39 / 90
本編
12 - 3 忘れたくない
しおりを挟む「――サリ……!!」
遠くで、激しい物音がする――。
「……殺すな……っ、ロゼ……!」
「……サリ……! サリダ……!!」
体を揺さぶられて、差し迫るような声が耳に響く。重い瞼を上げると、ぼんやり見えるアッシュブロンドの髪。ヘーゼル色の瞳が見下ろしている。
「ゆっくり息をしろ!」
どれくらい意識が飛んでいたのか。口に詰められていたものはなく、手の拘束もない。言われたとおりゆっくり息を吸って吐く。それでも鼓動は早いまま。何キロも走ったかのように心臓が暴れ、苦しくて呼吸も落ち着かない。
「これを、抑制剤を飲め! 君はもう二度摂取した。放っとくと中毒になる……!」
男の必死な声で、朦朧と離れていきそうな意識を何とか保った。
口に味のない粉を入れられ、グラスのような硬い物を口に当てられた。唇に水が触れたが、口の端から零れていく。そのまま飲めずにいると柔らかいものが口を塞ぎ、生ぬるい水が入ってきて飲み込んだ。それが何度か繰り返される。
意識が少しずつ鮮明になってくると共に、体の熱さも蘇ってくる。私を抱きかかえ、眉根を寄せて少し青ざめた顔が鮮明に映った。
「ロ、ゼ……」
「薬が効くまで少しかかる。耐えられるか?」
わからない……と口を動かした。
ズクズクと体は疼いたままだ。ロゼのローブをつかんでギュッと握った。
私はまだベッドの上にいる。アスターはどうなったのか。体の疼きに耐え、ベッドから横に目をやると、ディランを含むギルド員三人が、後ろ手に拘束したアスターをうつ伏せ状態にして取り押さえていた。意識がないのかアスターは動かない。
手で自分の体に触れると全裸だ。ロゼがそれをローブで隠してくれている。
「ロゼ、サリダの意識レベルは?」
ディランの冷静な問いかけにロゼは数字で答えた。ディランの横に視線を移すと、いつの間にかユーディスもいてアスターの状態を見ている。
みんな、任務はどうしたんだろう。何故ここに集まっているのか、混乱する頭で状況が分からない。
心臓の鼓動が早くてうるさい。聞きたいことがたくさんあるのに、体の疼きが止まらなくて彼の腕をつかんだ。
「ユーディス。全員連れて出てってくれ」
「……ああ。外にいるから容態が悪化する前にすぐ呼べよ」
ロゼの一言でアスターを担ぐディランたちが視界から消えると、ユーディスの足音も遠ざかっていき、玄関扉の閉まる重い音が響いた。
ロゼは本当にただのギルド員なんだろうか。ユーディスとあんな短いやり取りでも、二人に信頼関係があることが窺えた。
「君が飲まされたのは性的興奮を得る魔法薬だ。さっき飲んだ抑制剤で効果が弱まる」
ロゼは悲痛な顔をして私を見ている。なんて顔をしているんだろう。まるで彼の方が傷付いているみたいだ。
「サリダ……ごめん」
ロゼは口付けながら私の体に触れていく。今のは何の謝罪なんだろう。
頭はどこか冷静なのに鼓動は早く、秘部はぐしょぐしょに濡れている。相変わらず冷たい彼の手に体をビクッと震わせた。
「手……冷た……」
「ごめん。緊張してると冷たくなるから……」
ロゼが緊張なんて……いつも顔に出ないから、そう聞かされても信じられなかった。前に手を繋いだ時も……?
冷たいその手は魔法を使っているのか秘部が温かくなっていき、ゆっくり中に入ってくる。中は既に受け入れ状態で彼の指を飲み込み、ほとんど動かす間もなく絶頂に達する。
「……ん、はん……んんん……っ!」
声を殺して快感の波に耐え続ける。
「声出しても大丈夫だから」
前と同じように私たちを覆う魔法がかかっている。それでも外に人がいると思うと、もしも声が漏れたらと思うと抵抗があった。
「あ、あ、はあ……ああっ、聞こえちゃ……」
「大丈夫だよ」
もう快感の源を知っているロゼの指は、何度も同じところを刺激し続けて何度も快感が襲う。陰核を手のひらで擦りながら、恥骨の裏側を刺激されるとキュウキュウと中が締まった。締め付けたまま二本の指が強く刺激すると、あまりの快感に仰け反り、声を上げた。
荒い呼吸を整えるようにゆっくり呼吸を繰り返していると、ロゼは額に唇を寄せる。
「少し落ち着いただろうけど、薬の効果が切れるまでまた発作的に興奮状態になる」
ロゼの言うとおり、その後も発作的に体が疼き、その度にロゼは絶頂を迎えるまで口や指で愛撫を続けた。薬で強制的に興奮状態にさせられる。それに抗うことができない。心と体の欲求が一致せず、興奮状態が治まると後に大きな疲労感が襲った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
86
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる