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番外編:短編
可愛い酔っぱらい〈後〉
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ゾクゾクと走る快感が堪らない。のけぞるようにビクビクと体が跳ねる。ロゼは私の腰と背に腕を回して抱き締めた。
「あああっ、い、いっちゃう……!」
「何度でもいっていいよ」
痙攣して中がビクビク震えているところをぎゅっと抱き締めながら、ロゼは私の腰を下まで落とし、奥まで入っていった。
「きゅうきゅう締まって、中、気持ちい……」
「はあ、はあ、はあ……」
抱き締められたまま揺られて、いってる最中でもまた快感が走る。下から突き上げられ、膣壁が絡みついてうねり、何度も快感の波が押し寄せてくる。
「あっ、あっ、あああっ……まだ、いってるとこ……っ」
「サリ……サリ……」
ソファの軋む音が室内に響き、ロゼの甘い声を耳元で聞きながら何度も絶頂に達した。ロゼにしがみついたまま、もうずっといきっぱなしだったかもしれない。全然止まってくれないから……。
ロゼが欲を吐き出してようやく落ち着くと、美しく透き通るようなヘーゼル色の瞳に自分が映る。吸い込まれそうになるほど見つめているとロゼの唇が私の唇に触れた。小鳥同士がクチバシで啄むような可愛い口付け。舌先を出してお互いチロチロ舐め合った。
「サリ、愛してる」
「私も愛してるわ……」
ロゼは行為の後も私を放置することはない。キスをたくさんすることもあれば、些細な会話を楽しんだり、ただ触れ合うだけの時もある。この一時にも彼の愛を感じられて、ささやかだけど私には愛おしい大切な時間なのだった。
そんな余韻に浸っていると、先ほど達したばかりのロゼが休む間もなく再び律動を始める。中のものは立派な硬さだ。いくらなんでも普段なら少し休憩するのに。キツいお酒のせい?
「ここにいたらソファが汚れちゃうわ……ベッドに」
「カバーなら後で洗うから」
ロゼの唇が首や鎖骨をくすぐりながらチュッと吸い付く。強く腰を揺らしてクチュクチュ音を立て、中で混じった体液がトロリと外に押し出されていく。
「は……、はあ……可愛いサリ……」
ソファに押し倒されると、その勢いでズンと熱い昂りが奥を突いた。
「や、あああんっ!」
「サリ……」
激しく腰を振るロゼになすがまま。パチュッパチュッと中を出入りする度、肌のぶつかる音が響いてソファがキシキシと軋む。ベッドじゃないからこんなに激しく揺らしたら壊れてしまいそう。それでも構わずロゼは激しく腰を振る。
「サリ」
「ま、って……もう……あああっ」
ずっと低音の甘い声で名を呼ばれ続け、何度もいかされて、このままロゼは明け方まで止まらなかった。
「――ごめんなさい」
目が覚めたらもうお昼時。ロゼはずっと私の横で謝っている。体中に赤い痕が数え切れないほど散らされていて、目を丸くした。
私の意識が飛んだ後もずっと抱いていたらしく、疲労が酷くて全く寝た気がしなかった。
「私、今日は遅番なのに……動けない……」
「ごめん、俺がラモントに連絡しておくから今日は休ませてもらおう」
「休みたくない~っ。ロゼ、あれやって……?」
ロゼに治癒魔法をねだって腰やお腹にかけてもらったけれど、少し痛みが緩和されただけだった。疲労回復はやっぱりちゃんと体を休めるのが一番なのだという。
「今日は休もう? サリダ働きすぎだし」
「そんなことないもん。ロゼがむちゃくちゃするからこうなったんでしょっ」
「ごめん……。なんか昨日よくわからないけど止まらなくて……」
「昨日ほとんど抜かずに続けてたでしょう……」
昨日は可愛い酔っぱらいだなんて思ったけれど、あれは撤回。全然離してくれなくて獣のようだった。キツいお酒なんて飲んだからかもしれない。もう当分は自粛してもらおう。
結局その日はラモントを休んだ。ソファのカバーも既に洗われていて、食事もロゼが用意してくれていた。その本人は午後からの仕事に出て夜に帰ってきたけれど、疲れた様子なんて全く見せない。一体どんな体力をしているんだろう。
それから、あんなことがあったのもすっかり忘れた頃。
ハーブが減ってきたため、市場で前に買い物した店を探していると前と同じ場所に出店していた。
「こんにちは。前の詰め合わせハーブまだあるかしら?」
「おう、お嬢さん。気に入ってくれたのかい? 今あるのはこれとこれだな」
ハーブの組み合わせは前と少し違うけれど、今回もたくさん入っている物を購入した。
「あのピンクのハーブってもうない? すごくいい香りだったからまた欲しいんだけど」
「あ、あれな! 悪いけど家に残ってんなら処分しておいてくれないか」
「えっ? なんで?」
「実は魔法で育てたハーブだったらしくて、販売認可の下りてない物だったんだ。効果が違うかもしれないから、口にしないでくれ」
魔法のハーブだったんだ……。そういえば癒やしの効果くらいにしか聞いていなかった。いい香りだったのに残念だ。
帰宅すると、今日はロゼが夕食の準備をしてくれていて、室内は香ばしい匂いが漂っていた。赤羊のローストと豆のシチュー。美味しそうな匂いに食欲がそそられ、少し早めの夕食にした。
「──それでね、ピンクのハーブは魔法で育てたものだったらしくて、もう販売できないんだって。どんな効果かわからないから食べちゃ駄目らしいの。残念だわ、すごくいい香りだったからアロマオイルにもできそうだったのに」
「そうだったんだ……。それって天井から紐で吊るしてあった薄ピンク色の葉っぱのことかな」
ロゼは食べ終えたシチューの皿から私に視線を移すと、私のシチューの皿を一瞥した。
「……ん?」
私ももうすぐ食べ終わる。
「ハーブ入ってる。……薄ピンクの」
私はドライハーブにするため、天井から吊るしてあった残り少ない数種類のハーブに目をやった。薄ピンク色のハーブはそこにない。
「全部……?」
気まずそうにコクリとうなずくロゼ。
今日のシチュー、めちゃくちゃいい香りだと思った……!
「ロゼ、シチューすんごく美味しかったから! 毒じゃないんだし、たぶん、大丈夫よ!」
──その夜。前回と同じく朝までハードモードになり、私はまた翌日使い物にならなかった。
これが本当に魔法のハーブのせいかどうかは正直わからないけれど、もう全てハーブは使い切ったし、今後このようなことが起こる心配はもうないだろう。
「あの魔法のハーブ、恐ろしい……」
「無茶してごめん……。でもハーブのせいかわからないけど、サリダが可愛かったから仕方ない」
私の体を擦って謝りながら労るロゼに、同じ物を食べたのだからお互い様だとハーブのせいにして、その日を二人でのんびり過ごした。
後にあの魔法のハーブを食べると夜の営みがすごいことになったと噂になり、一部の者の間で魔法のハーブを求める声が相次いでいるとかいないとか。
〈終〉
「あああっ、い、いっちゃう……!」
「何度でもいっていいよ」
痙攣して中がビクビク震えているところをぎゅっと抱き締めながら、ロゼは私の腰を下まで落とし、奥まで入っていった。
「きゅうきゅう締まって、中、気持ちい……」
「はあ、はあ、はあ……」
抱き締められたまま揺られて、いってる最中でもまた快感が走る。下から突き上げられ、膣壁が絡みついてうねり、何度も快感の波が押し寄せてくる。
「あっ、あっ、あああっ……まだ、いってるとこ……っ」
「サリ……サリ……」
ソファの軋む音が室内に響き、ロゼの甘い声を耳元で聞きながら何度も絶頂に達した。ロゼにしがみついたまま、もうずっといきっぱなしだったかもしれない。全然止まってくれないから……。
ロゼが欲を吐き出してようやく落ち着くと、美しく透き通るようなヘーゼル色の瞳に自分が映る。吸い込まれそうになるほど見つめているとロゼの唇が私の唇に触れた。小鳥同士がクチバシで啄むような可愛い口付け。舌先を出してお互いチロチロ舐め合った。
「サリ、愛してる」
「私も愛してるわ……」
ロゼは行為の後も私を放置することはない。キスをたくさんすることもあれば、些細な会話を楽しんだり、ただ触れ合うだけの時もある。この一時にも彼の愛を感じられて、ささやかだけど私には愛おしい大切な時間なのだった。
そんな余韻に浸っていると、先ほど達したばかりのロゼが休む間もなく再び律動を始める。中のものは立派な硬さだ。いくらなんでも普段なら少し休憩するのに。キツいお酒のせい?
「ここにいたらソファが汚れちゃうわ……ベッドに」
「カバーなら後で洗うから」
ロゼの唇が首や鎖骨をくすぐりながらチュッと吸い付く。強く腰を揺らしてクチュクチュ音を立て、中で混じった体液がトロリと外に押し出されていく。
「は……、はあ……可愛いサリ……」
ソファに押し倒されると、その勢いでズンと熱い昂りが奥を突いた。
「や、あああんっ!」
「サリ……」
激しく腰を振るロゼになすがまま。パチュッパチュッと中を出入りする度、肌のぶつかる音が響いてソファがキシキシと軋む。ベッドじゃないからこんなに激しく揺らしたら壊れてしまいそう。それでも構わずロゼは激しく腰を振る。
「サリ」
「ま、って……もう……あああっ」
ずっと低音の甘い声で名を呼ばれ続け、何度もいかされて、このままロゼは明け方まで止まらなかった。
「――ごめんなさい」
目が覚めたらもうお昼時。ロゼはずっと私の横で謝っている。体中に赤い痕が数え切れないほど散らされていて、目を丸くした。
私の意識が飛んだ後もずっと抱いていたらしく、疲労が酷くて全く寝た気がしなかった。
「私、今日は遅番なのに……動けない……」
「ごめん、俺がラモントに連絡しておくから今日は休ませてもらおう」
「休みたくない~っ。ロゼ、あれやって……?」
ロゼに治癒魔法をねだって腰やお腹にかけてもらったけれど、少し痛みが緩和されただけだった。疲労回復はやっぱりちゃんと体を休めるのが一番なのだという。
「今日は休もう? サリダ働きすぎだし」
「そんなことないもん。ロゼがむちゃくちゃするからこうなったんでしょっ」
「ごめん……。なんか昨日よくわからないけど止まらなくて……」
「昨日ほとんど抜かずに続けてたでしょう……」
昨日は可愛い酔っぱらいだなんて思ったけれど、あれは撤回。全然離してくれなくて獣のようだった。キツいお酒なんて飲んだからかもしれない。もう当分は自粛してもらおう。
結局その日はラモントを休んだ。ソファのカバーも既に洗われていて、食事もロゼが用意してくれていた。その本人は午後からの仕事に出て夜に帰ってきたけれど、疲れた様子なんて全く見せない。一体どんな体力をしているんだろう。
それから、あんなことがあったのもすっかり忘れた頃。
ハーブが減ってきたため、市場で前に買い物した店を探していると前と同じ場所に出店していた。
「こんにちは。前の詰め合わせハーブまだあるかしら?」
「おう、お嬢さん。気に入ってくれたのかい? 今あるのはこれとこれだな」
ハーブの組み合わせは前と少し違うけれど、今回もたくさん入っている物を購入した。
「あのピンクのハーブってもうない? すごくいい香りだったからまた欲しいんだけど」
「あ、あれな! 悪いけど家に残ってんなら処分しておいてくれないか」
「えっ? なんで?」
「実は魔法で育てたハーブだったらしくて、販売認可の下りてない物だったんだ。効果が違うかもしれないから、口にしないでくれ」
魔法のハーブだったんだ……。そういえば癒やしの効果くらいにしか聞いていなかった。いい香りだったのに残念だ。
帰宅すると、今日はロゼが夕食の準備をしてくれていて、室内は香ばしい匂いが漂っていた。赤羊のローストと豆のシチュー。美味しそうな匂いに食欲がそそられ、少し早めの夕食にした。
「──それでね、ピンクのハーブは魔法で育てたものだったらしくて、もう販売できないんだって。どんな効果かわからないから食べちゃ駄目らしいの。残念だわ、すごくいい香りだったからアロマオイルにもできそうだったのに」
「そうだったんだ……。それって天井から紐で吊るしてあった薄ピンク色の葉っぱのことかな」
ロゼは食べ終えたシチューの皿から私に視線を移すと、私のシチューの皿を一瞥した。
「……ん?」
私ももうすぐ食べ終わる。
「ハーブ入ってる。……薄ピンクの」
私はドライハーブにするため、天井から吊るしてあった残り少ない数種類のハーブに目をやった。薄ピンク色のハーブはそこにない。
「全部……?」
気まずそうにコクリとうなずくロゼ。
今日のシチュー、めちゃくちゃいい香りだと思った……!
「ロゼ、シチューすんごく美味しかったから! 毒じゃないんだし、たぶん、大丈夫よ!」
──その夜。前回と同じく朝までハードモードになり、私はまた翌日使い物にならなかった。
これが本当に魔法のハーブのせいかどうかは正直わからないけれど、もう全てハーブは使い切ったし、今後このようなことが起こる心配はもうないだろう。
「あの魔法のハーブ、恐ろしい……」
「無茶してごめん……。でもハーブのせいかわからないけど、サリダが可愛かったから仕方ない」
私の体を擦って謝りながら労るロゼに、同じ物を食べたのだからお互い様だとハーブのせいにして、その日を二人でのんびり過ごした。
後にあの魔法のハーブを食べると夜の営みがすごいことになったと噂になり、一部の者の間で魔法のハーブを求める声が相次いでいるとかいないとか。
〈終〉
応援ありがとうございます!
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