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第17章 カセイダード本星の女王様

106 21日目 女王様との謁見

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 21日目(8月21日(月)) AM 10:10 朝

(2日に一度の会議: 偶数日の予定、本日はなし。
 一番権利者: 冬香。)





 昨日の夜遅く、真々美との愛情交換が終わった後で知らされたことがある。

 今日の朝に、カセイダード本星のサア女王様との遠隔映像通信、つまり、TV通信による謁見えっけんの予定が入れられた。

 目の前には大型スクリーン、その両脇には大型のスピーカーが置かれている。

 その前に、ボクたちは整列した。
 女王様から見て、左から、絵美さん、真々美、冬香、オルア、アリム(=ボク)の順に並んでいる。

アリム こころの声
『どうしよう?
 ドキドキが止まらない。』
 
 開始時刻まで、あと10分くらいだ。

絵美
「アリムさん、大丈夫だからね。
 普段通りに受け答えしてくれれば、問題無いわ。」

真々美
「そうだぞ、サア様は、人格的にも能力的にも幸福度的にも優れた御方だから、アリムに対して、やっかみや意地悪してやろうという気持ちは少しもないからな。」

冬香
「アリム、わたしたちと仲良くできたんだから大丈夫よ。」

オルア
「すぐとなりに私がいるわ。
 ずっと手をつないでいるからね。
 不安を感じたら、強く握ってね。
 そのときは、助け舟となる発言をするから、安心してね。」

アリム
「ありがとう。
 絵美さん、真々美、冬香、オルア。
 少しずつ落ち着いてきたよ。」

 開始時刻を知らせるブザーが鳴った。

オルア
「映画の開始を知らせるような雰囲気ね。」

 大型スクリーンにカセイダード本星の画像が映し出された。
 両脇の大型のスピーカーからも音が聞こえてきた。

 画面の中央には、空席の玉座がひとつあった。
 その後ろには、左側に2人の美しい女性が立っていた。
 右側にも、2人の美しい女性が立っていた。

 容姿は、左から、黄色い長髪、茶色い長髪、白い長髪、オレンジの短髪だった。 4人とも、絵美さんたちのように背が高く、美しい体型をしていた。
 服装は、絵美と同じあざやかな青色のスーツだった。
 こげ茶色のスラックスに、えりきの白いドレスシャツで統一されていた。

 一番左側に立っていた美しい女性が画面の中央に歩いてきた。

ミミー ミリー
「絵美、聞こえるかしら?
 絵美、こちらが見えるかしら?」

白沢しろさわ 絵美えみ
「聞こえるわ。 ミミー。
 見えるわ。 ミミー。」

ミミー ミリー
「通信状況に問題は無いようね。」

白沢 絵美
「ええ、良好ね。 盗聴対策は、どうかな?
 判定結果は?」

ミミー ミリー
「大丈夫よ。
 チータマルム支国で盗聴されないかぎりね。」

白沢 絵美
「じゃあ、安心ね。
 その? りゅうくんは元気にしているかな?」

ミミー ミリー
「わたしのパートナーのリョウジャーによると、元気がないそうよ。
 あなたの帰りを、首を長くして待っているわ。
 帰星きせい予定日を知らせてあげたの?」

白沢 絵美
「いいえ、知らせていないわ。
 いつ帰るか分からない方が、わたしの存在価値を正しく理解してくれる。
 そう思って、

  「かなり先になる。」

としか伝えていないわ。」

ミミー ミリー
「そうなのね。
 まあ、わたしたちは

  「聞かされていない。
   ただ、長くなりそう。」

としか言っていないからね。」

白沢 絵美
「ありがとう。
 そうしてくれて、助かるわ。」

ミミー ミリー
「じゃあ、サアが
  「まだー? 待ちきれないよー。」
という顔をしているそうだから、
ご登場いただくわ。」

 ミミーは元居もといた後ろに並び直した。

 しばらくして、女王様とわかる美しい容姿の女性が歩いてきて、玉座の前に立った。

 絵美たちの上着の色は、女王様の青い髪と同じ色にあわせたものだと分かった。

アリム こころの声
『髪の色以外は、絵美と似ている気がする。
 美形の終着点しゅうちゃくてんは、種類が多くないのかもしれないな。』

サア女王
「絵美、真々美さん、冬香さん、オルアさん、アリムさん。
 急な打診だしんでしたが、予定を合わせてくれてありがとう。

 わたしは、絵美のハイシスにして、カセイダード本星の女王をしています。

 Surlofiaサアロフィア Mayメイ Kaseidardカセイダード です。

 カセイダード本星の女王になる前の苗字みょうじ家名かめいは、Rubielineルビエラインです。」

白沢 絵美
「サア、お元気そうで、なによりです。
 わたしのサブシスである真々美たちが愛するアリムさんとの面談の時間を割いて頂き、ありがとうございます。」

中路なかじ 真々美ままみ
「サア様、このたびは、わたしたち、チータマルム支国を救うために、絵美を派遣してくださったこと、まことに感謝しています。」

サア女王
「絵美と真々美さんの姉妹関係の儀式を見守った責任を果たせて、うれしくおもいます。
 みなさんが頑張った成果です。
 わたしは、少しだけ応援したに過ぎません。」

絵美
「サアの助けは大きかったです。」

真々美
「サア様と絵美にめぐり合えた喜びを、女神さまに感謝します。」

サア女王
「公式記録に残すための感謝を示す会話は、この辺で良いでしょう。

 アリムさんとの会話を楽しみたいので、みなさんの同席をお願いします。」

 サア女王は、後ろを向いた。

サア女王
「ミミー、リリー、シドニー、美々みみ
 よろしくお願いします。」

ミミー、リリー、シドニー、美々
「「「「御意ぎょい。」」」」

 サア女王は、アリムたちの方に向き直った。

サア女王
「アリムさんが気楽に話せるように、絵美、真々美さん、冬香さん、オルアさん。
 そばにいてあげてくださいね。」

絵美、真々美さん、冬香さん、オルアさん
「「「「はい、もちろんです。」」」」

サア女王
「アリムさん、こころの準備は大丈夫ですか?」

アリム
「は、はいい。 だ、大丈夫です。」

サア女王
「そんなに緊張きんちょうしなくても大丈夫ですよ。
 わたしも緊張していますからね。
 お互い様です。

 男性と話をするのは、10年以上ぶりですからね。」

アリム
「お心遣こころづかい ありがとうございます。

 今のカセイダードでは、男性は要職ようしょくについていないということですか?」

サア女王
「その通りです。

 ベーシックインカムを導入した結果、男性で要職に就いている者はゼロです。
 つまりは、自宅封印じたくふういんですね。 

 絵美たち5人のパートナーの男性は名目上の役職についてはいます。

 しかし、チータマルムせい光元国ひかりもとこくで言うところの名誉職めいよしょくというか秘書ひしょのような立場です。」

アリム
「では、軍部ぐんぶの要職からも、男性は排除されたのですね。」

サア女王
「そうです。

 チータマルムせい光元国ひかりもとこくで人気があったマンガのように男性は表舞台からは姿を消しています。
 というか、姿を消してもらいました。」

アリム
「そうですか。
 それを聞いて、ほっとしました。」

サア女王
「わたしも、あなたから聞き出したいことが、やまのように多くあります。」
 
 21日目(8月21日(月)) AM 10:50 朝
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