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第53話 任命式3
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ステージの上で、僕は任命書を受け取った。
金色の立派な額縁に入った紙には、宣伝大使に任命するという旨が書いてあった。それを両手で持った瞬間に、カメラのフラッシュが焚かれた。眩しくて何も見えないぐらい、ビカビカっと連続で。思わず目を細める。すごい量の写真を撮られていた。
その後、任命書を胸に抱えてマイクを片手で持ち、集まった人々に向かって挨拶をする。用意してもらったセリフを、そのまま言うだけの簡単な仕事だ。好感の持てるような振る舞いを心がけて。
「本日、宣伝大使に就任することになりました、七沢直人です」
すると、割れんばかりの拍手と歓声が起こった。まるで、アイドルのライブ会場みたいな雰囲気だと思った。ものすごい盛り上がりである。先程まで緊張感のある厳かな感じの会場だったのに、一気にお祭りムード。
簡単な挨拶を終えて、僕はステージから降りる。とりあえず、ここでの仕事は終わり。次の出番は式典が終わってからのインタビュー。それまで、少し待機となる。
僕がステージから降りて会場の人達が落ち着くと、任命式も順調に進む。そして、何の問題もなく終わった。
「こちらに移動を、お願いします」
「はい、わかりました」
案内係のスタッフに誘導されて場所を移動する。少し広めのホテルの廊下には既に多くの取材陣がいて、僕の到着を待っていたようだ。立ち位置につくと、再び一斉にフラッシュが炊かれる。
ステージの上で撮られた時よりも距離が近くて、さらに激しい光に目がチカチカした。眩しいな。そんな僕の様子に気付いたのか、一緒に行動していた久遠さんが皆に注意してくれた。
「カメラのフラッシュを止めてください! 彼の目に余計な負担がかかります!」
カメラマン達は慌ててフラッシュを止めてくれた。そのおかげで、眩しさは和らいだ。助かった。ありがとう、久遠さん。
インタビューが始まったが、質問内容は事前に渡された台本通りの内容だった。
「宣伝大使のご就任、おめでとうございます。今のお気持ちを教えてください」
「そうですね。とても光栄なことですし、緊張しています。でも、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」
「これからの活動について、意気込みを聞かせて下さい」
「まだ具体的には決まっていませんが、様々なイベントなどに参加して政策に対する認知度向上に貢献できたらと思っています」
そんな感じで、記者の質問に淡々と質問に答えていった。当たり障りのない内容なので、特に深く考えることもなく、事前に用意されていた内容をスラスラと答えるだけ。
「インタビューの時間は以上となります。ありがとうございました」
スタッフの人がそう告げると、集まっていた記者やテレビクルー達は素直に引き上げていく。僕も、控室へ戻ることになった。
「お疲れ様、立派だったよ」
「すごく堂々としていて、カッコよかったです!」
控室に戻ると、智恵子さんや小川さん、スタッフの皆が温かく迎えてくれた。彼女たちのおかげで、なんとか無事に終えることができたと思う。本当に感謝しかない。
「ありがとうございます、皆さん」
お礼を言うと、智恵子さんはニッコリと笑ってくれた。
「午前は、これで終わりだろう。この後の予定は?」
「午後から記者会見ですね。その前に、昼食の時間があります」
智恵子さんの質問に、久遠さんが答える。時計を見ると、時刻は12時前だった。スケジュール通りの進行状況である。緊張から解放されて、お腹も空いていた。昼食がとても楽しみだ。
「注文すれば、控室に料理を運んできてくれるそうです」
「じゃあ、お昼ご飯にしようか」
智恵子さんの一言で、皆が注文することになった。僕もメニュー表を渡されて、何を食べようか選ぶ。どれも美味しそうだな。どれにしようかな。
じっくり悩んで、食べたいものを選んだ。
「じゃあ、コレとコレ。あと、この料理も注文をお願いします」
「相変わらず、よく食べるわね。午後も仕事があるようだけど、大丈夫かい?」
「うん、大丈夫。お腹、ペコペコなんだ」
「そうか。まあ、存分に食べなさい」
僕が選んだ料理の量を見て、智恵子さんが呆れた顔をする。注文を取りに来た人や、スタッフの皆も驚いていた。確かに、かなりボリュームがある料理ばかりかも。でも、全然平気である。むしろ、もっと食べてもいいぐらいだ。仕事のことを考えて、腹八分目ぐらいに抑えておく。
「お待たせしました。こちら、ご注文のお品でございます」
直ぐに注文した料理が届いた。どうやら、ホテルのシェフが作ってくれたらしい。高級ホテルに相応しい、非常に豪華な食事だった。
注文した料理を控室まで運んできてくれたホテルの人達が、テーブルの上に料理を並べる。良い匂いが、部屋の中に充満する。さらに、お腹が空いた。早く食べたい。
「うわぁ、すごい! とっても美味しそうですね!」
小川さんも目を輝かせている。僕も同じ気持ちだ。
「さあ、温かいうちに頂こうじゃないか」
ようやく、料理が並べ終わった。智恵子さんが音頭を取って、皆でいただきますをする。
智恵子さん、小川さん、久遠さんにスタッフが数十名。こんなに大人数で食事するのは初めてかもしれない。賑やかで楽しいな。
「美味しいね、これ」
「はい、最高です!」
「そうだね。とても美味しいわ」
楽しく会話しながら、昼食を頂く僕達。あっという間に完食してしまった。満足感でいっぱいになる。ごちそうさまでした。
その後、少し休憩を挟んでから記者会見場へ向かうことに。午後からも頑張ろう。
金色の立派な額縁に入った紙には、宣伝大使に任命するという旨が書いてあった。それを両手で持った瞬間に、カメラのフラッシュが焚かれた。眩しくて何も見えないぐらい、ビカビカっと連続で。思わず目を細める。すごい量の写真を撮られていた。
その後、任命書を胸に抱えてマイクを片手で持ち、集まった人々に向かって挨拶をする。用意してもらったセリフを、そのまま言うだけの簡単な仕事だ。好感の持てるような振る舞いを心がけて。
「本日、宣伝大使に就任することになりました、七沢直人です」
すると、割れんばかりの拍手と歓声が起こった。まるで、アイドルのライブ会場みたいな雰囲気だと思った。ものすごい盛り上がりである。先程まで緊張感のある厳かな感じの会場だったのに、一気にお祭りムード。
簡単な挨拶を終えて、僕はステージから降りる。とりあえず、ここでの仕事は終わり。次の出番は式典が終わってからのインタビュー。それまで、少し待機となる。
僕がステージから降りて会場の人達が落ち着くと、任命式も順調に進む。そして、何の問題もなく終わった。
「こちらに移動を、お願いします」
「はい、わかりました」
案内係のスタッフに誘導されて場所を移動する。少し広めのホテルの廊下には既に多くの取材陣がいて、僕の到着を待っていたようだ。立ち位置につくと、再び一斉にフラッシュが炊かれる。
ステージの上で撮られた時よりも距離が近くて、さらに激しい光に目がチカチカした。眩しいな。そんな僕の様子に気付いたのか、一緒に行動していた久遠さんが皆に注意してくれた。
「カメラのフラッシュを止めてください! 彼の目に余計な負担がかかります!」
カメラマン達は慌ててフラッシュを止めてくれた。そのおかげで、眩しさは和らいだ。助かった。ありがとう、久遠さん。
インタビューが始まったが、質問内容は事前に渡された台本通りの内容だった。
「宣伝大使のご就任、おめでとうございます。今のお気持ちを教えてください」
「そうですね。とても光栄なことですし、緊張しています。でも、一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」
「これからの活動について、意気込みを聞かせて下さい」
「まだ具体的には決まっていませんが、様々なイベントなどに参加して政策に対する認知度向上に貢献できたらと思っています」
そんな感じで、記者の質問に淡々と質問に答えていった。当たり障りのない内容なので、特に深く考えることもなく、事前に用意されていた内容をスラスラと答えるだけ。
「インタビューの時間は以上となります。ありがとうございました」
スタッフの人がそう告げると、集まっていた記者やテレビクルー達は素直に引き上げていく。僕も、控室へ戻ることになった。
「お疲れ様、立派だったよ」
「すごく堂々としていて、カッコよかったです!」
控室に戻ると、智恵子さんや小川さん、スタッフの皆が温かく迎えてくれた。彼女たちのおかげで、なんとか無事に終えることができたと思う。本当に感謝しかない。
「ありがとうございます、皆さん」
お礼を言うと、智恵子さんはニッコリと笑ってくれた。
「午前は、これで終わりだろう。この後の予定は?」
「午後から記者会見ですね。その前に、昼食の時間があります」
智恵子さんの質問に、久遠さんが答える。時計を見ると、時刻は12時前だった。スケジュール通りの進行状況である。緊張から解放されて、お腹も空いていた。昼食がとても楽しみだ。
「注文すれば、控室に料理を運んできてくれるそうです」
「じゃあ、お昼ご飯にしようか」
智恵子さんの一言で、皆が注文することになった。僕もメニュー表を渡されて、何を食べようか選ぶ。どれも美味しそうだな。どれにしようかな。
じっくり悩んで、食べたいものを選んだ。
「じゃあ、コレとコレ。あと、この料理も注文をお願いします」
「相変わらず、よく食べるわね。午後も仕事があるようだけど、大丈夫かい?」
「うん、大丈夫。お腹、ペコペコなんだ」
「そうか。まあ、存分に食べなさい」
僕が選んだ料理の量を見て、智恵子さんが呆れた顔をする。注文を取りに来た人や、スタッフの皆も驚いていた。確かに、かなりボリュームがある料理ばかりかも。でも、全然平気である。むしろ、もっと食べてもいいぐらいだ。仕事のことを考えて、腹八分目ぐらいに抑えておく。
「お待たせしました。こちら、ご注文のお品でございます」
直ぐに注文した料理が届いた。どうやら、ホテルのシェフが作ってくれたらしい。高級ホテルに相応しい、非常に豪華な食事だった。
注文した料理を控室まで運んできてくれたホテルの人達が、テーブルの上に料理を並べる。良い匂いが、部屋の中に充満する。さらに、お腹が空いた。早く食べたい。
「うわぁ、すごい! とっても美味しそうですね!」
小川さんも目を輝かせている。僕も同じ気持ちだ。
「さあ、温かいうちに頂こうじゃないか」
ようやく、料理が並べ終わった。智恵子さんが音頭を取って、皆でいただきますをする。
智恵子さん、小川さん、久遠さんにスタッフが数十名。こんなに大人数で食事するのは初めてかもしれない。賑やかで楽しいな。
「美味しいね、これ」
「はい、最高です!」
「そうだね。とても美味しいわ」
楽しく会話しながら、昼食を頂く僕達。あっという間に完食してしまった。満足感でいっぱいになる。ごちそうさまでした。
その後、少し休憩を挟んでから記者会見場へ向かうことに。午後からも頑張ろう。
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