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第40話 配信準備 ※天川有加里視点
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配信の告知をした後、ネットの反響が凄かった。これは、次の配信を失敗することなど出来ない。かなり気合を入れて準備しないといけないだろう、と思った。
とはいえ、配信する内容がフリー雑談なので事前に準備しておくことは少ない。
配信ソフトにマイクの接続と設定を確認してから、配信カメラに彼の姿が映らないようにする位置取りをセッティングする。念のために彼は声だけ出演してもらって、カメラに映るのは私だけにする予定だから。
普段は用意していないけれど、台本なんかも用意しておいた。いつもの私の配信の流れを整理して書き出し、彼のセリフなども書いておく。すごく簡素な、数ページの台本。これを用意しておけば、当日はスムーズな進行が出来るはずだ。
ひとまず、事前に出来ることはやった。後は配信予定日になるのを待つだけ。
そして、いよいよ当日を迎えることになった。私は配信の最終準備を進めながら、彼が到着するのを今か今かと自宅で待機していた。
「そろそろ時間かな……」
今日は、彼が来てくれる。私の配信に出演するために、わざわざ私の生活している家に。そう考えるだけで緊張してきた。これから行う配信とは別の緊張だった。
まさか、自分の住んでいる部屋に男性を呼ぶ日が来るなんて想像していなかった。こんな日が来るなんて信じられない。今もまだ、戸惑っている。
直人くんと出会ってから、私は色々と変化していた。
配信の内容から、いつもの服装まで気にするようになった。彼に好かれたい。その思いが強かった。
今日も、気合の入った服を着て待っている。淡い水色のワンピース。こんな格好で自宅に居るなんて初めてかもしれない。いつもは楽なジャージなどを着ていることがほとんどだから。
「来た!」
インターホンが鳴って、急いで立ち上がる。モニターを確認してみると、そこには待ち焦がれていた人が居た。
私は急いで玄関へ向かい、ドアを開ける。そこには、直人くんの姿があった。それから、彼の幼馴染である麻利恵ちゃんも一緒に。今日は2人で来てくれたらしい。
「来てくれてありがとう、直人くん!」
「いえ、約束ですから」
「どうぞどうぞ、中に入って! 麻利恵ちゃんも、どうぞ」
「お邪魔します」
「……お邪魔します」
2人を家の中に招き入れる。やっぱり不思議な気分だ。部屋の中に男の人が居る。少し前の私なら、信じられないような光景が目の前にあった。
「どうぞ自由に座って。あ、こっち側に居ると配信カメラに映り込んじゃうかもしれないから、注意してね」
「この辺りなら大丈夫?」
「うん。そこなら大丈夫そうかな」
部屋の端に置いてあるテーブルと椅子。そこに腰かける彼。隣に、麻利恵ちゃんがちょこんと座った。そして彼女は、警戒するような目を私に向けてくる。
警戒されても仕方ないだろうと思う。若い男の子を自分の部屋に連れ込むなんて、世間的に見ればあまり褒められたことではない。彼女が同行してくれて、むしろ良かった。変なことをするつもりなんて、一切ないけれど。今日は、配信に集中しないといけないだろう。
「自由に食べて」
「わぁ、美味しそう」
食べることが好きな彼のために用意していたお菓子と飲み物を、テーブルの上に置いた。それを笑顔で受け取る彼。これは用意しておいて良かった。
「それじゃあ、今日の予定について軽く説明するね。お菓子を食べながらでいいから聞いて」
「うん、おねがいします」
彼の目の前に座った私。数ページの台本を渡して、順番に説明していく。それを、真剣な表情で聞いてくれる直人くん。
大まかな流れとしては、私が彼と雑談をして、時々チャット欄を確認して反応するというもの。ただそれだけ。事前に説明していたこと以外は、特に何も無い。
「本当に、これだけなんですね」
「うん。普段の配信と同じ感じだよ。あんまり特別なことはないから、安心して」
「わかりました」
簡単な打ち合わせも終わって、後は配信の予定時間になるのを待つだけ。まだ、しばらく時間に余裕がある。
配信を始める前は、いつも緊張している私。だけど今日は、特別に緊張している。彼が居るから。
初めて男性に、私の配信に出演してもらう。どんな配信になるのか、色々と楽しみでもあった。
とはいえ、配信する内容がフリー雑談なので事前に準備しておくことは少ない。
配信ソフトにマイクの接続と設定を確認してから、配信カメラに彼の姿が映らないようにする位置取りをセッティングする。念のために彼は声だけ出演してもらって、カメラに映るのは私だけにする予定だから。
普段は用意していないけれど、台本なんかも用意しておいた。いつもの私の配信の流れを整理して書き出し、彼のセリフなども書いておく。すごく簡素な、数ページの台本。これを用意しておけば、当日はスムーズな進行が出来るはずだ。
ひとまず、事前に出来ることはやった。後は配信予定日になるのを待つだけ。
そして、いよいよ当日を迎えることになった。私は配信の最終準備を進めながら、彼が到着するのを今か今かと自宅で待機していた。
「そろそろ時間かな……」
今日は、彼が来てくれる。私の配信に出演するために、わざわざ私の生活している家に。そう考えるだけで緊張してきた。これから行う配信とは別の緊張だった。
まさか、自分の住んでいる部屋に男性を呼ぶ日が来るなんて想像していなかった。こんな日が来るなんて信じられない。今もまだ、戸惑っている。
直人くんと出会ってから、私は色々と変化していた。
配信の内容から、いつもの服装まで気にするようになった。彼に好かれたい。その思いが強かった。
今日も、気合の入った服を着て待っている。淡い水色のワンピース。こんな格好で自宅に居るなんて初めてかもしれない。いつもは楽なジャージなどを着ていることがほとんどだから。
「来た!」
インターホンが鳴って、急いで立ち上がる。モニターを確認してみると、そこには待ち焦がれていた人が居た。
私は急いで玄関へ向かい、ドアを開ける。そこには、直人くんの姿があった。それから、彼の幼馴染である麻利恵ちゃんも一緒に。今日は2人で来てくれたらしい。
「来てくれてありがとう、直人くん!」
「いえ、約束ですから」
「どうぞどうぞ、中に入って! 麻利恵ちゃんも、どうぞ」
「お邪魔します」
「……お邪魔します」
2人を家の中に招き入れる。やっぱり不思議な気分だ。部屋の中に男の人が居る。少し前の私なら、信じられないような光景が目の前にあった。
「どうぞ自由に座って。あ、こっち側に居ると配信カメラに映り込んじゃうかもしれないから、注意してね」
「この辺りなら大丈夫?」
「うん。そこなら大丈夫そうかな」
部屋の端に置いてあるテーブルと椅子。そこに腰かける彼。隣に、麻利恵ちゃんがちょこんと座った。そして彼女は、警戒するような目を私に向けてくる。
警戒されても仕方ないだろうと思う。若い男の子を自分の部屋に連れ込むなんて、世間的に見ればあまり褒められたことではない。彼女が同行してくれて、むしろ良かった。変なことをするつもりなんて、一切ないけれど。今日は、配信に集中しないといけないだろう。
「自由に食べて」
「わぁ、美味しそう」
食べることが好きな彼のために用意していたお菓子と飲み物を、テーブルの上に置いた。それを笑顔で受け取る彼。これは用意しておいて良かった。
「それじゃあ、今日の予定について軽く説明するね。お菓子を食べながらでいいから聞いて」
「うん、おねがいします」
彼の目の前に座った私。数ページの台本を渡して、順番に説明していく。それを、真剣な表情で聞いてくれる直人くん。
大まかな流れとしては、私が彼と雑談をして、時々チャット欄を確認して反応するというもの。ただそれだけ。事前に説明していたこと以外は、特に何も無い。
「本当に、これだけなんですね」
「うん。普段の配信と同じ感じだよ。あんまり特別なことはないから、安心して」
「わかりました」
簡単な打ち合わせも終わって、後は配信の予定時間になるのを待つだけ。まだ、しばらく時間に余裕がある。
配信を始める前は、いつも緊張している私。だけど今日は、特別に緊張している。彼が居るから。
初めて男性に、私の配信に出演してもらう。どんな配信になるのか、色々と楽しみでもあった。
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