37 / 40
第37話 事件の結末 ※エンゲイト公爵家当主視点
しおりを挟む
「閣下、またあの家から手紙が送られてきました」
「またか。今回も読む必要は無いだろう。そのまま保管しておけ」
「わかりました」
執事が持ってきた手紙をチラッと確認してから、すぐに突き返した。その手紙は、保管しておくように指示する。おそらく、後で読み返したりはしないだろう。だが、念のために証拠として保管しておいた。この証拠を使う日は訪れないだろうが。
あの家も、追い詰められて焦っているようだ。何十回も繰り返し手紙を送りつけてきて、何とか取引に持ち込もうと必死だった。
手紙に書かれている内容は、いつもと同じだろう。わざわざ読まなくても分かる。おそらく、ベリンダ嬢を返してくれというもの。もう一度、取引してほしいと彼らは懇願してくる。
ナハティガル男爵家とスターム侯爵家の取引について、記録には存在していない。
スターム侯爵家のベリンダという女性は、既に病死したことになっている。彼らが公表した。そしてナハティガル男爵家のベリンダ嬢は、生まれ時から男爵家の娘だという記録になっている。両家の間に、取引した事実などない。これは、王国も認めていること。だから、ナハティガル男爵家のベリンダ嬢を返せと言われても無理だ。
それなのに彼らは納得しない。何度もしつこく手紙を送ってくる。屋敷に押しかけてきたこともあるが、当然門前払いした。
ナハティガル男爵家にも何度も繰り返し手紙を送って、屋敷まで乗り込もうとしたらしい。もちろん、ナハティガル男爵家は拒否した。
男爵家には、色々と迷惑をかけてしまったな。後で、謝罪の品を送らなければ。
とにかく、このまま無視し続けていればスターム侯爵家は断絶するだろう。だから放置しておく。
スターム侯爵家の一人娘は、あの事件の結果、婚約者とまとめて僻地へ送られた。王国騎士団が調査した結果、王子暗殺の疑いは晴れた。だが、色々と問題を起こして王子を危険に晒したことは事実。その結果、責任を取ってハルトマイヤー家は爵位を返上することが決まった。領地も王家に返還される予定だった。
そんな状況だったので、スターム侯爵家には跡継ぎが居ない。このままだと家系が断絶する。そうさせないために、対策する必要があった。跡継ぎにベリンダ嬢を取り戻したい。そういう考えなのだろう。
養子を取るにも、色々と問題を抱えているので無理のようだ。だから、近いうちにスターム侯爵家は断絶するだろうな。
早く取引しておいて良かった。少し遅れていたら、スターム侯爵家は大事な彼女を引き渡さなかっただろうから。
我が息子のウォルトンとベリンダ嬢は、今やエンゲイト公爵家には欠かせない存在となっていた。
彼らの活躍で、様々な貴族との交流が盛んになった。そのおかげで、色々な取引も成立した。協力関係も強固になって、大きな利益をもたらしてくれた。
彼らの協力がなければ、ここまでの発展はなかった。そう断言できるぐらい、彼らの活躍は大きかった。
そして、これからも活躍してくれるだろう。かなり期待していた。
だからこそ、今後は彼らの護衛を増やさないといけないだろう。馬車を止められた時は何事もなく無事に終わってくれた。運が良かった。警戒しておくべきだったと、強く反省した。
移動の際も護衛をつけるべきだな。彼らを傷付けさせないように、しっかり守っておかねば。
ウォルトンとベリンダ嬢の成果を確認しながら、護衛に関する計画を考える。
「またか。今回も読む必要は無いだろう。そのまま保管しておけ」
「わかりました」
執事が持ってきた手紙をチラッと確認してから、すぐに突き返した。その手紙は、保管しておくように指示する。おそらく、後で読み返したりはしないだろう。だが、念のために証拠として保管しておいた。この証拠を使う日は訪れないだろうが。
あの家も、追い詰められて焦っているようだ。何十回も繰り返し手紙を送りつけてきて、何とか取引に持ち込もうと必死だった。
手紙に書かれている内容は、いつもと同じだろう。わざわざ読まなくても分かる。おそらく、ベリンダ嬢を返してくれというもの。もう一度、取引してほしいと彼らは懇願してくる。
ナハティガル男爵家とスターム侯爵家の取引について、記録には存在していない。
スターム侯爵家のベリンダという女性は、既に病死したことになっている。彼らが公表した。そしてナハティガル男爵家のベリンダ嬢は、生まれ時から男爵家の娘だという記録になっている。両家の間に、取引した事実などない。これは、王国も認めていること。だから、ナハティガル男爵家のベリンダ嬢を返せと言われても無理だ。
それなのに彼らは納得しない。何度もしつこく手紙を送ってくる。屋敷に押しかけてきたこともあるが、当然門前払いした。
ナハティガル男爵家にも何度も繰り返し手紙を送って、屋敷まで乗り込もうとしたらしい。もちろん、ナハティガル男爵家は拒否した。
男爵家には、色々と迷惑をかけてしまったな。後で、謝罪の品を送らなければ。
とにかく、このまま無視し続けていればスターム侯爵家は断絶するだろう。だから放置しておく。
スターム侯爵家の一人娘は、あの事件の結果、婚約者とまとめて僻地へ送られた。王国騎士団が調査した結果、王子暗殺の疑いは晴れた。だが、色々と問題を起こして王子を危険に晒したことは事実。その結果、責任を取ってハルトマイヤー家は爵位を返上することが決まった。領地も王家に返還される予定だった。
そんな状況だったので、スターム侯爵家には跡継ぎが居ない。このままだと家系が断絶する。そうさせないために、対策する必要があった。跡継ぎにベリンダ嬢を取り戻したい。そういう考えなのだろう。
養子を取るにも、色々と問題を抱えているので無理のようだ。だから、近いうちにスターム侯爵家は断絶するだろうな。
早く取引しておいて良かった。少し遅れていたら、スターム侯爵家は大事な彼女を引き渡さなかっただろうから。
我が息子のウォルトンとベリンダ嬢は、今やエンゲイト公爵家には欠かせない存在となっていた。
彼らの活躍で、様々な貴族との交流が盛んになった。そのおかげで、色々な取引も成立した。協力関係も強固になって、大きな利益をもたらしてくれた。
彼らの協力がなければ、ここまでの発展はなかった。そう断言できるぐらい、彼らの活躍は大きかった。
そして、これからも活躍してくれるだろう。かなり期待していた。
だからこそ、今後は彼らの護衛を増やさないといけないだろう。馬車を止められた時は何事もなく無事に終わってくれた。運が良かった。警戒しておくべきだったと、強く反省した。
移動の際も護衛をつけるべきだな。彼らを傷付けさせないように、しっかり守っておかねば。
ウォルトンとベリンダ嬢の成果を確認しながら、護衛に関する計画を考える。
77
お気に入りに追加
3,193
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人の顔色ばかり気にしていた私はもういません
風見ゆうみ
恋愛
伯爵家の次女であるリネ・ティファスには眉目秀麗な婚約者がいる。
私の婚約者である侯爵令息のデイリ・シンス様は、未亡人になって実家に帰ってきた私の姉をいつだって優先する。
彼の姉でなく、私の姉なのにだ。
両親も姉を溺愛して、姉を優先させる。
そんなある日、デイリ様は彼の友人が主催する個人的なパーティーで私に婚約破棄を申し出てきた。
寄り添うデイリ様とお姉様。
幸せそうな二人を見た私は、涙をこらえて笑顔で婚約破棄を受け入れた。
その日から、学園では馬鹿にされ悪口を言われるようになる。
そんな私を助けてくれたのは、ティファス家やシンス家の商売上の得意先でもあるニーソン公爵家の嫡男、エディ様だった。
※マイナス思考のヒロインが周りの優しさに触れて少しずつ強くなっていくお話です。
※相変わらず設定ゆるゆるのご都合主義です。
※誤字脱字、気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄、果てにはパーティー追放まで!? 事故死を望まれた私は、第2王子に『聖女』の力を見出され性悪女にざまぁします
アトハ
恋愛
「マリアンヌ公爵令嬢! これ以上貴様の悪行を見過ごすことはできん! 我が剣と誇りにかけて、貴様を断罪する!」
王子から突如突き付けられたのは、身に覚えのない罪状、そして婚約破棄。
更にはモンスターの蔓延る危険な森の中で、私ことマリアンヌはパーティーメンバーを追放されることとなりました。
このまま私がモンスターに襲われて"事故死"すれば、想い人と一緒になれる……という、何とも身勝手かつ非常識な理由で。
パーティーメンバーを追放された私は、森の中で鍋をかき混ぜるマイペースな変人と出会います。
どうにも彼は、私と殿下の様子に詳しいようで。
というかまさか第二王子じゃないですか?
なんでこんなところで、パーティーも組まずにのんびり鍋を食べてるんですかね!?
そして私は、聖女の力なんて持っていないですから。人違いですから!
※ 他の小説サイト様にも投稿しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪いのは全て妹なのに、婚約者は私を捨てるようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢シンディの妹デーリカは、様々な人に迷惑をかけていた。
デーリカはシンディが迷惑をかけていると言い出して、婚約者のオリドスはデーリカの発言を信じてしまう。
オリドスはシンディとの婚約を破棄して、デーリカと婚約したいようだ。
婚約破棄を言い渡されたシンディは、家を捨てようとしていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
伯爵様は、私と婚約破棄して妹と添い遂げたいそうです。――どうぞお好きに。ああ、後悔は今更、もう遅いですよ?
銀灰
恋愛
婚約者の伯爵ダニエルは、私と婚約破棄し、下心の見え透いた愛嬌を振り撒く私の妹と添い遂げたいそうです。
どうぞ、お好きに。
――その結果は……?
婚約破棄宣言は別の場所で改めてお願いします
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【どうやら私は婚約者に相当嫌われているらしい】
「おい!もうお前のような女はうんざりだ!今日こそ婚約破棄させて貰うぞ!」
私は今日も婚約者の王子様から婚約破棄宣言をされる。受け入れてもいいですが…どうせなら、然るべき場所で宣言して頂けますか?
※ 他サイトでも掲載しています
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
有能婚約者を捨てた王子は、幼馴染との真実の愛に目覚めたらしい
マルローネ
恋愛
サンマルト王国の王子殿下のフリックは公爵令嬢のエリザに婚約破棄を言い渡した。
理由は幼馴染との「真実の愛」に目覚めたからだ。
エリザの言い分は一切聞いてもらえず、彼に誠心誠意尽くしてきた彼女は悲しんでしまう。
フリックは幼馴染のシャーリーと婚約をすることになるが、彼は今まで、どれだけエリザにサポートしてもらっていたのかを思い知ることになってしまう。一人でなんでもこなせる自信を持っていたが、地の底に落ちてしまうのだった。
一方、エリザはフリックを完璧にサポートし、その態度に感銘を受けていた第一王子殿下に求婚されることになり……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる