるのなら、私がディアヌをイジメたという確かな証拠を出して下さい。彼女の証言だけを信じて告発するだなんて、滅茶苦茶ですよ」
その言葉を聞いて、再び怒り出したのは騎士を気取ったウォーレン。
「何が滅茶苦茶だ! ディアヌは泣いているんだぞ! 彼女は、加害者であるお前を責めるでもなく、静かに隠れて泣いていたんだ。そんな彼女の優しさを、お前は無下にするのかッ!」
「お話になりませんわ。彼女が泣いているから、イジメがあったなどと信じるなんて馬鹿馬鹿しい。それに今、私は責められていますよ。彼女は、こうなることを望んだんでしょ。隠れて泣いていたのも同情を誘うため。優しさなんて、ありはしない」
「な、なんだと……ッ!」
彼らと話していても、埒が明かない。そこで私は、周囲に集まって見ていた貴族の令息令嬢達に問いかけた。
「私が、そこに居るディアヌという令嬢をイジメていた、その現場を実際に目撃したという方は、この場にいらっしゃいますか?」
沈黙。私の問いかけに、答える者は誰も居なかった。
貴族の子息令嬢達が通う王立学園の舞踏会。参加している者達に学園内のイジメについて尋ねるが、誰一人として目撃したと語る者は出てこない。
「……ッ! 違う! こんなのは茶番だ! 公爵令嬢である貴女を告発したら、家が敵対関係になるでしょう! だから言い出せないんだろう、皆?」
ウォーレンが喚き散らす。
彼は、目撃者が名乗り出てこない理由は公爵家と敵対したくないからだと考えた。私が、権力を濫用して黙らせていると思ったらしい。そんな馬鹿な。
嘘偽り無く証言すれば、何の問題もない。公爵家と敵対なんてことにはならない。向こうには、王族のアンセルム王子が居る。伯爵家の現当主であるアンディも居る。公爵家の人間だけど、ただの令嬢でしかない私では、権力で敵わない。
彼の理屈は明らかに矛盾していた。ウォーレンは、そのことに気が付いていないのかしら。
「そ、そうだ! 第一、お前の悪事はそれだけじゃない。他にも判明していることがあるぞ!」
そう言って話題を切り替えて、別の悪事について語り始めた。
「ディアヌは周りの令嬢たちから無視されて、孤立していたんだぞ! いくら片親が平民の子爵令嬢とはいえ、あの冷遇っぷりは異常だ。殿下の寵愛を受けるディアヌに嫌がらせをするために、お前が公爵家の権力を行使して令嬢たちを裏で操っていたに違いない!」
「私が、無視するように仕向けた黒幕だと言い張るのですか?」
「ディアヌが無視されていたのは何故だ? 違うと言うのなら、犯人は誰なんだ? 言ってみろ!」
私を問い詰めてくるウォーレン。真実を知りたがる彼に、私は答えてやった。
「周りの令嬢たちから無視されていた原因は、そこに居るディアヌですよ」
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