盗んだだけでは、どうにもならない～婚約破棄された私は、新天地で幸せになる～

第39話 幸せな日々

　毎日、忙しい日々を送っている。

　パーティーの準備の依頼を受けて、様々なアドバイスをする。依頼主の要望を聞き出して、それに合うようなプランを模索する。新たに思いついたアイデアを提案してみて、それを試してみることもあった。

　最近、とても調子が良かった。次々と新たなアイデアが湧き出てくる。やってみたいことが無数にあった。しかも、試せる場面も多くある。だから私は、次々と新しい挑戦をさせてもらっていた。

　失敗しないように、事前の準備を完璧に仕上げる。会場設営の職人やスタッフ達に協力してもらって、万全な状態で臨む。そして、私の考えた新たな演出を披露する。

　その試みは、いつも大成功だった。みんな喜んでくれたし、私も嬉しかった。

　夫となったウォルトン様が色々とサポートしてくれるので、とても助かっている。そんな彼は、まだまだサポートが足りないから頑張ると言っていた。けれど、今でも十分に支えてもらっている。彼がサポートしてくれるおかげで、試せることも多い。とても頼りになる人だった。



　仕事で色々な人と会って話をする。その時、様々な噂話を聞くこともあった。あのハルトマイヤー公爵家が爵位を剥奪されて、スターム侯爵家も危ない状態だという話は知っていた。

　だけど今の私は、どちらも関係ない。ナハティガル男爵家の娘である私には無関係の人達。だから、それ以上は詳しく知ろうとは思わなかった。今は仕事に集中して、依頼を成功させることに全力を尽くしたい。

　だけど、アドバイザーの仕事だけじゃなくてもう一つ、やってみたいことがある。それは、ウォルトン様の子を生むこと。

　お父様やお母様のように、私も子を生んで、愛してあげたいと思っている。だからタイミングを見計らって、彼に子づくりの話を持ち掛けようと考えていた。

　だけど、もうしばらくはウォルトン様と二人で幸せな日々を楽しみたいと思う。

「ウォルトン様、今回も成功ですね」
「あぁ。いつも通り、君の頑張りが実を結んだね」

　ウォルトン様と肩を寄せ合いながら、会場の様子を眺める。その場に居る参加者の皆の表情は明るく、今回のパーティーも楽しそうに参加しているのが分かった。

「ウォルトン様のお力添えがあったからですわ。それに、職人やスタッフが協力してくれたから」
「そうだね。けれど、今回のアイデアも非常に素晴らしかった。それは間違いない」
「ありがとうございます」

　ウォルトン様が褒めてくれる。その言葉が、とても嬉しい。

「さすが僕の妻だ。これからも、よろしく頼む」
「はい！」

　こうして、今日もまた充実した一日が終わった。