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第4章 いそげ、姉妹関係の儀式

021 5日目 受伝台の助言の意味は

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19:30
アリムとオルアは晩御飯を済ませた。

オルアはそわそわしています。
まだ少し勇気が足りないようだ。



アリム
「オルアさん」

オルアは、びくっとした。
早く行けと言われるかもしれない・・・

オルア=サーパース
「な、なあに?」

アリム
「歯を磨いてから行けばいいよ。
 19:50になったら、ドアの前まで付き添うから。
 オルアさんが無事に入室できるところまで見送らせてほしいんだ。」

オルア=サーパース
「うん、ありがとう。」



オルアは、アリムに見送られて、真々美と冬香がいる部屋に入った。
何度も何度も、深呼吸をした後で。

オルアが部屋に入ると、真々美と冬香が座って待ち構えていた。

司会(中路真々美)
「よく戻ってきた。」

医師(白石冬香)
「待ってたわ。 20時になっても来なかったら、探しに行くつもりだったの。」

オルアは、息を吸い込んで、一気に言い放った。

オルア=サーパース
「冬香!
 思い出したら腹が立ったから戻ってきたわ。
 権力で相手の女性を指名できるなら、一番抱きたいと思う女性を選べばいいわ。
 わたしでガマンする必要はないじゃないですか。

 それとも、かなりうぬぼれたことを言うけれど、私を欲しいと思ってくれるなら、ちゃんと口説いて、その気にさせる努力をして欲しいわ。

 真々美も真々美よ!
 大事な冬香を誰とも共有したくない。
 絶対に誰かと冬香を共有しなければ駄目だという状況ならば、共有しても良いと思える唯一の女性は可愛いオルアだけだ。
  って、そういうべきじゃない。

 それを私のためだとか言うズルい言い方をして欲しくないわ。」

司会(中路真々美) こころの声
『そのままだな。 少しはアレンジすると思っていたのだが。』

医師(白石冬香) こころの声
『そのままね。 賭けはわたしの勝ちね。 真々美、1週間分の洗濯よろしくね。』

> 真々美と冬香は、オルアが残していった見守りテレビを視聴していた。
引用元 020 5日目 アリムさんは聞き上手

 真々美と冬香のふたりは余裕が出来たので、オルアがアリムさんが考えたセリフをそのまま言うか、少しはアレンジするかで、賭けをしていた。
 真々美が勝ったら、皿洗いを1週間頼む予定だった・・・



医師(白石冬香)
「そうねえ。感情優先のセリフをオルアが望むなら・・・
わたしの可愛いオルアに他の女性が触れようものなら、サ」

オルア=サーパース
「サ? なに、サって」

医師(白石冬香)
「おほほ、話を変えるけれど、オルアはもう晩御飯は食べたの?」

オルア=サーパース
「もう食べたよ。 アリムさんが作ってくれた、卵巻き、豚肉とキャベツ炒め、豆腐のみそ汁と雑穀ごはん。」

司会(中路真々美)
「愛情巻き巻き、愛情巻き巻き、トントントンだな。」

医師(白石冬香)
「そうねえ。」

オルア=サーパース
「真々美は、大げさじゃない。」

司会(中路真々美)
「卵巻きは面倒くさいぞ、手間が掛かるからなあ。」

オルア=サーパース
「まあ、ゆで卵の方が簡単だけどね。
それで、真々美と冬香は何を食べたの?」

医師(白石冬香)
「サイコロステーキよ。 私が1くちサイズに切って、真々美が焼いたの。」

司会(中路真々美)
「オルアとアリムさんの分も作っておいた。冷蔵庫に入れてある。
 アリムさんの感想を聞いておいてくれ。」

オルア=サーパース
「わかった。 それで、冬香はどう思うの?」

医師(白石冬香) こころの声
『あ、分からなかったのね。オルアも魔力が落ちているわね。』

医師(白石冬香)
「お餅を焼いて食べるかもね。」

オルア=サーパース
「それを言うなら、焼きもちを焼くって言って欲しいわ。
 真々美は?」

司会(中路真々美)
「冬香を共有したくない、共有するなら可愛いオルアだけだ。
 という前半は合っているが、後半を忘れているな。
 可愛いオルアに触れていいと思えるひとは、私自身と冬香だけだ。
 もし、他の者がオルアに触れようとするなら、男性女性を問わず許せない。
 そのときは、サ。」

オルア=サーパース
「サ? なに、サって」

司会(中路真々美)
「サ? ああ、サイコロステーキは本当に上手くできたので、アリムさんとふたりで味わって食べて感想をアリムさんから聞いてくれ。」

オルア=サーパース
「変なの。 ふたりって、そんなにサイコロステーキが好きだったかなあ?」

ナレーション(筆者の解説)
「アリムさんの感想をお待ちください。
 意味が分かった方は決して、感想欄に書かないように自重お願いします。」



オルア=サーパース
「真々美、冬香、途中で出て行ったことはごめんなさい。
 そして、続きがあれば聞かせてください。 お願いします。」

真々美と冬香は顔を見合わせてうなづき合った。

司会(中路真々美)
「そして、3つ目は、オルアをひとりにしないことだ。常に私たちの目が届くところに置いておきたい。」

☆ 司会(中路真々美)
☆ 「そして、み」

☆ オルア=サーパース
☆ 「いや、もう耐えられない。 ここに居たくない。」

☆ 019 5日目 冬香と真々美からオルアへ 参照

オルア=サーパース
「小さな子供じゃないんだし、心配性が過ぎない?」

医師(白石冬香)
「Please keep your valuables with you at all times.
 貴重品は肌身離さずお持ちください。
って言うでしょ。」

オルア=サーパース
「大事に思ってくれることは、うれしいけれど、過保護じゃない?」

司会(中路真々美)
「男性の性欲を甘く見るな。 やつらの脳は頭ではなく股間にあるのだからな。
 それに、光元国に行って帰るまで、往復で20日は掛かる。」

オルア=サーパース
「でも、いざとなれば、ワープすれば一瞬でしょ。」

司会(中路真々美)
「チータマルム星にない技術を見せることは出来ない。
 わたしと冬香にとってオルアの安全は最優先事項だが、カセイダード王国にとっては些細ささいなことだからな。」

医師(白石冬香)
「有名な看護師のクイズを知らない?
 もし、彼女がいなかったら、どうなるでしょうか?」

オルア=サーパース
「多くのひとが救われなくなる。」

医師(白石冬香)
「答えは人口という数字が1減るだけ。」

オルア=サーパース
「こども向けのクイズじゃない。」

司会(中路真々美)
「カセイダード王国にとってのオルアの価値はその程度だ。
 だから、オルアにも移民審査船に乗船してもらった。
 ありとあらゆる口実を最大限に利用してな。」

オルア=サーパース
「せいぜい1ヵ月でしょう。 心配しすぎだよ。」

医師(白石冬香)
「オルア? 生き物は眠って脳を休める必要があるの。
 忘れないで。」

オルア=サーパース
「大丈夫だよ。規則正しい生活を心がけているから。」

司会(中路真々美)
「そういう話じゃないんだ。
 わたしがオルアを襲う側の作戦指揮者なら10人で、オルアを攻める。」

オルア=サーパース
「10人くらいなら、なんとかなるよ。わたし強いから。」

医師(白石冬香)
「立てこもり犯を捕まえる方法を知っているわよね?」

オルア=サーパース
「君のお母さんは悲しんでいる! 早く人質を解放して出てきなさい。
 「○○、お母さんよ。こんなことはもうやめて!」
って、説得するんでしょ!」

医師(白石冬香)
「オルア? 生き物は眠って脳を休める必要があるの。
 立てこもり犯が疲れて眠ったところを捕まえるのよ。」

オルア=サーパース
「なるほどね。 根競べするなら、人数が多い方が勝ちね。
 人数が少ない側は早期決着を目指さなきゃね。」

司会(中路真々美)
「本当に分かっているのか?
 わたしなら、オルアの睡眠を妨げるために、10人交代で大声で騒がせる。
 そして、オルアがふらふらになったところを捕まえて、全員でオルアを山分けする。
 または、どこかの金持ちが彼らの歪んだ趣味でオルアを大事にするだろう。」

オルア=サーパース
「でも、そうなったら、いくら何でも警察が助けてくれるでしょう。」

司会(中路真々美)
「オルアは、彼らに給料を払っているのか?
 それとも、彼らが当てにならないことを忘れたのか?」

オルア=サーパース
「う、確かに。 でも、考えすぎじゃないかな。
 今までだって大丈夫だったから。」

医師(白石冬香)
「それは、真々美と私が目を光らせていたからよ。
 わたしたち3人に勝てると思うほど馬鹿じゃない連中だっただけの話。」

司会(中路真々美)
「オルアに理解してもらうためには、痛い目にあってもらうしかないのか???
 いや、でも、痛い目にあって欲しくないし。」

オルア=サーパース
「大丈夫、理解したよ。 わたしの安全を守り続けてくれているのね。
 感謝しています。」

医師(白石冬香)
「それなら良いけれど、油断しないでね。」



司会(中路真々美)
「次に、オルアが冬香と姉妹契約を結ばない場合、どうなるかについてだが、」

オルア=サーパース
「はい、解説お願いします。」

司会(中路真々美)
「まず、この部屋に入ることが許されなくなる。
 そして、わたしに話しかけることも許されなくなる。」

オルア=サーパース
「どうしてなの?」

司会(中路真々美)
「3人で話しているこの状態が特別すぎるだけなんだ。
 本来、直接の上司を飛ばして、その上と話すことは許されない。
 オルアは、冬香との姉妹関係を拒絶した形になった。
 オルアが拒絶を撤回する唯一の方法は、今夜中に冬香との姉妹関係を完成させるしかない。」

オルア=サーパース
「ずいぶん厳しいのね。」

医師(白石冬香)
「わたしは真々美のサブシス(Sub-Sis)だから、真々美とは話し合うことができます。
 しかし、真々美のハイシス(High-Sis)である絵美様と直接話し合うことはできません。」

オルア=サーパース
「サブシス(Sub-Sis)とかハイシス(High-Sis)って、初めて聞くけれど、姉妹関係(Sister Relationship)の用語なの?」

医師(白石冬香)
「説明するわ。」

冬香は、姉妹関係(Sister Relationship)について、オルアに説明した。

ナレーション(筆者の解説)
「くわしくは、
  018 5日目 冬香のあせり
を読み直してください。」

オルア=サーパース
「直接話ができないって、非効率じゃない。」

司会(中路真々美)
「そうかもしれないが、組織内での順位付けのために必要になる。」

オルア=サーパース
「順位付けのため?」

司会(中路真々美)
「そうだ、無駄な競争を省くために必要だ。
 そして、なにより重要なことは卑怯な方法で自分自身の順位を上げようとする連中を排除するために必要とされる仕組みが、姉妹関係だ。」

オルア=サーパース
「それって、アリムさんの推理通り。」

司会(中路真々美)
「アリムさんがなにか言ったのか?」

医師(白石冬香)
「アリムさんは姉妹関係について知っているの?」

真々美と冬香は、オルアが残していった見守りテレビを視聴していたことを隠すために、とぼけて聞いた。
参考: 020 5日目 アリムさんは聞き上手

オルア=サーパース
「アリムさんに姉妹関係を結ぶように言われたことを聞いてもらったの。
 そしたら、私の気持ちに寄り添いながら、まるで自分自身のことのように真剣に考えてくれた。」

司会(中路真々美)
「そうか、アリムさんに出会えて良かったな。」

医師(白石冬香)
「本当に幸運ね。オルア、まるで今までのマイナスを取り戻すかのようにラッキーね。」

オルア=サーパース
「うん、わたしもそう思う。」



医師(白石冬香)
「そして、オルアに拒絶された私は、他の女性をサブシス(Sub-Sis)に選ぶことになります。」

オルア=サーパース
「拒絶っていうほど強く断ったつもりは無いけれど・・・
 断ってしまって、ごめんなさい。
 今は、冬香のサブシス(Sub-Sis)になりたいです。
 わたしを冬香のサブシス(Sub-Sis)にしてください。
 お願いします。」

医師(白石冬香)
「オルア? 最後まで聞いてね。」

オルア=サーパース
「はい。最後まで聞きます。」

医師(白石冬香)
「私がどんなに清廉潔白で精神修養ができた女性をサブシス(Sub-Sis)に選んだとしても、オルアは目障りな邪魔者になります。 その女性をXさんとすると、Xさんはオルアを排除するためにありとあらゆる手段を使うでしょう。」

オルア=サーパース
「でも、そうなったら、真々美と冬香が助けてくれるよね。」

司会(中路真々美)
「それはできない。無理だな。」

医師(白石冬香)
「そうね。見ても見なかったことにするわ。」

オルア=サーパース
「どうして、姉妹関係を結ばなかっただけで、そんなに変わってしまうの?」

司会(中路真々美)
「冬香が姉妹関係をXさんと結ぶときに、私が立ち会って見届けて承認するからだ。」

医師(白石冬香)
「そして、私が姉妹関係をXさんと結ぶときに、Xさんを一番大事にすると約束するからよ。」

オルア=サーパース
「そんな・・・ でも、Xさんの行為って、いじめやパワハラだよね。
 真々美と冬香が止められなくても、人事の面接担当の2人とかが止めるよね。」

司会(中路真々美)
「止めないし、注意さえしないな。」

医師(白石冬香)
「そうね、逆にオルアが責め立てられるわ。」

オルア=サーパース
「どうして、そうなるの?」

司会(中路真々美)
「例えて言えば、オルアの元カレが他の女性と結婚しました。
 オルアに振られたことが原因です。
 元カレが潔くオルアをあきらめて他の女性と幸せになろうとしているのに、
オルアがよりを戻そうと元カレに近寄ってきました。

 さあ、それは、ゆるされますか?」

オルア=サーパース
「それは、流石にダメよね。」

医師(白石冬香)
「そして、もし、オルアが正しいとなるならば、Xさんを選んだ真々美と私に重大な過失があることになって、わたしたちふたりが社会的に退場ね。」

司会(中路真々美)
「ただし、オルアに味方することの特典があるかどうかを周囲は考えるだろう。
 そして、なんのメリットも感じられないから、オルアが100%悪いことにされる。」

オルア=サーパース
「じゃあ、真々美と冬香に少しでも近づきたいなら、Xさんにお願いして、Xさんのサブシス(Sub-Sis)に選んで欲しいとお願いするしかないの?」

医師(白石冬香)
「無駄なあがきね。」

司会(中路真々美)
「そうだな、自分の地位を脅かす可能性があるオルアを選ぶことは絶対にないと言い切れる。
 XさんはYさんを選び、YさんはZさんを選び、ZさんはAさんを選ぶ。
 そして、ふたたび、AからZまで続いたとしても、オルアが選ばれることは絶対にないと断言できる。」

オルア=サーパース
「じゃあ、真々美クラスの他の女性にお願いすれば良いの?」

医師(白石冬香)
「だれも受けないわ。」

オルア=サーパース
「だれかが受けてくれるわよね。」

司会(中路真々美)
「ぜーーーーーーたいの絶対に受けない。
 冬香の誘いを断ったオルアを誘う勇気がある者はいない。
 冬香様を断るくらいだから、わたしなんかじゃ誘ってもダメね。
 とか、
 さそって断られたら、メンツに傷がつくから、他の女性を選ぼう
と考えるだろう。」

オルア=サーパース
「それって、・・・」

医師(白石冬香)
「詰みね。投了するには遅すぎるわ。
 でも、安心して。
 ベーシックインカムがあるから、生活はできるわ。」

オルア=サーパース
「そんな、なにもかもアリムさんの推理通り・・・」

司会(中路真々美)
「アリムさんの推理通り? アリムさんは名探偵か? 推理できるわけないだろう。」

医師(白石冬香)
「そうよね。 アリムさんは、カセイダード王国のことを良く知らないから分かるわけないわ。」

真々美と冬香は、オルアが残していった見守りテレビを視聴していたことを隠すために、とぼけた返事をした。
参考: 020 5日目 アリムさんは聞き上手

オルア=サーパース
「わたし、どうしたら良いの?」

医師(白石冬香)
「オルア、あなたが早く戻ってきてくれたから、最悪の事態はさけることができたわ。
 ね。真々美、間に合うわよね。」

司会(中路真々美)
「ああ、姉妹関係の第3段階まで全部すませることができるだろう。」



オルア=サーパース
「ねえ、教えてくれる?」

医師(白石冬香)
「なあに、オルア? なんでも聞いて。」

オルア=サーパース
「お昼ごはんの後に会った時は、ふたりともあせってなかったよね。
 私が出て行ったあと、なにがあったの?」

司会(中路真々美)
「わたしが、絵美からの伝言を冬香に伝えたんだ。」

オルア=サーパース
「絵美って、白沢絵美様のこと?」

司会(中路真々美)
「ああ、さっき冬香が言ったとおり絵美は私のハイシス(High-Sis)だからな。」

オルア=サーパース
「その伝言をわたしも知りたい。 でも、ダメなのよね。」

医師(白石冬香)
「どうぞ、オルア。」

オルア=サーパース
「えっ? うれしい。 でも良いの?」

医師(白石冬香)
「もちろんよ、絵美様が私とオルア、なんとアリムさんにも見せて欲しいとおっしゃたのよ。」

オルア=サーパース
「絵美様、感謝します。 拝読いたします。」

> あなたが文句を言ったアリムさんという男の子のクラスター候補について、受けた助言は、次の通りです。

> 紅姫、黄花、青紫の3名がそろえば、稀有なクラスターを得ることができるであろう。
> しかし、宝石が磨き削り上げられる前は、ただの石ころで見向きもされない。
> 紅姫が見つけ、黄花が青紫を守ることで、青紫が磨き続けることができるだろう。
> 青紫は磨き上げた宝石に満足するが、それをひとに取られるくらいなら燃やすだろう。
> 紅姫と黄花の協力がなければ手に入らなかったことを理解して、燃やす前に紅姫と黄花に助けを求めるが、紅姫と黄花は、青紫の幸せを願って断るだろう。
> 青紫は宝石を燃やすことを一時は思いとどまるが、宝石を砕いてしまう。
>
> あなたなら解決できます。 最後まで、あきらめないでください。

引用元: 015 白沢絵美様は、お見通し

オルア=サーパース
「紅姫、黄花、青紫の3名は、真々美、冬香、わたしのことよね。
 稀有なクラスターは、アリムさんのことね。
 それをひとに取られるくらいなら燃やすだろう。って、失礼ね。そんなことしない・・・と思う。
 青紫の幸せを願って断るだろう。って、幸せを願うなら断らないわよね。
 宝石を砕いてしまう。って、失礼ね。そんなことしない・・・と思う。
 二度も断定されると自信なくしちゃうわね。」

司会(中路真々美)
「わたしたちがあせっていた理由が分かったか?」

オルア=サーパース
「ぜんぜん。 あせる要素って無いわよね。」

医師(白石冬香)
「オルアも魔力が落ちているのかなあ。ちょっと見せてね。」

 冬香は、オルアのほほを両手ではさんで、オルアの目を覗き込んだ。
 オルアの状態(ステータス Status)を確認しようとした。

オルア=サーパース
「冬香? どう? そんなに減っているの?」

医師(白石冬香)
「性魔力 現在値 17/最大値 30 
 美女レベル寸前まで落ちているわ。

 アリムさんの過剰な若返りで危なかった時にオルアが使用した性魔力は、
   [6] スリーカー Threeker (1回限り 1 Time Only Available) と
   [1] ベルマイラ Berumaira だから、
23は残っていると思ったけれど。」

参考: 008 原因不明? 救いのコモンルーン


オルア=サーパース
「アリムさんの気の訓練の時に、
   [4] テグトス Tegutosu
   [2] トゥート Tooto
を1回ずつ、使ったわ。


参考: 016 5日目 アリムさんの訓練 「1 気」

医師(白石冬香)
「だから、さらに、6減って残り17なのね。
 姉妹関係を結ぶときに、オルアの性魔力も回復できるから、ちょうど良いわね。」

オルア=サーパース
「冬香、わたしと姉妹関係を結んでくれるの?」

医師(白石冬香)
「もちろんよ、かわいいオルア。」

オルア=サーパース
「冬香、わたしうれしい!」



司会(中路真々美)
「オルア、冬香と姉妹関係を結ぶ前に、説明しておく。
 冬香とわたしが、この助言で最も恐ろしいと感じたのは、本文の最後の1行だ。」

> 青紫は宝石を燃やすことを一時は思いとどまるが、宝石を砕いてしまう。
>
> あなたなら解決できます。 最後まで、あきらめないでください。

引用元: 015 白沢絵美様は、お見通し

司会(中路真々美)
「「一時は思いとどまるが、宝石を砕いてしまう。」という文章の真ん中に省略されている部分がある。
 おそらく、文字数制限で書けなかったのではなく、この部分に気付くことができるかが試練なのだろう。」

オルア=サーパース
「試練って?」

司会(中路真々美)
「受伝台参照権は、答えを教えてはくれない。」

真々美は、絵美の言葉を思い出しながら、オルアに説明した。

> つぎに、受伝台参照権は、ヒントを与えてくれるだけです。
> 決して、答えではありません。 課題を与えて乗り越えようとし、
> 乗り越えた先に、なんらかの成果があるだけです。

引用元: 015 白沢絵美様は、お見通し

オルア=サーパース
「そうすると、心身が万全の状態でないと役立てることはできないね。」

医師(白石冬香)
「そのとおりね。 
 そして、省略された部分は、真々美とわたしが、オルアから引き離された状態だと推理した。
 そうでもなければ、オルアはわたしたちに再び相談したはず。
 ということは、わたしがオルアとの姉妹関係を成立させることに失敗したことになる。
 そして、オルアは孤立無援になって、冷静な判断ができなくなった。
 そのときのアリムさんとの関係は分からないけれど、姉妹関係を結ぶことができなかったことは確実だと断言できる。」

オルア=サーパース
「それで、あせっていたのね。
 そして、この助言が届いた時刻が、私が午後ふたりと別れた後だったのね。」

医師(白石冬香) こころの声
『真々美。 貸しだからね。』

司会(中路真々美) こころの声
『わかった。ありがとう。
 わたしが絵美の伝言を忘れていたとオルアに知られたら、私への評価を下げられてしまうからな。』

オルア=サーパース
「そうすると、「青紫の幸せを願って断るだろう。」って、なんのことだろう。」

医師(白石冬香)
「そうね。一度に多くのハードルを飛び越えることは大変だから、まずは姉妹関係を結ぶことを優先しない?」

オルア=サーパース
「分かっているなら先に教えて欲しい。
 気になって、姉妹関係を結ぶことに集中できないわ。」



司会(中路真々美)
「ナイトバインドに関係する話だ。」

> (注) 騎士(Knight)契約と夜(Night)契約をパートナーと結ぶこと。
> 契約(Contract)と言うよりは拘束(Bind)に近いから、ナイトバインドと呼ばれる。
> ひとたびナイトバインドすれば、志望順位によるがパートナーを守り、貞操を捧げあう関係になれる。
> 成立判定者であり保証元が最高位の存在であるため、信頼性は高かった。
> 残念ながら無理強いや強制はできない。
> 強制しようとすれば適用外にされるため、損することをするものはいなかった。

引用元: 004 運営側の話し合い、クラスターとは

司会(中路真々美)
「ナイトバインドは3人と結ぶことができる。
 女性は安全のために、2名までの相手としかナイトバインドしない。
 しかし、男性は3名までの相手とナイトバインドすることが多い。
 女性のように山分けされる危険が無いからな。

 オルアがアリムさんを選んでナイトバインドすれば、多くの女性たちがアリムさんのナイトバインド枠の残り2枠を狙ってくるだろう。

 「女性にモてるためには、彼女を作ることが重要だ!」
という言葉がある。

 オルアの隣にアリムさんが居れば、アリムさんはオルアに認められた非常に素敵な男性であるという鑑定証明書を添付された状態だ。
 1から男性を評価することには多大な労力と時間を必要とするが、長年誰も選ぼうとしなかったオルアに選ばれたということは、鑑定書付きの宝石のように保証されたようなものだ。

 そこで、オルアは虫よけのために、冬香と私にアリムさんとのナイトバインドを依頼するのだろう。
 しかし、妹分のパートナーに手を出すことは良くないと判断した冬香と私は断ってしまい、ほかの女性がアリムさんのナイトバインド枠の残り2枠に入ってしまい、それをオルアがゆるせなかったと推測する。」


> もしも、もしもの話なんだけれど、
> オルアさんが頼んできたら、
> 真々美と冬香さんのふたりとも、アリムさんと
> ナイトバインドして欲しい。

引用元: 015 白沢絵美様は、お見通し

司会(中路真々美) こころの声
『絵美は深く理解していたのだな。
 そんな絵美のサブシス(Sub-Sis)に選ばれたことを誇りに思う。

 あれ? まずいぞ、この伝言をまだ冬香にしていない気がする・・・』

真々美は、おそるおそる冬香の顔を見た。

すべて分かってますよ、という笑顔が見えた。

医師(白石冬香) こころの声
『真々美。 貸しだからね。
 絵美様は、当然、予想して、わたしのナイトバインド枠を予約する伝言をしたわよね。
 あなたは性魔力が落ちていたから、忘れちゃったのよね。
 本来なら、わたしのナイトバインド枠の件は、貸し3つ分だけど、特別に貸し2つにしてあげるわ。
 これで、貸しの合計は3つ、いいわね。 真々美。』

司会(中路真々美) こころの声
『冬香、貸し3つ? いや貸し4つ?くらいに考えている気がする。
 ますます、冬香に頭が上がらないようになるな。』

オルア=サーパース
「真々美、冬香。
 わたし、ふたりにお願いがあるの。」

オルアは、ものすごくいい笑顔をしている。

司会(中路真々美)
「な、なにかな?」

医師(白石冬香)
「なあに?
 かわいいオルアの頼みなら、できるかぎりのことをするわ。」

オルア=サーパース
「言質を取ったからね、嫌だとは言わないでね。
 嫌と言っても、わたしのわがままを聞いて欲しいの。

 わたしがアリムさんの第1志望のナイトバインドをした、
 あ・と・で・

 真々美にアリムさんの第2志望のナイトバインドをして欲しい。
 冬香にアリムさんの第3志望のナイトバインドをして欲しい。

 なんの苦労も努力もしていない後から湧いて出た他の女性と、アリムさんを共有したくないという気持ち、もちろん分かってくれるよね。」

オルアの問いかけは、「YESか御意」の2択だった。

司会(中路真々美)
「ああ、問題ない。 OKだ。」

医師(白石冬香)
「かわいいオルアの頼みで、かわいいオルアが大事と思う男性なら問題ないわ。」

オルア=サーパース
「言質を取ったからね、土壇場どたんばになってから、嫌だとは言わないでね。」

司会(中路真々美)
「大丈夫だ。安心していい。アリムさんの青春担当をしたいと言ったことがあるだろう。」

医師(白石冬香)
「そうね、オルアが青春担当を引き受けたから、流れちゃったけれどね。」

> オルア:「つつしんで、青春担当をいたします。」
> 司会、医師:「ブー、ブー、ブー」(不満の声)

引用元: 004 運営側の話し合い、クラスターとは

オルア=サーパース
「あれって、わたしに青春担当させるための演技だと思ってたわ。」

医師(白石冬香)
「最初は、半分本気で半分演技だったけれど、ねえ。」

司会(中路真々美)
「そうだな。 オルアがアリムさんを気に入っている様子を見れば見るほど、アリムさんを欲しくなってくるな。」

医師(白石冬香)
「彼女がいる男性がモテるということは真実よね。
 まして、オルアがOKを出した男性は、アリムさんが初めてだから。
 アリムさんを欲しくなって当然よね。」

オルア=サーパース
「最初の彼女を作るのは、本当に大変ね。
 鶏が先か卵が先か みたいな感じね。」

司会(中路真々美)
「だから、御縁は大事と言うのだろうな。」

医師(白石冬香)
「御縁に気付くことは簡単ではないけれど、気づけるようにしたいわね。」



20:50

司会(中路真々美)
「冬香、オルアと一緒に衣装を着替えてくれ。
 その間に、こちらの準備をしておく。」

医師(白石冬香)
「よろしくね。
 さあ、かわいいオルア、こっちへ来て。
 あなたに愛情をそそぐ準備を始めましょう。」

オルア=サーパース
「はい、冬香、よろしくお願いします。」



アリム
「オルアさんと白石さんが上手く行きますように。
 おやすみなさい。」

アリムは良い明日を願って寝ることにした。

気になって、本を読もうにも集中できなかったからだ。

机の上には、1冊の本が置いてあった。

「正性知識 2000
 使用者の署名: Alim アリム」
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