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第32話 邪魔
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エンゲイト公爵家のパーティーを手助けをして無事に成功してから、他にも色々な所からアドバイスを求められるようになった。
エンゲイト公爵家の当主様からもサポートをお願いされたので、相談されたら助言するようになった。
その結果、さらに評価されてサポートの依頼が殺到するという状況になっていた。エンゲイト公爵家とナハティガル男爵家の評判もどんどん上がっているようで、私は皆の役に立っているという実感が持てた。
「あまり頑張りすぎないように、ほどほどにね」
「はい! ありがとうございます、ウォルトン様!」
充実した毎日で、とても楽しい日々。でも、無理し過ぎないようにウォルトン様が気遣ってくれる。仕事でも手伝ってくれて、負担を軽減してくれた。
彼の言葉や行動が、とても嬉しい。大変だけど、一緒に頑張ってくれる。だから、私は笑顔でお礼を言う。そして、彼を心配させないように体調には十分に気をつけていた。
彼が居てくれるおかげで、私はとても元気だった。
そして今日も、とある依頼のために準備中の会場へ向かっている途中である。私は馬車に乗って、ウォルトン様も一緒に移動している。
これから下見して、その場に合った演出やインテリアの配置などを考えて、提案やアドバイスをする。
「前のパーティーでは―――」
「それなら、次はこうして―――」
「一つ思ったのが―――」
「なるほど、そうですね。じゃあ―――」
会場に向かっている今も、ウォルトン様との話し合いに熱中する。前回の改善点や、新しく思いついたアイデア。次に試してみたい演出等など。移動の時間も、こうやって有効活用している。
ウォルトン様とお話する時間が、とても楽しかった。
「きゃっ!?」
会話している最中に、馬車が大きく揺れた。何が起きたのかと思ったら、馬が悲鳴を上げた。そして、急停止。
「ッ!? 大丈夫か?」
「……あ、ありがとうございます」
馬車が停止したことで、前に飛んでいった私の体をウォルトン様が受け止めてくれた。咄嵯の行動だったため、勢いよく抱き締められる形になってしまったけど、彼はすぐに離してくれた。そのことに少しだけ残念な気持ちになる。
今は、それよりも何が起きたのか把握しないと。
「ベリンダはそこに座っていて。僕が確認してくるよ」
「はい、お願いします。お気をつけて」
席から立ち上がって、外に出ようとした私を制止する。ウォルトン様が馬車の外に出て確認してくれるようだ。私は、彼に指示された通り中で大人しく座っておこう。状況の確認はウォルトン様に任せて、私は余計なことをしないでおく。
しばらく待っていると、馬車の外から会話する声が聞こえてきた。ウォルトン様と御者と、誰か男の声。何やら揉めているようだ。その男が目の前に飛び出してきて、私達が乗っていた馬車を無理やり止めたようだ。
男が何か叫んでいる。私の名前?
「ベリンダ! 馬車に乗っているんだろ? 君の顔を見せてくれッ!」
私を知っている人?
そういえば、聞き覚えがある声の気がする。誰だったかしら。馬車の中に居るので男の顔は見えない。窓からも確認できない。
なんだか悪い予感がする。私は、顔を出さないほうが良さそうね。聞こえてくる声だけ聞いて思い出そうとしていた時、馬車の扉が開いた。
「やっぱり居た、ベリンダ! 君に謝りたいんだ!」
「こいつ! 勝手に開けるんじゃない! 無礼だぞ!」
「無礼なのは、お前だ! 俺は、ハルトマイヤー公爵家の次期当主だぞッ! 邪魔をするな!」
馬車の扉を開けたのは、私の前の婚約相手だった男。彼は、ウォルトン様と御者を押し退けて強引に乗り込もうとしてきた。
エンゲイト公爵家の当主様からもサポートをお願いされたので、相談されたら助言するようになった。
その結果、さらに評価されてサポートの依頼が殺到するという状況になっていた。エンゲイト公爵家とナハティガル男爵家の評判もどんどん上がっているようで、私は皆の役に立っているという実感が持てた。
「あまり頑張りすぎないように、ほどほどにね」
「はい! ありがとうございます、ウォルトン様!」
充実した毎日で、とても楽しい日々。でも、無理し過ぎないようにウォルトン様が気遣ってくれる。仕事でも手伝ってくれて、負担を軽減してくれた。
彼の言葉や行動が、とても嬉しい。大変だけど、一緒に頑張ってくれる。だから、私は笑顔でお礼を言う。そして、彼を心配させないように体調には十分に気をつけていた。
彼が居てくれるおかげで、私はとても元気だった。
そして今日も、とある依頼のために準備中の会場へ向かっている途中である。私は馬車に乗って、ウォルトン様も一緒に移動している。
これから下見して、その場に合った演出やインテリアの配置などを考えて、提案やアドバイスをする。
「前のパーティーでは―――」
「それなら、次はこうして―――」
「一つ思ったのが―――」
「なるほど、そうですね。じゃあ―――」
会場に向かっている今も、ウォルトン様との話し合いに熱中する。前回の改善点や、新しく思いついたアイデア。次に試してみたい演出等など。移動の時間も、こうやって有効活用している。
ウォルトン様とお話する時間が、とても楽しかった。
「きゃっ!?」
会話している最中に、馬車が大きく揺れた。何が起きたのかと思ったら、馬が悲鳴を上げた。そして、急停止。
「ッ!? 大丈夫か?」
「……あ、ありがとうございます」
馬車が停止したことで、前に飛んでいった私の体をウォルトン様が受け止めてくれた。咄嵯の行動だったため、勢いよく抱き締められる形になってしまったけど、彼はすぐに離してくれた。そのことに少しだけ残念な気持ちになる。
今は、それよりも何が起きたのか把握しないと。
「ベリンダはそこに座っていて。僕が確認してくるよ」
「はい、お願いします。お気をつけて」
席から立ち上がって、外に出ようとした私を制止する。ウォルトン様が馬車の外に出て確認してくれるようだ。私は、彼に指示された通り中で大人しく座っておこう。状況の確認はウォルトン様に任せて、私は余計なことをしないでおく。
しばらく待っていると、馬車の外から会話する声が聞こえてきた。ウォルトン様と御者と、誰か男の声。何やら揉めているようだ。その男が目の前に飛び出してきて、私達が乗っていた馬車を無理やり止めたようだ。
男が何か叫んでいる。私の名前?
「ベリンダ! 馬車に乗っているんだろ? 君の顔を見せてくれッ!」
私を知っている人?
そういえば、聞き覚えがある声の気がする。誰だったかしら。馬車の中に居るので男の顔は見えない。窓からも確認できない。
なんだか悪い予感がする。私は、顔を出さないほうが良さそうね。聞こえてくる声だけ聞いて思い出そうとしていた時、馬車の扉が開いた。
「やっぱり居た、ベリンダ! 君に謝りたいんだ!」
「こいつ! 勝手に開けるんじゃない! 無礼だぞ!」
「無礼なのは、お前だ! 俺は、ハルトマイヤー公爵家の次期当主だぞッ! 邪魔をするな!」
馬車の扉を開けたのは、私の前の婚約相手だった男。彼は、ウォルトン様と御者を押し退けて強引に乗り込もうとしてきた。
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