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こだわりのやり方があるらしい

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 一直線に協会へと戻ってきたけれど、やはり混んでいる。行きに来た時よりは少し少ないけれど、それでも人が多い。しかも夕方なので帰還者が多いのか、少し汗臭い気もする。
 また好奇の目に囲まれているので、変な声掛けがないうちにと、少し威圧は相変わらずしながら総合受付へと向かった。買取カウンターではないのは、ダンジョン内でのクレーム?とかを言うのが何処が適切かわからなかった為だ。一度は退職して再雇用されました協会職員って感じの白髪混じりの老齢の人に簡単に起きた事を説明し相談したところ、どこかに電話した後に個室へと案内された。
 扉を開けて入ったそこはホワイトボードの前に折り畳み机とパイプ椅子がいくつも並んでいる所を見ると、どうやらここは会議室とかミーティングルームといった所なのだろう。
 パイプ椅子にそれぞれ座って待つ事15分、少々飽きてきたところにようやくやって来たのは2人の男性だった。2人とも一応スーツを着ているのだが、その見た目はサラリーマンというよりもどこかのホストか……それともチンピラかといった様子で、胸元にネクタイはなく大きく開いており首元から金色のネックレスが見える。
 手に持ってたファイルをパンッと音が鳴るように机の上に投げ置くと、明らかに面倒くさそうな顔で椅子にだらしなく座って足を伸ばしている……
 ガラ悪っ!!
 マジでこれが協会職員なの??

「あぁーなんか言いたい事があるんだって?」

 何コレ、まるで俺たちがクレーマーみたいな感じじゃん。1人は顎をクイクイっとして、話せって促しているし、もう1人は明らかに付けてきていたシーカーたちと同じような好色そうな目で香織さんたちを見ているし。
 本当にこいつら職員なんだよね!?

「どちら様でしょうか?」
「ああっ!?」
「ですから、所属部署と名前を聞いています、名刺を下さい」

 言い方悪いけど、こういう人たちって所詮はお役所勤めだし権力に弱そうだからね、こちらが若いと思って舐めているのかもしれないけとれど、それなりの対応をさせて貰う。

「チッ……ほらよ」

 投げて寄越しやがったよ!!
 ムカつく!!
 うどんたちの目がめちゃくちゃ冷たくなってるよ、放っておいたら「殺す」とか言い出しそうだから念話で窘めながら、さっさと話を終わらせるとする。

「端末を確認させろ」

 端末を見せると、それぞれの名前とID番号をメモしているようだ。

「で?何の用だ?俺たちはお子様と違って忙しいんでな、簡潔に用件を言え」

 こいつらにナンパの件を言ってもダメな気がする……こいつら自身がナンパしてきたヤツらと同じ目をしているしね。だからオッサンパーティーの罠と待ち伏せの件だけを伝えた、罠の種類や行動、そして押収してきた端末を渡しながらね。

「それはそれはご丁寧にどうも……」

 端末を渡したら中身を確認した時に、目が笑っているのを見てしまった……もしかして常習犯か?それとも知り合いかな?って印象だ。もしかしたら処分とかはないかもだね、まぁそれでもいいや、2度と南ダンジョンに来る事はないだろうし。

「話は他には?」

 面倒くさそうな顔をしてまた聞いてきたので、ない事を伝えると顎で扉を示してきた……帰れって事のようだ。
 かなりイラッと来るけれど、これ以上ここに居てもろくなことなさそうだし、何より香織さんを見る目がウザイので出よう。

「クソガキが……」

 外に出て扉を閉める時に聞こえてきたよ。
 いや、本当にここ協会なんだよね?
 めちゃくちゃ態度が悪すぎる。
 基本的にいつもそこまで怒りを表に出さない香織さんでさえ、能面のように無表情になってるし。うどんたちなんて、さっきからずっと念話で「殺しましょう!手を足を引きちぎり、内臓を引き摺り出してやりましょう!」だなんて物騒な事を叫びまくってるし。まぁ俺もうっかり炎獄とか放っちゃいそうな気分なので、とっとと色々済ませて帰る事としよう。
 ただなんだろう……なんかあの2人のうちの1人、名刺では市川ってある奴の方なんだけど、どこかで見た事があるような気がするんだよな~。うーん、わからん……まっ、いっか。

 いかんいかん……
 誰もがイラだっているせいで魔力制御が乱れているようだ、威圧が大きくなってしまってカウンター前にいる他のパーティーのいくつかが座り込んじゃったり失禁したりしている人までいるよ。まぁその代わり声を掛けてくるヤツらもいないし、それどころか俺たちの周りには人が誰も居なくなっているので快適だけれども。

 買取カウンターで海石を提出して、同時に依頼の完了を終わらせる。今回の代金はうどんたちを含めて均等に振り込んでもらった。うどんたちは固辞していたけれど、人間形態でいる事だし色々必要になる物も多いだろうからお小遣いみたいなものだ。
 ちなみにドロップは他に魔晶石は当然として白や黒の真珠、サンゴなど宝飾系の物も色々あったけど一切売却していない。理由はうどんたち召喚獣が欲しがるのもあるけれど、ただ単にここの協会に利益を落としたくなかっただけだ。以前に各協会支部同士で利益などを競い合っているなんて話を聞いた事もあるしね。

 迎えに来てくれた近衛の人は送ってくれた人とは違ったけれど、いつもよく話す人でもあった。送ってくれた人も含めて、お礼は今度の休みに心行くまでモフらせて欲しいとの事だったよ。なんかその事で香織さんとめちゃくちゃ2人で盛り上がっていた……なんかモフり方にもこだわりのやり方があるらしいよ?俺にはよくわからなかったけれど、うどんとハクからダメ出しがあったりしていたし、モフラー特有の世界がきっとあるんだろう。

 本部に戻りシャワーを浴びたり色々した後、今回の探索をお互いに労った後、香織さんと召喚獣たちへと俺が拾った宝飾系のドロップを提出して分けて貰った。
 ちなみに俺の次元世界の屋敷にはそれぞれの決まった個室があるんだけれど、召喚獣たちの部屋はそれはもう煌びやかに宝石がそこら中に飾られていた。召喚獣たちの部屋はそれぞれ飾り方に特徴があって面白い。うどんは部屋の窓の辺りに多く配置して、部屋内が色とりどりに輝くのが好きなようだ。ハクは棚や机の上に皿を置いてその中に各色の物を丁寧に並べていた。つくねは大きなアンティークっぽい鳥籠に宝石をくっ付けて飾っていた。あられはタンスの引き出しに詰め込んで、時折開けて眺めるのが好きなようだ。ロンはベッドに所狭しと並べてあり、その上でいつも寝ているらしい。

 しばらくみんなの分け合いを見ていると、師匠が珍しく1人で部屋へとやって来た。

「今回はどこに行って何を受注したんだ?」

 きっと色々忙しいから報告は後でいいかなって思っていたんだけど、わざわざ聞きに来てくれたようだ。
 そこで今回なぜ南ダンジョンにしたかの理由や、依頼内容、そして起きた事を伝えた。もちろん協会での事も全てね。

「ふむ……南の協会支部はいい噂を聞かんからな。まっ、何にしろお前たちは絡まれやすい事がわかったはずだな?今回はわかりやすいアホで力のない者ばかりだったようだが、狡猾な上に強い者はどこにでもいる。日々色々考えつつ行動するようにしろ」

 確かにそうだよね。
 特に香織さんとこれからも一緒に行動する事を考えると、もっと強くなって嫌な思いをさせないようになれるようにならなければ。

 

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