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刈り上げましょう、そうしましょう
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まだ花火の匂いが鼻の奥にくすぶり残る翌朝、俺は渥美ダンジョン前へと来る事となった。
タイムアタックに参加する訳でもないのに何故呼ばれたかというと、俺と手合わせをしたいと訴える人がいるらしいのだ。
正直それを聞いた俺は耳を疑ったね。だって昨夜宴席で師匠が「己を高めよ」とかいい言葉を言っていたのにだよ?それなのに絡んでくるとか正気を疑っちゃうよね。
闘志剥き出しといった表情で俺の前に現れたのは6人の男性だった。
どこかで見た事のあるようなないような……うん、わからない。師匠からの説明を待とう。
「右端2人は東たちの後釜で潜る者たちだ。他の者はお前と同年代……いや、2つか3つ上か?まぁアレだ、己の力量を過信した阿呆共だ」
説明されたけど酷かった……まぁ同感だけどね。昨日は教官に止められたけれど、やっぱりあの時威圧しておいた方がよかったんじゃないのか?って思ってしまう。
「僕は森、隣は柴田、僕たちは御館様率いるパーティーのサポートメンバーになるわけなんだけど、君の実力を知らないからね。君が本当に御館様と共に居られる実力があるのか?それを確かめさせて欲しいんだ」
森と名乗ったのは線が細く目鼻がパッチリとした少し丸顔の可愛い系イケメンで、柴田という人は対照的にガチムチの髭面の大男だ。口調は柔らかいけれど目の奥がギラギラしている感じが怖い。
「実力ですか……」
「あぁ、もし自信がないのならいいんだ。ただそれなら御館様の足を引っ張るので出来れば自ら辞退して欲しいけどね」
チラリと師匠を見ると呆れた顔をしてこちらを見ていた。そして小さく頷いたので、受けてやれという事だろう。
「わかりました、受けます」
「ありがとう、殺しはしないようにするから君も全力を出して頑張ってね」
全力?
スキル使用ありなのかな?たった2人に分身230体も出すのは少し躊躇いがあるんだけど。
この2人との手合わせも気になるけれど、他の4人の理由も気になるところだ。
「そちらの方たちはどのような理由で?」
「俺がお前に勝ったら、御館様のパーティーに入れて貰う」
「「同じく」」
えっ?
そんな事言われても、それはそもそも師匠が決める事じゃないの?
「あー色々言ってくる者が多くてな、お前に手合わせで勝てたらとした」
な、何ですと!?
まさかの師匠が原因だったよ!!
それを真に受けて挑んできたのが4人って事かな?これは多いのか少ないのか……うーん、微妙な数だね。
「お前が如月さんとデートしてるとか許せないんだよっ!俺だって告白したのに……返事も貰えていないのにっ!それとうどんちゃんに主様呼ばわりさせる鬼畜野郎がっ!お前をボコボコにしてうどんちゃんを解放させてやるんだっ!」
おうっと、全員がパーティー入り希望ではなかったみたいだ。
香織さんファンの嫉妬だったよ!!
更にはまさかのうどんファンだとは……どこで主様呼ばわりを聞かれたのか?危惧していた問題がついに出てしまったよ。
それにしてもこの人凄いな……師匠が目の前にいるのに、めちゃくちゃ不純な動機をデカい声で言ってるし。
ただ1人だけ闘志というより憎しみの籠った目で見ていた理由がわかってスッキリしたよ。
まぁ師匠をはじめとして他の5人も、彼の理由を聞いて呆れて口を開けっ放しにしているけど。
「ゴホンッ……では今年の儀の参加者の用意が終わるまで、ここで手合わせでいいな?」
「はい」
「うむ、ではそちらの6人は作戦などあるだろう、少々話して纏めよ」
「えっ?ちょっ、ちょっとお待ち下さい。我ら6人対そこの彼と仰るのですか?」
「あぁ、そうだが?周りに被害が及んでもいかんから、スキル無使用、気絶及び戦闘不能になった時点で終了とする」
「私1人の力は彼に及ばないと仰るのですか!?」
「そう言っている。さっさと作戦なりを話し合え」
「っ!!かしこまりました、その判断がお間違いだったという事を証明してみせます」
森さん……普通にしていたらイケメンなのに、誰もが引くほどに顔を真っ赤に染めて歪めているよ。まっ、顔を歪めてこちらを睨んでいるのは全員なんだけど。
彼らが少し離れて行って、こちらを憎々しげに睨みながらコソコソと話すのを横目に師匠に確認をとる。
「戦闘不能ってどこまでですか?」
「手足を折るなりしてやればいい」
「了解です」
「あと……お前の得物はコレだ」
渡されたのは新聞紙を丸めて縁をセロテープで止めた棒……小さい子供が家でチャンバラごっこに使用するようなやつだった。
「これでですか?」
「あぁ、気で覆えるようになったと爺さんから聞いている。出来るな?」
「……はい」
5日ほど前にようやく武器を魔力で覆えるようになったばかりなんだよね。っていうかそれよりもこれを持って対峙したら、ますますキレちゃうんじゃないかな?
……っと、よし覆えた。覆えたけれど、刀や木刀と違って魔力の通りが悪いのか少しブレる。
「な、そんなもんでやるつもりかっ!?」
「横川わかっていると思うが、軽く叩く程度にしろよ?それで殴っても死ぬ可能性があるからな」
予想通りキレていらっしゃるようだ。
うん、キレるなら目の前の師匠にして欲しいところだよね。明らかに更に煽るように言ってるし……
「あっ!!」
「なんだ?今更後悔しても遅いぞ?ああっ!?」
「師匠、昨日は浴衣とかありがとうございました。しかも香織さんと俺の分だけではなく、うどんたちの分まで。お陰様でいい想い出が出来ました」
「くくっ……それは重畳」
危ない危ない、1番大事な事を伝えるのをすっかり忘れていたよ。特に香織さんの浴衣姿は最高でした、うん。やる気も出たしね。
「ふふふふふふふざけるなっ!殺すっ!!」
「ボコボコにしてやるっ!」
「泣いて詫びろっ!」
「香織さんだと!?浴衣!?なんでお前みたいなモブばっかりがそんないい思いしているんだよっ!!」
おおっ……皆さん更にめちゃくちゃキレちゃったよ。1人だけ怒りポイントが違うようだけど。
「よし、では……始めっ!」
師匠が後ろに後ろへと跳びながら開始の号令を出した。
これまでの師匠たちとの手合わせ以外では、開始と同時に全力で突っ込んで攻撃を繰り出していたけれど、今回は少し様子を見てみる事にした。毎回同じ戦い方だと以前にお叱りを受けんだよね。
5人は俺を半円状に取り囲みつつ、木刀を正眼に構えている。森さんは1人だけ他の人の後ろに立ち、こちらの隙を伺っているようだ。立ち位置的に見ても、先程までの態度を見ても、1番この中で実力があるのが森さんなのだろう。
「キェェェーッ!!」
甲高い叫び声を上げながら刀を振りかぶり突っ込んで来たので、振り下ろされる瞬間に少し後ろに身を引きつつ木刀を上から叩き払い、ついでに両手首を素早くぶっ叩く。感触的にしっかりと折れただろう、その場で呻き声を上げながら膝を着いたし。
1人が突っ込んで来たのを皮切りに、次々に襲って来たけれど、剣速も動きもあまりにも遅いので、同士討ちになるように立ち回ったり、先程と同じように肩や手首を打ち折る。
「来ないんですか?」
「ふんっ、そこそこやるようだが……俺には通じんわっ」
通じんも何も、こちらからはまだ何も仕掛けていないし、森さんとは打ち合ってもいなんだけどな。
「なっ!?どこに逃げたっ!?」
ちょっと面白いので、なんかカッコつけてる森さんの後ろに回ってみました。
先日師匠たちがやっていた、身体の1箇所に魔力を集めるやつ。アレはその箇所を攻撃に耐えうるように強化するだけではなく、足などに集める事によってスピードを増す事も出来るのだ。なのでちよっとやってみました……少々魔力の量が多すぎたのか、予定では森さんの1mほど後ろに回り込むつもりだったのが3mほど離れてしまった。だけどちゃんと残像を残すほどのスピードは出たようなので、問題はないだろう。
「さては僕が怖くなって逃げたな?……ふふっ、大した事ないね」
ヤバイ、面白すぎるこの人。
なんか髪をふぁさぁってかきあげながら言ってるよ。ナルシストさんってこれから呼ぶ事にしよう。
ずっとこのまま見ていてもいいけれど、早く香織さんに会いたいので終わらせようかな。
「そろそろいいです?」
「なっ!?いっ、いつの間に後に……うっ後ろから攻撃するとは卑怯なっ!」
声を掛けたらビックリさせちゃったみたいで尻もちをついたんだけど、それを俺の攻撃とか言い出したよ。しかも後ろからの攻撃は卑怯だとか意味不明な事を言っているし。
「あーじゃあ立ってください」
師匠は本気なのだろうか……こんなのを次の広告塔である代表パーティーに選出するの。あまりにも酷くないか?それともお笑い担当とかそんなのかな?
まぁいいや、とっとと終わらせよう。
「さぁかかってきたまえ、僕が直々に手解きをしてあげよう」
「では遠慮なく」
新聞紙を覆った魔力を固く鋭利にするイメージにして……
おっ、木刀を半分にする事が出来た。よし、このまま腕を貰おうかな……いい事を思い付いた、上手くできるかわからないけれど、先程ふぁさぁっとしていた髪の毛を刈り上げよう。
「ぎゃああああああっ!」
しまった……
髪の毛だけではなく耳までついでに切り落としちゃったよ。
「これまで……だな。救護班!!誰かこれらの治療をしてやってくれ」
ナル男さんが耳のあった場所を押さえながら絶叫を上げて地面を転げ回り、他の5人も手首や肩などを押さえてくぐもった泣き声?を上げて蹲っているのを確認した師匠が終わりの声を上げた。
「横川……遊びすぎだ。ただまぁ気をそこまで扱えるようになっていたとは思わなかった、ここまでよく修練したな」
「ありがとうございます」
「さて……他に手合わせを求む者はおるか!?……いないようだな、では儀を開始する!!横川は宿に戻って柳生の爺さんたちと修練をしておれ、また後で行く」
「わかりました」
この3ヶ月、必死に気の修行に明け暮れたからね。ぶっちゃけ鋭利にするのはぶっつけ本番だったけれど、褒められたので良しとしよう。
さっ、用も済んだようだし香織さんと一緒に修行しに行こうっと。
タイムアタックに参加する訳でもないのに何故呼ばれたかというと、俺と手合わせをしたいと訴える人がいるらしいのだ。
正直それを聞いた俺は耳を疑ったね。だって昨夜宴席で師匠が「己を高めよ」とかいい言葉を言っていたのにだよ?それなのに絡んでくるとか正気を疑っちゃうよね。
闘志剥き出しといった表情で俺の前に現れたのは6人の男性だった。
どこかで見た事のあるようなないような……うん、わからない。師匠からの説明を待とう。
「右端2人は東たちの後釜で潜る者たちだ。他の者はお前と同年代……いや、2つか3つ上か?まぁアレだ、己の力量を過信した阿呆共だ」
説明されたけど酷かった……まぁ同感だけどね。昨日は教官に止められたけれど、やっぱりあの時威圧しておいた方がよかったんじゃないのか?って思ってしまう。
「僕は森、隣は柴田、僕たちは御館様率いるパーティーのサポートメンバーになるわけなんだけど、君の実力を知らないからね。君が本当に御館様と共に居られる実力があるのか?それを確かめさせて欲しいんだ」
森と名乗ったのは線が細く目鼻がパッチリとした少し丸顔の可愛い系イケメンで、柴田という人は対照的にガチムチの髭面の大男だ。口調は柔らかいけれど目の奥がギラギラしている感じが怖い。
「実力ですか……」
「あぁ、もし自信がないのならいいんだ。ただそれなら御館様の足を引っ張るので出来れば自ら辞退して欲しいけどね」
チラリと師匠を見ると呆れた顔をしてこちらを見ていた。そして小さく頷いたので、受けてやれという事だろう。
「わかりました、受けます」
「ありがとう、殺しはしないようにするから君も全力を出して頑張ってね」
全力?
スキル使用ありなのかな?たった2人に分身230体も出すのは少し躊躇いがあるんだけど。
この2人との手合わせも気になるけれど、他の4人の理由も気になるところだ。
「そちらの方たちはどのような理由で?」
「俺がお前に勝ったら、御館様のパーティーに入れて貰う」
「「同じく」」
えっ?
そんな事言われても、それはそもそも師匠が決める事じゃないの?
「あー色々言ってくる者が多くてな、お前に手合わせで勝てたらとした」
な、何ですと!?
まさかの師匠が原因だったよ!!
それを真に受けて挑んできたのが4人って事かな?これは多いのか少ないのか……うーん、微妙な数だね。
「お前が如月さんとデートしてるとか許せないんだよっ!俺だって告白したのに……返事も貰えていないのにっ!それとうどんちゃんに主様呼ばわりさせる鬼畜野郎がっ!お前をボコボコにしてうどんちゃんを解放させてやるんだっ!」
おうっと、全員がパーティー入り希望ではなかったみたいだ。
香織さんファンの嫉妬だったよ!!
更にはまさかのうどんファンだとは……どこで主様呼ばわりを聞かれたのか?危惧していた問題がついに出てしまったよ。
それにしてもこの人凄いな……師匠が目の前にいるのに、めちゃくちゃ不純な動機をデカい声で言ってるし。
ただ1人だけ闘志というより憎しみの籠った目で見ていた理由がわかってスッキリしたよ。
まぁ師匠をはじめとして他の5人も、彼の理由を聞いて呆れて口を開けっ放しにしているけど。
「ゴホンッ……では今年の儀の参加者の用意が終わるまで、ここで手合わせでいいな?」
「はい」
「うむ、ではそちらの6人は作戦などあるだろう、少々話して纏めよ」
「えっ?ちょっ、ちょっとお待ち下さい。我ら6人対そこの彼と仰るのですか?」
「あぁ、そうだが?周りに被害が及んでもいかんから、スキル無使用、気絶及び戦闘不能になった時点で終了とする」
「私1人の力は彼に及ばないと仰るのですか!?」
「そう言っている。さっさと作戦なりを話し合え」
「っ!!かしこまりました、その判断がお間違いだったという事を証明してみせます」
森さん……普通にしていたらイケメンなのに、誰もが引くほどに顔を真っ赤に染めて歪めているよ。まっ、顔を歪めてこちらを睨んでいるのは全員なんだけど。
彼らが少し離れて行って、こちらを憎々しげに睨みながらコソコソと話すのを横目に師匠に確認をとる。
「戦闘不能ってどこまでですか?」
「手足を折るなりしてやればいい」
「了解です」
「あと……お前の得物はコレだ」
渡されたのは新聞紙を丸めて縁をセロテープで止めた棒……小さい子供が家でチャンバラごっこに使用するようなやつだった。
「これでですか?」
「あぁ、気で覆えるようになったと爺さんから聞いている。出来るな?」
「……はい」
5日ほど前にようやく武器を魔力で覆えるようになったばかりなんだよね。っていうかそれよりもこれを持って対峙したら、ますますキレちゃうんじゃないかな?
……っと、よし覆えた。覆えたけれど、刀や木刀と違って魔力の通りが悪いのか少しブレる。
「な、そんなもんでやるつもりかっ!?」
「横川わかっていると思うが、軽く叩く程度にしろよ?それで殴っても死ぬ可能性があるからな」
予想通りキレていらっしゃるようだ。
うん、キレるなら目の前の師匠にして欲しいところだよね。明らかに更に煽るように言ってるし……
「あっ!!」
「なんだ?今更後悔しても遅いぞ?ああっ!?」
「師匠、昨日は浴衣とかありがとうございました。しかも香織さんと俺の分だけではなく、うどんたちの分まで。お陰様でいい想い出が出来ました」
「くくっ……それは重畳」
危ない危ない、1番大事な事を伝えるのをすっかり忘れていたよ。特に香織さんの浴衣姿は最高でした、うん。やる気も出たしね。
「ふふふふふふふざけるなっ!殺すっ!!」
「ボコボコにしてやるっ!」
「泣いて詫びろっ!」
「香織さんだと!?浴衣!?なんでお前みたいなモブばっかりがそんないい思いしているんだよっ!!」
おおっ……皆さん更にめちゃくちゃキレちゃったよ。1人だけ怒りポイントが違うようだけど。
「よし、では……始めっ!」
師匠が後ろに後ろへと跳びながら開始の号令を出した。
これまでの師匠たちとの手合わせ以外では、開始と同時に全力で突っ込んで攻撃を繰り出していたけれど、今回は少し様子を見てみる事にした。毎回同じ戦い方だと以前にお叱りを受けんだよね。
5人は俺を半円状に取り囲みつつ、木刀を正眼に構えている。森さんは1人だけ他の人の後ろに立ち、こちらの隙を伺っているようだ。立ち位置的に見ても、先程までの態度を見ても、1番この中で実力があるのが森さんなのだろう。
「キェェェーッ!!」
甲高い叫び声を上げながら刀を振りかぶり突っ込んで来たので、振り下ろされる瞬間に少し後ろに身を引きつつ木刀を上から叩き払い、ついでに両手首を素早くぶっ叩く。感触的にしっかりと折れただろう、その場で呻き声を上げながら膝を着いたし。
1人が突っ込んで来たのを皮切りに、次々に襲って来たけれど、剣速も動きもあまりにも遅いので、同士討ちになるように立ち回ったり、先程と同じように肩や手首を打ち折る。
「来ないんですか?」
「ふんっ、そこそこやるようだが……俺には通じんわっ」
通じんも何も、こちらからはまだ何も仕掛けていないし、森さんとは打ち合ってもいなんだけどな。
「なっ!?どこに逃げたっ!?」
ちょっと面白いので、なんかカッコつけてる森さんの後ろに回ってみました。
先日師匠たちがやっていた、身体の1箇所に魔力を集めるやつ。アレはその箇所を攻撃に耐えうるように強化するだけではなく、足などに集める事によってスピードを増す事も出来るのだ。なのでちよっとやってみました……少々魔力の量が多すぎたのか、予定では森さんの1mほど後ろに回り込むつもりだったのが3mほど離れてしまった。だけどちゃんと残像を残すほどのスピードは出たようなので、問題はないだろう。
「さては僕が怖くなって逃げたな?……ふふっ、大した事ないね」
ヤバイ、面白すぎるこの人。
なんか髪をふぁさぁってかきあげながら言ってるよ。ナルシストさんってこれから呼ぶ事にしよう。
ずっとこのまま見ていてもいいけれど、早く香織さんに会いたいので終わらせようかな。
「そろそろいいです?」
「なっ!?いっ、いつの間に後に……うっ後ろから攻撃するとは卑怯なっ!」
声を掛けたらビックリさせちゃったみたいで尻もちをついたんだけど、それを俺の攻撃とか言い出したよ。しかも後ろからの攻撃は卑怯だとか意味不明な事を言っているし。
「あーじゃあ立ってください」
師匠は本気なのだろうか……こんなのを次の広告塔である代表パーティーに選出するの。あまりにも酷くないか?それともお笑い担当とかそんなのかな?
まぁいいや、とっとと終わらせよう。
「さぁかかってきたまえ、僕が直々に手解きをしてあげよう」
「では遠慮なく」
新聞紙を覆った魔力を固く鋭利にするイメージにして……
おっ、木刀を半分にする事が出来た。よし、このまま腕を貰おうかな……いい事を思い付いた、上手くできるかわからないけれど、先程ふぁさぁっとしていた髪の毛を刈り上げよう。
「ぎゃああああああっ!」
しまった……
髪の毛だけではなく耳までついでに切り落としちゃったよ。
「これまで……だな。救護班!!誰かこれらの治療をしてやってくれ」
ナル男さんが耳のあった場所を押さえながら絶叫を上げて地面を転げ回り、他の5人も手首や肩などを押さえてくぐもった泣き声?を上げて蹲っているのを確認した師匠が終わりの声を上げた。
「横川……遊びすぎだ。ただまぁ気をそこまで扱えるようになっていたとは思わなかった、ここまでよく修練したな」
「ありがとうございます」
「さて……他に手合わせを求む者はおるか!?……いないようだな、では儀を開始する!!横川は宿に戻って柳生の爺さんたちと修練をしておれ、また後で行く」
「わかりました」
この3ヶ月、必死に気の修行に明け暮れたからね。ぶっちゃけ鋭利にするのはぶっつけ本番だったけれど、褒められたので良しとしよう。
さっ、用も済んだようだし香織さんと一緒に修行しに行こうっと。
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