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第7章 面接者たちの想いと願い
035 6日目 遺伝子獲得権
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シュウピンとメラニィの熱い夜の続きです。
メラニィは子供が欲しいようです。
◇
6日目(23:10)
シュウピン
「それなら、男性の遺伝子だけもらえばいいんじゃない?」
メラニィ
「いいや、それでは駄目だ。
こどもに聞かれたときに、父親は事故で死んだことにする。
だけど、愛されて生まれた子供だという事実は残してやりたいんだ。
だから、普通の愛情交換によって生まれた形を選びたい。」
シュウピン
「いいんじゃない。
そうしたら?」
メラニィ
「シュウピンは、嫌じゃないのか?
男性と私を共有するつもりは無い!
と怒るかと思っていた。」
シュウピン
「ただし、その男性は指名することにするわ。」
メラニィ
「シュウピンが良いと思える男性がこの世に存在するのか?
カセイダード王国の本星にもいなかったのにか?」
シュウピン
「世の中は広いわねえ。
それが居たのよ。
たったひとりだけね。」
メラニィ
「だ、だれだ。それは?」
シュウピン
「アリムさんよ。」
メラニィ
「アリムさんに手を出したら、オルア様がゆるさないだろう。」
シュウピン
「条件さえ、整えば大丈夫よ。
少し待ってもらう必要はあるけれど。」
メラニィ
「どれぐらい待てばいい?」
シュウピン
「1年も掛からないと思うわ。」
メラニィ
「それでも長いな。
わたしは、もう29歳だからな。」
シュウピン
「わたしは、31歳だけどね。」
メラニィ
「いや、すまない。
そういう意味ではなくて。
どんな条件を満たせばいいか知りたい。」
シュウピン
「オルア様、真々美様、冬香様の次かな?
できれば、わたしの次にして欲しいけれどね。」
☆ 真々美
☆ 「それなら、心配ない。
☆ 冬香とわたしも、アリムさんとナイトバイントする予定だ。
☆ オルアからも頼まれているから、心配ない。」
☆
☆ 028 6日目 11時40分 命がけの告白
メラニィ
「真々美様、冬香様の次って、何年先の話だ。
とても待ってはいられない。」
シュウピン
「そうでもないわ。
真々美様と冬香様は、アリムさんと(名前+さん)呼びする関係になられたわ。」
☆ 真々美
☆ 「アリムさん、今からは私のことも、名前にさんづけで呼んで欲しい。
☆ 真々美さん、と。」
☆
☆ アリム
☆ 「はい、真々美さん、よろしくお願いします。」
☆
☆ 冬香
☆ 「アリムさん、今からは私のことも、名前にさんづけで呼んでね。
☆ 冬香さん、と。」
☆
☆ アリム
☆ 「はい、冬香さん、よろしくお願いします。」
☆
☆ 031 アリムさんに断られた!
メラニィ
「信じられるものか、そんな話。
どこで? いつ? 何月何日何時ごろの話だ?」
シュウピン
「真々美様の司令室で、
本日 2023年8月6日 14時ごろの話よ。」
メラニィ
「午後からも会議があったのか?」
シュウピン
「いいえ。」
メラニィ
「なぜ、そんな話があることを知ったんだ。
わざわざ、シュウピンに報告しに来てくださったのか?」
シュウピン
「いいえ。」
メラニィ
「夢でも見たのか。」
シュウピン
「いいえ。」
メラニィ
「じゃあ、どうやって聞いたんだ?」
シュウピン
「盗聴器をテーブルの裏に仕掛けて聞いたの。」
メラニィ
「見つかったら、大変なことになるぞ。」
シュウピン
「真々美様なら、見つけてるでしょうね。」
メラニィ
「冬香様も、見つけているはず。」
シュウピン
「そうね。
それなのに、放置してくれているということは、意図に気付いてくれたのかもしれない。」
メラニィ
「意図とは、海賊に見せかけた襲撃のことか?」
シュウピン
「それと、オルア様を探りたいという意図ね。」
メラニィ
「次の会議の時には回収してくれよ。
それまで、気付かないふりしてくれたら良いけれどな。」
シュウピン
「そうね。
という訳だから、アリムさんと愛情交換する、こころの準備でもしなさいな。」
メラニィ
「オルア様がゆるすとは思えない。」
シュウピン
「それが意外と大丈夫かもね。」
☆ オルア
☆ 「うう、そう言われると困るわ。
☆ たしかに、シュウピンさんとメラニィさんの心証を悪くしたくないわ。
☆ アリムさんを私の前に連れてきてくれた人たちなのだから。」
☆
☆ 033 3サイズを測ろう
メラニィ
「オルア様は私たちに気をつかってくださる御方なのだな。」
シュウピン
「だからね。
初夜の順番さえ待てば、可能性は高いわ。
それに、わたしたちには、【遺伝子獲得権】があるから行使すれば良いわ。」
メラニィ
「【遺伝子獲得権】って、なんだ?
【遺伝子権】、両性の合意がある限り、子孫を残すことができる権利とは違うものか?」
シュウピン
「もっと、上の権利ね。
女の人以上のクラスターで、公正で公平な判断を要求される職に就くものにのみ許される特権の1つね。
こういう美味しい特権でもなければ、わいろも受け取れない責任が重い責務を行うメリットが無いわ。」
メラニィ
「そこは、使命感でやるものではないのか?
それに、その話は聞いたことが無いぞ。」
シュウピン
「使命感なんて限界があるわ。
それよりも欲を満たすためという目的で良いひとを演じている人の方が信用できるわ。
利害が一致している限り裏切らないからね。
それと、メラニィ?
あなたが男性との通常の愛情交換で子供を得たいと考えているなんて、初耳よ。
必要のない情報は無駄な情報になるから話さなかっただけよ。」
メラニィ
「そんなものか?
それと、子供が欲しいという話をするほど親密な関係になるとは夢にも思わなかったから言わなかっただけだ。」
シュウピン
「わたしの熱い視線を感じなかったの?」
メラニィ
「仕事上の業務の出来栄えか何かに文句があって、にらまれていると思っていた。」
シュウピン
「がーん。」
メラニィ
「ショックを受けたのか?
わたしも居心地が悪かったんだ。
お互い様だと思ってくれ。」
シュウピン
「そうね。
視線だけではなく、言葉にしてセクハラすべきだったわ。」
メラニィ
「セクハラはダメだ。
問題行為だ。」
シュウピン
「シュウピンに思いを告げる機会があって良かったわ。
冬香様とオルア様が姉妹関係を成立させてくれたおかげね。」
メラニィ
「そうだな。
【遺伝子獲得権】について、くわしく教えてくれないか?」
シュウピン
「産地直送で、求める遺伝子を受け取る行為よ。
避妊具なしで愛情交換して受け取ることができる。
そして、故意に受精に適した時期を外すような悪意が無い限り、妊娠するまで何度でも再挑戦できる。」
メラニィ
「素晴らしすぎるな。
なにか制限は付くのだろう。」
シュウピン
「そうね、その遺伝子の権利者が見ている前で愛情交換することになる。
見張り付きで自動車をレンタルする感じね。
そして、受け取り者の同性のパートナーの立ち合いも求められる。」
メラニィ
「つまり、わたしの場合、アリムさんの遺伝子の権利者であるオルア様、真々美様、冬香様のうちひとりと、シュウピンに見守られながら、アリムさんと愛情交換をお願いするのか?」
シュウピン
「立ち会う権利者はオルア様ね。
そうしないと、アリムさんは納得しないし、オルア様も正気を保てないでしょうね。
そして、メラニィのときはわたしが、わたしのときはメラニィが立ち会うことになるわね。
ただし、カン違いしないように注意が必要ね。」
メラニィ
「カン違いしないように、とは、どういう意味だ。」
シュウピン
「おそらく、アリムさんはお優しい性格で人の痛みが分かる人のようだから、真剣に愛情を注いでくださると思うわ。
ナイトバインドの相手である、オルア様、真々美様、冬香様を愛するように抱いてくださるだろうし、行為の最中には優しい言葉と気遣いとねぎらいの言葉も掛けてくださるでしょう。
それでも、アリムさんを好きになることは、ゆるされないわ。
好きにならないように気持ちを抑える自信はあるの?」
メラニィ
「もし、そんな風にあつかってくださるなら、好きになってしまうかもしれない。
だけど、割り切るように自分に言い聞かせることは大丈夫だ。
少なくとも、その場では演じ切るようにする。」
シュウピン
「そう、それなら、その方向で進めましょう。
そのためにも、勝ち残っていただかないとね。」
メラニィ
「真々美様、冬香様、オルア様が勝ち残ってくださるようにヒントを出しても良いのか?」
シュウピン
「ええ、襲撃人数と日程についてだけでも、ヒントを伝えましょう。
ただし、襲撃方法と装備については教えられない。
あくまで、ぎりぎり跳ね返した勝利(=辛勝)を目指してもらわないと、疑われてしまう。
そうなったら、襲撃人数と日程をわたしたちが知っている内容から変えられてしまう。」
メラニィ
「なかなか難しいな。
うまく行くと思うか?」
シュウピン
「アリムさんが無事なら可能性は高いわ。」
メラニィ
「アリムさんが関係するとは思えないが、なにか理由があるのか?」
シュウピン
「そもそも、わたしたちの想定では、冬香様とオルア様の姉妹関係が成立することは無かった。」
メラニィ
「たしかに、わたしたちが休んだ3日間になにがあったか知りたいところだな。」
シュウピン
「さらに言えば、真々美様と冬香様までがアリムさんとナイトバインドする意思がある点が理解できない。」
メラニィ
「カセイダード王国本星とカセイダード王国チータマルム支国の男性でもナイトバインドに至ったものはいなかったな。」
シュウピン
「しかも、不意打ちではなく、予定日をアリムさんに打診している。
そして、アリムさんの要望に従い、アリムさんが希望するデートおよび個室入室の約束をしている。」
メラニィ
「それも、盗聴か?」
シュウピン
「もちろん、盗聴して聞いた話よ。」
☆ アリム
☆ 「それと同時にですね。
☆ みなさんのこころの中とも言える個室を見せて欲しいです。
☆ もちろん、貴重品は鍵が掛かった金庫などに入れておいてください。
☆ 見られたくないものは不透明の引き出しに入れてください。
☆ ただし、机の上に置いてあるものや本棚の本は手に取って見たり読んだりさせてください。」
☆
☆ 031 アリムさんに断られた!
◇
メラニィ
「アリムさんは、かなり特別扱いされているな。
確かにわたしは唯一の移民招待者として、アリムさんを選んだが・・・
わたしが想像する以上に優れた人物なのか?
そこまでとは思えないが・・・」
シュウピン
「冬香様とオルア様の姉妹関係が成立した影の功労者がアリムさんだったのではないかと考えています。」
メラニィ
「まさか、いくらなんでも、オルア様を説得することなど不可能だろう。」
シュウピン
「わたしもそう思います。
しかし、それ以外の理由で、真々美様と冬香様がアリムさんを評価する理由に候補を思いつきますか?」
メラニィ
「たしかに、それぐらいのことでもなければ、真々美様と冬香様がナイトバインドする理由にならないな。」
シュウピン
「しかも、アリムさんは一度、真々美様と冬香様とのナイトバインドを、お断りされています。」
メラニィ
「またまたあ、そんなことありえないって。
手を離したりんごが空に向かって飛んで行った話の方がまだ信じられるぞ。」
シュウピン
「事実です。
ちゃんと盗聴して聞きましたからね。」
☆ アリム
☆ 「ありがとう、オルアさん。
☆ ところで、真々美さんと冬香さんは静かだね。」
☆
☆ オルア
☆ 「どこかの誰かさん、アリムさん(仮名)に断られたから、ショックを受けているのよ。」
☆
☆ 031 アリムさんに断られた!
メラニィ
「アリムさんって、なにもの?
男性器がついていないのか?」
シュウピン
「失礼なこと言わないで。
「オルアさんの相手として許容範囲かどうか試されたと思ったんだ。」
という理由だからね。」
メラニィ
「オルア様とアリムさんは、お互いへの執着心が激しいな。」
シュウピン
「それよりも、真々美様と冬香様がアリムさんを高く評価している理由が気になって仕方ないわ。」
メラニィ
「いずれ、わかる日が来ると思うしかないな。」
シュウピン
「そうね。
それと、【遺伝子獲得権】の話に戻るけれど、成功したら、メラニィと私の子供に血縁関係ができるわね。」
メラニィ
「そうだな。
兄弟にしろ、姉妹にしろ、血縁関係があると良い場合が多いからな。」
シュウピン
「それに、メラニィは冬香様と血縁関係がある子供が持てるし、
わたしは、真々美様と血縁関係がある子供が持てるわ。」
メラニィ
「そうなったら、親戚付き合いができる可能性が高いな。」
シュウピン
「そして、伍姫《いつひめ》も成立するわ。」
6日目(23:50)
◇
遺伝子獲得権があるなら、女性主体の社会の方が上手く回りそうですね。
【読者様へ】
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メラニィは子供が欲しいようです。
◇
6日目(23:10)
シュウピン
「それなら、男性の遺伝子だけもらえばいいんじゃない?」
メラニィ
「いいや、それでは駄目だ。
こどもに聞かれたときに、父親は事故で死んだことにする。
だけど、愛されて生まれた子供だという事実は残してやりたいんだ。
だから、普通の愛情交換によって生まれた形を選びたい。」
シュウピン
「いいんじゃない。
そうしたら?」
メラニィ
「シュウピンは、嫌じゃないのか?
男性と私を共有するつもりは無い!
と怒るかと思っていた。」
シュウピン
「ただし、その男性は指名することにするわ。」
メラニィ
「シュウピンが良いと思える男性がこの世に存在するのか?
カセイダード王国の本星にもいなかったのにか?」
シュウピン
「世の中は広いわねえ。
それが居たのよ。
たったひとりだけね。」
メラニィ
「だ、だれだ。それは?」
シュウピン
「アリムさんよ。」
メラニィ
「アリムさんに手を出したら、オルア様がゆるさないだろう。」
シュウピン
「条件さえ、整えば大丈夫よ。
少し待ってもらう必要はあるけれど。」
メラニィ
「どれぐらい待てばいい?」
シュウピン
「1年も掛からないと思うわ。」
メラニィ
「それでも長いな。
わたしは、もう29歳だからな。」
シュウピン
「わたしは、31歳だけどね。」
メラニィ
「いや、すまない。
そういう意味ではなくて。
どんな条件を満たせばいいか知りたい。」
シュウピン
「オルア様、真々美様、冬香様の次かな?
できれば、わたしの次にして欲しいけれどね。」
☆ 真々美
☆ 「それなら、心配ない。
☆ 冬香とわたしも、アリムさんとナイトバイントする予定だ。
☆ オルアからも頼まれているから、心配ない。」
☆
☆ 028 6日目 11時40分 命がけの告白
メラニィ
「真々美様、冬香様の次って、何年先の話だ。
とても待ってはいられない。」
シュウピン
「そうでもないわ。
真々美様と冬香様は、アリムさんと(名前+さん)呼びする関係になられたわ。」
☆ 真々美
☆ 「アリムさん、今からは私のことも、名前にさんづけで呼んで欲しい。
☆ 真々美さん、と。」
☆
☆ アリム
☆ 「はい、真々美さん、よろしくお願いします。」
☆
☆ 冬香
☆ 「アリムさん、今からは私のことも、名前にさんづけで呼んでね。
☆ 冬香さん、と。」
☆
☆ アリム
☆ 「はい、冬香さん、よろしくお願いします。」
☆
☆ 031 アリムさんに断られた!
メラニィ
「信じられるものか、そんな話。
どこで? いつ? 何月何日何時ごろの話だ?」
シュウピン
「真々美様の司令室で、
本日 2023年8月6日 14時ごろの話よ。」
メラニィ
「午後からも会議があったのか?」
シュウピン
「いいえ。」
メラニィ
「なぜ、そんな話があることを知ったんだ。
わざわざ、シュウピンに報告しに来てくださったのか?」
シュウピン
「いいえ。」
メラニィ
「夢でも見たのか。」
シュウピン
「いいえ。」
メラニィ
「じゃあ、どうやって聞いたんだ?」
シュウピン
「盗聴器をテーブルの裏に仕掛けて聞いたの。」
メラニィ
「見つかったら、大変なことになるぞ。」
シュウピン
「真々美様なら、見つけてるでしょうね。」
メラニィ
「冬香様も、見つけているはず。」
シュウピン
「そうね。
それなのに、放置してくれているということは、意図に気付いてくれたのかもしれない。」
メラニィ
「意図とは、海賊に見せかけた襲撃のことか?」
シュウピン
「それと、オルア様を探りたいという意図ね。」
メラニィ
「次の会議の時には回収してくれよ。
それまで、気付かないふりしてくれたら良いけれどな。」
シュウピン
「そうね。
という訳だから、アリムさんと愛情交換する、こころの準備でもしなさいな。」
メラニィ
「オルア様がゆるすとは思えない。」
シュウピン
「それが意外と大丈夫かもね。」
☆ オルア
☆ 「うう、そう言われると困るわ。
☆ たしかに、シュウピンさんとメラニィさんの心証を悪くしたくないわ。
☆ アリムさんを私の前に連れてきてくれた人たちなのだから。」
☆
☆ 033 3サイズを測ろう
メラニィ
「オルア様は私たちに気をつかってくださる御方なのだな。」
シュウピン
「だからね。
初夜の順番さえ待てば、可能性は高いわ。
それに、わたしたちには、【遺伝子獲得権】があるから行使すれば良いわ。」
メラニィ
「【遺伝子獲得権】って、なんだ?
【遺伝子権】、両性の合意がある限り、子孫を残すことができる権利とは違うものか?」
シュウピン
「もっと、上の権利ね。
女の人以上のクラスターで、公正で公平な判断を要求される職に就くものにのみ許される特権の1つね。
こういう美味しい特権でもなければ、わいろも受け取れない責任が重い責務を行うメリットが無いわ。」
メラニィ
「そこは、使命感でやるものではないのか?
それに、その話は聞いたことが無いぞ。」
シュウピン
「使命感なんて限界があるわ。
それよりも欲を満たすためという目的で良いひとを演じている人の方が信用できるわ。
利害が一致している限り裏切らないからね。
それと、メラニィ?
あなたが男性との通常の愛情交換で子供を得たいと考えているなんて、初耳よ。
必要のない情報は無駄な情報になるから話さなかっただけよ。」
メラニィ
「そんなものか?
それと、子供が欲しいという話をするほど親密な関係になるとは夢にも思わなかったから言わなかっただけだ。」
シュウピン
「わたしの熱い視線を感じなかったの?」
メラニィ
「仕事上の業務の出来栄えか何かに文句があって、にらまれていると思っていた。」
シュウピン
「がーん。」
メラニィ
「ショックを受けたのか?
わたしも居心地が悪かったんだ。
お互い様だと思ってくれ。」
シュウピン
「そうね。
視線だけではなく、言葉にしてセクハラすべきだったわ。」
メラニィ
「セクハラはダメだ。
問題行為だ。」
シュウピン
「シュウピンに思いを告げる機会があって良かったわ。
冬香様とオルア様が姉妹関係を成立させてくれたおかげね。」
メラニィ
「そうだな。
【遺伝子獲得権】について、くわしく教えてくれないか?」
シュウピン
「産地直送で、求める遺伝子を受け取る行為よ。
避妊具なしで愛情交換して受け取ることができる。
そして、故意に受精に適した時期を外すような悪意が無い限り、妊娠するまで何度でも再挑戦できる。」
メラニィ
「素晴らしすぎるな。
なにか制限は付くのだろう。」
シュウピン
「そうね、その遺伝子の権利者が見ている前で愛情交換することになる。
見張り付きで自動車をレンタルする感じね。
そして、受け取り者の同性のパートナーの立ち合いも求められる。」
メラニィ
「つまり、わたしの場合、アリムさんの遺伝子の権利者であるオルア様、真々美様、冬香様のうちひとりと、シュウピンに見守られながら、アリムさんと愛情交換をお願いするのか?」
シュウピン
「立ち会う権利者はオルア様ね。
そうしないと、アリムさんは納得しないし、オルア様も正気を保てないでしょうね。
そして、メラニィのときはわたしが、わたしのときはメラニィが立ち会うことになるわね。
ただし、カン違いしないように注意が必要ね。」
メラニィ
「カン違いしないように、とは、どういう意味だ。」
シュウピン
「おそらく、アリムさんはお優しい性格で人の痛みが分かる人のようだから、真剣に愛情を注いでくださると思うわ。
ナイトバインドの相手である、オルア様、真々美様、冬香様を愛するように抱いてくださるだろうし、行為の最中には優しい言葉と気遣いとねぎらいの言葉も掛けてくださるでしょう。
それでも、アリムさんを好きになることは、ゆるされないわ。
好きにならないように気持ちを抑える自信はあるの?」
メラニィ
「もし、そんな風にあつかってくださるなら、好きになってしまうかもしれない。
だけど、割り切るように自分に言い聞かせることは大丈夫だ。
少なくとも、その場では演じ切るようにする。」
シュウピン
「そう、それなら、その方向で進めましょう。
そのためにも、勝ち残っていただかないとね。」
メラニィ
「真々美様、冬香様、オルア様が勝ち残ってくださるようにヒントを出しても良いのか?」
シュウピン
「ええ、襲撃人数と日程についてだけでも、ヒントを伝えましょう。
ただし、襲撃方法と装備については教えられない。
あくまで、ぎりぎり跳ね返した勝利(=辛勝)を目指してもらわないと、疑われてしまう。
そうなったら、襲撃人数と日程をわたしたちが知っている内容から変えられてしまう。」
メラニィ
「なかなか難しいな。
うまく行くと思うか?」
シュウピン
「アリムさんが無事なら可能性は高いわ。」
メラニィ
「アリムさんが関係するとは思えないが、なにか理由があるのか?」
シュウピン
「そもそも、わたしたちの想定では、冬香様とオルア様の姉妹関係が成立することは無かった。」
メラニィ
「たしかに、わたしたちが休んだ3日間になにがあったか知りたいところだな。」
シュウピン
「さらに言えば、真々美様と冬香様までがアリムさんとナイトバインドする意思がある点が理解できない。」
メラニィ
「カセイダード王国本星とカセイダード王国チータマルム支国の男性でもナイトバインドに至ったものはいなかったな。」
シュウピン
「しかも、不意打ちではなく、予定日をアリムさんに打診している。
そして、アリムさんの要望に従い、アリムさんが希望するデートおよび個室入室の約束をしている。」
メラニィ
「それも、盗聴か?」
シュウピン
「もちろん、盗聴して聞いた話よ。」
☆ アリム
☆ 「それと同時にですね。
☆ みなさんのこころの中とも言える個室を見せて欲しいです。
☆ もちろん、貴重品は鍵が掛かった金庫などに入れておいてください。
☆ 見られたくないものは不透明の引き出しに入れてください。
☆ ただし、机の上に置いてあるものや本棚の本は手に取って見たり読んだりさせてください。」
☆
☆ 031 アリムさんに断られた!
◇
メラニィ
「アリムさんは、かなり特別扱いされているな。
確かにわたしは唯一の移民招待者として、アリムさんを選んだが・・・
わたしが想像する以上に優れた人物なのか?
そこまでとは思えないが・・・」
シュウピン
「冬香様とオルア様の姉妹関係が成立した影の功労者がアリムさんだったのではないかと考えています。」
メラニィ
「まさか、いくらなんでも、オルア様を説得することなど不可能だろう。」
シュウピン
「わたしもそう思います。
しかし、それ以外の理由で、真々美様と冬香様がアリムさんを評価する理由に候補を思いつきますか?」
メラニィ
「たしかに、それぐらいのことでもなければ、真々美様と冬香様がナイトバインドする理由にならないな。」
シュウピン
「しかも、アリムさんは一度、真々美様と冬香様とのナイトバインドを、お断りされています。」
メラニィ
「またまたあ、そんなことありえないって。
手を離したりんごが空に向かって飛んで行った話の方がまだ信じられるぞ。」
シュウピン
「事実です。
ちゃんと盗聴して聞きましたからね。」
☆ アリム
☆ 「ありがとう、オルアさん。
☆ ところで、真々美さんと冬香さんは静かだね。」
☆
☆ オルア
☆ 「どこかの誰かさん、アリムさん(仮名)に断られたから、ショックを受けているのよ。」
☆
☆ 031 アリムさんに断られた!
メラニィ
「アリムさんって、なにもの?
男性器がついていないのか?」
シュウピン
「失礼なこと言わないで。
「オルアさんの相手として許容範囲かどうか試されたと思ったんだ。」
という理由だからね。」
メラニィ
「オルア様とアリムさんは、お互いへの執着心が激しいな。」
シュウピン
「それよりも、真々美様と冬香様がアリムさんを高く評価している理由が気になって仕方ないわ。」
メラニィ
「いずれ、わかる日が来ると思うしかないな。」
シュウピン
「そうね。
それと、【遺伝子獲得権】の話に戻るけれど、成功したら、メラニィと私の子供に血縁関係ができるわね。」
メラニィ
「そうだな。
兄弟にしろ、姉妹にしろ、血縁関係があると良い場合が多いからな。」
シュウピン
「それに、メラニィは冬香様と血縁関係がある子供が持てるし、
わたしは、真々美様と血縁関係がある子供が持てるわ。」
メラニィ
「そうなったら、親戚付き合いができる可能性が高いな。」
シュウピン
「そして、伍姫《いつひめ》も成立するわ。」
6日目(23:50)
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キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
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修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
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どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
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無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
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だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
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