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第11話 不安なまま
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両親と妹に別れを告げた後。すぐに家から出る準備を終えて、屋敷の外に出た。
外には馬車が止まっていて、ナハティガル男爵家の御者とメイドが待機していた。その馬車で送ってくれるらしい。
「お待ちしておりました、ベリンダお嬢様。どうぞ乗って下さい」
「あ、ありがとう」
「お荷物は、私が受け取ります」
「お願いするわね」
とても丁寧に対応してくれる彼ら。指示に従い、荷物を預けて馬車に乗り込んだ。すると、馬車の外から声が聞こえる。
「えっと……、お荷物はこれだけですか?」
「ええ、そうよ」
部屋の物をまとめて持ってきた私の荷物を受け取ったメイドの女性が、困惑した表情で聞いてくる。たしかに、かなり少ないだろうと思う。
私が物を持っていないから。今まで妹に色々と盗まれてきて、持たないようにしているので。私の持ち物は、かなり少ない。
お気に入りの服やアクセサリー、思い出の品など何も無かった。唯一、大事だったパーティーに関する資料なども全て処分してしまった。だから、向こうに持っていく荷物も少ない。メイドの女性が驚くほど。
荷物が少ないからこそ、移動が楽で素早く出来るというメリットがあったけれど、嬉しくはない。
「随分と少ないですね……」
「着替えとか化粧品とか、必要最低限しか持っていかないから」
「そうですか……」
メイドと御者はそれ以上何も聞かずに、すぐに荷物の積み込みを終えた。
「では、出発します」
メイドと御者も馬車に乗り込んだ。そして、すぐ出発する。走り出した馬車の中で私は、窓の外の景色を眺めて黙り込む。これから向かう先のことを考えていた。
ナハティガル男爵家の情報は頭に入っている。1度、私の開いたパーティーに参加してもらったこともあった。その時に挨拶したことも覚えている。だけど、今までの関係はそれぐらい。スターム侯爵家と関係が深い、ということでもないはず。むしろ両家の関係は薄い。一緒に仕事をしたとか、商売で協力したとかもないはずだ。
そんな両家が、なんで取引したのか。ナハティガル男爵家には他の候補がなかったのかしら。どうして、私を選んだのか。
ナハティガル男爵家には、まだ跡継ぎの子が居ない。つまり、子供が欲しくて私を引き取ったのだろう。
でも、それなら男子を引き取りたいと考えるはずだろう。なぜ女である私なのか。色々と事情があるのだろうと思うけれど、その理由は分からない。何の説明も聞いていないから。今は、いくら考えても分からない。
歓迎されるなんて期待はしない方がいいのだろう。期待してしまったら、酷かった時の落胆が大きいから。私の人生なんて、期待するだけ損をするだけなんだから。
王都の中央から、かなり離れた場所にある小さなお屋敷に到着した。考え事をしている間に、すぐ到着してしまった。私は、この屋敷の人達に引き取ってもらう。
これから、どんな生活が待っているのか。私は覚悟を決めて、馬車から降りた。
外には馬車が止まっていて、ナハティガル男爵家の御者とメイドが待機していた。その馬車で送ってくれるらしい。
「お待ちしておりました、ベリンダお嬢様。どうぞ乗って下さい」
「あ、ありがとう」
「お荷物は、私が受け取ります」
「お願いするわね」
とても丁寧に対応してくれる彼ら。指示に従い、荷物を預けて馬車に乗り込んだ。すると、馬車の外から声が聞こえる。
「えっと……、お荷物はこれだけですか?」
「ええ、そうよ」
部屋の物をまとめて持ってきた私の荷物を受け取ったメイドの女性が、困惑した表情で聞いてくる。たしかに、かなり少ないだろうと思う。
私が物を持っていないから。今まで妹に色々と盗まれてきて、持たないようにしているので。私の持ち物は、かなり少ない。
お気に入りの服やアクセサリー、思い出の品など何も無かった。唯一、大事だったパーティーに関する資料なども全て処分してしまった。だから、向こうに持っていく荷物も少ない。メイドの女性が驚くほど。
荷物が少ないからこそ、移動が楽で素早く出来るというメリットがあったけれど、嬉しくはない。
「随分と少ないですね……」
「着替えとか化粧品とか、必要最低限しか持っていかないから」
「そうですか……」
メイドと御者はそれ以上何も聞かずに、すぐに荷物の積み込みを終えた。
「では、出発します」
メイドと御者も馬車に乗り込んだ。そして、すぐ出発する。走り出した馬車の中で私は、窓の外の景色を眺めて黙り込む。これから向かう先のことを考えていた。
ナハティガル男爵家の情報は頭に入っている。1度、私の開いたパーティーに参加してもらったこともあった。その時に挨拶したことも覚えている。だけど、今までの関係はそれぐらい。スターム侯爵家と関係が深い、ということでもないはず。むしろ両家の関係は薄い。一緒に仕事をしたとか、商売で協力したとかもないはずだ。
そんな両家が、なんで取引したのか。ナハティガル男爵家には他の候補がなかったのかしら。どうして、私を選んだのか。
ナハティガル男爵家には、まだ跡継ぎの子が居ない。つまり、子供が欲しくて私を引き取ったのだろう。
でも、それなら男子を引き取りたいと考えるはずだろう。なぜ女である私なのか。色々と事情があるのだろうと思うけれど、その理由は分からない。何の説明も聞いていないから。今は、いくら考えても分からない。
歓迎されるなんて期待はしない方がいいのだろう。期待してしまったら、酷かった時の落胆が大きいから。私の人生なんて、期待するだけ損をするだけなんだから。
王都の中央から、かなり離れた場所にある小さなお屋敷に到着した。考え事をしている間に、すぐ到着してしまった。私は、この屋敷の人達に引き取ってもらう。
これから、どんな生活が待っているのか。私は覚悟を決めて、馬車から降りた。
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