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第15話 責任を取れ ※エンゲイト公爵家当主視点
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息子のウォルトンから、スターム侯爵家のベリンダ嬢をどうにかして助けてほしいとお願いされたので、色々と手を回した。
まずは、スターム侯爵家について調査を行った。ベリンダ嬢とペトラ嬢について。ついでに、ハルトマイヤー公爵家の次期当主についても調べさせた。
調査の結果を確認しながら、取引内容を考える。ナハティガル男爵家に協力を要請して、大臣にも報告しておいた。国王の了承も得て、計画を実行する。
そして、スターム侯爵家で話し合いが行われた。
話し合いを行ったナハティガル男爵家の当主であるアレッサンドロの報告によると、取引に関する話し合いはあっさり終わったらしい。
こちらが提示した内容で、向こうは納得したという。取引の金額については、少し渋ったようだ。だが、提示した金額を少し上げただけで、すぐに承諾したと聞いている。
アレッサンドロが上手くやってくれた。それに加えて、彼らはベリンダ嬢の価値をかなり低く見ているようだった。
直前に婚約を破棄されたこと。そして、アイデアを盗用したという問題を起こしたからこそ、価値が低いと考えたのだろう。
調査した結果、ベリンダ嬢が無実の罪を着せられた事は明らかだった。
ウォルトンが言っていた内容が、事実だった。妹のペトラ嬢が、嘘をついている。それなのに、その嘘を信じているスターム侯爵家とハルトマイヤー公爵家の者達。
その事実を知った時、私は呆れてしまった。あまりにも愚かだと。
だけど、私達にとっては都合がいい。彼らの愚かさを利用して、ベリンダ嬢を引き取らせてもらった。
ベリンダ嬢が居なくなった後、スターム侯爵家は酷い状態になるだろうな。彼らの力の源は人脈だ。それは評判だったパーティーに支えられていた部分が大きかった。
ベリンダ嬢が居なくなると、評判のパーティーが開けなくなる。そうすると人脈が失われて、金策が困難になると予想される。次第に衰退していくだろうな。彼らは、それを理解していないのだろうか。
家が衰退した原因が判明した時、彼らはナハティガル男爵家に文句を言ってきそうだ。娘を返せ、なんて図々しい事を言いそうな雰囲気があった。そんな事を言われて、返すわけがない。しっかり対処出来るように、今から備えておく。
ベリンダ嬢を守れるように準備しておいたほうが良さそうだと、私は考えていた。
***
「お父様、大事な話とはなんでしょうか?」
大事な話があると言って、私はウォルトンを呼び出した。目の前に座っている彼に、ベリンダ嬢を引き取った事を説明する。
「お前が、助けてほしいと頼んだベリンダ嬢について。ナハティガル男爵家に協力してもらい、引き取った」
「本当ですか!? ありがとうございますッ!」
嬉しそうに感謝を述べる息子。そんな彼に対して、私は厳しい口調で言う。
「ここまでお膳立てした。だから後は、お前が彼女を幸せにするんだ」
「え?」
「お前とベリンダ嬢を結婚させる」
「け、けっこん……」
私が告げると、彼は驚いた表情をしていた。今まで結婚するのを嫌がり、18歳になっても婚約者が居なかったから。いきなり、結婚させると言われても困るだろう。だが、今回は逃さない。
「お前が助けたいとお願いして、色々と手を回した。無事引き取ることに成功したが、それで終わりではない。ここからが本番だ」
私の言葉を聞いたウォルトンは、ゴクリと唾を飲み込む。ここでしっかり話して、彼の意識を変えさせなければ。
「助けた責任を取れ。彼女の人生を背負って、お前がベリンダ嬢を幸せにするんだ」
ウォルトンは、ベリンダ嬢を助けたいと言った。それなら、最後まで面倒を見るべきなのだ。私の息子なら、必ず成し遂げてくれると信じている。だから、頑張れ。
「わ、わかりました。僕、頑張ってみます!」
ようやく結婚する気になったようだ。やる気に満ちた様子で返事をするウォルトンを見て、大丈夫だと思った。きっと上手くいく。彼女とウォルトンは気が合いそうだから、心配ない。そんな予感がした。
「もちろん、彼女の気持ちを確認することも大事だ。だから一度、彼女と会って話をするんだ。話し合いの場は、私が用意する」
「はい。話してみます」
ベリンダ嬢の意思を無視して、無理やり結婚させる気はない。お互いのことをよく知ってから、彼女が納得した上で決めなければいけない。これは、絶対に譲れない。
それにしても、ようやくウォルトンにも良い相手が見つかった。結婚するのを嫌がって、ずっと逃げていたからな。流石に今回は、断れないだろう。これで、我が子の心配もなくなる。かなり、気が楽になった。良かった、本当によかった……。
まずは、スターム侯爵家について調査を行った。ベリンダ嬢とペトラ嬢について。ついでに、ハルトマイヤー公爵家の次期当主についても調べさせた。
調査の結果を確認しながら、取引内容を考える。ナハティガル男爵家に協力を要請して、大臣にも報告しておいた。国王の了承も得て、計画を実行する。
そして、スターム侯爵家で話し合いが行われた。
話し合いを行ったナハティガル男爵家の当主であるアレッサンドロの報告によると、取引に関する話し合いはあっさり終わったらしい。
こちらが提示した内容で、向こうは納得したという。取引の金額については、少し渋ったようだ。だが、提示した金額を少し上げただけで、すぐに承諾したと聞いている。
アレッサンドロが上手くやってくれた。それに加えて、彼らはベリンダ嬢の価値をかなり低く見ているようだった。
直前に婚約を破棄されたこと。そして、アイデアを盗用したという問題を起こしたからこそ、価値が低いと考えたのだろう。
調査した結果、ベリンダ嬢が無実の罪を着せられた事は明らかだった。
ウォルトンが言っていた内容が、事実だった。妹のペトラ嬢が、嘘をついている。それなのに、その嘘を信じているスターム侯爵家とハルトマイヤー公爵家の者達。
その事実を知った時、私は呆れてしまった。あまりにも愚かだと。
だけど、私達にとっては都合がいい。彼らの愚かさを利用して、ベリンダ嬢を引き取らせてもらった。
ベリンダ嬢が居なくなった後、スターム侯爵家は酷い状態になるだろうな。彼らの力の源は人脈だ。それは評判だったパーティーに支えられていた部分が大きかった。
ベリンダ嬢が居なくなると、評判のパーティーが開けなくなる。そうすると人脈が失われて、金策が困難になると予想される。次第に衰退していくだろうな。彼らは、それを理解していないのだろうか。
家が衰退した原因が判明した時、彼らはナハティガル男爵家に文句を言ってきそうだ。娘を返せ、なんて図々しい事を言いそうな雰囲気があった。そんな事を言われて、返すわけがない。しっかり対処出来るように、今から備えておく。
ベリンダ嬢を守れるように準備しておいたほうが良さそうだと、私は考えていた。
***
「お父様、大事な話とはなんでしょうか?」
大事な話があると言って、私はウォルトンを呼び出した。目の前に座っている彼に、ベリンダ嬢を引き取った事を説明する。
「お前が、助けてほしいと頼んだベリンダ嬢について。ナハティガル男爵家に協力してもらい、引き取った」
「本当ですか!? ありがとうございますッ!」
嬉しそうに感謝を述べる息子。そんな彼に対して、私は厳しい口調で言う。
「ここまでお膳立てした。だから後は、お前が彼女を幸せにするんだ」
「え?」
「お前とベリンダ嬢を結婚させる」
「け、けっこん……」
私が告げると、彼は驚いた表情をしていた。今まで結婚するのを嫌がり、18歳になっても婚約者が居なかったから。いきなり、結婚させると言われても困るだろう。だが、今回は逃さない。
「お前が助けたいとお願いして、色々と手を回した。無事引き取ることに成功したが、それで終わりではない。ここからが本番だ」
私の言葉を聞いたウォルトンは、ゴクリと唾を飲み込む。ここでしっかり話して、彼の意識を変えさせなければ。
「助けた責任を取れ。彼女の人生を背負って、お前がベリンダ嬢を幸せにするんだ」
ウォルトンは、ベリンダ嬢を助けたいと言った。それなら、最後まで面倒を見るべきなのだ。私の息子なら、必ず成し遂げてくれると信じている。だから、頑張れ。
「わ、わかりました。僕、頑張ってみます!」
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「もちろん、彼女の気持ちを確認することも大事だ。だから一度、彼女と会って話をするんだ。話し合いの場は、私が用意する」
「はい。話してみます」
ベリンダ嬢の意思を無視して、無理やり結婚させる気はない。お互いのことをよく知ってから、彼女が納得した上で決めなければいけない。これは、絶対に譲れない。
それにしても、ようやくウォルトンにも良い相手が見つかった。結婚するのを嫌がって、ずっと逃げていたからな。流石に今回は、断れないだろう。これで、我が子の心配もなくなる。かなり、気が楽になった。良かった、本当によかった……。
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