【完結】理想の美女7人に愛される生活。ベーシックインカムで儲けた「カセイダード王国」に移住して正解でした。

サアロフィア

文字の大きさ
上 下
59 / 209
第10章 主人公の活躍が始まる

057 12日目 交配届け書類一式

しおりを挟む
 アリムは、【正性知識 2000】を 1200まで読み進めることが出来た。

12日目 AM  7:30
《2日に一度の会議: あり、
 第2回襲撃予測日: 本日の夜 PM20:00
 一番権利者: 真々美》


 朝が来た。
 真々美、冬香、オルアは、アリムの寝顔を見ている。

オルア
「どうぞ、真々美。
 今日の一番権利者は、真々美だから。」

真々美
「一番権利者とは?」

オルア
「当番は、嫌な仕事を交代ですること。
 それに対して、したいことを交代ですることは、権利よね。」

真々美
「ああ、その通りだな。」

オルア
「そして、アリムに触れることは楽しくて幸せなことよね。
 だから、権利と呼ぶべきよね。」

冬香
「真々美、時間は限られているわ。
 迷うなら、わたしから行っていい?」

真々美
「いただきます。」

 真々美は急いで、両手でアリムをつかんだ。
 少し力が入ってしまった。
 真々美は急いでチカラをゆるめた。

真々美
「ふう、起こしてしまうところだった。」

オルア
「今日は1分交代でも大丈夫よね。」

冬香
「オルアの番まで待てる?」

オルア
「待つわ。
 だって、真々美と冬香にも私と同じくらいアリムに執着して欲しいから。
 美味しいものは仲が良いひと大事な人と分けあうと、さらに美味しくなるものよ。」

真々美
「そうかもしれないな。
 冬香の番だぞ。」

冬香
「そうね、たしかに両手でにぎっていると精神が安定する気がするわ。
 オルア、待ちきれないようね。」

 オルアは、よだれを垂らしていた。

オルア
「なぜ、わかるの?
 顔に出てたかな?」

真々美
「顔は無表情だが、よだれが出ているぞ。」

オルア
「うそ、恥ずかしい。」

冬香
「どうぞ、オルアの番よ。」

オルア
「えへへ、アリムの体温と硬さは最高ね。」

 真々美と冬香は、オルアの幸せでとろけた笑顔を見て、うれしくなった。

 そのあと3人は、胸の谷間にはさんだり、なめたりしながら、アリムの顔をながめていた。





12日目 AM  7:50

真々美
「アリム、朝だぞ。」

 真々美は、おはようのキスをした。

アリム
「ううん、真々美、おはよう。」

 アリムは、おはようのキスを返してくれた。

冬香
「アリム、おはよう。」

アリム
「冬香、おはよう。」

 冬香とアリムは、おはようのキスをした。

オルア
「アリム、おはよう。」

アリム
「オルア、おはよう。」

 オルアとアリムは、おはようのキスをした。





 4人は朝食を食べ終わった。

真々美
「アリム、今日の会議が終わったら、つまり、午後の予定だが、いろいろな書類の記入をお願いすることになる。」

アリム
「どんな書類ですか?」

真々美
「光元国の婚姻届けに近いかもしれない。
 ただし、内容と量は、カセイダード王国の方が、かなり多いな。」

アリム
「何時間くらいかかりそうですか?」

冬香
「2時間もあれば足りるでしょうね。」

オルア
「ねえ、冬香。
 昼ごはんまでは、アリムの自由時間になるのよね?」

冬香
「そうね。 夜更かししなくて済むように、したいことを済ませておいてね。」

アリム
「うん、ありがとう。」

真々美
「では、そろそろ行くか?」

アリム
「お皿は洗っておくから、台所に運んでおいてくれるかな?」

冬香
「もちろんよ。」

オルア
「はあい。」

 お皿が台所の洗い場に集められた。

真々美
「アリム、そのなんだ。
 ううん、行ってくる。」

アリム
「真々美、待って、わすれものしないで。」

 真々美は振り向いた。
 その瞬間、アリムに両手で、ほほを優しく固定されて、キスされた。

アリム
「行ってきますのキスを、おねだりしてくれないなんて、さみしいな。」

真々美
「明日から、いいや、今日帰ったときの、お帰りのキスからは、ちゃんと言う。」

アリム
「真々美、わすれちゃイヤだよ。」

冬香
「アリム、行ってきますの、ね?」

 冬香は唇を指さした。
 アリムは、キスをした。

アリム
「冬香、行ってらっしゃい。」

オルア
「アリム、行ってきますのキス、わたしにも。」

 アリムは、キスをした。

アリム
「オルア、行ってらっしゃい。」

 3人を見送ったアリムは、皿洗いを終わらせた。
 そして、【正性知識 2000】を読み進めた。




12日目 AM  9:00

 真々美の司令室の丸いテーブルに5人が座っている。

 真々美は10時の位置に、
 冬香は 8時の位置に、
 オルアは 6時の位置に、

 シュウピンは 2時の位置に、
 メラニィは 4時の位置に、座っている。

真々美
「援軍要請の返答は来たか?」

シュウピン
「いいえ
 着信と開封はされています。」

冬香
「無視された、ということね」

メラニィ
「大公爵様なら、すぐに来るという返事をくれると思ったのですが・・・」

 メラニィも演技が上手くなってきたな。
 真々美だけでなく、全員がそう思った。

真々美
「一回では緊急性が伝わらないのかもな。
 今すぐ、昼ご飯のあと、16時の3回と繰り返して援軍を要請してくれ。

 すべての貴族たちにも同じ回数の要請をしてくれ!
 メール、問い合わせフォーム書き込み、音声通話と3つの手段を使ってな。

 3x3 =9 回の要請を無視する度胸が有るかな。」

シュウピン
「無いと思います。
 それに大公爵は、緊急性を理解してご対応くださるでしょうね。」

 シュウピンも白々しらじらしい演技が光っている。

真々美
「とにかく、バリア制御室と発電室と動力源の警備を増やしてくれ。」

シュウピン
「余剰人員は有りません。」

真々美
「それなら、AIによる監視カメラのチェック頻度を増やしてくれ。」

シュウピン
「それなら、なんとかなります。」

真々美
「本日の夜、いつ襲撃があるか?
 こころが休まらないな。」

冬香
「真々美、顔色が悪いわ。
 無理をしないでね。」

シュウピン
「真々美様、眠れていないのなら仮眠を取られては?」

真々美
「会議が終わったらな。
 邪魔が入らなければ、明後日、つまり、2日後にカセイダードの港に入れるな。」

シュウピン
「そうですね。
 何ごとも無ければ。」

メラニィ
「大丈夫ですよ。
 大公爵様が私兵を援軍として、派遣してくださるはずです。
 美しいシュウピンと可愛いわたしをお見捨てにならないはずです。」

 そこまで言うと白々しい

真々美
「カセイダード王国からの承認申請は来ているか?」

メラニィ
「一件も有りません。」

真々美
「妙だな?」

メラニィ
「きっと大公爵様が尽力くださっているのですよ。」

真々美 こころの声
『もうやめろ、メラニィ。
 いくら、あの肥満体のブ男が自信過剰でも、違和感を感じるはずだ。』

 みんなからにらまれて、メラニィは気付いた。

メラニィ
「だって、だって、大公爵様なら。」

 メラニィは、泣き出してしまった。

 まあ、演技の締めくくりとしては良い方かな

真々美
「とにかく今のうちに設備をフル稼働して、全員の部屋に7日間の水と食料、簡易トイレを支給してくれ。

 万が一、援軍が間に合わない場合、海を漂流することになるかもしれないからな。」

シュウピン
「無事に着いた場合は無駄になりますね。」

真々美
「その時は、地震などの災害に備えて残しておけばいい。
 運び出すことが大変なら船に積んだままにしよう。」

メラニィ
「それでお願いいたします。
 運び入れたものを運び出せと指示したら、いじめと受け取られてしまいます。」

真々美
「良い判断だ。
 そうしてくれ。」

真々美
「なにか心配ごとは有るか?」

シュウピン
「実は深刻な悩みが有ります。」

真々美
「なんだ?」

シュウピン
「お渡りの予定を教えて下さい。
 準備の都合が有りますから。」

真々美
「お渡りとは?」

シュウピン
「真々美様がいつ私の部屋に夜這よばいに来てくださるのか?という意味です。」

 メラニィがシュウピンのほほを両手のひらではさんで、押した。

メラニィ
「私というものが居ながら何を言っているんだ!」

 シュウピンは、メラニィの両手首をつかんで外側に広げて、笑顔で言った。

シュウピン
「じゃあ、あなたが夜這よばいに来てくれるのね、メラニィ。」

メラニィ
「しまった。はめられた。」

真々美
「仲良さそうで、微笑ほほえましいな。

 話を変えるが、私達からの申請書類を受け取って欲しいのだが、事務方は機能しているか?」

シュウピン
「機能していますが、交配届を受け取る余裕は、有りませんね。」

真々美
「それなら申請書類を提出することは遠慮しておこう。」

シュウピン
「いいえ、遠慮しないでお出しください。
 オルア様とアリム様に関係することなら、割り込ませます。」

冬香
「いいの?
 それなら、今日中に処理できる締切は何時頃?
 15時まで待てる?」

シュウピン
「もしかして、先日に説明した書類をすべて行けそうですか?」

冬香
「ええ、交配届け前検査が完了したから楽勝ね。」

メラニィ
「アリム様はお受けになられたのですか?」

冬香
「3人分を1日でね!」

メラニィ
「すげえ、絶倫ぜつりんかよ!」

 メラニィの目が輝いた!
 メラニィの中でアリムに対する評価が、ロケットのように高く打ち上がった。

 メラニィのツボは、ここだったの?

 真々美たちは驚きを隠せなかった。

シュウピン
「それでは、15時までに書類を提出お願いいたします。」

 まだ、メラニィの目は輝いていた。

メラニィ こころの声
『アリム様なら、自分本位の性交ではなく、女性を満足させることを優先する性交をしてくれそうだ。
 次にお会いするときは、愛想良くしよう。
 男性に期待する日が来るとは思わなかった。』

シュウピン
「それと、皆様みなさまに非常に残念なお知らせがあります。」

真々美
「なんだ、なにが起こった。」

シュウピン
「今回、モンテハート大公爵からの盗聴は有りませんでした。」

メラニィ
「えっ? 無かったの?」

冬香
「くすくす、メラニィ、せっかくの演技が無駄になったわね。」

メラニィ
「いいや、冬香様のかわいい笑顔が見れたんだから、良しとするさ。」

シュウピン
「メラニィ? イケメンねえ。」

真々美 こころの声
『シュウピンが焼きもちを焼いている気がする。
 気のせいかな?』





 場面が変わって、モンテハート大公爵邸。

執事
「大公爵様、本日の会議の様子はいかがでしたか?」

モンテハート大公爵
「おお、忘れておったわ。
 真々美と冬香に座らせる椅子の調整をしていたからな。」

執事
「いま、座っている女性たちはモニター被験者ですか?」

モンテハート大公爵
「そうだぞ、特別に聞かせてやろう。」

 ソプラノの歌声が響き渡った。

執事
「素晴らしい音色ですね。」

モンテハート大公爵
「本番が楽しみだな。
 はっはっはっ。」

執事
「おっしゃるとおりですね。
 はっはっはっ。」





 真々美たちは昼ご飯を済ませてから、提出書類の記入を進めた。

真々美 こころの声
『昨日のオルアからは、独占欲を隠す気がまったく感じられない。
 アリムが束縛そくばくきらうかと思えば、そうでも無さそうだ。』

 それとなく探りを入れると、意外な返事が返ってきた。

アリム
「ボクが夢に描いた理想の女性像に3人とも当てはまっているから問題ありません。」

真々美
「アリムさんの理想は現実的だな。」と伝えたら、

アリム
「針の穴のようにストライクゾーンは小さく、理想は雲よりも高いです。」
と反論された。

 アリムさんの小説に登場する、紅姫、黄花、青紫と張り合える女性は、わたしたち3人だけだそうだ。
 ヾ(。>﹏<。)ノ゛✧*。
 うれしい反面、違う箇所が有ったら、どうなってしまうのだろうと不安にもなってしまう。

という訳で、オルアはアリムから離れようとしない。

真々美
「オルアに、アリムに対する執着心が強すぎる。」
と言えば、

オルア
「今日はオルアの日だから充電をしたい。」
と力説された。

オルア
「明日は真々美の日なんだから、いいでしょ。
 3日に1日は堂々とストーカーするわ。
 他の日は遠慮するから心配しないで!」
だそうだ。





 提出が必要な書類は6点あった。


☆ シュウピン
☆ 「帰国と同時に、冬香様のサブシスを決めていただくために候補者が12人集められています。
☆  そして、オルア様を欲しがっている金持ちたちも待ち受けています。
☆ 
☆  それを拒絶するためにも、以下をすべて完了することを強く強く推奨いたします。
☆ 
☆  ・交配届、
☆  ・交配届前検査、
☆  ・交配届前全資産一覧届、
☆  ・交配届前心身健康状態届、
☆  ・運命共同体パートナー届、
☆  
☆  最後に
☆   ・ナイトバイント 4クローズ届
☆  が必要です。
☆ 
☆   028 6日目 11時40分 命がけの告白





・交配届

真々美
「交配届は、子供を生むための行為、すなわち、性交をすることを国に届け出るための書類だ。」

アリム
「ということは、その届け無しに性交した場合は、もしかして・・・」

真々美
「想像の通りだ。
 価値レベルの低い者が犯罪者として処理される。

 和姦わかん強姦ごうかんの途中で片方が合意を示したという主張は認めない。

 レイプ犯が避妊具の着用を求められて応じたから、「同意が成立した。」という主張も認めない。

 たとえば、15歳の中学3年生と、51歳の男性が届け無しで性交した場合、51歳の男性が犯罪者になる。 当然、カセイダード王国に、言い訳を聞く耳は無い。

 これからは、アリムの護衛を兼ねて、わたしたち3人のうち1人がアリムさんと行動をともにする。
 痴漢・強姦などの冤罪えんざいビジネスに狙われる可能性があるから、注意してくれ。」

アリム
「カセイダード王国は、怖い面も有るのですね。」

冬香
「男性の性欲は基本的に制御不能だからね。
 ダイエットに失敗し続ける人の前に、美味しいケーキを差し出すようなものと考えているわ。」

オルア
「アリム、心配しないでね。
 わたしたちがそばにいれば、そのようなひとたちは近づいてこないわ。
 勝ち目がないからね。」

アリム
「ということは、ボクはひとりでで歩くことは禁止ですか?」

真々美
「そうなるな。」

冬香
「そうよね。」

オルア
「ひとりでしたいことがあるのかな?」

アリム
「お店で好きな本を、心ゆくまで立ち読みしたり、どんな製品が並んでいるか買う予定は無いのにながめるとかしたいです。 でも、一緒にいるひとの時間をうばうことになると思うとできなくなりますね。」

オルア
「大丈夫よ。
 楽しそうなアリムの顔を見ていれば、退屈にはならないわ。」

アリム
「ありがとう。」

 というわけで、4人は、交配届けに記入した。

筆者の注釈
「アリムに説明されることは無かったが、性交を許可した相手につけるコンドームを所持することが義務付けられている。
 各自が登録した色とダミーを含めて3色のコンドームを持ち歩いている。

☆ 冬香は、黄色いビニールのような細い袋に入った液体を手に持っている。
☆ そして、それを机の上に出した。

☆ オルアは、青いビニールのような細い袋に入った液体を机の上に出した。
☆ 真々美は、赤いビニールのような細い袋に入った液体を机の上に出した。
☆ 
☆   054 10日目 天祥《てんしょう》遺伝子

 性犯罪者に、このルールが知られることはない。
 なぜなら、情報共有する機会は無いからだ。

 それと、カセイダード王国は、クラスター認定者とそれ以外など価値レベルごとに住みわけがされています。
 ただし、どうしても接点せってんをゼロにできるわけではないので、最悪の場合を想定して、アリムに説明されています。」





・交配届前検査

真々美
「これは、昨日、アリムが恥ずかしい姿を見せてくれたときに、条件がととのった。」

冬香
「子供が出来ない原因を女性に押し付ける男性が多いから、できた制度よ。
 生まれた子供に欠陥けっかんがあった時も、原因を女性に押し付ける男性が多い。

 おまえの種が原因だろうが、わたしの貴重な時間を返せ。

 という女性のさけびを救うための制度ね。」

オルア
「あと、男性を検査台にベルトで固定した理由はね、女性を食い物にする男性を天に送り返す最後の機会という意味もあるのよ。」

アリム
「ということは、恥ずかしいだけでなく、まな板の上のこいだったってこと?」

真々美
「正解だ。」

筆者の注釈
「まな板の上のこいとは、
   料理されるだけと運命が決まったら、じたばたせずにあきらめろ。
 という意味です。」

真々美
「アリムが受けてくれたことに感謝している。」

冬香
「本当に、うれしいわ。」

オルア
「ありがとう、アリム」

アリム
「よろこんでくれて、良かった。」

 というわけで、4人は、交配届前検査の結果表を確認したという名前を書いた。《署名、サインの意味です。》





・交配届前全資産一覧届

真々美
「これは、離婚ビジネスをさせないための制度だ。
 結婚したときに、相手の財産の半分を、離婚するときに相手の財産の残り半分を手に入れることができる。
心得違こころえちがい、カン違い、思い違いをするひとを排除する目的がある。

 なお、別れるときは、交配届けを提出する前の状態に回復する義務があるから、お互いに金品の移動をしない方が無難だな。」

アリム
「男性は安心できそうですね。
 こどもの親権はどうなりますか?」

冬香
「養育費を払う方が親権を持つわ。
 私たちの場合だと、私たちが養育費を払い親権を持つことになるわね。」

アリム
「親権を取られた方は、子供に会えなくなるのですか?」

冬香
「会えません。」

真々美
「厳しいかもしれないが、
  No work, No pay 《働かなかったら、給料も払わない》
 のようなものだと考えてくれ。」

アリム
「光元国では、子供に会えないにもかかわらず、男性が養育費だけ払わされる場合が多いです。
 だから、良い制度ですね。

 でも、親権を受け取った方が再婚するときなどに引き取った子供が負担になることがありますよね。
 その場合は、どうなりますか?」

真々美
「国が引き取る。
 そのあとで、もう片方の親に、子供には内緒で問い合わせる。
 親子ともに会いたいという意思表示をした場合は、偶然に再会したという状況を作り出す。」

冬香
「表向きは、一度いちどでもえんが切れたら終わりなのよ。
 一度振った相手がもう一度声を掛けてきたら応じるという姿勢は、ゆるされないわ。
 わかるわね、オルア。」

オルア
「冬香との姉妹関係が切れそうだったことを思い出しました。
 御心配を掛けました。 ごめんなさい。」

真々美
「アリムは知らないだろうが、冬香とオルアの姉妹関係が成立しないときわめて危険だったんだ。」

冬香
「本当に生きた心地ここちがしなかったわ。」

筆者の注釈
「真々美と冬香は、盗み聞きしたことを、とぼけています。」

☆ 真々美と冬香は、オルアが残していった見守りテレビを視聴していた。
☆ 
☆ 司会《中路真々美》
☆ 「アリムさんは、予想を超えたな。」
☆ 
☆ 医師《白石冬香》
☆ 「ええ、まさか、ここまでオルアを説得できるとは信じられませんね。」
☆ 
☆   020 5日目 アリムさんは聞き上手

アリム
一期一会いちごいちえ、一生に一度だけの機会。生涯に一度限りであること。ですね。」

オルア
「そうよ、わたしたちを仲たがいさせようと、人を落とし入れるウソをつくひとたちが現れるはずだから、私たちは一緒にいるべきなのよ。 最悪の場合でも二人一組で行動しましょうね。」

アリム
「はい、よろしくお願いします。」

 アリムは非常に重要なことだと感じたから正式なフォーマルな物言いをした。
 そして、それは、真々美、冬香、オルアの期待通りだった。

 というわけで、4人は、交配届前全資産一覧届を作成した。
 そして、お互いの資産状況を確かめあった。

アリム
「すごい、3人とも大金持ちなんだね。」

真々美
「これでも、王族だからな。」

冬香
世襲制せしゅうせいじゃない王族もめずらしいけどね。」

オルア
「たしかに私たちは、DNA的な血のつながりはないわね。」

アリム
「どういうこと?」

真々美
「カセイダード王から始まる姉妹関係の儀式でつながっている関係が私たちなんだ。」

アリム
「会社組織みたいなものだね。」

冬香
「あんなドロドロした関係と一緒にしないで欲しいけれど・・・」

オルア
「ほかに適切な表現がないことも事実ね。」





・交配届前心身健康状態届

真々美
「これは、お互いの身体にピアスや入れ墨、一生キズが無いことを確かめあうためのものだ。」

冬香
「それは、お互いの心身の健康状態が万全の状態であることが前提でしょ。」

オルア
「つまりね、肉体的または精神的な攻撃で相手を傷つけるひとが存在するから設立した制度なの。
 たとえば、わたしたちがアリムをなぐったりったりののったり侮辱ぶじょくしたりして、アリムの健康状態や精神状態が損なわれた場合、わたしたちはアリムが元通りになるまで苦役くえきを負うことになるわ。
 ほかにも、食事をさせない、睡眠を取らせない、金銭を取り上げるなどの方法で相手を弱らせて支配しようとするひとがいるの。 そういう人を排除するために国が積極的に関係しているの。」

アリム
「たしかに、とつぎ先で心身ともにボロボロにされて出戻るという話があるよね。」

オルア
「被害者は女性だけでなく男性も多いということが問題ね。」

冬香
「光元国にも、家庭環境の問題を建前上は保護する制度はあるけれど、機能していないことが多いわ。
 もちろん、カセイダード王国では絶対にゆるさないけどね。」

 冬香の顔がけわしくなった。
 過去の職場環境を思い出しているのだろう。

オルア
「そうね、光元国のアリムの職場環境も問題よね。」

 オルアの顔がけわしくなった。
 アリムの職場でのつらい経験を思い出したようだ。

真々美
「冬香、オルア、そこまでだ。
 思い出さなくていい、というか、思い出すな。
 箱にしまっておいてくれ。

 アリム、というわけだから、アリムがカセイダード王国に移民申請したことは大正解だったと言える。

 これからは、しあわせを感じる生活を楽しんでくれ。」

冬香
「そうね、昔のカセイダード王国はダメだったけれど、今は大きく改善されているわ。」

オルア
「光元国を出て良かったと思わせるわ。 ぜったいにね。 約束するわ。」

真々美
「ただし、夜の生活はきびしいものになる。
 それは覚悟してくれ。」

冬香
「わたしたちを満足させるまでは眠れないからね。」

オルア
「夜が待ち遠しいね。 ね、アリム、そうでしょ?」

アリム
「今からしたくなってしまうから、言わないで・・・」

 アリムは恥ずかしそうにした。

 というわけで、交配届前心身健康状態届に記入するチェック項目をお互いに確認していった。





・運命共同体パートナー届

真々美
「ひと言で言うと、
  運命共同体になります。
 という宣誓書せんせいしょだな。

 パートナーにギャンブルへき、くせ浪費癖ろうひへきがある場合は、悲惨ひさんなことになる。」

 4人の金銭感覚には差異が無かった。

 ということで、4人は「運命共同体パートナー届」に署名した。

筆者の注釈
「 「運命共同体パートナー届」には、カセイダード王国が知るすべての金銭トラブルから作成されたチェック項目が用意されている。 あとで言い訳いいわけできないようにする仕組みは貴重で模範もはんとするべきだ。」





・ナイトバイント 4クローズ届

真々美
「これは、昨日、私たちがお互いが愛し合う様子を確認したことから、成立条件を満たした。」

冬香
「まさか、成立条件を満たした第1号が私たちになるとは思わなかったわ。」

オルア
「でも、もしかしたら、という予感はあったんでしょう?」

真々美
「そうだな。」

冬香
「そうね。」

アリム
「とっても光栄です。」

 真々美はハイタッチをうながした。

真々美、冬香、オルア、アリム
「「「「 イエーイ! 」」」」





 合計6点の書類を用意したあとで、真々美は長い考え事をしていた。

真々美 こころの声
『アリムが言うには、光元国の女性は男性から金銭を取り上げることを目的とする離婚ビジネスが多く、結婚する気になれなかったそうだ。
 私達のように、男性に家庭に入ることを求めるくらい稼げる女性は稀有けうで SSR 《Super Special Rare》のため出会え無かったらしい。

 私達にとって、アリムさんのような男性は、とても都合が良い存在だが、価値観の違いから受け入れる女性は少ないそうだ。
 馬車馬のように働かせて、ATMのようにあつかおうとする女性が多く危険らしい。
 ということは、カセイダード王国のように、女性が組織内で重要な地位につく国風の国からすれば、手付かずの漁場で良い男性を釣り放題できるではないか?

 ただし、残念なことに受けができる男性は少なく、レズに理解があっても間に割り込みたい男性が多いそうだ。
ということは、結局、アリムのような男性を引き当てる可能性は低そうだった。

 さらに、家事を進んでする男性もレアであるらしい。
 ほとんどの成人は男性女性を問わず、子どものように上げ膳あげぜん据え膳すえぜんを期待して、家事をしないでビデオゲームや趣味に没頭ぼっとうするそうだ。

 もうひとりの自分自身としてパートナーを尊重する考え方はアリムのつらい過去から生成された可能性が高かった。
 多くの成人は、結婚後は相手を所有物か召使いのように扱うため、家庭内暴力DVという社会問題として被害者を救済しようという建て前を国の行政が演じているらしい。

 以上のことから、オルアの異常の一歩手前のようなアリムに対する独占欲と束縛宣言が正しい判断に思えてきてしまった。

 光元国の移民申請者2000人から選ばれた唯一の一人がアリムだからだ。
 もちろん、このことはアリムに教えていない。
 思いあがって欲しくないからだ。

 アリムと初めて会話した日のことを思い出してしまう。
 わたしも冬香も、その場でナイトバイントしたいと感じたあの日。
 理性と知性の判断よりも、動物のメスの本能は流石というか正確というか大事に思えてきた。』 





 私達は無事に書類を提出して、その日のうちに処理された。

真々美、冬香、オルア こころの声
『これでアリムは逃げられない。
 かごとりというか
 首輪を付けられた犬というか
 足に重りを付けられた子象
になった。』

 罪悪感よりも達成感と満足感で満たされた私達だった。

アリム こころの声
『今日中、いや、襲撃前、できれば、晩御飯の前までに、【正性知識 2000】を1800まで読み終えたい。
 このしあわせを失わないためにも・・・

 頭が痛い、少しは休まないといけないな。』

12日目 PM 15:30

筆者の注釈
「アリムの頭痛が気になりますね。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話

猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。 バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。 『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか? ※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です ※カクヨム・小説家になろうでも公開しています

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

処理中です...