耳が聞こえない

花空

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第1話 さようなら

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「リ…ア…リア…ム、や、やだ…やだ!!死な…死な…ない…で!!」

985年、リアム死亡
彼は心優しく耳が聞こえない難聴の私にも優しくしてくれた
リアムは人間で、私よりも早くに死ぬのは分かってた
……分かりきってた事なのに…悲しい…

「……リア、ム…リアァム、あった…か…あったか、い?」

小さな女性は自分のマフラーを彼に巻く

「あった…かい、ねぇ」

マフラーが巻かれたリアムの姿を見て満足げに微笑んだ

「………さむ、い」

[1085年]

「……(熱い…もっと冷まさなきゃ)」

リアムが死亡した後森に引き篭もり始めてから早100年
グレースは話し相手をなくした故、毎日絵日記を付け始める

「……(3月5日、今日は暖かいです、薬草ミルクの薬草配分を少し間違えてしまい苦かったです)」
「……(……また、リアムが入れてくれた薬草ミルクが飲みたいです)」

今日は3月5日、どうやら今日の分の絵日記を書き終えたようだ

「(……暇だなぁ…そうだ、薬草取りに行こう)」

日記を書き終えて暇になったのか家を出て森を探索する事にしたようだ

~15分後~

「(薬草…薬草…確か、この近くに…あった)」

薬草探しを始めて15分の時が経ったその時…ついに薬草という戦利品を見つける

「(美味しそう…早くスープにして飲みたい…)」

~30分後~

よだれが出る程の大量の薬草を回収したグレースは一目散に住処へと帰宅し始める
その直後遠くからグレースを呼ぶ声が…

「ilrlgvgvpmqjahbynpbfpーーー!!!」
「ikkhpkfueupmmjーー!!」
「ikgv?tlhlhlqvrvsvーー、、jkikhhlqlvqrvivqーー!!!」

「………(薬草沢山採れた…今日は薬草スープに薬草ミルクに薬草ソテーにしちゃおう)」

とてつもなくうるさい声だが難聴のグレースには聞こえなかった
彼女の難聴レベルは''高度''で耳元で大声で話しかけてくれないと聞こえない程に酷い

《因みにランクは軽度→中等度→高度→重度の4ランクになっており、軽度だと特に日常生活に問題なく、中等度だと出来るだけ近くで話しかけてくれないと聞こえないレベルで、高度だと近くに居る人の話し声が聞き取りづらく大声で耳元で話しかけてくれないと聞こえないレベルで、最後に重度だと聞こえる音は工事現場の騒音や電車の通過音、自動車のクラクションといった100dBを超えるような音しか聞こえなくなります。》

「(…………)」

「hkgzvvfuutujuqrhvvhーー!!」
「hujuihlql(lplhutuiugpkktーー!!」
「tkjviqvqvhuiutu]]uuhuguqー」

3人の声がどんどん近付いてくる

「………」

「tkjlhhlrliljlhlfpvpvsus」
「tkjkhrkskjt?kilgplovhuiustuーー!!」
「jkjkhhlrlutut、、、」

トントン

一目散に帰宅途中のグレースの肩に突然手が置かれた

「……?!」

「tjkhu!!」

急に人が現れ驚くグレースの目の前に現れたのは3人の人間だった

「あっ!!(………怖い、誰?何言ってるの…分からない)」

100年間誰とも喋らなかった故、何を喋っているのか分からなくなってしまった
(リアムが生きていた頃は口の動きを見て色々な人と会話してた)

「…?iuhvvgvrsvs??」
「juruqvqvqtjv?」
「glflglhkq!」

「?!?!?!(怖い…怖い…怖い!!)」

分からないという恐怖がグレースの心を囲む

「………(逃げよう…!!)」

そう思った瞬間、グレースは逃げる事にしたようだ

「(走れ……!!私!!)」

勇気を出して逃げる
誰が予想したのだろうか、この選択が引きこもりのグレースを変え始める…

次回「伝わらない」

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