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第28章 アリムをトラスファーに導いた May 様

176 この世界の私に振替する

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シャイアルーア
「いいや、そもそもの元凶である、この世界の私に振替するつもりだ。」

アリム
「この世界の【美杉 瞳】にですか?
 どうやって? わたしは、どこにお住まいか知りませんよ。
 関わりたくないひとなのでね。」

シャイアルーア
「それは、心配いらない。
 い、痛いな。
 スリーカーさん、治療をお願いします。」

スリーカー
「性魔力を36ポイント頂きます。
 はい、確かに。
 では、治療します。」

アリム
「そんなに簡単に直るなら、あと2,3発いいですか?」

シャイアルーアは、不機嫌そうな顔をした。

シャイアルーア
「次は反撃するぞ!
 そして、私は後始末しないで、元の世界に帰ってしまうだろう。」

アリム
「・・・」

シャイアルーア
「あなたに愛し合える相手が現れたことを、うれしく思っているよ。
 だからこそ、ちゃんと来た時よりも美しい状態にして帰るよ。

 すこし、待っててね。

 この世界のわたしは、この辺に住んでいると思うけれど・・・」

シャイアルーアは、デバイスを会議室のディスプレイに接続してから言った。

シャイアルーア
「あっ? 順番が逆になったけれど、ディスプレイを使わせてくれますか?」

真々美
「どうぞ。」

シャイアルーア
「ありがとう。
 さてと、変だなー、この世界の私の姿が見当たらない。

 枯れた花のような希望を無くした表情のお腹がでている中年の女性ではないはずなんだが・・・

 うーん、事故かなにかで亡くなったのかなあ?」

冬香
「シャイアルーアさんは、お幾つなんですか?」

シャイアルーア
「アンダー70cmのGカップ。
 それが関係するのか?」

冬香
「いえ、ご年齢の話です。」

シャイアルーア
「ああ、50歳だ。 彼の3つ年下だ。」

真々美
「年齢くらい、本当のことを言ってもいいのではないか?」

シャイアルーア
「男性相手なら分かるが、女性相手に年齢を誤魔化す意味はないと思うが?」

絵美
「その見た目が若いので、信じられないのです。」

シャイアルーア
「肉体年齢は、永遠の21歳です。」

絵美
「わたしも同じです。」

シャイアルーア
「若さと美しさを保つためなら、酒もたばこもガマンするよな。」

絵美
「おっしゃる通りです。」

冬香
「パラレルワールドから来られたあなたとDNAが同じということはないのですか?」

シャイアルーア
「良い案だ。ハサミを貸してくれますか?」

冬香から受け取ったハサミで髪の毛を数本切って、デバイスに入れた。

数分も経たないうちに、ピーっと検出ブザーが鳴った。

シャイアルーア
「よし、見つかった。
 えっ、あの女性がこの世界のわたし?
 あんなに老けてしまって、なにがあったの?

 まあいいか、じゃあ、オルアさんの中にある【回復妨害の結界球】を、この世界の私の中に移動させよう。

 振替処理開始・・・

 完了しました。」

アリム
「とすると、この世界のMay様である【美杉 瞳】が代わりに失明するのですか?」

シャイアルーア
「うーん、少し違う。
 あなたを守るためのワナは、2段階の防衛をするものだ。

 1.敵の視神経を切断する。
 2.その治療を妨害する。

 スリーカーさんの治療を妨害しても、白医師秘術で回復される可能性があるからな。
 この両方の治療手段を妨害するための処置みたいなものが【回復妨害の結界球】だ。」

アリム
「ということは、現時点ではなにも起きないけれど、不摂生がたたって、糖尿病による失明などに至った場合などは、【回復妨害の結界球】で治療が出来ないということですか?」

シャイアルーア
「正解です。

 それでは、オルアさんの治療ができるようになったので、スリーカーさん、オルアさんの治療をお願いします。」

スリーカー
「性魔力を36ポイント頂きます。
 はい、確かに。」

5分後

スリーカー
「ふう、上手く行きました。
 オルアさんの視神経を復活できました。」

アリム
「スリーカーさん、ありがとう。」

アリムは、オルアを抱きかかえた。

アリム
「オルア、ねえ、起きて。
 もう、大丈夫だよ。」

オルア
「うーん、もう少し、寝かせてよ。」

オルアは目を開けた。

アリム
「オルア、もう大丈夫だよ。」

オルアは涙を流しながら、アリムのほほを両手で撫でた。

オルア
「良かった。アリムの顔が見れる。
 あのね、怖い夢を見たの。

 アリムに【瞳の奥】という指折りの美女の技を使ったら、両目を失明した夢を見たわ。」

アリムは涙を流しながら、答えた。

アリム
「それは、夢じゃないよ。
 本当に起こったことだよ。
 でもね。May様とスリーカーさんが治してくれたんだよ。」

オルア
「May様、スリーカーさん、ありがとうございました。」

シャイアルーア メイ ルビエライン
「オルアさん、御迷惑をかけて申し訳ございません。
 彼を守ろうとしたワナが、あなたに誤爆しました。」

冬香がオルアを後ろから抱きしめた。

冬香
「オルア、本当に良かった。」

真々美
「シャイアルーアさん、命びろいしたな。」

シャイアルーア
「ご迷惑をおかけしたこと、重ねてお詫びします。」


つづく
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