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明るい兆しですか?
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昨晩は散々な目にあったよ……本当に二人がかりで容赦なく攻めてくるしさ。まぁそのお陰?で、数時間後にはぐったりとなりヨコになったらすぐに眠る事が出来たんだけどさ。
大鷲の最高スピードは約時速100kmだ。その事から、鬼の軍団出現ポイントの1番近い場所でさえ4時間掛かるという事になる。なので予定としては、師匠たち3人組をまずポイントまで連れて行くのだが、その際は分身は一体のみを置いておく。3ヵ所に配置が終わり、俺と先輩もポイント近くに着いてから、相位転身を使い3ヵ所へと移動して分身を8体づつ発現させ、最後に残りの分身を出す。その後合わせて軍団へと挑み掛かるという手筈だ。うどん情報によると、各軍団の兵たちを全て討伐するとようやく宝玉を落とす将が出てくるらしいので、分身での連絡を密にして同時に倒しきる予定だ。
「うどんよ、その軍団とは如何ほどの数かわかるか?」
「それはわかりません、ただ軍団としか情報がないので」
「ふむ……横川と如月くんは、もし危険を感じたら撤退して構わん。くれぐれもその身が大事だからな、無理はするな」
「「はい」」
そう、軍団の数がどれほどなのかという不安は大きい。これだけ広大なフィールドを擁している事からすると、数千の軍が現れてもおかしくないのだ。それと現在その姿は見えないから、何を切っ掛けとして軍団が出現するのかもわからない。
それにしてもうどんはなぜ情報を持っているのだろうか?本獣に聞いても、「なぜかわかるんです。その理由は自分にもわかりません」と言うので、謎が深まるばかりだ。
うどんの事を言えない東さんたちには、山の中腹に扉があった事、そこには4つの穴が空いている事、現時点では扉は開かなかった事しか伝えていない。だから彼らはめちゃくちゃ不安そうな顔で昨日旅立って行った。
ハゲヤクザが作ったおにぎりと豚汁を食したあと、大鷲と相位転身を駆使して配置へと着いた。
まずクソ忍者からだったのだが、さすがと言うべきか……他の配置を待つ間にポイント周辺を探ったらしく、その際に異様な造形物を見つけたようで、それぞれに伝達があった。
それは黒い2本のツノが地面から生えており、まるで門のように輪を描いていた。予想ではこれを潜れば敵が出現するのではないか?との事だ。
「配置は良いか?」
「「はっ」」
「「はいっ」」
「では5秒後に潜り抜ける、5…4…3…2…今っ!」
クソ忍者の言葉に合わせてツノの間を抜けると、突然100mほど先に西洋風の武器防具を着けた数多のモンスターが現れた。
鬼なのに西洋風なのか……
「1番前にいるのはシールドオーガ、体力と力が1B、他は2Cみたいだよ……奥はよく見えないな」
鬼じゃなくてオーガだったらしい……オーガと鬼の区別は俺には付かないけど、鑑定持ちの先輩が言うんだから間違いはないだろう。
空に飛ばし続けている大鷲からの情報だと、奥には弓持ち、剣や槍を持つ者、杖を持っている者がいるようだ。先程の鑑定結果から推測すれば、アーチャーオーガ、ナイトオーガ、マジシャンオーガといった所だろう。そしてその数は、どうやら各300づつほどいるようなので、合計で1,200体……凄い量だ。これをたった2人で討伐しきるなんて不安が押し寄せてくる。
だけど師匠たちは分身がいるとはいえ、たった1人で臨んでいるのだ、泣き言なんて言ってられない。それに先輩の前だし、ここはカッコつけたいところだしね。
すぐさま分身を通じて、鑑定結果は各箇所に伝達される。
「将を出すのは全てを出してからだったな……念の為一体を残したところで連絡を待て。では各々怪我ないように挑め!」
「基本的には俺が前で、先輩は後ろからという形で行きましょう」
「うん、頑張ろうね」
「召喚トラ!カニ!」
「隕石!!」
「炎爆!炎地!極炎!!」
冷静に考えたら、いくら数がいようとも……いや数がいるからこそ魔法スキル当て放題だ、意外に楽かもしれない。
……そんな事を思っていた時期もありました。
杖を持ったオーガの仕業だろう。最初の一撃は与える事が出来たが、それ以降は魔法障壁のようなモノを張ってきたために、攻撃が通らなくなったのだ。
こうなったら直接攻撃しかないのだが、こちらの魔法攻撃は通らないのに、後ろから放ってくる弓や魔法がこの上なく鬱陶しい。しかも自陣の仲間を巻き込む事を厭わず撃ち込んでくるのだから性質が悪い。大鷲や烏に攻撃をさせてはいるが、烏は一撃で消されるし、大鷲も弓や魔法の集中攻撃を受けるので、かなりの頻度で消える。
「召喚獣は残して行くので、俺は後ろに回っても大丈夫ですか?」
「えっ?大丈夫?」
「1体以外全部分身連れて行くので、多分大丈夫です。魔法部隊を相手するから障壁は張れないと思うのでガンガン魔法放って下さい。ただなるべく前方に落とすようにして下さいね、巻き込まれるので」
「わかった、なるべく気をつけるね」
本当に大丈夫だろうか……なるべくとは言ったものの、巻き込まないようにして欲しいんだけどな~隕石とか受けたら大怪我しそうだし。まぁもし巻き込まれそうになったら影に潜るとかすればいいだけなんだけど、そうすると勢い削がれそうだしね。
「それでは……影潜り!」
新たに出した大鷲の影に潜り、一気に最後列へと移動する。
ここからは半分の分身には魔法を放させ、もう半分と俺は刀を振り続ける。
上空に突然幾つもの物体が生まれたのを感じ、チラリと見上げると直径5mほどの岩の塊が落ちてきていた……先輩の隕石だ。
って、思っいきり真上じゃんっ!!
怖っ!!あんなの受けたら確実にヤバイ。大怪我だなんて軽く考えていたけれど、絶対に圧死するわ!!
おうっ……何とか矢の攻撃に耐えていた大鷲が巻き込まれて消えたよ。
先輩、容赦ないな。
って、潜らなきゃまずい!!
「影潜りっ!」
潜った直後、大きな地響きと共に隕石が着弾した。
モンスターもバカじゃない、数十体は咄嗟に上空に向けて魔法障壁を張ったようだが、それでも他の数十を巻き込み潰したようだ。
この様子なら何とか行けるかな?出来る事なら師匠たちより先に最後の1匹としたいところだ。
っと、そんな欲を抱くのは後だ、とりあえず魔法使い共を倒さなければ!
また先ほどまでと同じように刀を振り続ける、そして時折先輩の放つ隕石を避け潜り、また刀を振るう。
悔しいけれど、つくづくゴーレムやカニなどで刀の練習を繰り返してきた事が役にたっているが、腐ってもオーガといったところだろうか、それがマジシャンやアーチャーといった比較的軽装で物理防御力が低そうなモノであっても気を抜いて刀を振るえば一撃で胴を斬り伏せる事が出来ないのだ。更に魔法や矢は止まる事なくガンガン飛んでくる。
俺が斬り伏せた敵と同士討ちで光に変わった敵、どちらが多いのだろうか……
いや、開始からどれほど時間が経ったのか……全力で戦い続けている。先輩の近くに置いてある召喚獣も何度呼び直したかわからない。
ここに来て初めて知ったのだが、分身は魔法を延々と使い過ぎて魔力が切れると消えるらしい。攻撃を受けていないはずの分身が消えた時はあせったよ。
そのために時折九字印をきって回復したりとの手間が増えた……まぁ疲れからか敵の攻撃を避けきれずに山なりに飛んできた矢を受ける事がしばしば起きていたので、怪我の回復も必要となりつつあるのでちょうどよかったといえばよかったんだけどね。
………………
…………
………
ようやくあと4分の1程度までになったようだ。目視及び気配察知出来る全てのマジシャンは屠った。あとは物理職だけだ……ここからは全力の魔法戦でいいだろう。
「あと1匹となった、各々進捗はどうだ?」
「山岡、あと30」
「近松、あと約100」
マジかよっ!
ちよっ!早過ぎない!?どうなってんだよ!!
いや、クソ忍者とハゲヤクザは攻撃職だしまだいい。だけど支援職である鬼畜治療師にまで負けているとか……
「……あと300くらいです」
「各々1匹になったら連絡しろ」
急がなきゃっ!
影操身の術でアーチャー1体を魔法の届かない所へと移動させ、影牢で逃げれないように閉じ込めておく。
そして先輩の元へと移動する。
「大丈夫ですか?」
「ごめん、もうそろそろ限界かも」
先輩に怪我は見当たらないが、顔は疲労からか真っ青だ。更には今にも崩れ落ちそうなほどに足がガクガクと震えているようだ。
トラやカニが物理を頑張って、先輩は魔法に力を入れていたのだろう。
「魔力もキツイです?」
「……うん、ここ最近ずっと使っていたから貯め込んでいる魔力も切れるかもしれない」
そういえばちょっと前から隕石が落ちてくる事がほとんどなかったのは、魔力が切れそうだったのか。いくら先輩でも無尽蔵にあるわけではないんだね。
「結界を1度だけでいいのではれますか?」
「うん、結界程度なら2回はいけると思う」
「ではすみませんが、1度だけ今はってもらっていいですか?」
「わかった、結界!」
先輩と話している間にも、2人の師匠から次々に完了報告が届いた。あれからさほど時間は経っていないはずなのに……
もう手を触れての魔力回復をしてもらうためとか言ってられない、結界をはってもらっている中で九字により回復や魔力回復に臨まなければ。
本当に先輩には見られたくなかったけどね!
「臨兵闘者皆陣列在前!臨兵闘者皆陣列在前!臨兵闘者皆陣列在前……では先輩は少し下がったところで結界内でこのまま休んでいて下さい」
「横川くんは大丈夫?」
「頑張ります!」
心配そうな顔で俺の袖を掴んで、なかなか下がって行ってくれない……こんな時に不謹慎だけど、その顔とか袖を掴む姿とかめちゃくちゃ嬉しい!!
こんな事されたら……ううっ、抱きしめたくなる~!!
これはもしかしてもしかして、明るい兆しですか!?
ってダメだダメだ、早く倒しきらなければ。
「大丈夫です、すぐに終わらせます」
先輩をトラに乗せて、後方へと移動させる。
魔力も気力も充填したっ!
一気に片付けますっ!!
大鷲の最高スピードは約時速100kmだ。その事から、鬼の軍団出現ポイントの1番近い場所でさえ4時間掛かるという事になる。なので予定としては、師匠たち3人組をまずポイントまで連れて行くのだが、その際は分身は一体のみを置いておく。3ヵ所に配置が終わり、俺と先輩もポイント近くに着いてから、相位転身を使い3ヵ所へと移動して分身を8体づつ発現させ、最後に残りの分身を出す。その後合わせて軍団へと挑み掛かるという手筈だ。うどん情報によると、各軍団の兵たちを全て討伐するとようやく宝玉を落とす将が出てくるらしいので、分身での連絡を密にして同時に倒しきる予定だ。
「うどんよ、その軍団とは如何ほどの数かわかるか?」
「それはわかりません、ただ軍団としか情報がないので」
「ふむ……横川と如月くんは、もし危険を感じたら撤退して構わん。くれぐれもその身が大事だからな、無理はするな」
「「はい」」
そう、軍団の数がどれほどなのかという不安は大きい。これだけ広大なフィールドを擁している事からすると、数千の軍が現れてもおかしくないのだ。それと現在その姿は見えないから、何を切っ掛けとして軍団が出現するのかもわからない。
それにしてもうどんはなぜ情報を持っているのだろうか?本獣に聞いても、「なぜかわかるんです。その理由は自分にもわかりません」と言うので、謎が深まるばかりだ。
うどんの事を言えない東さんたちには、山の中腹に扉があった事、そこには4つの穴が空いている事、現時点では扉は開かなかった事しか伝えていない。だから彼らはめちゃくちゃ不安そうな顔で昨日旅立って行った。
ハゲヤクザが作ったおにぎりと豚汁を食したあと、大鷲と相位転身を駆使して配置へと着いた。
まずクソ忍者からだったのだが、さすがと言うべきか……他の配置を待つ間にポイント周辺を探ったらしく、その際に異様な造形物を見つけたようで、それぞれに伝達があった。
それは黒い2本のツノが地面から生えており、まるで門のように輪を描いていた。予想ではこれを潜れば敵が出現するのではないか?との事だ。
「配置は良いか?」
「「はっ」」
「「はいっ」」
「では5秒後に潜り抜ける、5…4…3…2…今っ!」
クソ忍者の言葉に合わせてツノの間を抜けると、突然100mほど先に西洋風の武器防具を着けた数多のモンスターが現れた。
鬼なのに西洋風なのか……
「1番前にいるのはシールドオーガ、体力と力が1B、他は2Cみたいだよ……奥はよく見えないな」
鬼じゃなくてオーガだったらしい……オーガと鬼の区別は俺には付かないけど、鑑定持ちの先輩が言うんだから間違いはないだろう。
空に飛ばし続けている大鷲からの情報だと、奥には弓持ち、剣や槍を持つ者、杖を持っている者がいるようだ。先程の鑑定結果から推測すれば、アーチャーオーガ、ナイトオーガ、マジシャンオーガといった所だろう。そしてその数は、どうやら各300づつほどいるようなので、合計で1,200体……凄い量だ。これをたった2人で討伐しきるなんて不安が押し寄せてくる。
だけど師匠たちは分身がいるとはいえ、たった1人で臨んでいるのだ、泣き言なんて言ってられない。それに先輩の前だし、ここはカッコつけたいところだしね。
すぐさま分身を通じて、鑑定結果は各箇所に伝達される。
「将を出すのは全てを出してからだったな……念の為一体を残したところで連絡を待て。では各々怪我ないように挑め!」
「基本的には俺が前で、先輩は後ろからという形で行きましょう」
「うん、頑張ろうね」
「召喚トラ!カニ!」
「隕石!!」
「炎爆!炎地!極炎!!」
冷静に考えたら、いくら数がいようとも……いや数がいるからこそ魔法スキル当て放題だ、意外に楽かもしれない。
……そんな事を思っていた時期もありました。
杖を持ったオーガの仕業だろう。最初の一撃は与える事が出来たが、それ以降は魔法障壁のようなモノを張ってきたために、攻撃が通らなくなったのだ。
こうなったら直接攻撃しかないのだが、こちらの魔法攻撃は通らないのに、後ろから放ってくる弓や魔法がこの上なく鬱陶しい。しかも自陣の仲間を巻き込む事を厭わず撃ち込んでくるのだから性質が悪い。大鷲や烏に攻撃をさせてはいるが、烏は一撃で消されるし、大鷲も弓や魔法の集中攻撃を受けるので、かなりの頻度で消える。
「召喚獣は残して行くので、俺は後ろに回っても大丈夫ですか?」
「えっ?大丈夫?」
「1体以外全部分身連れて行くので、多分大丈夫です。魔法部隊を相手するから障壁は張れないと思うのでガンガン魔法放って下さい。ただなるべく前方に落とすようにして下さいね、巻き込まれるので」
「わかった、なるべく気をつけるね」
本当に大丈夫だろうか……なるべくとは言ったものの、巻き込まないようにして欲しいんだけどな~隕石とか受けたら大怪我しそうだし。まぁもし巻き込まれそうになったら影に潜るとかすればいいだけなんだけど、そうすると勢い削がれそうだしね。
「それでは……影潜り!」
新たに出した大鷲の影に潜り、一気に最後列へと移動する。
ここからは半分の分身には魔法を放させ、もう半分と俺は刀を振り続ける。
上空に突然幾つもの物体が生まれたのを感じ、チラリと見上げると直径5mほどの岩の塊が落ちてきていた……先輩の隕石だ。
って、思っいきり真上じゃんっ!!
怖っ!!あんなの受けたら確実にヤバイ。大怪我だなんて軽く考えていたけれど、絶対に圧死するわ!!
おうっ……何とか矢の攻撃に耐えていた大鷲が巻き込まれて消えたよ。
先輩、容赦ないな。
って、潜らなきゃまずい!!
「影潜りっ!」
潜った直後、大きな地響きと共に隕石が着弾した。
モンスターもバカじゃない、数十体は咄嗟に上空に向けて魔法障壁を張ったようだが、それでも他の数十を巻き込み潰したようだ。
この様子なら何とか行けるかな?出来る事なら師匠たちより先に最後の1匹としたいところだ。
っと、そんな欲を抱くのは後だ、とりあえず魔法使い共を倒さなければ!
また先ほどまでと同じように刀を振り続ける、そして時折先輩の放つ隕石を避け潜り、また刀を振るう。
悔しいけれど、つくづくゴーレムやカニなどで刀の練習を繰り返してきた事が役にたっているが、腐ってもオーガといったところだろうか、それがマジシャンやアーチャーといった比較的軽装で物理防御力が低そうなモノであっても気を抜いて刀を振るえば一撃で胴を斬り伏せる事が出来ないのだ。更に魔法や矢は止まる事なくガンガン飛んでくる。
俺が斬り伏せた敵と同士討ちで光に変わった敵、どちらが多いのだろうか……
いや、開始からどれほど時間が経ったのか……全力で戦い続けている。先輩の近くに置いてある召喚獣も何度呼び直したかわからない。
ここに来て初めて知ったのだが、分身は魔法を延々と使い過ぎて魔力が切れると消えるらしい。攻撃を受けていないはずの分身が消えた時はあせったよ。
そのために時折九字印をきって回復したりとの手間が増えた……まぁ疲れからか敵の攻撃を避けきれずに山なりに飛んできた矢を受ける事がしばしば起きていたので、怪我の回復も必要となりつつあるのでちょうどよかったといえばよかったんだけどね。
………………
…………
………
ようやくあと4分の1程度までになったようだ。目視及び気配察知出来る全てのマジシャンは屠った。あとは物理職だけだ……ここからは全力の魔法戦でいいだろう。
「あと1匹となった、各々進捗はどうだ?」
「山岡、あと30」
「近松、あと約100」
マジかよっ!
ちよっ!早過ぎない!?どうなってんだよ!!
いや、クソ忍者とハゲヤクザは攻撃職だしまだいい。だけど支援職である鬼畜治療師にまで負けているとか……
「……あと300くらいです」
「各々1匹になったら連絡しろ」
急がなきゃっ!
影操身の術でアーチャー1体を魔法の届かない所へと移動させ、影牢で逃げれないように閉じ込めておく。
そして先輩の元へと移動する。
「大丈夫ですか?」
「ごめん、もうそろそろ限界かも」
先輩に怪我は見当たらないが、顔は疲労からか真っ青だ。更には今にも崩れ落ちそうなほどに足がガクガクと震えているようだ。
トラやカニが物理を頑張って、先輩は魔法に力を入れていたのだろう。
「魔力もキツイです?」
「……うん、ここ最近ずっと使っていたから貯め込んでいる魔力も切れるかもしれない」
そういえばちょっと前から隕石が落ちてくる事がほとんどなかったのは、魔力が切れそうだったのか。いくら先輩でも無尽蔵にあるわけではないんだね。
「結界を1度だけでいいのではれますか?」
「うん、結界程度なら2回はいけると思う」
「ではすみませんが、1度だけ今はってもらっていいですか?」
「わかった、結界!」
先輩と話している間にも、2人の師匠から次々に完了報告が届いた。あれからさほど時間は経っていないはずなのに……
もう手を触れての魔力回復をしてもらうためとか言ってられない、結界をはってもらっている中で九字により回復や魔力回復に臨まなければ。
本当に先輩には見られたくなかったけどね!
「臨兵闘者皆陣列在前!臨兵闘者皆陣列在前!臨兵闘者皆陣列在前……では先輩は少し下がったところで結界内でこのまま休んでいて下さい」
「横川くんは大丈夫?」
「頑張ります!」
心配そうな顔で俺の袖を掴んで、なかなか下がって行ってくれない……こんな時に不謹慎だけど、その顔とか袖を掴む姿とかめちゃくちゃ嬉しい!!
こんな事されたら……ううっ、抱きしめたくなる~!!
これはもしかしてもしかして、明るい兆しですか!?
ってダメだダメだ、早く倒しきらなければ。
「大丈夫です、すぐに終わらせます」
先輩をトラに乗せて、後方へと移動させる。
魔力も気力も充填したっ!
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