君と彩る一ページ

花咲 優羽

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人生の転機

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ある日、いつものように図書館に入り浸り勉強していたら洋さんから仕事中だろうにメッセージが来た。

『明日土曜日だよね。休みですることないなら俺に付き合ってくれないかな』

『いいですけど、何か?』

そのあと仕事に戻ったのか返事はなかった。何の用があるんだろう。コンセプトカフェ巡りが好きでよく付き合わされているけど……。勉強になかなか集中できなかった。

──閉館して洋さんと合流した。洋さんはやっぱりカフェ巡りがしたかったらしい。それと大事な話があるって言われた。明日は気合い入れた服じゃないと駄目かな。でも、友達いないからそんなの持ってないや。当日は薄手のセーターとTシャツ、ジーパンでいいか。

「今日もシンプルできまってるね」

「洋さんこそモデルみたいです」

洋さんは私を連れて、メイド喫茶に行った。キャピキャピしておらずクラシカルで紅茶のおいしいお店だった。その次は執事喫茶。なんともいえない気分だった。どっちも私の格好は浮いていた。おしゃれ着用意しないと駄目かな。洋さんは未知の体験でほくほくになっていた。

「今日はありがとうございました」

「あ、大事な話が!」

洋さんに連れられファミレスに入った。すると洋さんは鞄からパンフレットを取り出した。高卒資格のものだった。私はそれを手に取り見てみた。十七歳以上だとかなんだとか難しいことが書いてあった。全科目のテストを受けなければならないらしい。

「怜菜ちゃん、どうせ不登校するならいっそ学校やめてこっちに切り替えたらどうかな?成績は悪くなさそうだし、いちいち連絡しなくても図書館に来れるしね」

「……これ、考えさせてください。前向きに検討します」

夜になって家族揃ったときに、今まで隠していたいじめのことや図書館通いのことを話した。母は勘が鋭いのでもう気付いていた。

「怜菜、これは茨の道も同じよ。覚悟があるなら止めないわ」

「父さんは難しいことは分からないけど、怜菜の選んだ道を応援するよ」

決まった。明日は学校に退学届を出しに行こう。
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