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第23話 雑談配信1 ※天川有加里視点
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「えっと、これ見えてる? あ、来たね」
配信ページに映る自分の姿を確認しながら、チャット欄をチェックする。しっかり反応があった。画面に次々と視聴者からのメッセージが流れていく。
チャット欄▼
:久しぶり!
:声きた
:聞こえた
:始まった?
:待ってました
「いやいや、どうもどうも。お待たせしましたね、皆さん」
いい感じでスタートすることが出来た。今日は、話す内容も十分に用意してある。久しぶりに余裕のある配信に、とても楽な気持ちで挑むことが出来た。
チャット欄▼
:配信のタイトルが不穏
:引退しないよね?
:とんでもない出来事って、何だ?
:おい、やめろ。その言葉をコメントに書き込むな
:早く、お話を聞かせて
「引退はないよ。でも、かなり衝撃的な出来事に遭遇して、どこから話そうかな」
チャット欄に不穏な言葉が流れ続けている。引退するかもしれないと心配している視聴者も多かった。とある掲示板などで引退予想が書かれていることも知っていた。
少し前の私は、視聴者たちの予想していた通り引退も考えていた。でも今は、引退するつもりはない。彼と出会ったことにより、考えが変わった。
チャット欄▼
:朗報! 引退しない
:明言たすかる
:よかった。安心した!
:本当かな? ウソっぽい
:急に引退発表しそう
:本人が引退しない、って言ってるんだから信じろよ
「それで、今日の配信で話したいことなんだけど。結論から言うと、男性と連絡先を交換したんだよね」
チャット欄▼
:は?
:は?
:は?
:今なんて?
:えっと……?
:何言ってるんだ?
予想していた通り、視聴者は混乱した。チャット欄が一気に加速する。チャットの文字が流れていく速さは、今まで見たことないくらいのスピードだった。
「いやいや、本当なんだよ。嘘じゃない、って。信じて」
チャット欄▼
:あ、なんだ。いつもの妄想ね
:妄想か
:なるほど、納得
:新しいパターンやね
:私も男性と連絡先を交換したい
:唐突な始まり
:信じられるか
「だから、現実にあった出来事なんだって! リアル男の子!」
チャット欄▼
:はぁ? 何言ってるの?
:現実で出会えるわけ無いじゃん
:男の子、ってどういう事?
:まさか、若い子なのか!?
:妄想も、ついにここまで来てしまったか
:犯罪はダメだよ
:ミルキーちゃん、妄想の世界から帰ってこい!
当然のように、私の話なんか信じていない視聴者たち。その反応は当然だと思う。今まで、妄想の話ばかり語ってきた私だから。現実で男性と出会えるはずないよね。自分でも、そう思う。
だけど! 今日の出来事は、本当に現実にあったこと。それを今から語っていく。個人情報などは絶対に漏らさないように、注意して。
「じゃあ、最初から話していくね。今日の昼過ぎに、私は家の近所を散歩したんだよね。動画投稿とか、配信のことで悩みながら。正直、かなり悩んでいたよ」
チャット欄▼
:勝手に語り始めたぞ
:今日は飛ばしてるな
:現実の話?
:悩んでいたのは、まぁ察してる。
:前の配信を見てたら、分かっちゃうよね。
「それで、とうとう限界が来ちゃって。道の真ん中で頭を抱えた私」
チャット欄▼
:危ない人やん。
:いつ、男性が登場するの?
:パンツは脱いだままでいい?
:はよ
:人には迷惑かけるなよ
「その時に、声をかけられたんだよね。男性に」
語りながら思い出す。その瞬間を思い出すと、今でも胸がドキドキしてくる。衝撃的だった。よく考えると、父親以外の男性から話しかけられたのも人生では初めての経験。それが全ての始まりだった。
チャット欄▼
:うそやん
:唐突すぎ
:いつもの妄想ですね
:私も道の真ん中で頭を抱えていたら男性に話しかけてもらえますか?
:ウソっぽいな
:信じられん
「顔を上げたら、学生服を着た若い男の子が立っていたよね。その子が、頭を抱えてしゃがんでいる私を心配してくれてた。それで、声をかけてくれたんだって」
チャット欄▼
:都合の良い展開
:ご都合主義の妄想話だ
:今までの展開とは違う
:男の子、まじで学生なのかよ
:本当に現実の話?
:信じられない
:それで、どうなった?
「その子に私は、正直に言ったよ。実は今、とても悩んでるんだって、ね」
チャット欄▼
:うわ
:なに、カッコつけてんねん
:男の子も迷惑だっただろうね
:年下に甘えるとか
:それで逃げられたって話?
:怖がられそう
「そしたら、その子が話を聞いてくれて。優しい声で、どうしたんですか? って、心配してくれたの!」
チャット欄▼
:ありえん
:妄想世界の話だね
:私も、そんな優しい子と出会いたい
:女性を心配する男性なんて、幻想だよ
:居るはずない
:ブサイクな男だったんでしょ
「おい、チャット欄! 彼を侮辱したら、私が許さないからな」
目に留まった文字に対して、私は一瞬で怒りが湧いた。そして、思わず強い口調で言ってしまった。
彼は決して醜くない。むしろ、とても美しい。この世の者とは思えないくらいに。それに性格だって最高なんだから。彼のことを悪く言うことは、たとえ誰であっても許さない。
チャット欄▼
:ごめんて
:本気で怒ってるぞ
:男性を悪く言うのはダメだろ
:それで、実際はどうなん?
「もちろん彼の本名については配信では出さないし、容姿について詳しくは教えないけど。簡単に説明すると、とても清潔感があって健康的だし、見た目もすっごく格好良いと思う」
チャット欄▼
:完璧やん
:そんな男おる?
:ネット対策バッチリは良いね
:絶対に本名は出すなよ。絶対だぞ
:本当に相手が実在するのなら、迷惑はかけないように
:マジか
:いやいや、釣り針デカすぎ
私の話を聞いて、チャット欄は加速していく。次々と反応が返ってきた。
配信ページに映る自分の姿を確認しながら、チャット欄をチェックする。しっかり反応があった。画面に次々と視聴者からのメッセージが流れていく。
チャット欄▼
:久しぶり!
:声きた
:聞こえた
:始まった?
:待ってました
「いやいや、どうもどうも。お待たせしましたね、皆さん」
いい感じでスタートすることが出来た。今日は、話す内容も十分に用意してある。久しぶりに余裕のある配信に、とても楽な気持ちで挑むことが出来た。
チャット欄▼
:配信のタイトルが不穏
:引退しないよね?
:とんでもない出来事って、何だ?
:おい、やめろ。その言葉をコメントに書き込むな
:早く、お話を聞かせて
「引退はないよ。でも、かなり衝撃的な出来事に遭遇して、どこから話そうかな」
チャット欄に不穏な言葉が流れ続けている。引退するかもしれないと心配している視聴者も多かった。とある掲示板などで引退予想が書かれていることも知っていた。
少し前の私は、視聴者たちの予想していた通り引退も考えていた。でも今は、引退するつもりはない。彼と出会ったことにより、考えが変わった。
チャット欄▼
:朗報! 引退しない
:明言たすかる
:よかった。安心した!
:本当かな? ウソっぽい
:急に引退発表しそう
:本人が引退しない、って言ってるんだから信じろよ
「それで、今日の配信で話したいことなんだけど。結論から言うと、男性と連絡先を交換したんだよね」
チャット欄▼
:は?
:は?
:は?
:今なんて?
:えっと……?
:何言ってるんだ?
予想していた通り、視聴者は混乱した。チャット欄が一気に加速する。チャットの文字が流れていく速さは、今まで見たことないくらいのスピードだった。
「いやいや、本当なんだよ。嘘じゃない、って。信じて」
チャット欄▼
:あ、なんだ。いつもの妄想ね
:妄想か
:なるほど、納得
:新しいパターンやね
:私も男性と連絡先を交換したい
:唐突な始まり
:信じられるか
「だから、現実にあった出来事なんだって! リアル男の子!」
チャット欄▼
:はぁ? 何言ってるの?
:現実で出会えるわけ無いじゃん
:男の子、ってどういう事?
:まさか、若い子なのか!?
:妄想も、ついにここまで来てしまったか
:犯罪はダメだよ
:ミルキーちゃん、妄想の世界から帰ってこい!
当然のように、私の話なんか信じていない視聴者たち。その反応は当然だと思う。今まで、妄想の話ばかり語ってきた私だから。現実で男性と出会えるはずないよね。自分でも、そう思う。
だけど! 今日の出来事は、本当に現実にあったこと。それを今から語っていく。個人情報などは絶対に漏らさないように、注意して。
「じゃあ、最初から話していくね。今日の昼過ぎに、私は家の近所を散歩したんだよね。動画投稿とか、配信のことで悩みながら。正直、かなり悩んでいたよ」
チャット欄▼
:勝手に語り始めたぞ
:今日は飛ばしてるな
:現実の話?
:悩んでいたのは、まぁ察してる。
:前の配信を見てたら、分かっちゃうよね。
「それで、とうとう限界が来ちゃって。道の真ん中で頭を抱えた私」
チャット欄▼
:危ない人やん。
:いつ、男性が登場するの?
:パンツは脱いだままでいい?
:はよ
:人には迷惑かけるなよ
「その時に、声をかけられたんだよね。男性に」
語りながら思い出す。その瞬間を思い出すと、今でも胸がドキドキしてくる。衝撃的だった。よく考えると、父親以外の男性から話しかけられたのも人生では初めての経験。それが全ての始まりだった。
チャット欄▼
:うそやん
:唐突すぎ
:いつもの妄想ですね
:私も道の真ん中で頭を抱えていたら男性に話しかけてもらえますか?
:ウソっぽいな
:信じられん
「顔を上げたら、学生服を着た若い男の子が立っていたよね。その子が、頭を抱えてしゃがんでいる私を心配してくれてた。それで、声をかけてくれたんだって」
チャット欄▼
:都合の良い展開
:ご都合主義の妄想話だ
:今までの展開とは違う
:男の子、まじで学生なのかよ
:本当に現実の話?
:信じられない
:それで、どうなった?
「その子に私は、正直に言ったよ。実は今、とても悩んでるんだって、ね」
チャット欄▼
:うわ
:なに、カッコつけてんねん
:男の子も迷惑だっただろうね
:年下に甘えるとか
:それで逃げられたって話?
:怖がられそう
「そしたら、その子が話を聞いてくれて。優しい声で、どうしたんですか? って、心配してくれたの!」
チャット欄▼
:ありえん
:妄想世界の話だね
:私も、そんな優しい子と出会いたい
:女性を心配する男性なんて、幻想だよ
:居るはずない
:ブサイクな男だったんでしょ
「おい、チャット欄! 彼を侮辱したら、私が許さないからな」
目に留まった文字に対して、私は一瞬で怒りが湧いた。そして、思わず強い口調で言ってしまった。
彼は決して醜くない。むしろ、とても美しい。この世の者とは思えないくらいに。それに性格だって最高なんだから。彼のことを悪く言うことは、たとえ誰であっても許さない。
チャット欄▼
:ごめんて
:本気で怒ってるぞ
:男性を悪く言うのはダメだろ
:それで、実際はどうなん?
「もちろん彼の本名については配信では出さないし、容姿について詳しくは教えないけど。簡単に説明すると、とても清潔感があって健康的だし、見た目もすっごく格好良いと思う」
チャット欄▼
:完璧やん
:そんな男おる?
:ネット対策バッチリは良いね
:絶対に本名は出すなよ。絶対だぞ
:本当に相手が実在するのなら、迷惑はかけないように
:マジか
:いやいや、釣り針デカすぎ
私の話を聞いて、チャット欄は加速していく。次々と反応が返ってきた。
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