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第34話 俺の責任じゃない ※フェリクス視点
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パーティーは大失敗だった。
多くの参加者を集めて、盛大に行おうとした末の大失敗。しかも、賊に侵入されて参加者達を危険に晒した。
あの日、会場に侵入した賊は一人だけじゃなかった。数多くの悪党どもが、会場内に侵入した。そして、中にあった大事な物を盗み取っていった。盗難の被害にあった貴族も数多い。損害賠償を請求されて、ハルトマイヤー公爵家が支払うことになった。とんでもない金額。
問題は、それだけじゃない。俺が、王子暗殺の容疑をかけられた。あの日、わざと賊を会場内に招き入れたと疑われているらしい。
侵入してきた賊達は、警備ルートや配置された位置や人数、建物の内部構造などの機密情報を全て把握していた。情報を渡して、王子を危険に晒したと。
そんな事、するはずないだろう!
調査しに来た王国騎士団が、俺を詰問する。俺は、何もやっていない。機密情報も漏らしていない。別の誰かが、勝手に情報を漏らした。俺の責任じゃない。
本当のことを何度も繰り返し答えても、彼らは納得しない。無実だと訴え続けたが無駄だった。
このままでは処刑される。無実の罪で殺されるなんて、俺は絶対に嫌だ。だから、休憩を与えられた瞬間に逃げ出した。ここで訴え続けても、彼らは信じないだろう。他の方法で、無実であることを明らかにしなければならない。
街に出て、どうするか考える。知り合いの貴族は頼れない。王子のもとへ行って、自ら説明して信じてもらうか。今このタイミングで会いに行っても、捕まるだけだ。婚約者のペトラに助けを求めても無駄だろう。
やはり、俺が頼れるのは……。
ふと、遠くに馬車が走っているのが見えた。なんとなく見た、そこに彼女が居た。俺が考えていた、頼れる人。
「……ベリンダ!」
俺は走り出した。建物の間を走り抜けて、先回りする。普通なら、追いつかない。だけど、あの道を通って行けば追いつけるはずだ。自然と、通るべき道が分かった。迷わず先に進んでいく。この先に、彼女が待っているから。
必死に走って、馬車の前に飛び出した。ここで死んでしまってもいい。死んでも、この機会を逃したくないから。それほどの覚悟を持って、飛び込んだ。すると、俺の目の前で馬車は止まった。良かった。やっぱり俺は、まだ死んでいない。
この馬車の中に、彼女が乗っているのはずだ。邪魔者を押しのけて、確認する。
やっぱり居た! 俺は、まだ終わっていない。彼女が助けてくれるはず。そういう運命だった。
俺は必死に助けを求めた。だが、俺の予想した反応は返ってこなかった。なぜだ、ベリンダ。俺は、心の底から謝っている。だから、助けてくれ。
なぜだ! なんで、俺を助けてくれないんだ。必死で謝り続けているのに、彼女は無視する。助けてくれ。
とうとう、王国騎士団が追いかけてきた。ここで助けてくれないと、俺は終わってしまう。本当に、終わってしまうんだ。
しかし、彼女に拒否された。まだ、婚約を破棄したことを恨んでいるというのか。その事は、謝ったのに。
何を言っても信じてくれない彼ら。ハルトマイヤー公爵家も終わり。だけど、俺の責任じゃない。こうなってしまったのは、他の皆が悪いんだ。
多くの参加者を集めて、盛大に行おうとした末の大失敗。しかも、賊に侵入されて参加者達を危険に晒した。
あの日、会場に侵入した賊は一人だけじゃなかった。数多くの悪党どもが、会場内に侵入した。そして、中にあった大事な物を盗み取っていった。盗難の被害にあった貴族も数多い。損害賠償を請求されて、ハルトマイヤー公爵家が支払うことになった。とんでもない金額。
問題は、それだけじゃない。俺が、王子暗殺の容疑をかけられた。あの日、わざと賊を会場内に招き入れたと疑われているらしい。
侵入してきた賊達は、警備ルートや配置された位置や人数、建物の内部構造などの機密情報を全て把握していた。情報を渡して、王子を危険に晒したと。
そんな事、するはずないだろう!
調査しに来た王国騎士団が、俺を詰問する。俺は、何もやっていない。機密情報も漏らしていない。別の誰かが、勝手に情報を漏らした。俺の責任じゃない。
本当のことを何度も繰り返し答えても、彼らは納得しない。無実だと訴え続けたが無駄だった。
このままでは処刑される。無実の罪で殺されるなんて、俺は絶対に嫌だ。だから、休憩を与えられた瞬間に逃げ出した。ここで訴え続けても、彼らは信じないだろう。他の方法で、無実であることを明らかにしなければならない。
街に出て、どうするか考える。知り合いの貴族は頼れない。王子のもとへ行って、自ら説明して信じてもらうか。今このタイミングで会いに行っても、捕まるだけだ。婚約者のペトラに助けを求めても無駄だろう。
やはり、俺が頼れるのは……。
ふと、遠くに馬車が走っているのが見えた。なんとなく見た、そこに彼女が居た。俺が考えていた、頼れる人。
「……ベリンダ!」
俺は走り出した。建物の間を走り抜けて、先回りする。普通なら、追いつかない。だけど、あの道を通って行けば追いつけるはずだ。自然と、通るべき道が分かった。迷わず先に進んでいく。この先に、彼女が待っているから。
必死に走って、馬車の前に飛び出した。ここで死んでしまってもいい。死んでも、この機会を逃したくないから。それほどの覚悟を持って、飛び込んだ。すると、俺の目の前で馬車は止まった。良かった。やっぱり俺は、まだ死んでいない。
この馬車の中に、彼女が乗っているのはずだ。邪魔者を押しのけて、確認する。
やっぱり居た! 俺は、まだ終わっていない。彼女が助けてくれるはず。そういう運命だった。
俺は必死に助けを求めた。だが、俺の予想した反応は返ってこなかった。なぜだ、ベリンダ。俺は、心の底から謝っている。だから、助けてくれ。
なぜだ! なんで、俺を助けてくれないんだ。必死で謝り続けているのに、彼女は無視する。助けてくれ。
とうとう、王国騎士団が追いかけてきた。ここで助けてくれないと、俺は終わってしまう。本当に、終わってしまうんだ。
しかし、彼女に拒否された。まだ、婚約を破棄したことを恨んでいるというのか。その事は、謝ったのに。
何を言っても信じてくれない彼ら。ハルトマイヤー公爵家も終わり。だけど、俺の責任じゃない。こうなってしまったのは、他の皆が悪いんだ。
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