君と彩る一ページ

蓮奈

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嫌なものは嫌と

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洋さんと出会い、毎日図書館に通うになった。定休日にも彼はメッセージをくれる。

『おはよう、今日図書館定休日だけどどうする?』

『学校行くのは嫌だな……』

その後にしょんぼりスタンプをつけた。本気で行きたくない。だが、行く当てもないから行くことにした。靴箱に大量の画鋲。教室の私の席には菊の花が飾ってあった。もう帰ろう。やっぱりあのとき死ぬべきだったんだ。洋さんにメッセージを送ると、うちに来るかときた。

『待ってて。保健室ででたらめ言って早退して』

『分かりました』

程なくして、洋さんが高そうな車に乗ってきた。男の人の家、初めて上がった。何かされてもいいようにスタンガンは常備しているが不安だ。

「リビングで寛いでて」

洋さんは冷蔵庫の中身をチェックしていた。お昼のことかな。買い食いすればいいんだけど。部屋を見回したら楽器があった。これなんだろう。音楽に疎い私では分からない。

「お昼はシチューでいいかな?」

「何でもいいですよ。あ、お手伝いしないと」


共働きで独りでいることが多かった私は一通り料理が出来る様になった。下拵えを手伝い、仕上げは洋さんにやってもらった。洋さんは楽器が得意なのかな。えーと弦の数が七つ。ギターかな?昔バンドやってたとか?

「特製ビーフシチュー、できあがり」

「わあ、おいしそう!いただきます」

スプーンにシチューをすくって一口。何これ、レストラン開けるんじゃない?私を見ながら洋さんは笑った。笑顔が少しあどけなくてドキッとした。この感情に名前をつけるとしたら……何?

「あ、洋さん。昔楽器やってたの?」

「親友と一緒にやっててさ。何か弾こうか?」

私は動画サイトで好きな曲のアコースティックアレンジをしてもらった。とても心地よくてお腹いっぱいなのも相まって、眠くなってきた。

「今日は、勉強お休みだね。ゆっくり寝てな?」

──目が覚めたら日が落ちていた。洋さんが夕飯も食べていくかと言われたけど、丁重に断った。そして、車で家に帰った。あーあ。今日は寝て終わっちゃったな。来週は中間テストなのに。これから勉強して図書館でも頑張ろう。
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