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仲間外れはご勘弁
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扉を開けたそこは、大きな魔法陣があるだけだった。
「うどん、転移はどこに行くかわかるか?」
「少々お待ちください……7800階層ですね」
「「えっ?」」
「……出るぞ」
7800階層って何?
ダンジョンって深くても1000階層が1番じゃないの?俺はそのようなアメリカかどこかの学者の翻訳記事を読んだ気がするんだけど!?
香織さんも俺と同じようにビックリした顔をして固まっている。でも師匠たちはそんな事ないから知ってた?もしかして時折うどんと話し込んでいるのはこういう情報を聞き出しているのかな?
「チッ……扉が既に無くなっているとはな」
師匠の言葉に後ろを振り返ると、扉があった場所は、周りと同じような土塊の壁へと変わっていた。
「横川、重しを全て外して仕舞え」
師匠たちの顔が緊張感を漂わせている。
俺は言われた通りに重りを外していくけれど、正直言おう……事態についていけてない。
「皆の者、どちらでもいいから手の甲を出せ」
よく分からないままに右手の甲を差し出すと、師匠は筆を取り出したと思ったら、手の甲に象形文字のような物を書き出した。
「これは?」
「俺のスキルにな、ある印を書く事によってその者の身体能力を1.5倍程度にするものがある。これは他の支援魔法と重複しても効果を発する」
「じゃああたしも支援魔法を掛けるからね」
「うどん、ハク、つくねは1番力を出せる形になれ」
「「「はいっ」」」
7800階層だから、万全の体制で臨むって事だろう。
東さんたちや金山さんたちの心配なんかしている場合じゃないな……
「では参るぞ、者ども気合いを入れろ」
「「「はっ!」」」
「「はいっ!」」
「「「主様と共にっ」」」
師匠の掛け声と共に、俺たち全員が転移陣の輪の中へと進入すると……陣は光り輝き、ふわっとした感覚と共に新たな場所へといつの間にか移動していた。
そこは大須に出来た突発型ダンジョンよりも更に広く、まるで普通の外のように、空には太陽らしき物が地を照らし、雲がゆっくりと流れている。遥か遠くに大きな山がある以外は、森と草原しかない、そんな場所だった。
緊張して転移陣へと歩みを進めただけに、あまりにも長閑な雰囲気に少し肩透かし感が否めないが……
ゆっくりと、それでいて警戒をしながら周りをゆっくりと見渡す。
「師匠……」
「どうした?」
「遠くの山なんですけど、気のせいか動いているように見えるんですけど」
「そうか……奇遇だな、俺にも同じように見える」
ここから見えるあの山がモンスターだとしたら、どれだけ大きいんだろうか?試練の際のハクやつくねの完全形態よりも遥かに大きいのだけはわかる。
「うどんよ、何かわかるか?」
「ここはボス部屋ですね。あの山に見えるのがボスです。周り4箇所に封印塔がありますので、そのうちの1つを壊すと戦闘となります」
「壊すまでは、何者も襲ってこないのか?」
「はい、敵はアレだけです」
「助かる……よし、緊張を解いていいぞ」
一気に全員がふぅと息を吐いて、草原に腰を降ろした。
その後大鷲を召喚して、師匠とうどん、香織さんとの4人でボスを見に行く事になったのだが……距離にして800kmほどの所に鎮座していたのは8つ首のドラゴンだった。名称やステータスなどは鑑定が弾かれるらしく、うどんも香織さんも一切わからないとの事だった。
8つの首のドラゴンといえば……八岐大蛇が有名だ。日本書紀に記されている神話では、スサノオに倒された際に尾から三種の神器の1つでもあり、正月にお参りに行った熱田神宮に祀られている草薙剣が出たらしい。
得てして物語の中のドラゴンといえば、八岐大蛇もそうなのだが、大酒飲みと表されている事が多い。その事から倒した後の褒美とも言えるドロップへの夢を膨らましたのはハゲヤクザだ。やる気を漲らせ、目を輝かせていた。また龍やドラゴンは宝を隠し持つなんて話も多いために、鬼畜治療師も宝石が出てくるのではないかと夢を見ている模様……
あまりにも巨大なモンスターのため、どう戦うかが問題となった。
「ここは炎獄を使いますか?」
「主様この部屋はあまりにも広いため、主様の魔力が足りませぬのでご自重下さいませ」
「それよりもあと残りの四神を顕現させて頂ければ、大いなる力としてご助力出来ます」
「今回の探索では、魔法系の練度を上げてこなかったからな、土地も広いようだから上げて顕現させろ。如月くんも魔法スキルを上げる修練だ」
サクッとレベル10のスキルで終わらせようと提案したけれど、そんなに簡単な話じゃなかったらしい。まぁ合技の練習など一切していないから、ついでに練習するのもいいよね。
という事で、残りの分身を全て出しての延々と魔法ぶっぱの時間だ。
………………
…………
……
悲報です!!
分身のレベルは100がMAXじゃないみたいですっ!
まさかの113になっちゃっている事が判明しました!!
最大999体になるのかな?先が長すぎるし、意味が分からないんだけど!?
合技は、遁が付くスキルしか応用出来ない模様です。つまり火遁・水遁・風遁・土遁・闇遁・時空遁のみって事。虎に烏の羽根をつけて呼び寄せるとか、新しい生物?妖怪?を作り出す事は出来なかった。
そして約2日掛かったけれど、ようやく四神を呼ぶ事ができるまでにかなりました。もう師匠はあまり興味がわかないらしく、着いてさえ来なかったよ。まぁ、うん、わかるけどね。そしてその判断は正解だったし。
玄武はデカい亀で、尾が蛇になっているモノだったんだけど、『我が結界を貫けるものなら貫いてみよ』って言われたんだけどさ……うん、試しにと思って、軽く切り付けてみたら簡単に割れたよ。
青龍はドラゴンではなく龍だ。ドラゴンボールに出てくるようなタイプだ。上空50mほどのところで雷を纏いながら、『我が身を傷付けてみよ、地を這う者よ』だなんて言ってたんだけど……これまた50mなんて跳躍の範囲内だからね、サクッと髭を切り落としてみた。
玄武の人型形態は、俺たちと同じ年頃の緑の髪の女の子だった。玄武って老人のイメージがあったから裏切られた気分だ。ただこれまでの2人と違ってチャイナドレスではなく、全身を西洋鎧……銀色に輝くフルプレートメイルに身を包み、大きな盾を構え、なぜか鞭を持っている姿だった。武器防具形態の際は、俺の全身を包む防具となった。フルプレートメイルではなく、今俺が身を包んでいる忍び装束の上をくまなく覆っているらしいのだが、見た目的には何も変わらないように見えた。だが強度だけはかなり強くなっているみたいで……師匠に強く蹴られたが、いつもより痛みが少なかった。まぁ師匠の力具合にもよるから何とも言えないけれどさ。
名前はもちろん香織さんにお任せした。モフモフじゃないから興味を示さないかな?って思ったんだけど、どうやら動物全般が好きらしく、嬉しそうなので良かったよ。
で……決まった名前は、あられだ。発想は亀→亀田製菓→おせんべい→あられ、という流れらしい。そしてもちろんうどんは食べ物系の名前という事で、嬉しそうに笑っていた。
青龍は決して人型にはなりたくないらしい。曰く「人のような矮小なる者の形になぞなりたくない」そうだ。「矮小だと?」なんて、師匠たちが睨んだら、明らかに目の端に涙を貯めて震えていたけれど、それでも人型にだけはならないようだ。身体を小さくして、俺の首や腕などにアクセサリーのようにくっついている。
ただ問題は名前だ……小さくなると、一見すると蛇のように見えなくもない青龍。香織さんは爬虫類系はダメらしく、名前を付けるのを拒否したのだ。その時の青龍の顔は……愕然として、口を開けっ放しにしていた。1人だけ仲間外れは可哀想だと、俺や他の召喚獣、そして鬼畜治療師までもで説得した結果……ロンという名前に決まった。発想の元はわからないが、多分龍をロンと読んだだけだろう。問題はもう1つある。ロンを纏っている俺を香織さんが避けるんだ……ようやく少し仲が良くなったというのに!!なのでロンは基本的に放し飼いにする事にした、人が近くにいない時に限るけどね。ちなみに武器防具形態は雷を放つ刀だった。つくねとロンで二刀となる形だ。
ちなみに玄武も爬虫類では?と疑問を抱いたが、そこは人型になれる事が項を奏したようだ。
「うどん、転移はどこに行くかわかるか?」
「少々お待ちください……7800階層ですね」
「「えっ?」」
「……出るぞ」
7800階層って何?
ダンジョンって深くても1000階層が1番じゃないの?俺はそのようなアメリカかどこかの学者の翻訳記事を読んだ気がするんだけど!?
香織さんも俺と同じようにビックリした顔をして固まっている。でも師匠たちはそんな事ないから知ってた?もしかして時折うどんと話し込んでいるのはこういう情報を聞き出しているのかな?
「チッ……扉が既に無くなっているとはな」
師匠の言葉に後ろを振り返ると、扉があった場所は、周りと同じような土塊の壁へと変わっていた。
「横川、重しを全て外して仕舞え」
師匠たちの顔が緊張感を漂わせている。
俺は言われた通りに重りを外していくけれど、正直言おう……事態についていけてない。
「皆の者、どちらでもいいから手の甲を出せ」
よく分からないままに右手の甲を差し出すと、師匠は筆を取り出したと思ったら、手の甲に象形文字のような物を書き出した。
「これは?」
「俺のスキルにな、ある印を書く事によってその者の身体能力を1.5倍程度にするものがある。これは他の支援魔法と重複しても効果を発する」
「じゃああたしも支援魔法を掛けるからね」
「うどん、ハク、つくねは1番力を出せる形になれ」
「「「はいっ」」」
7800階層だから、万全の体制で臨むって事だろう。
東さんたちや金山さんたちの心配なんかしている場合じゃないな……
「では参るぞ、者ども気合いを入れろ」
「「「はっ!」」」
「「はいっ!」」
「「「主様と共にっ」」」
師匠の掛け声と共に、俺たち全員が転移陣の輪の中へと進入すると……陣は光り輝き、ふわっとした感覚と共に新たな場所へといつの間にか移動していた。
そこは大須に出来た突発型ダンジョンよりも更に広く、まるで普通の外のように、空には太陽らしき物が地を照らし、雲がゆっくりと流れている。遥か遠くに大きな山がある以外は、森と草原しかない、そんな場所だった。
緊張して転移陣へと歩みを進めただけに、あまりにも長閑な雰囲気に少し肩透かし感が否めないが……
ゆっくりと、それでいて警戒をしながら周りをゆっくりと見渡す。
「師匠……」
「どうした?」
「遠くの山なんですけど、気のせいか動いているように見えるんですけど」
「そうか……奇遇だな、俺にも同じように見える」
ここから見えるあの山がモンスターだとしたら、どれだけ大きいんだろうか?試練の際のハクやつくねの完全形態よりも遥かに大きいのだけはわかる。
「うどんよ、何かわかるか?」
「ここはボス部屋ですね。あの山に見えるのがボスです。周り4箇所に封印塔がありますので、そのうちの1つを壊すと戦闘となります」
「壊すまでは、何者も襲ってこないのか?」
「はい、敵はアレだけです」
「助かる……よし、緊張を解いていいぞ」
一気に全員がふぅと息を吐いて、草原に腰を降ろした。
その後大鷲を召喚して、師匠とうどん、香織さんとの4人でボスを見に行く事になったのだが……距離にして800kmほどの所に鎮座していたのは8つ首のドラゴンだった。名称やステータスなどは鑑定が弾かれるらしく、うどんも香織さんも一切わからないとの事だった。
8つの首のドラゴンといえば……八岐大蛇が有名だ。日本書紀に記されている神話では、スサノオに倒された際に尾から三種の神器の1つでもあり、正月にお参りに行った熱田神宮に祀られている草薙剣が出たらしい。
得てして物語の中のドラゴンといえば、八岐大蛇もそうなのだが、大酒飲みと表されている事が多い。その事から倒した後の褒美とも言えるドロップへの夢を膨らましたのはハゲヤクザだ。やる気を漲らせ、目を輝かせていた。また龍やドラゴンは宝を隠し持つなんて話も多いために、鬼畜治療師も宝石が出てくるのではないかと夢を見ている模様……
あまりにも巨大なモンスターのため、どう戦うかが問題となった。
「ここは炎獄を使いますか?」
「主様この部屋はあまりにも広いため、主様の魔力が足りませぬのでご自重下さいませ」
「それよりもあと残りの四神を顕現させて頂ければ、大いなる力としてご助力出来ます」
「今回の探索では、魔法系の練度を上げてこなかったからな、土地も広いようだから上げて顕現させろ。如月くんも魔法スキルを上げる修練だ」
サクッとレベル10のスキルで終わらせようと提案したけれど、そんなに簡単な話じゃなかったらしい。まぁ合技の練習など一切していないから、ついでに練習するのもいいよね。
という事で、残りの分身を全て出しての延々と魔法ぶっぱの時間だ。
………………
…………
……
悲報です!!
分身のレベルは100がMAXじゃないみたいですっ!
まさかの113になっちゃっている事が判明しました!!
最大999体になるのかな?先が長すぎるし、意味が分からないんだけど!?
合技は、遁が付くスキルしか応用出来ない模様です。つまり火遁・水遁・風遁・土遁・闇遁・時空遁のみって事。虎に烏の羽根をつけて呼び寄せるとか、新しい生物?妖怪?を作り出す事は出来なかった。
そして約2日掛かったけれど、ようやく四神を呼ぶ事ができるまでにかなりました。もう師匠はあまり興味がわかないらしく、着いてさえ来なかったよ。まぁ、うん、わかるけどね。そしてその判断は正解だったし。
玄武はデカい亀で、尾が蛇になっているモノだったんだけど、『我が結界を貫けるものなら貫いてみよ』って言われたんだけどさ……うん、試しにと思って、軽く切り付けてみたら簡単に割れたよ。
青龍はドラゴンではなく龍だ。ドラゴンボールに出てくるようなタイプだ。上空50mほどのところで雷を纏いながら、『我が身を傷付けてみよ、地を這う者よ』だなんて言ってたんだけど……これまた50mなんて跳躍の範囲内だからね、サクッと髭を切り落としてみた。
玄武の人型形態は、俺たちと同じ年頃の緑の髪の女の子だった。玄武って老人のイメージがあったから裏切られた気分だ。ただこれまでの2人と違ってチャイナドレスではなく、全身を西洋鎧……銀色に輝くフルプレートメイルに身を包み、大きな盾を構え、なぜか鞭を持っている姿だった。武器防具形態の際は、俺の全身を包む防具となった。フルプレートメイルではなく、今俺が身を包んでいる忍び装束の上をくまなく覆っているらしいのだが、見た目的には何も変わらないように見えた。だが強度だけはかなり強くなっているみたいで……師匠に強く蹴られたが、いつもより痛みが少なかった。まぁ師匠の力具合にもよるから何とも言えないけれどさ。
名前はもちろん香織さんにお任せした。モフモフじゃないから興味を示さないかな?って思ったんだけど、どうやら動物全般が好きらしく、嬉しそうなので良かったよ。
で……決まった名前は、あられだ。発想は亀→亀田製菓→おせんべい→あられ、という流れらしい。そしてもちろんうどんは食べ物系の名前という事で、嬉しそうに笑っていた。
青龍は決して人型にはなりたくないらしい。曰く「人のような矮小なる者の形になぞなりたくない」そうだ。「矮小だと?」なんて、師匠たちが睨んだら、明らかに目の端に涙を貯めて震えていたけれど、それでも人型にだけはならないようだ。身体を小さくして、俺の首や腕などにアクセサリーのようにくっついている。
ただ問題は名前だ……小さくなると、一見すると蛇のように見えなくもない青龍。香織さんは爬虫類系はダメらしく、名前を付けるのを拒否したのだ。その時の青龍の顔は……愕然として、口を開けっ放しにしていた。1人だけ仲間外れは可哀想だと、俺や他の召喚獣、そして鬼畜治療師までもで説得した結果……ロンという名前に決まった。発想の元はわからないが、多分龍をロンと読んだだけだろう。問題はもう1つある。ロンを纏っている俺を香織さんが避けるんだ……ようやく少し仲が良くなったというのに!!なのでロンは基本的に放し飼いにする事にした、人が近くにいない時に限るけどね。ちなみに武器防具形態は雷を放つ刀だった。つくねとロンで二刀となる形だ。
ちなみに玄武も爬虫類では?と疑問を抱いたが、そこは人型になれる事が項を奏したようだ。
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