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第13章 愛する人を目覚めさせるために スリーカーを

079 冬香の疑問、絵美の疑問

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 真々美は、性魔力の第5呪文として
 レバーラ - Rebaara
を使用できるようになった。

 それなのに、絵美様は不機嫌そうだった。



 15日目 PM 22:10  夜
《2日に一度の会議: 偶数日の予定、14日目の分を本日、実施済み

 一番権利者: 真々美。
  ただし、アリムが意識を取り戻す《20日目予定》までは、お預け状態。》





 カセイダード王国 チータマルム支国
 国王 中路真々美の寝室

絵美
「それでは、反省会と言う名のお説教をします。
 真々美、覚悟なさい。」

真々美 こころの声
『いつも機嫌が良さそうな絵美の機嫌が明らかに悪い。
 こういう雰囲気の絵美がいるときは、間違いなく私がなにかやらかしてしまったのだろう。』

 真々美は覚悟を決めた。

真々美
「なにかしてしまっただろうか?」

絵美
「分かってないのね。

 もう少しで失敗に終わるところだったのよ。
 お金儲けで公開している入学試験や資格検定試験とちがって、挑戦できる機会は、一度いちどきりってことを忘れたんじゃないの?
 わたしは、身も心も任せていればいいって言ったわよね。」

☆ 絵美
☆ 「案ずるより産むがやすし。
☆  そう考えるしかないわね。
☆ 
☆  では、始めるけれど、真々美は基本的に私に身も心も預けていればいいから。
☆  なんと言っても、第5段階に比べたら、そよ風のようなものよ。」
☆ 
☆ 078 真々美 第4段階の3 めい想をやめて


真々美
「すまない、絵美。
 なにを言っているか分からないんだ。

 もっと、分かりやすく説明してくれ。」

 絵美はだまっていた。
 気まずい沈黙が流れていった。
 5分間ほどだっただろうか、そばにいるだけの冬香も息苦しさを感じた。

絵美
「真々美の瞑想めいそうは、
 正性知識 1800、Eighteen Hundred 相当の行為です。
 精神波攻撃に対する防衛ぼうえいね。」

真々美
「アリムが新型防護服の海賊149名を倒した
 正性知識 1600 Sixteen Hundred
 精神波攻撃に対する防衛技というか防衛知識のことか?」

絵美
「その通りよ。
 まだ、真々美と冬香さんは習得していなかったわね。

 冬香さんにとっては、ネタバレになってしまうけれど良い機会だから説明しましょうか?

 真々美、まずはお疲れ様でした。
 衣服を整えてください。」

 真々美は汗を拭いてから衣服を着用した。





絵美
「さてと、まずは攻めと受けの説明から始めましょうか?

 スポーツの野球では、3アウトで攻守交代と言います。
 攻める側と守る側という意味です。

 格闘技では、攻めと受けと言いますが、意味的には攻撃と防御です。

 ここまでは良いですか?」

真々美、冬香
「「はい。」」

絵美
「姉妹関係の儀式を経験したあなたたちなら分かるでしょうが、
 姉妹関係の儀式でやっていることは、攻めと受けです。

 正性知識 200 まで覚えていれば、簡単に守ることが出来ます。

 ベッドテクニック?
 10,20の知識しか知らないくせに?

 と寝技を自慢してくる男性を鼻で笑える根拠こんきょは、正性知識による防御が出来るからです。

 もちろん、男性から長期戦で攻められたり、力づくで求められたりしたら、女性は負けますから、男性と女性で居住地域を分けています。
 女性の性を金儲けの手段と考えている悪者は、男性だけでなく女性にもいるからです。
 だから、移動も制限しています。

 この話は長くなるので、わきに置いておきますね。

 ひとことで言えば、姉妹関係の儀式は、相手が受け止めてくれているから成り立つキャッチボールのようなものです。
 受け止められないような場所に投げられたり、受け止められないような速さのボールを投げられたら、受け止められないからです。」

真々美
「もしかすると、わたしの瞑想めいそうは、絵美が投げてくれたボールを受けようとはせずに、けたようなものなのか? だから、怒っているのか?」

絵美
「その通りよ。」

真々美
「そんなつもりは無かったんだ。
 ただ、気絶しないために考えた手段なんだ。」

絵美
「そうでしょうけれど、悲しかったわ。」

真々美
「すまない、絵美。」

絵美
「貸し一つにしておくわ。
 どこかで返してもらうわ。」

真々美
「ああ、そうしてくれると助かる。」

絵美
「それでは、姉妹関係の儀式 第4段階について説明をしておくわ。
 ものすごいズルになるけれど、姉妹関係が切れる危険性が高いからおきて破りだけれど、ネタバレをしますね。」

冬香
「絵美様、お待ちください。
 オルアもいっしょに聞かせても構いませんか?」

絵美
「そうね、座学分は良いでしょう。
 服も着た状態ですから、差し支えありません。」

冬香
「ありがとうございます。
 でも、その前に1つ質問があります。」

絵美
「よろしくてよ。
 なにかしら、冬香さん。」

冬香
「絵美様は、私たちが
  性魔力を4番目までしか覚えていないことや
  正性知識を 1200 までしか覚えていないことを
不思議そうに話されました。

 正性知識は私たちの努力で習得できそうですが、
姉妹関係の儀式が必要な性魔力を覚えることは無理なのではありませんか?」

絵美
「その疑問に対する答えは、わたしがあなたたちに持っている疑問になってしまうわね。」

 真々美と冬香は意味が分からなかった。





絵美
「長くなってしまうけれど、順をって説明するわ。

 体験した真々美は理解できるでしょうけれど、性魔力は【性的に恥ずかしい思い】をしたときに上昇します。

 では、【性的に恥ずかしい思い】の定義ていぎは、何だと思いますか?」

冬香
「見られたくない身体の部分を見られたとき、さわられたときですか?」

絵美
「冬香さんは見ず知らずのタイプではないひとに同じことをされても恥ずかしいと思えるのですか?
 たとえば、今回襲撃してきた海賊をよそおった兵士に同じことをされて、恥ずかしいと思えますか?」

冬香
「いいえ、腹ただしい思いと、屈辱を感じることはあっても、恥ずかしいとは思えません。」

絵美
「その通りです。
 冬香さん。

 つまり、好きと思える相手から、求められたとき限定で感じる思い、感情です。

 わたしの場合は、サアまたは真々美から求められたとき限定です。
 まあ、サークも含まれますが。 竜くんは研究開発に忙しいと言って、構ってくれないし・・・

 ごめんなさい。 話がそれそうになりました。

 わたしは、サアまたは真々美から求められたときは、こう考えています。

 恥ずかしくて嫌だけれど、サアに真々美に求められたから仕方なく・・・
とか
 恥ずかしい、見られたくない。
 でも、サアまたは真々美が求めてくれるなら、見せてあげてもいい。
 ううん、見て欲しい。

思っています。

 そう思った瞬間は、すべてから解放されて、まるで海の底でつながれた鎖が切れて、明るい水面みなもに浮かび上がっていくような素晴らしい気持ちになります。

 分かりあえる尊重し合えるひとに出会えることは奇跡きせきです。
 このひとならと思えた人から求められることは最高の喜びです。」

真々美、冬香 こころの声
『うーん、これが答えなのだろうか?
 よく分からない。』

絵美
「つまり、姉妹関係の儀式でなくても、恥ずかしい思いを感じることはできるはずです。

 わたしの場合は、週1回のサア様との夜と、週1回の真々美のことを考えながら自分で自分を愛するときだけです。 つまり、週2回だけですね。
 サークはナームさんに連れて行かれたし、竜くんはデートさえしてくれないし。」

真々美、冬香 こころの声
『うっぷんが、たまっているのね。
 質問の答えはもらえそうにない・・・』

絵美
「それに引き換え!」

 絵美は、真々美と冬香を力強くにらみつけた。

絵美
「真々美と冬香さんが出会ったのは、オルアさんが21歳の時だから6年間という時間があったわよね。
 その後、というか、すぐ後くらいに、真々美と冬香さんは姉妹関係をむすんだわよね。」

冬香
「はい、そうです。
 絵美様。」

絵美
「真々美のハイシスの私は遠い場所にいたし、
 冬香さんもサブシスを決めていなかったのよね。

 ということは、ロスタイムを差し引いても、まるまる5年間は二人だけの月日を過ごせたはずよね。

 もし、わたしが真々美とそのような状況だったら、毎日毎晩、愛しあっているわ。
 そのうちに、二人の秘め事がレベルアップして、姉妹関係の儀式 第5段階相当の愛し合い方をしていると思うわ。」

真々美
「あっ?」

冬香
「もしかして、絵美様の疑問って?」

絵美
「真々美、冬香さん、この5年間 なにをやっていたの?
 まさか、愛情交換ゼロだったなんてことは、ないわよね?

 そんなことは無いはずだけれど、そうとでも考えなければ計算が合わないのよ。

 それが、わたしがあなたたちが性魔力を6番目まで覚えていると思った根拠よ。」

 真々美と冬香は背中に冷や汗を流しながら、固まっていた。





絵美
「冬香さん、真々美はどれくらいの頻度で、冬香さんを抱いていたの?
 王の政務に忙しいとはいえ、2日に一度は愛し合っていたわよねえ。」

 冬香は絵美の笑顔に恐怖を感じていた。

冬香
「そ、それは、そのお、なんと申しましょうか?」

 絵美は、さらに、にっこりと微笑んだ。

絵美
「サブシスのくちから言わせようだなんて、悪かったわ。

 真々美、どうなの?」

真々美
「絵美、そ、その?
 ト、トイレに行きたいな?」

絵美
「まあ、姉妹関係の第3段階を思い出すわね。
 ついて行ってあげるね。
 うふふ?」

 真々美は観念した。

真々美
「すまない、絵美。
 実は、冬香とは10日前まで愛情交換ゼロだったんだ。」

☆ 司会《中路真々美》
☆ 「これからは、いや、今夜だけでも、いっしょに眠ってくれないか。」
☆ 
☆   022 5日目 冬香とオルアの姉妹関係の儀式

絵美
「はあ、ほぼ6年間も冬香さんを放置していたの?
 わたしだったら、冬香さんを家からどころかベットから出さないわよ。」

 絵美は振り返って、冬香を見た。

絵美
「冬香さん、ごめんなさいね。
 これからはわたしと姉妹関係を結びましょうね。

 あなたが「絵美様」以外の言葉をわすれるくらい、愛情を注ぎこんであげるわ。
 さあ、ベットに行きましょうか?」

冬香
「お、お待ちください。 絵美様。
 最近は愛し合っていますから。」

絵美
「そうなの? 残念ねえ。
 真々美が愛してくれなくなったら言ってね。
 サア様のお渡りが有る日以外は愛情をそそいであげるからね。」

 冬香がほっとしたのも、つかの間、ふたたび、絵美の矛先ほこさきが真々美に戻った。

絵美
「真々美?
 冬香さんをほっといて、なにをしていたのかなあ?
 あらいざらい、はいてもらいましょうか?」

真々美
「業務をこなすことで精一杯だったんだ。」

 絵美は、真々美の左手を手に取ってひねり、S字に曲げて固めた。

真々美
「い、痛い、絵美、やめてくれ。」

絵美
「真々美、これはね。
 冬香さんのこころの痛みよ。

 自由になる時間はあったはずだわ。
 いったいなにをやっていたの?」

真々美
「い、言う。 言うからやめてくれ。」

 真々美は左手をおさえて、さすっていた。
 よほど痛かったようだ。

真々美
「人生のパートナーとなる男の子を探していたんだ。」

絵美
「それで、その男の子は何処いずこ
 どこにいるのかなあ?」

冬香
「絵美様、もうその辺でゆるしてあげてください。

 真々美は一晩で振られたんですから。」

絵美
「真々美をやり捨てするなんて処分しないといけないわね。
 どこの誰と誰なの?」

真々美
「絵美、もういいんだ。
 いまは、アリムが居るから。」

絵美
「良くないわ。
 いったい、どんな理由があれば、真々美を一晩で振るのかしら。」

真々美
「そ、それは・・・」

 真々美は顔を赤くして、下を向いていた。

絵美
「真々美にこんな顔をさせるなんて、ますます許せないわ。
 よし、捕獲次第、去勢しましょう。
 その後で、生体部品刑に、」

真々美
「絵美、そんなことはしないでくれ。」

絵美
「でも、そうも行かないわ。
 わたしの可愛いサブシスの心をもてあそんだんだから。」

冬香
「絵美様、誤解です。
 真々美に思い切り握られて、痛かったことが原因のようなのです。」

☆ 真々美
☆ 「アリムさんに痛いと言わせてしまった。
☆  アリムさんのカタナを握ったら痛がらせてしまった。」
☆ 
☆ 048 9日目 冬香とアリム《ナイトバインド》


絵美
「えっ? まさか、真々美の握力で手加減なしに握ったの?」

 真々美は、プイっと横を向いた。

真々美
「いまは、もう大丈夫だ。
 アリムに正しい力加減と取り扱い方法を教わったからな。」

絵美
「ぷふう、ほ、本当なのう?
 真々美、アリムさんが指導してくれて良かったわね。」

 絵美はお腹を抱えて、大笑いしていた。

真々美
「という訳だから、私を振った男の子たちは責めないでやってくれ。」

絵美
「そういう事情なら、責められないわねえ。
 どっちかというと男の子たちに同情するわ。

 そのころ、冬香さんはどうしていたの?」

冬香
「わたしは、男の人を探していました。」

絵美
「もしかして、ダメだったの?」

冬香
「そうなんです。
 交配届け前検査の直前まで行ったのですが、おことわりされました。」

真々美
「わたしもだ。」

絵美
「交配届けを越えられない程度の男性なら不要だわ。
 いいじゃない、アリムさんがいれば。
 上位互換でしょ。」

真々美、冬香
「「そうですね。」」

 自分を振った男性の価値は、アリムの価値に比べれば、誤差程度《数%》の価値しかないから、どうでもいいことに思えてきた二人だった。





絵美
「冬香さん、オルアさんを呼んできてくれる?」

真々美
「ああ、大丈夫だ。
 わたしが呼んで来る。」

絵美
「2時間くらい掛けてもいいわよ。
 冬香さんと二人なら、気にならないから。」

真々美
「ぶう、ぶう。」

冬香
「3人でオルアのところに行きましょうか?」

 オルアのところに行くと、オルアは寝ていた。

冬香
「もう、23時10分ね。
 そりゃあ、寝ているわ。

 真々美、はい、口紅。

 アリムさんの胸に、真々美って書いたら、アリムの手を取って、自分の胸にもアリムって書いてね。」

真々美
「なんの話だ。」

冬香
「これよ。」

 冬香は自分のシャツの第2ボタンまでを外して、真々美に見せた。

冬香
「オルアの真似をしただけよ。

 じゃあね、今日は絵美様と寝るわ。」

真々美
「そんなあ?
 冬香、怒っているのか?」

冬香
「それもあるけれど、昨日はわたしがアリムの隣で寝たのよ。
 真々美はそうしたくないの?」

真々美
「そうしたい。
 でも、いいのか?」

冬香
「いいわよ。
 迷っているなら、今日もわたしがアリムの隣で寝るわよ。」

真々美
「ありがとう、冬香、お言葉に甘えさせてもらう。
 絵美、冬香を頼む。」

絵美
「ええ、まかせて。
 冬香さんを抱き枕にして眠るわ。」

冬香
「抱き枕ですか?」

絵美
「真々美に愛されなかった分を補填ほてんしてあげたいところだけれど、抱き枕が精一杯ね。
 わたしの理性が崩壊ほうかいするように誘ってくれるなら、事情が変わるかもだけどね。」

冬香
「お互いを抱き枕にする程度で留めておく方が平和そうですね。」

絵美
「そうね、おやすみ、真々美。」

真々美
「ああ、おやすみ、絵美、冬香。」

冬香
「おやすみ、真々美。」

 絵美は冬香と冬香の寝室に向かった。

 真々美は、アリムの胸を見ていた。

真々美 こころの声
『冬香は、わたしの場所を空けておいてくれたのだな。』

 真々美は、アリムの胸に、口紅で「真々美」と書いた。
 そして、自分の胸に、「有夢ありむ」と書いた。
 オルアと反対側のアリムの左腕を胸に抱え込んで眠ることにした。





 冬香の寝室

絵美
「とは言え、何もしないのも冬香さんに対して失礼だと思う訳よ。」

冬香
「え、ええ。《困惑》」

絵美
「という訳で・・・」

 絵美は冬香のひたいにキスをした。

絵美
「わたしにもしてくれる。」

冬香
「はい、絵美様。」

 冬香は絵美のひたいにキスをした。

 絵美と冬香は互いを抱き枕にして、抱きしめ合って眠ることにした。

絵美、冬香 こころの声
『本当は愛し合いたいんだけどなあ。
 真々美が浮気したときまで待つか。』

 ふたりはギリギリ理性が勝ったのだった。



 あしたは、会議の日。
 モンテハート大公爵の遺品いひんに良い品物は残っているかな?
 そして、いよいよ、冬香の姉妹関係 第4段階の儀式が始まる・・・予定。

 アリムさんのように愛されたい気持ちでいっぱいです。


【読者様へ】

 あなたの10秒で、この作品にパワーをください。
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