盗んだだけでは、どうにもならない~婚約破棄された私は、新天地で幸せになる~

キョウキョウ

文字の大きさ
上 下
22 / 40

第22話 打ち合わせ

しおりを挟む
 アドバイザーに任命された私達は、パーティーの責任者と打ち合わせを行う。

「エンゲイト公爵家でパーティーの準備などを担当しております、デイビッドです。よろしくお願いします、ベリンダお嬢様」
「えぇ。よろしく、デイビッドさん」

 彼は、公爵家に仕える家臣の一人。とても礼儀正しく、しっかりした真面目そうな印象を受ける男性だった。年齢は、四十代ぐらいだろうか。

 貴族のパーティーは、当主か次期当主が取り仕切るのが普通だ。たまに、妻などが取り仕切ることもある。以前の私が、そうだった。しかし、家臣に代表を任せるのは珍しかった。それだけ、エンゲイト公爵家の当主様が彼を信頼しているということ。

「ウォルトン様も、よろしくお願いします」
「よろしく頼むぞ、デイビッド」

 ウォルトン様にも、彼は頭を下げて丁寧に挨拶していた。二人は、とても仲が良さそうな雰囲気。これからの話し合いが、スムーズに進みそうだ。

「早速ですが、こちらが次に予定しているパーティーのスケジュールとプランです。それから、参加者の一覧表などを用意しております。ご確認下さい」
「見せてもらいます」
「確認しよう」

 私達は、デイビッドから資料を受け取る。見てみると、パーティーの日程や会場の大きさなどの情報が詳しく記載されていた。

 あとは、参加する人のリストも記載されている。これは、非常に重要な機密情報。取り扱いには気をつけないといけない。外に漏らしては絶対にダメな内容だった。

 ウォルトン様と一緒に、内容をチェックしていく。改善するべき点が色々と見つかった。まだまだ、手を加える余地がある。そこを直せば、良くなるはずだ。

「ここの部分は、こうした方がよろしいかと思います。今の時代には合っていないので、手法を変えるべきでしょう」
「なるほど、そうですね……。確かに、そちらの方が適切でしょう」
「だけど、ここの部分は今まで通り。伝統を大事にするべきだと思います」
「ふむ……。一理ありますね……」

 私は自分の意見を述べて、デイビッドさんが判断していく。他のスタッフと確認しながら、最終的にどうするのかを決めるのは、責任者であるデイビッドさんの役目。私は、意見を出すことだけに集中すればいい。

「こっちも、もう少し変更が必要だと思ったんだが、どうだろうか?」
「そうですね。それもアリだと思います」

 ウォルトン様も積極的に意見を出していた。私とは違った視点で提案してくれるので、とてもありがたい。

「では、この方向性で進めていきましょう」

 私達が提案した内容が、どんどん採用されていく。これで、準備はスムーズに進むだろう。デイビッドさんが私達の意見を意欲的に取り入れてくれるので、感謝しかない。だからこそ、ミスがないようにじっくり考えてから意見を出さないと。

 そんな感じで、エンゲイト公爵家のパーティーに関する会議は続いた。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら

赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。 問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。 もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?

婚約破棄ですか? では、最後に一言申しあげます。

にのまえ
恋愛
今宵の舞踏会で婚約破棄を言い渡されました。

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません

天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。 私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。 処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。 魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。

婚約破棄されてすぐに新しい婚約者ができたけど、元婚約者が反対してきます

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私ミレッサは、婚約者のウルクに罪を捏造されて婚約破棄を言い渡されてしまう。    私が無実だと友人のカインがその場で説明して――カインが私の新しい婚約者になっていた。  すぐに新しい婚約者ができたけど、元婚約者ウルクは反対してくる。  元婚約者が何を言っても、私には何も関係がなかった。

捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?

ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」 ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。 それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。 傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。 婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。 「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」 サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。 それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。 サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。 一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。 若きバラクロフ侯爵レジナルド。 「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」 フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。 「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」 互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。 その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは…… (予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

有能婚約者を捨てた王子は、幼馴染との真実の愛に目覚めたらしい

マルローネ
恋愛
サンマルト王国の王子殿下のフリックは公爵令嬢のエリザに婚約破棄を言い渡した。 理由は幼馴染との「真実の愛」に目覚めたからだ。 エリザの言い分は一切聞いてもらえず、彼に誠心誠意尽くしてきた彼女は悲しんでしまう。 フリックは幼馴染のシャーリーと婚約をすることになるが、彼は今まで、どれだけエリザにサポートしてもらっていたのかを思い知ることになってしまう。一人でなんでもこなせる自信を持っていたが、地の底に落ちてしまうのだった。 一方、エリザはフリックを完璧にサポートし、その態度に感銘を受けていた第一王子殿下に求婚されることになり……。

処理中です...