【完結】理想の美女7人に愛される生活。ベーシックインカムで儲けた「カセイダード王国」に移住して正解でした。

サアロフィア

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第12章 ねむり続ける主人公

075 【挿絵】 オルアの名誉回復と行政長就任

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 願わくば、一般人の反応ではなく、理想的な反応をして欲しいです。



 シュウピンさんからのお礼に、オルアは戸惑っていた。
 というよりは、明かされた事実の大きさに、考えが追いつかなくなっていた。

オルア
「シュウピンさん、待って、待って。
 頭が追いつかないわ。
 考えさせて。」

シュウピン
「オルア様、お待ちします。
 6年間も待たせてしまったのですから・・・」

 オルアは考えを整理しようとしていた。

☆ シュウピン
☆ 「あなたは、妹の命と、わたしの感情をうばった。」
☆ 
☆   066 14日目 その玉座にすわる者は誰か?

オルア こころの声
『シュウピンさんは、たしかに妹の命と言っていた。
 モンテハート大公爵の自己顕示欲の犠牲に、性欲の餌食にされた多くの被害者たち、その中のひとりにシュウピンさんの妹が含まれていると、そう考えただけだった。

 でも、わたしが関係している女性って、6年前の あの女性なの?』

オルア
「シュウピンさん、確認させてください。」

シュウピン
「どうぞ、オルア様。」

オルア
「6年前と言うと、姉がいるという女性が男たちに乱暴をされているところに居合わせました。
 その女性が、シュウピンさんの妹さんだったのですか?」

シュウピン
「その通りです。」

オルア
「あの事件のあと、真々美と冬香が手を尽くして探してくれたけれど、見つからなかったのです。
 しかも、カセイダード国民登録さえされていなかったです。」

シュウピン
「モンテハート大公爵が登録を消したからです。」

オルア
「真々美?
 どういうことなの?」

真々美
「いや、いくら彼でも、それはできないはずだ。」

冬香
「カセイダード国民登録は厳重に管理されているとはいえ、更新できるようになっているわ。」

シュウピン
「できますよ。 当時の担当者は男性でしたからね。」

真々美
「どういうことだ。」

シュウピン
「モンテハート大公爵が遊びあきた美人たちは有効活用されていましたからね。」

真々美
「つまり、美人たちを使って言うことを聞かせたのか?」

シュウピン
「そうです。
 美人を自由にできるなら、後ろ盾がない弱い立場の人間を存在しなかったことにするでしょう。」

真々美
「その担当者の情報は有るか?」

シュウピン
「ありません。メラニィ? そうよね。」

メラニィ
「情報はありませんが、生きていないことは確かです。」

冬香
「なぜ、そう言い切れるの?」

メラニィ
「今回の移民審査船の襲撃で全員処分したからです。
 モンテハート大公爵の屋敷に残っていた執事と技術者は捕えてあります。
 メイドたちは軟禁しています。」

オルア
「それで、妹さんは、どうなったのですか?」

シュウピン
「オルア様に助けられたあとで、警察に行きました。
 が、取り合われませんでした。

 その帰り道で、モンテハート大公爵に捕まったのです。」

オルア
「シュウピンさんは、モンテハート大公爵が最後を迎えるとき、
  「妹の命と、わたしの感情をうばった。」
と言っていましたが・・・」

シュウピン
「そうです。

 わたしは当時、抵抗する気力を失っていました。
 生けるしかばね状態でした。

 妹は私の面倒を見ながら最後まで抵抗していました。

 そして、わたしは妹と引き離されたのです。」

メラニィ
「シュウピン、無理に言わなくてもいいんだからな。」

シュウピン
「ありがとう、メラニィ。
 でも、すべて伝えたいの。
 だから、そばにいて、見守っていてね。」

メラニィ
「あ、ああ、もちろんだ。」

オルア
「つづきを聞いてもいい?」

シュウピン
「もちろんです。

 妹は、私と引き離されたあとで逃げ出したところを捕まり、野外で乱暴されました。
 あと、もう少しで人気のある場所に着く直前だったそうです。

 妹を犯した6人の男どもは、当て馬だったそうです。
 モンテハート大公爵を種馬と呼ぶなら、ですが。」

冬香
「妹さんが性的に屈服するまでの過程を他人に押し付けたのね。」

シュウピン
「その通りです。」

 シュウピンは無表情のままだったが、なみだが流れていた。

シュウピン
「伝聞形式が続いていることを、ご容赦ください。
 わたしは聞かされただけで見ていないのです。

 妹は、はなれた場所で生きていると信じていました。

 ここからは、わたしが聞かされた話から総合的に考えた推測になります。

 1.妹はモンテハート大公爵の相手を拒絶しつづけたために、睡眠と食事を奪われて衰弱すいじゃく死しました。
 2.6人の男どもを倒したオルア様をモンテハート大公爵は、たいそう気に入りました。
 3.しかし、危険を冒してまで手に入れる必要は無いと考えて、私の妹を調教して洗脳する努力をしました。
 4.妹を征服することに失敗した経験を生かして、オルア様は生殖刑に落とし入れてから手に入れようとしました。
 5.わたし、シュウピンに対しては、妹と再会したいなら、モンテハート大公爵のそばにいるべきだと説得されていました。
 6.当時のわたしはモンテハート大公爵は良いひとだと信じ込まされていました。
 7.わたしの思考を読み取るために埋め込まれた発信機が受信機としても機能したことで、真実しんじつを知りました。」

メラニィ
「会議の時に、盗聴されていると言った話だな。」

シュウピン
「そうよ。」

真々美
「その事件は調べても、本当になにも出なかった。」

シュウピン
「現場を調べるはずの警察が、証拠隠滅しているから何も出るわけがありません。」

冬香
「そこまで腐敗ふはいしていたの?
 じゃあ、あのときの真々美の判断は正解だったのね。」

オルア
「真々美の判断って?」

真々美
「男性は信用できない。
 だから、着任当初にいた要職ようしょく者たち、つまり重要な職位にいた男性をすべて排除した。
 ベーシックインカムをチータマルム支国にも導入する許可を得たからな。」

冬香
「当時は、諸外国に知られないようにベーシックインカムを秘密にしていたの。
 諸外国と医療サービスの提供という商売でのかかわりを持つ頃には、ベーシックインカムをカセイダード王国チータマルム支国内に浸透しんとう、行き渡らせることができたわ。
 それと同時に難民たちが押し寄せた場合に備えて、国境にバリアを張って外部から入れないようにしていたの。」

真々美
「それでも、抜け道を見つけて入ってきた者たちには、カセイダード王国の国風文化を学ばせて理解し納得したものは国民として受け入れていた。」

シュウピン
「真々美様に知られないように、モンテハート大公爵は難民を手に入れていました。
 自身の性欲の相手をする奴隷と、自身の劣等感をぶつけるための奴隷として。

 そして、殺される日まで、奴隷たちで遊んでいました。」

メラニィ
「出来る限り保護したが、多数の死亡者と心身を損傷している者がいた。
 回復の見込みがない者たちは、苦しまないように人生を終わらせることにした。」

オルア
「治せないの?」

冬香
「オルアも医師資格があるから分かるわよね。
 壊れた精神は元に戻せない。
 失った身体も元に戻せない。」

オルア
「でも、時間とお金を費やせば・・・」

冬香
「誰が払うの?
 元通りに戻ったとして、賠償金はどうするの?
 今後の生活をするための介護や支援は?
 ベーシックインカムをもらっても、スーパーで食料品を購入するときに、他人と関わるわ。
 そのときに記憶がフラッシュバックして、暴れ出すかもしれない。
 だれかが付きっきりでいることは無理よ。」

真々美
「わたしたちは正義の味方ではない。
 助けられる範囲は、ほんのひとつまみだ。

 今回の移民審査船の選考を見ていたから分かるだろう。
 アリムは、2000人の応募者から選ばれた一人だ。

 文字通り、ひとつまみだ。」

シュウピン
「オルア様は、お優しいですね。
 しかし、期待させるだけ期待させて、最後に見捨てるよりは格段にマシです。

 今回の移民審査船を襲撃した男性500人は、過去に要職に就いていた者たちです。
 ベーシックインカムで生活ができるとはいえ、過去の栄光を忘れることが出来なかったのでしょう。」

 絵美とセーラは、遠慮して黙っていた。
 どちらも言いたいことは多くあっただろう。

 過去の負の遺産を引き継がされた真々美は不運でしかないが、チータマルム支国王としての責任がある。
 その補佐をしてきた冬香も責任の何割かが負わされる。

 真々美も冬香もオルアも言葉が見つからなかった。

シュウピン
「オルア様、わたしに一筋ひとすじの希望の光を当ててくれたのは、オルア様です。」

オルア
「えっ? わたしがなにかできたとは思えないけれど・・・」

シュウピン
「いいえ、あのときです。
 名前呼びの提案をしてくださったときです。」

☆ オルア=サーパース
☆ 「わたしたちがお互いを呼ぶ呼び方ですが、よそよそしく苗字ではなく名前で呼び合う選択肢はありますか?」
☆ 
☆ 面接責任者 《ウェン シュウピン》
☆ 「真々美様と御呼びしたいです。」
☆ 
☆   025 6日目 AM10時 面接担当たちの反応


シュウピン
「あのときから、わたしの感情が戻り始めました。

 そして、冬香様とオルア様の姉妹関係が成立したことで、妹の仇を討てる希望が見えました。」

メラニィ
「わたしを説得しようとしたときだな。」

シュウピン
「そうよ。」

☆ シュウピン
☆ 「ええ、襲撃人数と日程についてだけでも、ヒントを伝えましょう。
☆  ただし、襲撃方法と装備については教えられない。
☆ 
☆   035 6日目 遺伝子獲得権


真々美
「それで、襲撃のヒントをくれたのか?」

シュウピン
「そうです。 流石さすがは真々美様だとほれぼれしました。」

真々美
「最初に気付いたのはアリムだ。
 わたしはアリムの説明に納得しただけだ。」

☆アリム
☆「シュウピンさんは、ギリギリのヒントをくれたような気がする。
☆ ヒントというよりは、ほぼ答えというヒントを。」

☆   029 オルアさんの感想と海賊の襲来について


シュウピン
「それでも、理解してかせたのだから、真々美様はさすがです。
 愚物ぐぶつでしたら、移民であるアリム様の言うことに耳などかたむけてくれないでしょうから。」

真々美
「そうかもしれないな。」

 真々美は、シュウピンの言葉に含みを感じたが気付かないふりをした。
 シュウピンも気付かないふりをしてくれることに気付いていた。

シュウピン
「オルア様のおかげで、いもうとかたきつことができました。

 そして、モンテハート大公爵の屋敷から証拠も手に入れることが出来ました。
 彼の勝ち誇った日記から事件のことが分かりました。

 メラニィ、オルア様への説明をお願いするわ。」

メラニィ
「ご報告します。
 オルア様の名誉を回復するための用意が整いました。

 つまり、オルア様の【生殖刑《6人出産》】は取り消しに持ち込むことが出来ます。

 それだけではなく、三権分立の行政長に就任いただけることになりました。
 今回、顔合わせに連れてきたセーラは、オルア様の副官になる予定です。
 もちろん、オルア様がお認め下さればですが・・・」

オルア
「ありがとう。 というべきでしょうが・・・

 今は、そんなことを考えられないわ。

 わたしの、いいえ、真々美、冬香とわたしの6年間の月日と時間を返して欲しい。」

冬香
「オルア。」

 冬香はオルアの気持ちが分かるだけに、名前を呼ぶことしかできなかった。

シュウピン
「覚悟はできています。
 妹のかたきを討てました。
 その恩人であるオルア様の名誉を回復する用意もできました。

 わたしには、思い残すことは・・・
 メラニィ、セーラさん、先立つ私をゆるしてね。

 オルア様、宗教上の理由で自殺はできません。

 ですから、オルア様の手でわたしの人生を終わらせてください。」

オルア
「いい覚悟ね。」

 オルアは下を向いているから表情が読めない。

冬香
「シュウピンさん、最後に聞かせて欲しい。
 あなたが感情を無くした原因を、なにがあったの?」

シュウピン
「冬香様、わたしのことを気に掛けてくださり感謝します。
 お耳汚しになりますので、ご遠慮します。」

真々美
「シュウピンさん、つらいことを思い出させてしまうが話して欲しい。」

 真々美の熱い視線と真剣な表情を見て、シュウピンは考えを変えた。

シュウピン
「簡単な話です。
 わたしは周囲の人たちから、ことあるごとに様々な難癖なんくせをつけられました。

 毎日まいにち毎日、多くの人の前で怒鳴り散らされました。
 わたしのすること言うことは、すべて否定されました。

 わたしの味方をしてくれたと信じた人たちは、味方のふりをした敵でした。
 いいように利用されて、できて当然、できなかったときは、
  「わたしにはできません。
   わたしは馬鹿で無力です。
   生まれてきてすみません。」
と大きな声で言わされました。

 いつもいつも貧乏くじを押し付けられて、疲れ切っていました。
 食事の時もひとりで皆から離れたところに居させられました。

 わたしが息をすると、「ため息をつくな!」 と怒鳴られました。
 だから、大きな仕草しぐさで深呼吸する格好かっこうでしか呼吸こきゅうすることが許されませんでした。

 さらには、なにかあったときは私が物を隠したから出来なかったと作り話を周知されました。

 だれとも会話をしてもらえませんでした。

 重い荷物を運べないこと、車の運転が苦手なことを重大欠陥のように責められました。
 それにも関わらず、みんなが嫌がる仕事や、誰も出来ないような仕事を押し付けられました。

 お給料は平均よりも少なかったです。

 そして、わたしは後輩にさえ優しくできなくなりました。

 あんな精神異常者を採用したモンテハート大公爵はおかしい。
 そうだ!そうだ!

 と、あらゆることを人格否定の材料にされました。

 夜も眠れない、だから昼間に眠くなってフラフラ、暑さ寒さで体調を維持できない。
 そのうち、お通じにも異変が起こりました。

 移動中などのトイレに行けないときにだけ強烈な便意べんいおそうのです。

 みんなの前で怒鳴り散らされ否定されることが当たり前になっていきました。
 わたしは言い返す気力もなくなり、こころの中で泣くだけでした。

 皆様が当たり前に持っている人権じんけんやしあわせは私にはないのだと思い知らされました。

 あいつには何をしてもいい、仕事のストレスを発散するためのサンドバックになることが存在理由だ。
上層部じょうそうぶが発言したからでした。

 牛や馬でもされないような罵声や冷たい態度の中で、植物のように息をひそめているしかなかったのです。

 毎日たのしく会話して簡単で楽な仕事をするひとたちを、うらやましく思っていました。

 それに対して、わたしはトイレに行く時間や食事の時間を削っても時間的に処理しきれない仕事や、3年間だれも答えを見つけることができなかった難題を押し付けられました。

 そんなとき、モンテハート大公爵が声を掛けてくれたのです。
 「わたしの性欲を毎日、受け止めてくれるなら、すべてから守ってやろう。」

 わたしには選択の余地がありませんでした。

 その言葉通り、誰からも怒鳴られることはなくなりました。
 モンテハート大公爵が望むとおりに身とこころを任せていれば、安全が手に入りました。
 それでも、交流する人もなく、年が近い恋人を持つことも、あきらめました。

 ただただ静かに毎日を過ごせるなら、それで良いと自分を納得させるしかなかったからです。」

メラニィ
「わたしのように自己の利益のために、モンテハート大公爵に身を任せたのではなかったのだな。」

シュウピン
「そうね、わたしもあなたのように賢く立ち回れば良かったわ。
 わたしとおなじくらい難しい仕事をこなしながら、周囲とも楽しく会話して仲良くしているあなたが、まぶしくてまぶしくて、いつも目で追っていたわ。」

オルア
「わたしはカセイダード王国で一番不幸だと思っていたわ。
 でも、違っていたのね。

 わたしには、真々美と冬香が居てくれた。
 そして、いまは、まだ目を覚まさないけれど、アリムがいる。

 わたしはしあわせだったのね。

 シュウピンさん、いまは、その頃よりマシですか?

 もし、ほんの少しでもマシだと思うなら、生きてください。

 いまなら、メラニィさんもセーラさんもいて、あなたはひとりじゃないわ。

 真々美も冬香も、シュウピンさんのことを認めているわ。」

冬香
「シュウピンさん、あなたは心神しんしん喪失そうしつ状態だった。
 責任能力は無いわ。
 正常な思考ができる状態じゃなかったはずだから。

 そんな状況にいて、死を選ぼうとしなかったのだから、立派よ。
 だれにも、あなたをめさせないわ。」

 冬香の強いまなざしがシュウピンさんをはげましていた。

冬香 こころの声
『これからは、オルアとアリムの次くらいに、シュウピンさんの味方をするわ。』

 真々美がシュウピンに近づいて、シュウピンをにらみつけた。

真々美
「絵美、冬香、オルア、メラニィさん、セーラさん。
 これから、わたしがすることに文句は言わないで欲しい。」

絵美
「あなたが決めたことを尊重そんちょうするわ。」

冬香
「シュウピンさんの苦しい過去を分かってあげて。」

オルア
「待って。」

シュウピン
「最後を、真々美様の手で与えてくださるなら、本望です。
 妹に自慢できますわ。
 地獄から天国のいもうとに手紙を書きます。」

メラニィ
「シュウピン。《泣き》
 真々美様、ご慈悲を。」

セーラ
「シュウピン様、支国王様。」

シュウピン
「ありがとう、冬香様、オルア様、メラニィ、セーラ。
 真々美様、お願いします。」

真々美
「いい覚悟だ。」

 真々美は、思い切り、シュウピンを胸に抱きしめた。

真々美
「見つけることができなくて、済まない。
 これからは私たちが一緒いっしょだ。」

シュウピン
「・・・」

 30秒経過、シュウピンは真々美の背中を手で必死にたたいている。

真々美
「ああ、済まなかった。
 いくらでも、私をたたいてくれ!」

冬香、オルア
「「真々美、ありがとう。」」

メラニィ
「真々美様。」

セーラ
「支国王様」

 シュウピンのたたく手が止まった。

 絵美が真々美のわきに腕を入れて、シュウピンから引きはがした。

絵美
「真々美、気を付けなさい。
 シュウピンさんを窒息ちっそく死させるつもりなの?

 冬香さんでさえ、呼吸するスペースを作るのがやっとなのに!」

☆ 真々美
☆ 「冬香、冬香、冬香ーーーー」
☆ 
☆ 真々美の抱きしめる力が強すぎて、振りほどけない。
☆  なんとか、呼吸する空間を確保することがやっとだった。
☆ 
☆   063 13日目 白沢絵美 見参

絵美
「冬香さん、口移しで人工呼吸して。」

メラニィ
「わたしがする。 これでいいか。」

冬香
「駄目ね、代わって。」

 冬香は、シュウピンの頭を起こして、シュウピンの鼻をつまんで、息を吹き込んだ。
 そして、心臓マッサージをした。

冬香
「真々美、トゥートを掛けて、シュウピンさんが呼吸しやすいようにして。」

真々美
「あ、ああ、トゥート。」

冬香
「真々美、続けて、人工呼吸して。
 わたしはマッサージするから。」

 苦労の甲斐があって、シュウピンは意識を取り戻した。

シュウピン
「ここは天国なのね。
 真々美様そっくりの天使にキスされるなんて、幸先さいさきがいいわね。」

真々美
「シュウピンさん、良かった。」

 絵美は真々美のスーツのえりをつかんで引き留めた。

絵美
「いいかげんにして、真々美の胸は凶器だってこと、わすれないで。」

冬香
「次の被害者は、わたしかオルアかアリムか、誰だろう。
 あっ? 絵美様かもしれないわね。」

オルア
「真々美とアリムの夜は注意深く見守らないと危険ね。」

メラニィ
「オルア様の初仕事が、真々美様の逮捕指示でなくて、本当に良かった。」

セーラ
「司令部は名誉ある職場と思っていましたが、生命の危険がともなうのですね。」

真々美
「申し訳ない。」

シュウピン
「生きててよかったです。
 わたしからもハグさせてください。」

 絵美は、真々美の肩に手を置いた。

絵美
「人工呼吸はまかせてね。」

冬香
「心臓マッサージはわたしね。」

オルア
「じゃあ、わたしは声を掛けるわ。」

 シュウピンは優しく適度なちからで、真々美を抱きしめた。
 抱き寄せる箇所というか角度も配慮されている。
 息をするスペースは十分にあった。

 絵美は、写真を撮った。

絵美
「真々美の良い教材になるわ。
 ごめんね、もっと早く気付いていれば・・・」

冬香、オルア、メラニィ、セーラ
「「「「いえいえ」」」」

 この4人は感動の場面と思って気付けなかった。





絵美
「【三権分立】の警察の立ち位置については、諸説あるわ。
 真々美、みなさんに説明をお願いするわ。」

真々美
「ああ、分かった。
 【三権分立】は、立法、司法、行政という権力を3つに分けることが独裁を防ぐために重要だ。
という点では多くの人たちが理解している。
 ただし、警察という公権力が司法なのか行政なのかという点で意見が別れることがある。

 カセイダード王国 星立カセイダード大学では、警察は司法ではなく、行政に分類している。
 司法の番人ではなく、治安の番人と考えているからだ。」

 真々美は周囲を見渡した。

 絵美は、いいねサインを左手で出していた。
 冬香たちも意義は無い様で首を縦に振っていた。

真々美
「ただし、カセイダード王国は王政だ。
 国民の代表ではなく、国王が法律というルールを作る。
 そして、法律に対する異議いぎ申し立ては認めていない。

 その代わりとして、王家側の人選は血筋ではなく、考え方で選ばれている。

 立法の王家側はわたし真々美で、副官はシュウピンさんだ。
 この二人で決めたことを皆に周知しているだけだ。

 ただし、ふざけた法律を作ろうものなら、絵美と冬香に嫌われてしまうから慎重しんちょうに考えている。」

セーラ
「ぷふっ。 そ、そうなんですか?
 中路支国王の理性の根源は、白沢絵美様と白石冬香様なのですか?」

メラニィ
「セーラ、発言を許した覚えはないぞ。
 それに、発言内容も無礼だ。」

セーラ
「し、失礼しました。」

絵美
「セーラさん、良かったわね。
 メラニィさんが叱ってくれて。」

 絵美の笑顔に恐怖を感じたセーラは激しく首を縦に振った。
 もちろん、無言のままで。

冬香
「セーラさん、下腹部の損傷が治ったばかりなんだから、大事にしてね。
 注意1秒 怪我けが一生いっしょうよ。」

 冬香の笑顔に恐怖を感じたセーラは激しく首を縦に振った。
 もちろん、無言のままで。

絵美
「まあね。
 でも、食う、寝る、愛情交換するという3大欲求に基づくものほど確実なものはないわね。

 集団への帰属きぞく意識なんて表現をする学者もいるけれど、その集団の価値あるものと言えば、愛欲あいよくしかないからね。

 セーラさんには、人文基本3学問の【本能学ほんのうがく】を復習して欲しいわ。」

 絵美の笑顔に”優しさ”を感じたセーラは激しく首を縦に振った。
 もちろん、無言のままで。

真々美
「続けるぞ。
 そして、司法は裁判所で、冬香とメラニィさんが担当している。
 冬香は、わたしが浮気しない限り、公正な裁判をり行ってくれるだろう。」

冬香
「真々美が浮気をした場合は、裁判なしで生殖刑せいしょくけいとなります。
 わたしの布団の中から出しません。

 アリムさんのおかげで、男の子あさりも無くなるから、うれしいわ。」

メラニィ
「冬香様、アリム様は例外なのか?」

冬香
「例外ね。 アリムとなら問題無いわ。」

 冬香のまぶしい笑顔に、誰も突っ込みを入れようとはしなかった。

真々美
「そして、最後に行政だ。
 ベーシックインカムを支給するために国民を番号で管理している国民登録センター、市役所のようなものと治安を維持するために存在する警察がある。
 オルアの件では、警察を解体してやろうかと思ったが、オルアが行政長になるなら残しても構わないな。

 オルア、これからはオルアが警察に給料を払う立場になる。
 だからといって、油断はするな。
 将来の天下り先となる警備会社とは癒着ゆちゃくするから多少の便宜べんぎ優遇ゆうぐうは有るだろう。
 それでも、泣く者が出ない限り、大目おおめに見てればいい。
 ある意味、国の経費は浮くからな。

 そして、今回、オルアとの顔合わせに来てもらったセーラさんは、バリア制御室で勇敢に戦って重傷を負われた。 その勇気をたたえて、シュウピンさんと冬香からの推薦すいせんがあった。

 年功序列ねんこうじょれつ的には昇格しょうかくの飛び越しは良くないことだが、重要な任務を命を掛けて果たそうとしたから特例となった。

 シュウピンさんの妹に似ているから【えこひいき】したと考える者も多いだろう。 冬香もセーラさんの内臓と性器が損壊するほどの重傷を治療した経過が気になるだろうから、本当に特例でオルアの副長の任についてもらう。
 メラニィさん、不満はどれくらい出ている。」

メラニィ
「100人くらい出ました。

 不公平だと言う連中には、
 内臓と性器が損壊するまで殴る蹴るを受けた後でなら、対抗候補にすると回答しました。」

冬香
「荒療治ね。
 それで、30から50人くらいを治療することになるのかな?」

メラニィ
「いいえ、ゼロです。」

オルア
「ゼロなの?
 ひとりくらい居そうなはずよね。」

メラニィ
「出世よりも子宮と卵巣の方が大事だそうです。
 セーラのように激痛と死の恐怖に耐える度胸は無いようですね。
 まあ、わたしも無いけれど・・・」

冬香
「そう、良かったわね。
 セーラさん。」

セーラ
「冬香様をはじめとする多くの方々のおかげです。
 感謝します。」

セーラ こころの声
『女性の身体を与えてくださった冬香様のために、がんばるわ。』

☆ 莎拉 《Shālā、セーラ》
☆「良かった。
☆ ウェン様に伝えてください。

☆ 女として死ねる幸せを、ありが・・・と・・・」
☆ 
☆ 
☆ 冬香 こころの声
☆ 『元男性だけあって、がんばったわね。
☆  本当の性転換手術を施す良い機会チャンスになるわ。
☆ 
☆  女として死ねる幸せは渡さないけれど、
☆  その代わり、
☆  女として「生きる」幸せを受け取りなさい。』
☆ 
☆   050 9日目 襲撃1回目


真々美
「絵美、三権分立の説明だが、補足訂正があれば教えて欲しい。」

絵美
「見事よ。 真々美。
 10年間も離れ離れだったとは思えないくらい、わたしと考え方が同じでうれしいわ。」

セーラ こころの声
『白沢絵美様と中路支国王は、おいくつなのかしら。
 見た目は、おふたりとも21歳くらいだけれど・・・

 まあ、年齢は気にしなくてもいいわね。』

真々美
「では、質問タイムだ。
 セーラさん、なにか質問はありますか?」

セーラ
「白沢絵美様と中路支国王は、お付き合いされてから、どれくらいですか?」

シュウピン
「・・・」

メラニィ
「セーラ、質問するべき対象が違う。
 会議の内容についての質問がないかという意味だ。」

 絵美は静かに席を立った。

真々美
「え、絵美? 落ち着いて、大目にみてやってくれ。」

絵美
「駄目よ。はっきりと言っておかないと。」

 絵美は、セーラを見据えた。

絵美
「セーラさん、わたしと真々美の間には入れないわよ。
 真々美と冬香さんの間にもね。
 あきらめなさい。」

セーラ
「すみません。 年齢を知りたかったのです。」

絵美
「ああ、年齢ね。 肉体年齢は永遠の21歳よ。
 お酒とタバコは駄目よ。
 女性の身体は男性よりも血の巡りが良いから、一気に老化するから気を付けてね。

 シュウピンさん、メラニィさん、お美しいあなたたちからも美容の秘訣を教えてあげてね。」

シュウピン
「御恩情、感謝します。」

メラニィ
「失礼しました。セーラからも謝罪の言葉を。」

セーラ
「絵美様、おしたいします。」

 シュウピンが静かに立ち上がった。

シュウピン
「あなたのお姉ちゃんには、わたしとメラニィがいるでしょう?
 欲張りは身を滅ぼすわよ。」

メラニィ こころの声
『シュウピンは、感情豊かになってきたな。
 良いことだ。 うれしくなってくるな。』

絵美
「シュウピンさん、大目に見てあげて。
 わたしを愛さないひとはいないから。」

 絵美は上機嫌だ。

シュウピン こころの声
嫉妬しっとか焼きもちか どっちだろう。
 絵美様のことが少し嫌いになったわ。』

 シュウピンは複雑な表情を浮かべている。





真々美
「それでは、セーラさんの質問は他にあるか?」

セーラ
「わたしも今後は会議に参加できるのですか?」

真々美
「聞くことはできるが意見は言えないし、採決に参加することも出来ないぞ。
 だから、時間が無駄になるし、疎外感を感じるからすすめられない。」

絵美
「冬香さん、説明してあげて。」

冬香
「はい、絵美様。

 セーラさん、私たちの会議は、カセイダード王国の本星を元にしているの。
 カセイダード王国の本星には、伍姫いつひめと呼ばれる5人の女の人のクラスターが会議をして国の重要事項を決めています。 それにならっているの。 つまり、模倣もほう、真似しているの。

 採決の結果、3対2 とか結果が出るようにしているの。」

セーラ
「質問良いですか?」

絵美
「どうぞ。」

セーラ
「王国側の出席者が3名、民衆側の出席者が2名ということは、王国側が絶対に勝ちますよね。」

真々美
「その通りだ。」

セーラ
「結果の見えている会議に、何の意味があるのですか?」

絵美
「真々美、こまったわねえ。 がんばってね。」

 絵美はニヤニヤしている。
 真々美の活躍を楽しみにしているようにも見えた。

真々美
「その通りだ。
 カセイダード王国は王政だから、実質的には独裁政治とも見えなくもない。
 ただし、ここにいる5人が全員で賛成した案件から実行に移している。

 つまり、独裁できるようで独裁できない状態にしている。

 自動車で言うところの時速何キロで走行するかの差でしかないかもしれないが、ブレーキとしての働きはあると言える。

 そして、独裁であるからこそ、他の民主主義国家ではできないことも実行できた。
 ベーシックインカムを導入できた一番の理由がカセイダード王国の本星の女王様の主導であることは知っていると思う。

 まあ、こんなところだな。」

セーラ
「中路支国王様、ご回答ありがとうございます。
 あなたは噂通りの素敵なお方ですわ。」

真々美
「うん? 冬香? どういう意味だろう。」

冬香
「なにを感じたか話してくれますか?」

セーラ
「相手が尊重してくれるひとかどうかを知る方法は簡単です。
 こまらせる質問をすればいい。

 回答内容よりも、回答の言動、言葉遣いや態度を観察すればいい。

 わたしは不安でした。 わたしのような経歴けいれきの者をどのように扱われるかについて。

 もし、邪魔者扱いされて軽んじられるのなら、お役目をご辞退するつもりでいました。
 年功序列を飛び越えて上がっても、得することは無いですから。」

オルア
「あなたって、わたしと合うかもしれないわね。」

 オルアは初めてアリムと会った時のことを思い出していた。

☆ オルア:
☆ 「大丈夫ですよ。
☆  これからは私がフォローしますから。
☆  私のことは、オルア様と呼びなさい。」
☆ 
☆   005 オルアさんと、わたしの新しい名前


真々美
「それでは、セーラさんから自己紹介をしてもらおうか?」

セーラ
「みなさま、セーラと申します。

 わたしは、ひとを落とし入れるウソや名誉を棄損きそんする作り話をするひとたちが大嫌いです。
 どこかの誰かが、
  「セーラが、あなたの悪口を言っている!」
と伝えてきたら、教えてくださいね。

 わたしは誰かの悪口を言うひまが有ったら、お昼寝したり、資格の勉強をしたいです。
 自信がない私にはくをつけてくれるものが資格検定試験だと考えています。

 好きなものは、和菓子です。

 よろしくお願いします。」

真々美
「ああ、よろしく。」

冬香
「そろそろ時間ね。
 シュウピンさんとメラニィさんからは、なにか有りますか?」

シュウピン
「モンテハート大公爵から押収したものについて、
 保護したひとたちについて、
 明日の議題でお願いいたします。」

メラニィ
「為替の換算レート 1バーシル=1万まるについて、
 諸外国への対応について、
 戦争になった場合の軍事力の不足について、
 明日の議題でお願いいたします。」

絵美
「為替の換算レートについては、わたしも議論に参加したいので、よろしくお願いします。」

真々美
「オルアの質問は?」

オルア
「セーラさんを副官として担当する行政長についての知識が欲しいわ。
 役割分担についても分からないわ。
 今までは一人で完結する仕事だったから。」

真々美
「それについても、明日だな。
 絵美もいるから、十分な知識を得られるだろう。

 それでは、絵美、めの言葉を頼む。」

絵美
「みなさん、お疲れさま。
 会議室を出たら、お顔の力を抜いて、顔の筋肉を休めてあげてね。
 ふにゃあ。」

 しーん・・・

絵美
「ノリが悪いなあ。
 笑って欲しいだけれど。」

セーラ
「うふふふ。 絵美様、とってもかわいい。」

絵美
「セーラ、いい子ね。
 今度、ふたりで、だるまさん音頭を踊りましょうね。」

冬香
「オルア、知ってる?」

オルア
「だーれがミスした、だるま落とし!
 のことかなあ? なみ太郎の。」

絵美
「オルアさん、正解。」

真々美
「それじゃあ、次回は偶数日だから、連続で会議になります。
 解散、お疲れさまでした。」

 絵美とオルア以外は、みんな疲労感を感じていた。

絵美とオルア以外 こころの声
『そうかあ、笑って欲しかったのかあ。』



 だーれーがミスした、だるま落とし、
 あ、そーれ、
 だーれーがミスした、だるま落とし、

 けん玉はあるけれど、だるま落としは持ってないなあ。


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