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見られる羞恥プレイもありですか?

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 本日はクソ忍者とハゲヤクザ、鬼畜治療師のいつもの師匠三人衆と、まさかの先輩と一緒に修行です。
 場所はちょっとだけ懐かしい日間賀島ダンジョン。
 まだ一般公開はされていなかったみたいで、シーカーは俺たちだけ。年末までは伊賀の担当で、1月から3月は一全の担当らしくて、他のシーカーは見当たらない。今日から10日間は5人だけでの探索で、宿も前回と一緒の所だ。まっ今回は貸切じゃなくて、他の一全の人たち……サポートの方たちが来ているみたいなんだけどね。ダンジョンに潜るのが5人だけって事。
 11日目からは一全の武術班の人たちが入れ代わり立ち代わり訪れて修行がてらドロップである魚介類は日間賀島の市場に卸すらしい。そこで出た収益は全て住民の生活保障に充てられるとの話だった。
 俺たちのドロップも食べる分意外は全部卸して、その資金の1部とするという事だ。

 なんでいつものメンバーだけじゃなくて先輩までいるかというと、なんと先輩からクソ忍者に指導を願い出たらしいのだ。俺が知らないうちに先輩はクソ忍者とメールアドレスを交換していたらしい……
 もしかしてライバルなのか!?
 あのハードボイルド的イケメンに惚れたとか!?
 もし、もしそうだったら何としてもクソ忍者を亡き者にしなければ!!

 っと思ったけど、どうやら目的は俺……の召喚獣たちやキツネのうどんらしい。パーティーメンバーである金山さんたちと一緒じゃないのもそういう事のようだ。
 もふもふの魔力に完全に取り憑かれているようだ、いい感じだ。どうやらこれまで動物の毛を気にしてもふもふ出来なかったのが、それが思う存分出来るようになった事により爆発してしまったらしい。
 それは30日に名古屋北ダンジョンから帰還して、正月三箇日を我慢するのが限界だったようで、2日に連絡があり4日から急遽日間賀島へと訪れる事となった。
 ちなみに今回は伊賀の人たちがいないので、どうやって渡るのか?一全のクルーザー?それとも漁船?なんて思ってドキドキしていたら、俺の大鷲召喚で海面スレスレを飛んで移動した、俺以外は。召喚主であるはずの俺だけは、なぜか乗る事を許されず大鷲の後ろの海面を走って移動してたけどね。全くどうなってんだよ!!
 スキルはダンジョン外で使っちゃいけないんじゃなかったの?って思ったら、申請すればスキルによってはOKが出るらしい。
 それってどうなのよ……なんか納得がいかない。

 クソ忍者は御館様への就任した事もあり、10日間ずっと居れるわけもなく明後日には戻り、10日目にまた来るそうだ。

 あっ、そうそう。元日のお年玉だけど……貰った合計金額何と驚きの2,600万円でした!!
 旧御館様と師匠様からは各500万円づつ。おハゲ様と美人治療師様からは各300万円、他の方々からはだいたい100万円づつほどだった。
 はぁ~ある所にはあるもんなんだね。
 孤児院に帰ってからドキドキしながら開けたら束がドサドサと出てきて、マジで心臓が止まるんじゃないかという程ビックリしたよ。つい最近もこの半分ほどの額を稼いだけど、それは全部数字としてしか見ていなかったけど、まさかの現ナマ……もちろん初めてで、ちょっと怖くなっちゃって、その日の夜は眠れなかった。
 で、翌日朝イチにお師匠様から電話が着て、「2,600万円は直ぐに定期貯金するように」との厳命が下った。昔は銀行は正月や盆は当然として、土日や平日の夕方以降は営業していなかったらしいけれど、探索者協会が銀行業務も兼任している為に、年中24時間いつでも貯金や振込が出来るからね。現ナマを置いておくのも持ち歩くのも怖いし、何より貰いもんだから今回は素直に従いましたよ。そしてふと気付いてしまったよ……これを受け取ってしまったという事に……何をさせられてしまうのか!?

 ちなみに修行という意味では、初めての4連休だった。日々過酷な修行をする事に慣れてしまったこの身体……何もしない事に耐えきれず、自主的に2日間数時間の全力マラソンとかしてたよ。明け方から全力疾走で山の方まで行って、うどんを思う存分散歩させたりもした……したけど、それは1日目だけ。なぜなら1日目の時に、山の中でキツネとしての本能が思い起こされたのか、野ウサギを狩って咥えて持ち帰って来たりしたからです!よく山とかは禁猟区とかという話を聞くから、法律違反になるんじゃないかと思って……ステータス確認したけど、【密猟犯】にはなってなかったからいいけどさ。でも怖いから1日だけにした。
 あとはアマとキムにも会って遊んだ。2人とも俺と同じように大金のお年玉を貰ったらしくて、お互い通帳を見せあってニマニマしたりしていた。そして3人でちょっと豪勢に焼肉に行ったりもしてみたよ……食べ放題コースだけど。

「よいっしょっ」
「うむ、もう刀の扱い方や力の入れ方はそれなりになったな」

 デカいタコを木刀で斬り伏せると、後ろからお褒めの言葉を頂いた。
 それなりっていうのがポイントだよね、まだまだ先は長いって事だ。未だに1度も師匠たちの本気の一撃を見た事がないんだよね……もしかしたら一撃でダンジョン階層全て斬り伏せるんじゃないかなっと推測している。

 せっかく先輩も一緒に来ているのに、先輩は魚型のダンジョンで別に鬼畜治療師と潜っている……うどんを連れ、例の腐海の端の姫様スタイルで。上目遣いでねだられたら……ね?「どうそ襟巻きにでも何でもして下さい」って差し出しちゃうよ。

「ふむ、では魚の方へ移動して新たな修練を行う」

 新たなって言葉が気になるところだが、先輩と同じ場所に行けるの嬉しい。何だかんだお師匠様も俺の事をわかってくれているようだね。

 お魚ダンジョン1階層で鉄板に熱を入れたり、鍋に湯を沸かしているハゲヤクザに、採れた海産物を渡してから2階層へと降りる。うーん、先輩の姿は見えないし、声も聞こえないから3階層なのかな?

「ちゃんと後で一緒に行動させてやるから、落ち着け」
「あっはい……」
「ほれ、コレを着けろ」

 渡されたのは黒いアイマスクだった。
 えっ?着けろってどういう事!?
 寝るのかな?寝る事だと信じたい……

「お前は未だ目に頼っているからな、目以外の五感で敵を察知しろ」

 やっぱりですか!?
 いや、言いたい事はわかるんだ、気配察知とか重要だとは思うし。だけどさ、いきなりビュンビュンと敵が飛んでくる場所での修行は無理があるんじゃないですか!?

「早く着けろ……着けるのが嫌なら、目を潰してもいいが、痛くて集中しにくいぞ?」
「着けます!!」

 なんて事を思い付くんだよ!!
「集中しにくいぞ?」ってまるで優しいだろ的な言い方だけど、全く優しくない!!
 慌ててアイマスクを着けると……うん、全く何も見えない。空間が青暗いのもあるんだろうけど、アイマスク自体も分厚い布らしくて光を一切通さないようだ。

「何もそれを着けて直ぐに階層踏破しろとは言わんからそう構えんでもよいわ。まずは影狼を解除してから座禅しろ、そして九字をきって集中力を高めろ」

 うん、それだったら1階層でも、外でもいいよね?わざわざモンスター溢れる階層でする必要性を感じられないと思うんだ。
 まぁいつもの通り言っても無駄だし、ゴネれば確実に言葉通りに突っ込まされる事は確実だから、素直にしたがっておくけどね。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」
「耳を澄ませ、肌で感じろ……」

 心を落ち着け、言葉には出さずに九字印をきり続ける。

 んっ?
 何かが風を切り裂いて向かってくるような……「ツゥッ!」
 何かが肩にぶつかった!痛い。

「痛みを感じる前に何か感じたか?」
「風を裂く音のようなものが聞こえた気がします」
「なら、どこからどう向かってきているかまで察知して、斬り伏せろ……あぁ刀だと瞬時にはまだ行動しにくいか、ほれ短刀をやるからコレで対応しろ」

 そんな無茶な……
 渡されたのは約30cmほどの短刀のようだ。それを足に置いてまた集中をする。

 ………………
 …………
 ……

 痛い……
 風を切り裂く音は確実に聞こえるようにはなったけど、場所を特定した上にスピードを計るとか、その上それを短刀で応対するとか無理です。幾度となくスカッと何もない場所を振り抜いてはぶつかられるのを繰り返している。

「今度は耳に頼りすぎだ、空気の揺れを肌で感じろ」

 いやいや、無茶言わないで下さいよ。

「今回は如月くんが一緒だから遠慮していたが……肌で感じやすくするためにパンツ一丁になってやるか?」
「ちょっと待って下さい!とりあえず待って下さい!!」

 なんだよその羞恥プレイは。
 どう考えても変態みたいに思われるじゃないですか!!……いや、いっそ裸を見られるのも……って違う違う!ダメだ!!

「なら早く出来るようになれ。ふむ、では耳も塞いでやろう」

 おおうっ、何か物を耳に詰め込まれた。何だろうこれは……柔らか硬く、ヌルッとしているような。なんか嫌な予感がするけれど、耳を切り落とされなかっただけいいと思う事にしよう。

「お前に出来ないとは思っておらん。これまでの修練と同じだ」

 これまでの修練?
 思い出せ……思い出せ……
 あっ、これもイメージが大切という事か?きっとそうだ。
 意識を俺を中心とした半径2mほどの球体を描くように広げるんだ。まるでそこには薄い膜でもあるかのように……触れたらわかるんだ。
 イメージを固めるんだ、集中して意識を高めるんだ。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!……すみません師匠、あともう少し下がって頂けますか?」
「……あぁすまん」

 うん、デカい物体がすぐそこにある感じがしたんだよね。熱を感じるというか、違和感があるというか……当たっていたようだし、やり方はきっと間違っていないだろう。

 絶対に出来るようになってやる!!
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