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第44話 学生の生活
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有加里さんの配信は大成功したようだ。多くの人たちに見てもらって、コメントが書き込まれて、高評価を得たらしい。
問題も解決したようで、彼女の役に立てて良かったと思う。僕も、配信に出演して楽しめた。
けれども、それによって別の問題が発生していた。麻利恵を嫉妬させてしまった。色々と心配してくれていたのに、僕が麻利恵より有加里さんを優先してしまったから機嫌を損ねてしまったようだ。口には出さないけれど、彼女の表情を見たらわかる。やはり面白くなかったようだ。
この問題は放置すると拗れてしまいそうだし、早急に手を打つ必要があるだろう。そう考えた僕は、彼女の機嫌を直すために2人だけで何かしようかと思った。
デートをしようと思ったけれども、テスト期間が近いので一緒に勉強することに。ということで、放課後に麻利恵の部屋へお邪魔することになった。
「どうぞ、好きなところに座って」
「じゃあ、いつも僕が座っている場所に」
麻利恵の部屋には何度か遊びに来たことがあった。置いてあったクッションの上に腰掛けると、彼女が大量のお菓子と飲み物を僕の目の前にあるテーブルの上に置いてくれた。
「お腹すいてるでしょ。遠慮なく食べてね」
「うん、ありがとう」
麻利恵はニコニコと笑顔で僕の世話をしてくれた。とても嬉しそうな様子だった。とりあえず目標は達成したのかな。
2人だけで過ごす。こんなに簡単なことで機嫌を直してくれるのだから、やっぱり彼女は可愛いなぁと思ってしまう。
「それじゃあ、テストの勉強しようか」
「うん!」
テーブルを間に挟んで2人で向かい合って座り、教科書やノートを広げて試験範囲を確認しながら問題を解いていく。途中分からないところがあったら、教え合いっこしながら勉強を進める。
僕は、テスト期間以外でも毎日コツコツ勉強していた。大学を目指しているから。早めに準備しておけば楽になる。前世の記憶というアドバンテージもあって、かなり余裕を持ちながら勉強できていると思う。だけど油断せず、しっかり復習するようにしている。前世の常識が通用しない、価値観のズレを痛感することが多々あるから。
大学に行けば、楽しいキャンパスライフが待っている。それを楽しむため、僕は日々努力を重ねていた。前の人生では謳歌することが出来なかった楽しい大学生活をエンジョイしたい。もちろん、学歴を積み重ねるためでもあるけど。
麻利恵は、そこそこの成績。赤点は取らないけれど、平均点付近を行ったり来たりという感じ。テスト期間中だけ勉強に集中して、それ以外の時は部活動に励んだり、映画を見たりしているようだ。
それが普通だと思う。勉強に集中するより、部活とか趣味に打ち込んだ方が楽しいだろう。前世の僕もそうだった。勉強したいと思うようになったのは、大人になってからだった。その記憶があるから、今の僕は勉強に集中できる。
「ちょっと休憩しない?」
「そうだね。休もうか」
1時間ほど勉強したところで、麻利恵が申し訳無さそうに言う。ずっと同じ姿勢でテーブルに向かっていたから、長時間の勉強に慣れていないと辛いだろうな。彼女の提案を了承する。
麻利恵が用意してくれたお菓子を食べながら、最近見て面白かった映画の話や学校であった出来事などを話し合ったりした。
「じゃあ、そろそろ勉強を再開しようか」
「うん……」
休憩時間を終えて、勉強を再開する。もっと話したいという彼女の気持ちも分かるけれど、今は厳しくいかないと。麻利恵にも、テストでいい点を取ってもらいたいと思っているから。ここで頑張れば、きっと成績が上がるはず。2人で頑張ろう。
「ねえ、ここってどうやって解くんだっけ?」
「ああ、そこはね―――」
こうして夜になるまで、2人で仲良く勉強した。
「あ、もうこんな時間。そろそろ終わろうか」
「うぅ、やっと終わり……?」
「お疲れ様。とっても頑張ったね」
「うーん、つかれたぁ」
勉強を終えて、テーブルの上に突っ伏す麻利恵の頭を優しく撫でる。すると彼女は心地良さそうに目を細めて、微笑みを浮かべていた。
「明日も一緒に勉強しようよ」
「そうだね。もっといい点が取れるように、一緒に勉強しよう」
「やった! 約束だよ」
「うん」
勉強にやる気を出しながら嬉しそうにする麻利恵を見て、僕もやる気が出てきた。
問題も解決したようで、彼女の役に立てて良かったと思う。僕も、配信に出演して楽しめた。
けれども、それによって別の問題が発生していた。麻利恵を嫉妬させてしまった。色々と心配してくれていたのに、僕が麻利恵より有加里さんを優先してしまったから機嫌を損ねてしまったようだ。口には出さないけれど、彼女の表情を見たらわかる。やはり面白くなかったようだ。
この問題は放置すると拗れてしまいそうだし、早急に手を打つ必要があるだろう。そう考えた僕は、彼女の機嫌を直すために2人だけで何かしようかと思った。
デートをしようと思ったけれども、テスト期間が近いので一緒に勉強することに。ということで、放課後に麻利恵の部屋へお邪魔することになった。
「どうぞ、好きなところに座って」
「じゃあ、いつも僕が座っている場所に」
麻利恵の部屋には何度か遊びに来たことがあった。置いてあったクッションの上に腰掛けると、彼女が大量のお菓子と飲み物を僕の目の前にあるテーブルの上に置いてくれた。
「お腹すいてるでしょ。遠慮なく食べてね」
「うん、ありがとう」
麻利恵はニコニコと笑顔で僕の世話をしてくれた。とても嬉しそうな様子だった。とりあえず目標は達成したのかな。
2人だけで過ごす。こんなに簡単なことで機嫌を直してくれるのだから、やっぱり彼女は可愛いなぁと思ってしまう。
「それじゃあ、テストの勉強しようか」
「うん!」
テーブルを間に挟んで2人で向かい合って座り、教科書やノートを広げて試験範囲を確認しながら問題を解いていく。途中分からないところがあったら、教え合いっこしながら勉強を進める。
僕は、テスト期間以外でも毎日コツコツ勉強していた。大学を目指しているから。早めに準備しておけば楽になる。前世の記憶というアドバンテージもあって、かなり余裕を持ちながら勉強できていると思う。だけど油断せず、しっかり復習するようにしている。前世の常識が通用しない、価値観のズレを痛感することが多々あるから。
大学に行けば、楽しいキャンパスライフが待っている。それを楽しむため、僕は日々努力を重ねていた。前の人生では謳歌することが出来なかった楽しい大学生活をエンジョイしたい。もちろん、学歴を積み重ねるためでもあるけど。
麻利恵は、そこそこの成績。赤点は取らないけれど、平均点付近を行ったり来たりという感じ。テスト期間中だけ勉強に集中して、それ以外の時は部活動に励んだり、映画を見たりしているようだ。
それが普通だと思う。勉強に集中するより、部活とか趣味に打ち込んだ方が楽しいだろう。前世の僕もそうだった。勉強したいと思うようになったのは、大人になってからだった。その記憶があるから、今の僕は勉強に集中できる。
「ちょっと休憩しない?」
「そうだね。休もうか」
1時間ほど勉強したところで、麻利恵が申し訳無さそうに言う。ずっと同じ姿勢でテーブルに向かっていたから、長時間の勉強に慣れていないと辛いだろうな。彼女の提案を了承する。
麻利恵が用意してくれたお菓子を食べながら、最近見て面白かった映画の話や学校であった出来事などを話し合ったりした。
「じゃあ、そろそろ勉強を再開しようか」
「うん……」
休憩時間を終えて、勉強を再開する。もっと話したいという彼女の気持ちも分かるけれど、今は厳しくいかないと。麻利恵にも、テストでいい点を取ってもらいたいと思っているから。ここで頑張れば、きっと成績が上がるはず。2人で頑張ろう。
「ねえ、ここってどうやって解くんだっけ?」
「ああ、そこはね―――」
こうして夜になるまで、2人で仲良く勉強した。
「あ、もうこんな時間。そろそろ終わろうか」
「うぅ、やっと終わり……?」
「お疲れ様。とっても頑張ったね」
「うーん、つかれたぁ」
勉強を終えて、テーブルの上に突っ伏す麻利恵の頭を優しく撫でる。すると彼女は心地良さそうに目を細めて、微笑みを浮かべていた。
「明日も一緒に勉強しようよ」
「そうだね。もっといい点が取れるように、一緒に勉強しよう」
「やった! 約束だよ」
「うん」
勉強にやる気を出しながら嬉しそうにする麻利恵を見て、僕もやる気が出てきた。
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