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第15章 ボクたちの前世
089 ナイトバインドの効果と威力
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わたしもアリムさんが欲しいです。
家事を嫌がらずにしてくれる男性って、貴重ですよね。
◇
17日目 PM 13:05 昼
《2日に一度の会議: 偶数日の予定、本日は無し。
一番権利者: 真々美。
アリムは目を覚ました。》
◇
絵美、真々美、冬香とオルアは、真々美の執務室にいた。
冬香
「真々美? ご機嫌ね。」
真々美
「ああ、そうだな。
アリムが私の番を覚えていてくれたことが、うれしいんだ。」
☆ アリム
☆ 「夜に仲良くと言えば、今日の一番権利者は、真々美だよね。
☆ ボクにとっては、昨日の翌日だけれど、
☆ 真々美にとっては、5から6日間も空いたから、思い出してね。」
☆
☆ 088 真々美、冬香、オルアの愛の高さ
絵美
「よかったわね。 真々美」
オルア
「真々美も、アリムに執着心を持ってくれて、うれしいわ。」
絵美
「ねえ、話題を変えるけれど、
アリムが目覚めたことを知らせなくてもいいの?」
真々美
「シュウピンさんとメラニィさんには、明日の会議で伝えようと思っている。」
絵美
「それでは遅すぎるわ。
シュウピンさんとメラニィさんは、アリムの遺伝子獲得権を宣言したわ。
ということは、アリムに拒否されるまでは、身内レベルの関係者として知る権利があると考えるべきよ」
真々美
「そういう考え方もあるな。」
冬香
「それに、紅姫、黄花、青紫の神器を引き取ったことからも、
アリムが目覚めたのでは?
と気付いているはずよ。」
オルア
「ねえ、冬香、三種の神器って、なんのはなし?」
真々美
「ああ、
紅姫の【妖刀斬 紅丸】、
黄花の【聴診丸】、
青紫の【音色のそろばん】
のことだ。」
オルア
「【妖刀斬 紅丸】は、真々美の胸元に差している刀のことよね。
【聴診丸】は、どんなものなの?」
冬香
「これよ。」
冬香は、左のポケットから取り出して見せた。
小さな糸電話のような形をした円柱型の2個のコップ、光元国の酒を温めて飲むときの容器のようなものを見せた。
オルア
「小さな糸電話に見えるわね。
これは、もしかして、聴診器として使われていたものかな?」
冬香
「さすがね、オルア、その通りよ。
良く分かったわね。」
オルア
「冬香はいつでも聴診器を持ち歩いているからね。
そんな冬香の前世を考えたら、聴診器かなって思ったのよ。」
真々美
「なるほどな。」
オルア
「それで、私の神器は、どこにあるの?」
冬香
「アリムが預かっているはずだけれど?」
真々美
「あ、予定が押していると言ったから、アリムがあせってしまったのかもしれないな。
あとで、アリムから受け取ってくれ。」
オルア
「じゃあ、そうするわ。」
オルアは、デバイスを確認した。
オルア
「アリムからはメッセージが来ていないわね。」
真々美
「おそらく、いざというときしか連絡を入れたらダメと気を遣ったのかもしれないな。」
冬香
「オルア?
気になるのなら、戻って受け取ってくればいいわ。」
オルア
「うーん? どうしようか?」
オルアは迷っていた。
絵美
「これから、シュウピンさんとメラニィさんのところに行くことになるだろうから、手元にあった方がいいわね。 オルアさん、面倒かもしれないけれど、取りに戻ってくれないかな?」
オルア
「じゃあ、そうするわ。
こんなときに、レバーラを使えたら楽なのにね。」
絵美
「そうね、でも、緊急時以外は使わない方がいいわ。
歩いても片道5分くらいだから、レバーラは使うべきではないわ。」
オルア
「絵美様のおっしゃる通りですね。」
絵美
「行ってらっしゃい。」
オルア
「行ってきます。」
オルアは、青紫の【音色のそろばん】を受け取るために、アリムのもとに戻っていった。
絵美
「絵美様かあ。
絵美でいいのにね。」
冬香
「そうでしょうか?」
絵美
「冬香さん、どうしたの?」
冬香
「絵美様、やはり、呼び方は変えない方が良いと考えます。」
絵美
「どうして?」
冬香
「上下関係が曖昧になるからです。
やはり、組織と言うものは上下関係を明確にしないと責任の所在が分からなくなるから良くないと考えます。」
絵美
「冬香さんは真面目ねえ。」
真々美
「冬香?
なにか気に病んでいることがあるのか?」
冬香
「アリムを絵美様と共有したくありません。」
絵美
「えっ?
どういうことなの?」
冬香
「自分でも意外ですが、わたしはアリムを真々美とオルア以外の存在と共有したくありません。
今夜、絵美様がアリムと愛情交換されると考えてから、わたしの心の中で、どす黒いものが渦を巻いています。
すみません、絵美様が来て下さらなかったら、アリムとわたしたち3人は生きていなかったことは理解しているのです。
それでも、わたしは、アリムを渡したくないです。」
真々美
「冬香? いつから?
アリムに執着するようになったんだ?」
冬香
「交配届前検査のときからです。
あのとき、アリムに御礼の検尿を見せようか?
それとも、見せないでおこうか?
と悩みました。
でも、もし御礼をしなかったらアリムとの関係が切れてしまう。
そうなったら、生きていけないと気付きました。」
絵美
「ルナさんが言っていた、
恋をしているわね。
って、アリムのことだったのね。」
☆ 086 万能で最強のルナです
冬香
「そうです。
わたしはアリムに恋をしています。
もしかしたら、オルアよりも強い執着心を持っているかもしれません。
絵美様とアリムがお互いを名前で呼び捨てで呼び合うことまでは、飲み込めます。
ですが、ですが、愛情交換関係は結ばないで頂けませんか?
絵美様、わたしの一生のお願いです。」
真々美
「冬香、そこまでアリムのことを想っていたのか?」
冬香
「そうよ。
オルアとアリムのどちらを選ぶか?
と言われたら、オルアを選ぶと思う。
でも、真々美とアリムのどちらを選ぶか?
と聞かれたら、わからないわ。」
絵美
「冬香さん、打ち明けてくれて、ありがとう。
アリムに決めてもらってもいいですか?
冬香さんがそこまで思い詰める男性だと知って、アリムのことが本当に欲しくなってきたわ。」
真々美
「絵美? それは、アリムに拒否されたら、あきらめるということか?」
絵美
「アリムさんとの友好関係は維持したいわ。
でもね、冬香さんに嫌われてまで欲しいかと言われたら、冬香さんを優先したいのよ。
真々美と冬香さんの姉妹関係の儀式を見届けたことが思い出されてきて、真々美の次に大事にするべきひとは、冬香さんなんだって、こころの中で響いているの。」
真々美
「絵美、ありがとう。
冬香、打ち明けてくれて、本当にありがとう。
オルアが戻ってきたら、続きを話そう。
言い出しにくかったら、わたしと絵美から話すから心配しないでいい。」
冬香は涙を拭いてから返事をした。
冬香
「絵美様、ありがとうございます。
真々美、ありがとう。」
3人はオルアの帰りを待つことにした。
真々美
「その前に、シュウピンさん、メラニィさん、セーラさんに連絡を入れておく。
14時にシュウピンさんのところに集まっていてもらうように依頼する。」
絵美
「そうね、よろしくね。 真々美。
冬香さん、しばらく、目を休めて冷やした方がいいわ。
ごめんね。 少し目が腫れちゃったね。」
冬香
「絵美様、それでは、少し休ませて頂きます。」
◇
オルアはアリムが家事をしている家に帰ってきた。
オルアは鍵を開けた。
ガチャと音がした。
アリム
「えっ? だれ?」
オルア
「ただいまー。
アリム、どこー?」
アリム
「あれ? オルア? 忘れものかな?」
オルア
「そんなところね。
近いわ。
ねえ、アリム、なにか忘れてないかなあ?」
アリム
「うん、リビングのオルアの席に置いているよ。
ごめんね。
渡すのが遅れてしまいました。」
オルアはリビングの自分の席を見た。
メモ書き
「オルアさま
渡し忘れて、ごめんね。
これは、オルアの前世、青紫が使用していた【音色のそろばん】という計算に使う道具です。
そろばんをはじく音色で商売の良し悪しが分かるそうです。」
オルア 心の声
『くちで言ってくれても良いんだけれど、聴覚情報処理障害だったころの習慣が残っているのね。
でも、口頭伝達は時間の無駄だから、書いて渡すということは仕事の効率的に良いわね。』
アリムが深刻そうな目でオルアを見つめていることに気付いた。
オルア
「アリム、どうしたの?
深刻な顔をして。」
アリム
「オルア?
忙しいところ悪いんだけれど、僕に時間をくれないかな?」
オルア
「じゃあ、10分だけね。」
アリム
「ねえ、まずは抱きしめてもいいですか?」
オルアは返事する代わりに、アリムを抱きしめた。
オルア
「ねえ、どうしたの?
なにを不安に感じているの?」
アリム
「ボクは一番にオルアのことが好きだよ。
二番目に真々美、三番目に冬香のことが好きだ。」
オルア
「知っているわ。
でも、あらためて言葉にしてくれると、うれしいわ。」
アリム
「白沢絵美様のことだけどね。」
オルア
「絵美のこと?
呼び捨てで呼び合う仲になったはずでしょ?
呼び慣れないのかな?」
アリム
「そうかもしれないね。
絵美のことは本当に好きだったという記憶は残っているよ。
でも、記憶だけだよ。
だからね、絵美と名前を呼び捨てで呼び合うくらい仲良くできることは、本当にうれしいよ。
でもね、そのお。」
オルア
「なにか言いにくそうね。
でも、ちゃんと言って欲しいわ。
こころの中を読んでもいいけれど、それはしたくないわ。」
アリム
「今夜の真々美との愛情交換は楽しみにしています。
でも、絵美との愛情交換は無理です。
前世でも現世でも、絵美との間には、そこまで親しくなるような出来事はありません。」
オルア
「でも、白沢絵美様のようにすべてを兼ね備えた素敵な女性はいないわ。
もったいないとは思わないの?」
アリム
「白沢絵美様は、たしかに素敵だよ。
でもね、ボクはすでに満たされているんだ。
オルア、真々美、冬香がボクを好きでいてくれる奇跡を大事にしたいんだ。」
オルア
「私だけでは決められないわ。
真々美と冬香と相談して、絵美様にどのように伝えるか考えるわ。」
アリム
「絵美様のことが嫌なわけじゃないよ。
ただ、絵美様よりもオルア、真々美、冬香のことが好きなんだ。」
オルア
「わかったわ。
アリム、打ち明けてくれて、ありがとう。」
アリム
「オルア、聞いてくれて、ありがとう。
時間を割いてくれて、本当にありがとう。」
オルア
「じゃあ、【音色のそろばん】は受け取ったわ。
また、夕方に会いましょう。」
アリム
「うん、またね、オルア。」
オルア こころの声
『ナイトバインドって、単なる儀式の1つに過ぎないと思っていたわ。
でも、絵美様との愛情交換を拒否するだなんて、たいした効果と威力があるのね。
あっと失礼、保留とか延期と表現する方がいいわね。
出会って間もないからと伝えた方が良さそうね。
それにしても、女性のような考え方をするわね。
多くの男性は美しい女性と出会ってすぐに求めてくると思っていたけれど・・・
ああ、そうか、男の子のクラスターは、性別が男性という点を除けば、女の人のクラスターと同じ価値があるというのも納得ね。』
オルアはなんとなく気分が良くなった。
オルア こころの声
『3つ先の来世まで、アリムをナイトバインドしたことは正解だったわね。
浮気される心配が限りなくゼロになったのだから。』
13:35
◇
ナイトバインドって、騎士としての守る契約だけではなかったのですね。
文字通り、夜の拘束の意味も有ったのですね。
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家事を嫌がらずにしてくれる男性って、貴重ですよね。
◇
17日目 PM 13:05 昼
《2日に一度の会議: 偶数日の予定、本日は無し。
一番権利者: 真々美。
アリムは目を覚ました。》
◇
絵美、真々美、冬香とオルアは、真々美の執務室にいた。
冬香
「真々美? ご機嫌ね。」
真々美
「ああ、そうだな。
アリムが私の番を覚えていてくれたことが、うれしいんだ。」
☆ アリム
☆ 「夜に仲良くと言えば、今日の一番権利者は、真々美だよね。
☆ ボクにとっては、昨日の翌日だけれど、
☆ 真々美にとっては、5から6日間も空いたから、思い出してね。」
☆
☆ 088 真々美、冬香、オルアの愛の高さ
絵美
「よかったわね。 真々美」
オルア
「真々美も、アリムに執着心を持ってくれて、うれしいわ。」
絵美
「ねえ、話題を変えるけれど、
アリムが目覚めたことを知らせなくてもいいの?」
真々美
「シュウピンさんとメラニィさんには、明日の会議で伝えようと思っている。」
絵美
「それでは遅すぎるわ。
シュウピンさんとメラニィさんは、アリムの遺伝子獲得権を宣言したわ。
ということは、アリムに拒否されるまでは、身内レベルの関係者として知る権利があると考えるべきよ」
真々美
「そういう考え方もあるな。」
冬香
「それに、紅姫、黄花、青紫の神器を引き取ったことからも、
アリムが目覚めたのでは?
と気付いているはずよ。」
オルア
「ねえ、冬香、三種の神器って、なんのはなし?」
真々美
「ああ、
紅姫の【妖刀斬 紅丸】、
黄花の【聴診丸】、
青紫の【音色のそろばん】
のことだ。」
オルア
「【妖刀斬 紅丸】は、真々美の胸元に差している刀のことよね。
【聴診丸】は、どんなものなの?」
冬香
「これよ。」
冬香は、左のポケットから取り出して見せた。
小さな糸電話のような形をした円柱型の2個のコップ、光元国の酒を温めて飲むときの容器のようなものを見せた。
オルア
「小さな糸電話に見えるわね。
これは、もしかして、聴診器として使われていたものかな?」
冬香
「さすがね、オルア、その通りよ。
良く分かったわね。」
オルア
「冬香はいつでも聴診器を持ち歩いているからね。
そんな冬香の前世を考えたら、聴診器かなって思ったのよ。」
真々美
「なるほどな。」
オルア
「それで、私の神器は、どこにあるの?」
冬香
「アリムが預かっているはずだけれど?」
真々美
「あ、予定が押していると言ったから、アリムがあせってしまったのかもしれないな。
あとで、アリムから受け取ってくれ。」
オルア
「じゃあ、そうするわ。」
オルアは、デバイスを確認した。
オルア
「アリムからはメッセージが来ていないわね。」
真々美
「おそらく、いざというときしか連絡を入れたらダメと気を遣ったのかもしれないな。」
冬香
「オルア?
気になるのなら、戻って受け取ってくればいいわ。」
オルア
「うーん? どうしようか?」
オルアは迷っていた。
絵美
「これから、シュウピンさんとメラニィさんのところに行くことになるだろうから、手元にあった方がいいわね。 オルアさん、面倒かもしれないけれど、取りに戻ってくれないかな?」
オルア
「じゃあ、そうするわ。
こんなときに、レバーラを使えたら楽なのにね。」
絵美
「そうね、でも、緊急時以外は使わない方がいいわ。
歩いても片道5分くらいだから、レバーラは使うべきではないわ。」
オルア
「絵美様のおっしゃる通りですね。」
絵美
「行ってらっしゃい。」
オルア
「行ってきます。」
オルアは、青紫の【音色のそろばん】を受け取るために、アリムのもとに戻っていった。
絵美
「絵美様かあ。
絵美でいいのにね。」
冬香
「そうでしょうか?」
絵美
「冬香さん、どうしたの?」
冬香
「絵美様、やはり、呼び方は変えない方が良いと考えます。」
絵美
「どうして?」
冬香
「上下関係が曖昧になるからです。
やはり、組織と言うものは上下関係を明確にしないと責任の所在が分からなくなるから良くないと考えます。」
絵美
「冬香さんは真面目ねえ。」
真々美
「冬香?
なにか気に病んでいることがあるのか?」
冬香
「アリムを絵美様と共有したくありません。」
絵美
「えっ?
どういうことなの?」
冬香
「自分でも意外ですが、わたしはアリムを真々美とオルア以外の存在と共有したくありません。
今夜、絵美様がアリムと愛情交換されると考えてから、わたしの心の中で、どす黒いものが渦を巻いています。
すみません、絵美様が来て下さらなかったら、アリムとわたしたち3人は生きていなかったことは理解しているのです。
それでも、わたしは、アリムを渡したくないです。」
真々美
「冬香? いつから?
アリムに執着するようになったんだ?」
冬香
「交配届前検査のときからです。
あのとき、アリムに御礼の検尿を見せようか?
それとも、見せないでおこうか?
と悩みました。
でも、もし御礼をしなかったらアリムとの関係が切れてしまう。
そうなったら、生きていけないと気付きました。」
絵美
「ルナさんが言っていた、
恋をしているわね。
って、アリムのことだったのね。」
☆ 086 万能で最強のルナです
冬香
「そうです。
わたしはアリムに恋をしています。
もしかしたら、オルアよりも強い執着心を持っているかもしれません。
絵美様とアリムがお互いを名前で呼び捨てで呼び合うことまでは、飲み込めます。
ですが、ですが、愛情交換関係は結ばないで頂けませんか?
絵美様、わたしの一生のお願いです。」
真々美
「冬香、そこまでアリムのことを想っていたのか?」
冬香
「そうよ。
オルアとアリムのどちらを選ぶか?
と言われたら、オルアを選ぶと思う。
でも、真々美とアリムのどちらを選ぶか?
と聞かれたら、わからないわ。」
絵美
「冬香さん、打ち明けてくれて、ありがとう。
アリムに決めてもらってもいいですか?
冬香さんがそこまで思い詰める男性だと知って、アリムのことが本当に欲しくなってきたわ。」
真々美
「絵美? それは、アリムに拒否されたら、あきらめるということか?」
絵美
「アリムさんとの友好関係は維持したいわ。
でもね、冬香さんに嫌われてまで欲しいかと言われたら、冬香さんを優先したいのよ。
真々美と冬香さんの姉妹関係の儀式を見届けたことが思い出されてきて、真々美の次に大事にするべきひとは、冬香さんなんだって、こころの中で響いているの。」
真々美
「絵美、ありがとう。
冬香、打ち明けてくれて、本当にありがとう。
オルアが戻ってきたら、続きを話そう。
言い出しにくかったら、わたしと絵美から話すから心配しないでいい。」
冬香は涙を拭いてから返事をした。
冬香
「絵美様、ありがとうございます。
真々美、ありがとう。」
3人はオルアの帰りを待つことにした。
真々美
「その前に、シュウピンさん、メラニィさん、セーラさんに連絡を入れておく。
14時にシュウピンさんのところに集まっていてもらうように依頼する。」
絵美
「そうね、よろしくね。 真々美。
冬香さん、しばらく、目を休めて冷やした方がいいわ。
ごめんね。 少し目が腫れちゃったね。」
冬香
「絵美様、それでは、少し休ませて頂きます。」
◇
オルアはアリムが家事をしている家に帰ってきた。
オルアは鍵を開けた。
ガチャと音がした。
アリム
「えっ? だれ?」
オルア
「ただいまー。
アリム、どこー?」
アリム
「あれ? オルア? 忘れものかな?」
オルア
「そんなところね。
近いわ。
ねえ、アリム、なにか忘れてないかなあ?」
アリム
「うん、リビングのオルアの席に置いているよ。
ごめんね。
渡すのが遅れてしまいました。」
オルアはリビングの自分の席を見た。
メモ書き
「オルアさま
渡し忘れて、ごめんね。
これは、オルアの前世、青紫が使用していた【音色のそろばん】という計算に使う道具です。
そろばんをはじく音色で商売の良し悪しが分かるそうです。」
オルア 心の声
『くちで言ってくれても良いんだけれど、聴覚情報処理障害だったころの習慣が残っているのね。
でも、口頭伝達は時間の無駄だから、書いて渡すということは仕事の効率的に良いわね。』
アリムが深刻そうな目でオルアを見つめていることに気付いた。
オルア
「アリム、どうしたの?
深刻な顔をして。」
アリム
「オルア?
忙しいところ悪いんだけれど、僕に時間をくれないかな?」
オルア
「じゃあ、10分だけね。」
アリム
「ねえ、まずは抱きしめてもいいですか?」
オルアは返事する代わりに、アリムを抱きしめた。
オルア
「ねえ、どうしたの?
なにを不安に感じているの?」
アリム
「ボクは一番にオルアのことが好きだよ。
二番目に真々美、三番目に冬香のことが好きだ。」
オルア
「知っているわ。
でも、あらためて言葉にしてくれると、うれしいわ。」
アリム
「白沢絵美様のことだけどね。」
オルア
「絵美のこと?
呼び捨てで呼び合う仲になったはずでしょ?
呼び慣れないのかな?」
アリム
「そうかもしれないね。
絵美のことは本当に好きだったという記憶は残っているよ。
でも、記憶だけだよ。
だからね、絵美と名前を呼び捨てで呼び合うくらい仲良くできることは、本当にうれしいよ。
でもね、そのお。」
オルア
「なにか言いにくそうね。
でも、ちゃんと言って欲しいわ。
こころの中を読んでもいいけれど、それはしたくないわ。」
アリム
「今夜の真々美との愛情交換は楽しみにしています。
でも、絵美との愛情交換は無理です。
前世でも現世でも、絵美との間には、そこまで親しくなるような出来事はありません。」
オルア
「でも、白沢絵美様のようにすべてを兼ね備えた素敵な女性はいないわ。
もったいないとは思わないの?」
アリム
「白沢絵美様は、たしかに素敵だよ。
でもね、ボクはすでに満たされているんだ。
オルア、真々美、冬香がボクを好きでいてくれる奇跡を大事にしたいんだ。」
オルア
「私だけでは決められないわ。
真々美と冬香と相談して、絵美様にどのように伝えるか考えるわ。」
アリム
「絵美様のことが嫌なわけじゃないよ。
ただ、絵美様よりもオルア、真々美、冬香のことが好きなんだ。」
オルア
「わかったわ。
アリム、打ち明けてくれて、ありがとう。」
アリム
「オルア、聞いてくれて、ありがとう。
時間を割いてくれて、本当にありがとう。」
オルア
「じゃあ、【音色のそろばん】は受け取ったわ。
また、夕方に会いましょう。」
アリム
「うん、またね、オルア。」
オルア こころの声
『ナイトバインドって、単なる儀式の1つに過ぎないと思っていたわ。
でも、絵美様との愛情交換を拒否するだなんて、たいした効果と威力があるのね。
あっと失礼、保留とか延期と表現する方がいいわね。
出会って間もないからと伝えた方が良さそうね。
それにしても、女性のような考え方をするわね。
多くの男性は美しい女性と出会ってすぐに求めてくると思っていたけれど・・・
ああ、そうか、男の子のクラスターは、性別が男性という点を除けば、女の人のクラスターと同じ価値があるというのも納得ね。』
オルアはなんとなく気分が良くなった。
オルア こころの声
『3つ先の来世まで、アリムをナイトバインドしたことは正解だったわね。
浮気される心配が限りなくゼロになったのだから。』
13:35
◇
ナイトバインドって、騎士としての守る契約だけではなかったのですね。
文字通り、夜の拘束の意味も有ったのですね。
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