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第25章 呪いに対抗できる人材をもとめて

157 ナームに教わったマインルーン

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 アリムたちの家

アリム
「あ・な・た、今夜は、どんなことを求めてきますか?
 家事をして、夜を待つ。
 洗ったばかりのパジャマを用意して、身づくろいして待ちますわ。」

 アリムは家事をがんばっている。

アリム
「2泊3日のお泊り会は、後始末が大変だな。
 男の子だから家事をするけれど、男の人だったら絶対に拒否するよ。」

 ガチャとドアが開いた。

アリム
「あれ? 誰かが帰ってきたみたいだ。
 おかえりー。」

 タッタッタッと玄関へ駆けていった。

アリム
「あっ、絵美さん、どうしたの?
 会議は終わったの?」

絵美
「アリム、逃げて。」

アリム
「えっ? 今なんて、
 うわっと?」

 アリムは思わず、後ろにとんだ。

絵美
「ガオー。 ワンツー、ワンツー。」

絵美は、ボクシングのジャブのように、なんどもアリムをパンチでなぐった。

アリム
「や、やめてよ。
 い、痛い。」

アリムはなんとか避けようとしたが、2回に1回くらいは当たってしまった。

絵美
「竜くん、に、げ、t・・
 おらあー。」

アリムは、避けられないと悟って、少しでも攻撃の軌道を変えようとした。

アリム
「絵美、どうして。」

絵美のパンチを避けようとしたら、キックで足を攻撃された。
アリムは、左手でキックを払いながら、蹴り返そうとしたが、避けられてしまった。

アリム
「せめて、逃げなきゃ。
 まずい、こんなことなら、オルアさんに格闘術を教えてもらう日を早めれば良かった。」

アリムの目からは涙が出ていた。

絵美
「アリ、りゅ。 退場だー。」

絵美の顔からは、まぶしい笑顔が消えていた。
ただただ、へんだった。

アリム こころの声
『ナーム、助けて!』

ナーム (前世の記憶)
「アリム、チェンジしなさい。」

アリム
「えっ? ボクは、変身ヒーローじゃ、ぐふ。」

絵美
「はい、ど真ん中に入ったあ。」

メイ (過去の記憶)
「この時代に、男の子の相手をできる女性はいません。

 あなたが人格じんかく崩壊ほうかいから、こころを守る方法は、ただひとつ。
 男の人バージョンの人格を作るしかありません。

 そのために、トラスファーになりなさい。」

絵美
「もう1本、あげるわね。
 キック、踏み蹴り、どちらが良いですか?」

 絵美は、涙を流しながら、笑顔でキックを放ってきた。

アリム こころの声
「ナーム。 メイ様。 思い出したよ。」
※ Nahm, May.

アリムは覚悟を決めて、後ろに下がった。

絵美
きがいい獲物えものは、なぶりがいがあるわ。
 食べたものを全部、はいてしまえ!」

アリム
「チェンジ! トラスファー! 男の人バージョン。」



☆ 男の子のすぐ上に、「Trasfer」(※2)のクラスがあること、
☆ (※2)
☆  栄語の Transfer(変換)から 「n」 が抜けたタイプミスではない。
☆  カセイダード王国では、なぜか、「n」 を省くことが多い。
☆  省かれた場合、なにか特別な意味を持たせている。
☆ 
☆ 013 【挿絵】 医師(白石冬香)の検証 スリーカーなど


 30秒間、アリムは逃げ回った。

アリム (低い声)
「変換完了。」

絵美
「無駄なあがきだー。」

アリム (低い声)
「あっ、むん、とお。」

 アリムは力強い動きで、絵美のパンチと蹴りを払いのけた。
 絵美の腹に下から上に突き上げるパンチを入れた。

 そして、絵美の両腕の手首を自分の両腕で握って、絵美を壁に押し当てた。
 さらに、腹に右ひざを当てて、押し込んで、動きを止めた。

アリム (低い声)
「絵美、しっかりしろ。
 正気に戻れ。」

絵美
「竜くん、すごいね。
 わたしを抑え込めるなんて。

 はっ、アリム、逃げて。

 わたしたちは、呪術師に支配されて・・・

 うぐ。

 くそおー、はなせ、ドカスがあ!」

アリム (低い声)
「絵美、どうしたんだ?
 呪術師? 支配?」

アリム こころの声
『なんのことだ?
 マンガのような精神支配? マインドコントロール?』

ナーム (前世の記憶)
「アリム? しっかりしてよね。
 こんな手にやられてしまうなんてね。

 往復ビンタの平手打ちしてもいいけれど、それだと応用が効かないからね。

 目を覚ませ! 愚か者おろかもの
 【レパラ】。」

アリム (低い声)
「あのときの俺と同じ状態に、絵美はなってしまったのか?

 しかし、男の人バージョンでは、性魔力は使えない。
 しかも、マインルーンは男の子でも使うことがむずかしい。
 ・・・
 それに、男の子の腕力では、この状態の絵美には5秒と持たない。
 ・・・
 仕方ない、やるしかないか?」

アリム (低い声)
「絵美、かなり痛くするが、うらまないでくれよ。
 せめて、1分。 いいや、安全を見て、3分は絵美の動きをとめないと・・・」

絵美
「はなせやー、わたしがこわいのかー、ああー。」

アリムは、絵美の手を放すと同時に、3連パンチを絵美の腹に入れた。
絵美がうずくまったところに、蹴りを入れて、遠くに蹴り飛ばした。

アリム (低い声)
「チェンジ! トラスファー! 男の子バージョン。」

 アリムは、絵美が気を失っているうちに、物陰に隠れた。

アリム こころの声
『30秒が、3分くらいに感じてしまう。』

アリム (いつもの高い声)
「変換完了。」

 静かに絵美の方に近づいた。

アリム (いつもの高い声)
「絵美、目を覚まして。 【レパラ】。」

絵美から黒い煙が出て、消え去った。

絵美
「うう、痛い。
 はっ、アリムさん、逃げて。
 わたしたちは呪術師に支配されてしまったの。」

アリム (いつもの高い声)
「絵美さん、もう大丈夫だよ。
 スリーカー。」

絵美
「だめよ。 それよりも逃げて!
 真々美、冬香さん、オルアさんの3人も、もうすぐ来る。
 3人から逃げるための性魔力を残しておかなきゃ。」


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