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第56話 家族旅行
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宣伝大使の仕事で撮影した動画がウェブで公開されて、非常に好評だったらしい。久遠さんから、大反響だったと聞いた。
僕もチラッと、テレビやニュースサイトなどで取り上げられているのを確認した。あまりにも高く評価されていて、見ていると恥ずかしくなった。
あれは、最先端の撮影スタジオで、スタッフも優秀だったから。台本も用意されていて、子作り政策に対する僕の意見を少しだけ加えた言葉を、ただカメラに向かって話しただけだった。つまり、周りの人達が頑張った成果。動画では見えない部分で、色んな人が支えてくれた結果の動画である。なので、僕だけの手柄じゃない。
それなのに高く評価されているので、申し訳ない気持ちにもなる。だから、あまり周りの反響を見ないようにしていた。久遠さんや身近な人達から教えてもらった評価だけで十分。
とにかく、宣伝大使としての役目は無事に果たせているようなので、良かったなと思う。これから、もっと頑張ろうと決意したのだが。
「しばらく、七沢さんの仕事はありません」
「え? そうなんですか?」
久遠さんの言葉を聞いて、僕は驚いた。反響があったから、これからどんどん活動していくのかなと思っていたけれど、どうやら違うようだ。
「はい。まだ学生である七沢さんの貴重な時間を、こちらの都合で奪うわけにはいきません。これからのスケジュールは、慎重に決めていきます。ですから七沢さんは、しばらく自分の時間を大事にしてください。夏休みを満喫してくださいね」
「なるほど、わかりました。ありがとうございます、久遠さん」
相変わらず、僕のことを大切にしてくれる久遠さん。仕事のスケジュールも調整をしてくれるということで、自由な時間をいただいてしまった。なんだか得した気分。好きに使える時間を得て、これから色々なことが出来そう。
夏休みに入る前に考えていた、海やプールに遊びに行く計画が実行できそうだな。他にも、キャンプやバーベキューをしたいと思っている。知り合いの女性を誘って、一緒に行ってみたい場所ばかり。さて、どうしよう。
有加里さんの配信に出演する、というのもアリだ。そもそも、そのために宣伝大使になったんだもんな。
配信に出演して、影響が出ても問題ないように備えるため。今なら、有加里さんの配信に出演しても大丈夫だろうと思う。さっそく、彼女に連絡してみようかな。
色々な選択肢があって悩む。充実した夏休みにするため、何をしようか。じっくり考えている時だった。母さんが、旅行に行こうと提案してきたのは。
「直人、せっかくの夏休みだから。その、一緒に旅行とか行かない?」
「うん、行きたい!」
突然の提案だったけれど、僕は首を縦に振った。すると、嬉しそうな顔を浮かべる母さん。
そういえば、最近は母さんと一緒に過ごす時間が少なくなってきていた。朝と夜の食事を一緒することぐらいしか出来ていなかった。母さんは仕事で忙しいし、僕も色々な女性と交流が増えたり、仕事もするようになって時間が合わなくなっていた。
久しぶりに、2人で過ごせるのは嬉しい。なので、僕は即答した。行きたい、と。すぐさまスケジュールを確保して、1泊2日の旅行を計画。荷物をまとめて、すぐに出発できるように。
宿もすぐに予約して確保した。場所は、僕達の住む町から車で4時間の場所にある温泉旅館。電車でも行ける場所だけど、車で行った方が早いし疲れない、ということで母さんが運転する車に乗って行くことに。途中で、色々な観光スポットを巡る予定もある。
ゆったりとした旅を楽しむつもりだった。楽しみすぎて、待ちきれない。ワクワクしている。僕だけでなく、母さんも同じぐらい楽しみにしているようなので良かった。
父さんも居るけれど、おそらく旅に誘っても来ないだろう。だから、僕と母さんの2人だけで旅する予定は、最初から確定していた。
そんなこんなで、旅行に行こうと決めてから、すぐ当日を迎えることに。
家の前に停まっている車の助手席に、僕は乗り込む。家の戸締まりを終わらせて。旅の荷物は、既に積み込んであった。運転席に座っているのは、もちろん母さん。
「それじゃあ、行きましょうか」
「うん。お願い」
シートベルトを締める。ゆっくりと車が動き出して、出発した。これから、2人で久々の家族旅行だ。
僕もチラッと、テレビやニュースサイトなどで取り上げられているのを確認した。あまりにも高く評価されていて、見ていると恥ずかしくなった。
あれは、最先端の撮影スタジオで、スタッフも優秀だったから。台本も用意されていて、子作り政策に対する僕の意見を少しだけ加えた言葉を、ただカメラに向かって話しただけだった。つまり、周りの人達が頑張った成果。動画では見えない部分で、色んな人が支えてくれた結果の動画である。なので、僕だけの手柄じゃない。
それなのに高く評価されているので、申し訳ない気持ちにもなる。だから、あまり周りの反響を見ないようにしていた。久遠さんや身近な人達から教えてもらった評価だけで十分。
とにかく、宣伝大使としての役目は無事に果たせているようなので、良かったなと思う。これから、もっと頑張ろうと決意したのだが。
「しばらく、七沢さんの仕事はありません」
「え? そうなんですか?」
久遠さんの言葉を聞いて、僕は驚いた。反響があったから、これからどんどん活動していくのかなと思っていたけれど、どうやら違うようだ。
「はい。まだ学生である七沢さんの貴重な時間を、こちらの都合で奪うわけにはいきません。これからのスケジュールは、慎重に決めていきます。ですから七沢さんは、しばらく自分の時間を大事にしてください。夏休みを満喫してくださいね」
「なるほど、わかりました。ありがとうございます、久遠さん」
相変わらず、僕のことを大切にしてくれる久遠さん。仕事のスケジュールも調整をしてくれるということで、自由な時間をいただいてしまった。なんだか得した気分。好きに使える時間を得て、これから色々なことが出来そう。
夏休みに入る前に考えていた、海やプールに遊びに行く計画が実行できそうだな。他にも、キャンプやバーベキューをしたいと思っている。知り合いの女性を誘って、一緒に行ってみたい場所ばかり。さて、どうしよう。
有加里さんの配信に出演する、というのもアリだ。そもそも、そのために宣伝大使になったんだもんな。
配信に出演して、影響が出ても問題ないように備えるため。今なら、有加里さんの配信に出演しても大丈夫だろうと思う。さっそく、彼女に連絡してみようかな。
色々な選択肢があって悩む。充実した夏休みにするため、何をしようか。じっくり考えている時だった。母さんが、旅行に行こうと提案してきたのは。
「直人、せっかくの夏休みだから。その、一緒に旅行とか行かない?」
「うん、行きたい!」
突然の提案だったけれど、僕は首を縦に振った。すると、嬉しそうな顔を浮かべる母さん。
そういえば、最近は母さんと一緒に過ごす時間が少なくなってきていた。朝と夜の食事を一緒することぐらいしか出来ていなかった。母さんは仕事で忙しいし、僕も色々な女性と交流が増えたり、仕事もするようになって時間が合わなくなっていた。
久しぶりに、2人で過ごせるのは嬉しい。なので、僕は即答した。行きたい、と。すぐさまスケジュールを確保して、1泊2日の旅行を計画。荷物をまとめて、すぐに出発できるように。
宿もすぐに予約して確保した。場所は、僕達の住む町から車で4時間の場所にある温泉旅館。電車でも行ける場所だけど、車で行った方が早いし疲れない、ということで母さんが運転する車に乗って行くことに。途中で、色々な観光スポットを巡る予定もある。
ゆったりとした旅を楽しむつもりだった。楽しみすぎて、待ちきれない。ワクワクしている。僕だけでなく、母さんも同じぐらい楽しみにしているようなので良かった。
父さんも居るけれど、おそらく旅に誘っても来ないだろう。だから、僕と母さんの2人だけで旅する予定は、最初から確定していた。
そんなこんなで、旅行に行こうと決めてから、すぐ当日を迎えることに。
家の前に停まっている車の助手席に、僕は乗り込む。家の戸締まりを終わらせて。旅の荷物は、既に積み込んであった。運転席に座っているのは、もちろん母さん。
「それじゃあ、行きましょうか」
「うん。お願い」
シートベルトを締める。ゆっくりと車が動き出して、出発した。これから、2人で久々の家族旅行だ。
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