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第8話 お仕事

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 今日は、学校が休みだ。だけど、休んでいる暇はない。とても大事な予定があったから。実は僕、学生をやりながら仕事をして働いていた。それも、公務員として。

 国が子作りを支援するための政策を行っており、男女の出会いをサポートするための公共サービスが存在してた。子供を生みたいけれど相手が居ない女性が、登録している男性を紹介してもらってマッチングを行い、出会うための支援をする。そんな、人口を増加させるための大事な取り組みだった。

 登録している男性は、公務員の特別職という立場になる。

 精通して子作りが出来るようになるとすぐに、僕も登録を済ませた。若い頃から色々な女性と出会いを繰り返し、子作りに挑戦する。それでお金がもらえて、子供が出来ると特別報酬なども頂ける。こんなに僕に合う仕事はないだろう。そして、国のためにもなる。

 他の男性は、色々と大変そうだ。僕は、他の男性とは違うようだった。いつまでも続けたいと思うような天職。この仕事に、非常に積極的だった。

 そして今日も国から紹介してもらった女性と、これから出会う予定。

 事前に女性の資料を頂いていたので、どんな人物なのかについては把握していた。国が調査した情報は、とても信頼できるものだった。けれども、実際に会ってみたらイメージと違うということもたまにある。

 会ってみて、どう感じるのか見てみないと分からないこともある。

 僕は若い頃から今の仕事を続けてきて、今までトラブルを起こすことなく、実績も積んできた。だから、評価が非常に高かった。その評価のおかげで、良い女性を優先して紹介してもらうことも多かった。

 そして今回の相手は、かなり腕の良い医者。メディアにも登場したことがあって、僕も何度か名前を聞いたことがある女性だった。今までに何人もの患者を死の淵から救ってきたスーパードクター。そんな有名な人を紹介してもらうことになっていた。



 子作りのための国が用意した施設にある、とある部屋で待っていた僕。その部屋に一人の女性が入ってきた。

「はじめまして、七沢直人です」
「あ、あの。はじめまして、市本花怜《いちもとかれん》と申します! 本日は、よろしくおねがいします」

 彼女と顔を合わせて、まずは挨拶。

 資料によると、彼女の年齢は32歳らしい。僕よりも一回り近く年上ということ。だけど、若々しい見た目で可愛らしくもあった。美人というよりは可愛いタイプだ。身長は165センチくらいで、スタイルも良い方だと思う。胸のサイズはかなり大きいみたいだ。

 髪の毛の色は茶色っぽい黒髪ロングヘアーで、毛先が綺麗に整えられている。瞳の色も同じく茶色系で、大きくくりっとしていて可愛らしさがある。

 顔立ちはとても整っていて、芸能人にも負けないような美しさを持っていた。肌も白くて美しい。

 服装は白を基調としたワンピースドレスという感じで、清楚さを感じるデザインのものを着用している。かなり気合が入った服装かな。

 そんな彼女が、とても緊張した様子で丁寧な挨拶をしてくれた。何度も繰り返し、頭を下げている。そんなに丁寧にされると、逆に恐縮してしまうかもしれない。

「花怜さん、ですね。よろしくお願いします」
「は、はい……」

 なんだか、元気がない。いや、緊張し過ぎでガチガチになっているようだ。

 サービスを利用するのは今回が初めてじゃないらしいけれど、それほど男性に慣れていないということなのかな。とりあえず、彼女にはリラックスしてもらわないと。

「まずは座りましょうか」
「あ、はい!」

 ソファーへ案内して座らせる。そして、僕が彼女の分の飲み物を用意する。まずは落ち着けるように。

「何か飲みますか?」
「あ。じゃあ、コーヒーを……」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます……。んっ……美味しい」

 用意したコーヒーを口にすると、彼女はホッとした表情になった。

 先ほどまでの緊張した様子が、少しだけど和らいできたように見える。良かった、これで話を進めやすそうだ。

「職員の人から、お話は聞いていますか?」
「あ、はい。聞いています」

 僕が話しかけると、彼女はハッキリと答えた。どうやら、しっかりしている人だ。資料の通り、とても真面目な人だということが分かった。

 これは、上手くいきそうな気がするぞ。

「それじゃあ、早速行きますか。デートに」
「ッ! はい、お願いします。デート」

 今日は、これから彼女と二人で出かける。この部屋で子作りする、というわけじゃなかった。

 他の男性は、出会ってすぐに済ませて終わらせる人が多いらしい。

 僕のように、時間をかけて仲良くしようとする人は珍しいそうだ。業務に含まれていないから。

 だけど、僕は仲良くなってからじゃないと子作りするのは嫌だった。デートをして仲を深めてから、最後に子作りをする。これが、僕のやり方だった。

 花怜さんと一緒に部屋を出る。この部屋は待ち合わせするために利用していただけで、これから別の場所へ行く。そこで、楽しく遊ぶ予定になっていた。

 さてと、彼女と仲良くなるためにデートを楽しもうかな。
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